日光白根山 北面中央リッジ 意外に登り応えのあるアルパインルート
- GPS
- 08:53
- 距離
- 7.6km
- 登り
- 918m
- 下り
- 909m
コースタイム
天候 | 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
駐車場は有料(1000円)ですが、この日は料金徴収を行っていませんでした。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
樹林帯の積雪は多く残っていますが、山頂付近は岩と地面が露出しています。今年は特に雪解けが早いみたいです。 菅沼から弥陀ヶ池への冬道に落石注意箇所が有ります。気温が高い時間帯の通過には注意が必要です。早朝の雪面は締まっていてアイゼンが効きますが、気温が上がると雪が腐って効き辛くなるので注意が必要です。 北面中央リッジは下部の1ピッチ目と上部の4ピッチ目が核心となります。元蕕療俘気任垢支点の取り辛さや岩の脆さと落石など、アルパインで有りそうな危険は大体揃っている感じです。 |
写真
感想
金精道路の冬期通行止めが解除され菅沼登山口へアクセスできるようになりました。冬期通行止め解除直後の菅沼からの日光白根山。毎年の恒例メニュー化した感じで、もう何度目になるか…。
去シーズンは北面のルンゼ沿いのバリエーションルートを登り、隣のリッジが登れそうに見えて気になっていました。その時に撮った写真と地形図でルートを検討し準備していましたが、今回ようやくチャレンジする機会に恵まれました。
早朝の菅沼登山口で群馬の山友と待ち合わせ。平日なので他に登山者の姿は無く静かな登山口で準備をし入山します。積雪期は一般ルートではなく、沢沿いに弥陀ヶ池に向かうルートが使えます。詳細は昨シーズンのレコをご参照ください。
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-436675.html
弥陀ヶ池から見る奥白根山は今まで見た同時期よりも雪が少なく、急速に雪解けが進んだ様子です。ここでストックからアイゼン、アックス、メットにガチャ類を身に付け登攀の準備をします。
本来の一般ルートは座禅山のコルから登りますが、この時期であれば雪が繋がっている部分を登れるので直線的に中央リッジを目指して高度を上げます。
雪の状態は概ね締まっていますが、ブッシュが埋まっている所等は多少の踏み抜きが有ります。好天の日差しを浴び、汗をかきながら暫く登ると標高2360m付近で傾斜が緩くなり、小リッジに乗ります。リッジ左側には北東から突き上げるルンゼが有り、ルンゼを渡った先から中央リッジが始まります。
一旦ルンゼに降りて、事前に写真から検討し中央リッジ取り付きと考えた部分を観察します。観察により3つの候補が上がりましたが、一番右の凹角はリッジの立ち上がりから右過ぎ、かつ開始の高度が上がってしまいます。その次のフェース状か左の凹角状が有力ですが、フェース状はブッシュが多く跳ね返されそうなので、左の凹角状から登る事にしました。
1ピッチ目、20m 掘銑元蕁
スタート地点はルンゼに溜まった雪の左角から凹角状に雪が繋がっており、一段上がった所でセカンドはポケットにキャメロット#0.5でセルフビレイを取ります。
1ピッチ目は左側のテラスで上下2段になっていて、下段が卦蕁⊂綯覆元蕕任后2蔀覆魯曄璽襯匹眤震椶妊▲奪スのフッキングも効きますが、スタンスが乏しい感じで中途半端に氷が張っており思ったよりもデリケートです。左のテラスへ上がる前に支点を取りたい所ですが、良い所が無いので気合一発、膝を使って強引に左のテラスに上がります。
左テラスでデカいピナクルにスリングでようやく1つ目の支点を取りました。ここから上段へは右へチョイトラバースしてチムニー状を登ります。トラバースではアックスを岩の回り込んだ所にフッキングして引き付けますが、完全にブラインドなので手の感覚だけで掛かり具合を判断するのが不気味です。
チョイトラバース後も支点が取りづらく、親指位の潅木にスリングで2つ目の支点を取りましたが気休め以上の効果は有りません。チムニー状は身体ごとジャミングしつつ右側の岩にフッキングしてレイバック気味に身体をズリ上げて行きます。ランナウトしているので絶対に落ちれない、物凄いプレッシャーで怖過ぎです。
登りきって良い感じに潅木のある所が1ピッチ目終了点です。潅木を束ねてセルフを取り、解除コール。ロープを引き上げセルフとは別に取った支点に折り返しでATCガイドをセット。セカンドを迎えます。セカンドは上段でワンテン、潅木の支点が吹っ飛ばないかヒヤヒヤしながらのビレイです。
