あわや救助依頼?ほっとした爺ヶ岳南尾根
- GPS
- 08:25
- 距離
- 9.6km
- 登り
- 1,460m
- 下り
- 1,476m
コースタイム
天候 | 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
数日前から日曜日は快晴との天気予報だったので、少し足を伸ばして残雪残る爺ヶ岳に行って来ました。
雪がしまっている朝の内に登って、昼頃には下山して、名物の黒部ダムカレーで昼食、近くの露天風呂で桜でも眺めながらのんびりして、夕方前には帰宅する予定でした。
この日の登山者は思った以上に少なく、途中で出会ったのは10名ほどだけでした。
GWも始まったばっかりでこれからが春山本番でしょうか。
この日は登山口の出だしのところで道に迷った方が数名いたようです、直ぐに山に取り付くところをしばらく沢沿いに登っていったミスで、我々も少し戸惑いました。
南尾根ルートは藪が大変だと聞いていましたがほとんど気になりませんでした。
大きな雪のバーンに出るまでは谷底まで続く雪の斜面がありましたが、雪がしまっていたので簡易アイゼンで充分でした。
大きな雪のバーンがJPまで続く所は何段にも雪の壁があってピッケルのブレードを差しながら乗り越えました。ここが帰りにあわや大事になろう場所だとはこの時思いもしませんでした。
とにかくトレースに沿って雪庇部分に乗らないよう端を行きました。
JPからは尾根に夏道がジグザグに続いています。
途中偽ピークがあったりして、思った以上に遠く感じました。
長い長いとつぶやきながら登る内に山頂はあっけなく南峰に到着しました。
静かな山頂からの景色は予想通りの素晴らしいものでした。
直ぐに中峰まで行き、そこから見える頸城山系や目前に聳える鹿島槍に目を奪われながら大休止
昼食のカレーを楽しみに下り出しました。
JPからの雪のバーンは腐って上手く下れません、結局滑り降りる形で下りました。
傾斜がきついためにピッケルで制動しながら下りました。
大きな雪のバーンを下り終え、登りで休憩した場所まで来ました。
下った所でI君が落としたタバコを捜しているときです、最後の急な斜面をテン泊して下ってきた大学生の一人が仰向けの状態で滑落して行くのをI君、A君、N君が見ていました。
ここは西側に沿って下ってくるところを中よりに下ったため、谷の中央を滑落していく事になって、途中で別の尾根がでてコースを外れてしまいます。
大きなザックが徒になり、持っていたストックでは滑落を止めることは出来なかったようです。
下を覗くとどうやら谷の先が切れ込んでいてその下に落ちたようです。
後から下って来た相方の大学生に状況を話して、みんなで大声で呼びかけますが反応はありません。
そのうちにI君が正義感からか若気のいたりかみんなの言うことも聞かず、急につぼ足ピッケルで雪の斜面を下って行ってしまいました。途中「アイゼンを履け!」と何度も呼びかけても本人は自信満々だったのでしょう、そのまま見えなくなってしまいました。
仕方ないので滑落した相方が途中まで下って中継して状況を知らせてもらう事にしました。
この時点で半分以上は救助依頼を県警に頼まなくてはいけないかなと思っていました。
なにしろ見える範囲だけでも滑落した斜面は200m以上ありそうです、その下がどうなっているか想像したくありませんでした。
そういえば下って行ったI君はドコモの携帯です、同じドコモ電話のN君の携帯でかけてみました。
(ドコモはこの場所でアンテナが3本立っていました)
谷底では電波状況が悪いもののなんとか通じて、I君の情報ではが滑落した大学生は、多少の怪我はあるかも知れないが無事であるとの連絡が入りました。
しかしあの状況で大事にいたらなかったのは奇跡と言って良いくらいでした。
途中地元のスキーレスキューをしていると言う2名の方が、滑落者のストックをとってきていただいたり、もしもに備えて親切にアドバイスしていただいたりしました。
この場を借りて申し上げます、有り難うございました。
滑落から1時間ほどでしょうか、滑落した大学生とその荷物を担いだ相方の学生さんがゆっくり登ってくる姿を見たときは本当に安心しました。
ところが、ところがです、捜索に下って行ったI君がいつまで経っても上がってきません。
電話すると通信が途絶えながらも下にいる彼らとは谷を隔てて反対側にいて、滑りやすい雪の斜面下は崖になっているらしく、動けなくなってしまったようです。
言っていることもパニック状態で要領が得ませんでした。
下手をすれば二次遭難です、結局つぼ足で下った事が万事休すとなってしまいました。
今度はA君がI君のアイゼンを持って慎重に下って行きました。
声が聞こえる方に谷を下り、トラバースして見えなくなって・・またまた不安が募ります。
しばらくしてアイゼンを履いたI君がA君と2人でゆっくりピッケルを刺しトラバースしながら登ってくるのが見えた時には心底安心しました。
滑落した学生さんと相方も心配して見守る中、一緒になって4人で雪面をゆっくり登って我々の場所まで戻ってきました。 滑落した学生さんも泥だらけでしたが、元気そうで片腕を痛めた様でした。
それよりもI君は自信喪失、半ショック状態でしばらくパニック状態でした。
平静になったI君が言うには自信過剰だった、初めて体験する恐怖で今度は足がすくんで動けなくなってしまったようです。
反省することしきりでしたが、こればかりは笑って許す事ではありません。
きつくみんなでお灸をすえました。
だけど本当に大事にいたらなくて良かった。
時間にして2時間もなかった事態でしたが、この経験は我々にも大きな教訓になりました。
たらればになりますが、本当に幸運だったとしか言いようがありません。
雪山での滑落、下りは特に注意したいものです。
コメント
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滑落した彼の帽子をかぶっていた友人です。先日は本当にどうもありがとうございました。僕一人ではどうしようもなかったと思います。
あの後彼と共に2時過ぎに扇沢に下山しました。彼自身は手の痺れくらいしか自覚症状がないと言っていたのですが念のため駅長さんが救急車を呼んでくださいました。
彼は信州大学病院に搬送されて検査をして無事今日退院したみたいです。
本当にどうもありがとうございました。彼も僕もこの体験を忘れることはないと思います。みなさんも今後もどうかお気をつけて登山を楽しんでください。
kenkengさん 先日は大変でしたね。
写真も拝見させて頂きました。
鹿島槍までの山行うらやましい。
テントから望むモルゲンロートはさぞ素晴らしかったと思います。
あれはある意味大変貴重な経験だったと思います。
でも、大事にいたらず本当に良かったですね。(もちろん我々のメンバーにも言えます)
きっと山の神様が助けてくれたのかなと思います。
お互いに安全で楽しい登山を心がけたいですね。
そういえばI君が、せっかく一旦は回収したスコップを届けられずに申し訳ないと言っていました。
またどこかの山で笑って再会できたら良いですね。
友人にもよろしくお伝えください。
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