ピッチを切った後で気付いたのですが、20mで切っているので一段上がらずにルンゼの雪面にアックスを埋め込んでセルフにした方がピレイヤーは安定したと思います。初見のルートなので、なるべく上から始めようとしました。
2ピッチ目、30m 教蕁
雪の繋がる急斜面を藪を潜りながら登ります。特別に困難な所は無く中間支点は取りませんでしたが、取る場合はブッシュにお好みで自由に取ることができます。30mロープ一杯で2ピッチ目終了です。
3ピッチ目、30m 卦-。
藪の雪面からスタートし、藪を抜けた先はザレた岩場の急斜面へ変化します。2ピッチ目同様、中間支点は取りませんでした。支点を取る場合はピナクルか、凍っていればイボイノシシでしょうか。
3ピッチ目上部の岩場は浮石がたっぷり乗っています。セカンドに落石を落とさない為、リードでは右側のカンテ状から回り込むようなラインを取りました。30mロープほぼ一杯、良い感じの潅木で3ピッチ目終了です。
セカンドは右側のカンテ状から回り込まず、直接終了点へ登ってきました。セカンドの登攀中もロープによって落石が起きる可能性があるので、上からのロープの流れに注意が必要です。
4ピッチ目、30m 元-。
3ピッチ目終了点から見上げて、岩を右側から巻き上がるラインも有る様でしたが、山頂北峰へ直線的に繋ぎたいので正面やや左側の岩壁を登りました。
下部はホールド、スタンス共に必要なだけは有る感じです。クラックやポケットが多めなので1ピッチ目よりは支点をセットし易く感じました。中間支点はセット順でクラックにキャメロット#2、クラックにストッパー#10、ポケットにキャメロット#0.5の3つです。
上部カブリ気味の岩を右側に抜ける時、アックスを遠めにしかフッキング出来ない所が嫌らしい感じです。30mロープ一杯で4ピッチ目終了です。
4ピッチ目終了点から見下ろす北面中央ルンゼ。なかなかの眺めです。ロープを解いて北峰に上がれば山頂は目の前です。一旦下って山頂へ向かいますが山頂部分は殆ど雪が無く、なるべく雪の上を歩きたいので東側の崩落箇所に残った雪を伝って山頂へ。
山頂でコーヒータイムの大休止。気温が高く遠くの景色は霞んでしまいましたが、素晴らしいクライミングの達成感に浸りながら眺める景色は格別なものです。
降りは北面の一般ルートから下り始め、途中で雪の繋がっている所を適当に弥陀ヶ池へ。日が高くなり雪が腐っている為、アイゼンが効き辛く慎重に下ります。
弥陀ヶ池でアイゼンを外し沢沿いの冬道をグリセードを交えながら高速下山です。途中で腰まで踏み抜いたりしましたが菅沼登山口へ無事到着しました。
今回のルートはガイドブックやネットでは記録が見つからないので、勝手に北面中央リッジと呼ぶ事にしました。
写真からはそれ程困難に見えなかったのですが、実際に取り付いてみると不安定な岩質に乏しい支点で短いながらも登り応えの有るルートでした。既存の情報が無いが故に自力で計画し困難を乗り越える辺りがアルパイン気分を大いに盛り上げてくれ、最高の充実感を感じることが出来たと思います。
例年に比べて非常に雪が少なく、氷雪を頼りに出来ない事でアックスやアイゼンの決め所が限定された感が有ります。反面、クラックやポケットが雪で埋まらず露出しているのでカムやナッツは決めやすかったのかもしれません。
氷雪によるコンクリートは全く期待出来ない状態だったので、落石には細心の注意を払いました。でも何個かはセカンドに向けて落とした気がします、スマン…。
思いがけずのマルチピッチでなかなかの恐怖体験でした。二度とゴメンだ的な思いがある一方で、来シーズン例年通りの積雪が残る状態でトライしたいという思いも有ります。
コメント
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ボルト連打の人気ルートとはちがって、これぞアルパイン!という楽しみ方ですね♪
読んでるだけでワクワクしました^ ^
もしかしたら、本当に初登かもしれないですよ?
岳人とかに送ってみたらどうですか?いや、ほんまに!
北面中央リッジ初登で、記録残るかもしれませんよ〜\(^o^)/
たっぷり怖い思いをしたので、残置支点の有り難さを
思い知らされるクライミングでした
初登!まさか自分の登山人生でそんな可能性に出会えるなんて感動です!
確かに記録も見当たらないし、登る人も居なそうな感じなので
初登の可能性は高そうですね〜
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