奥久慈男体山
- GPS
- 05:01
- 距離
- 13.1km
- 登り
- 916m
- 下り
- 902m
コースタイム
- 山行
- 4:38
- 休憩
- 0:24
- 合計
- 5:02
天候 | 晴れのち雪(しぐれ)のち晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2018年01月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
大円地駐車場に5台くらい、篠原商店付近に5台くらい、滝倉トンネル付近に3台くらいは止められます。やや遠いのですが、弘法堂にも割りと広い駐車スペースがあります。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
霜が溶けてぬかるみになっている箇所があるので要注意です。また一般コースに鉄杭(木の段を支えていたもの)が露出しています。ピンクテープで注意喚起してありますが念のため。 登山当時木道が整備中で撤去してありました。関係者の皆様に感謝します。 |
写真
装備
備考 | 水とチョコレート少々、GPSスマホ、デジカメ タオル(登りは汗が目に入るので頭に巻きます)。 健脚コースにはゴム引き軍手(商品名、タフレッド)が役に立つのですが、気の緩みで忘れてきてしまい、ホールドが滑るため素手の下降となって少しどきどきしました。 |
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感想
会社の新年は1月5日からなので、1月4日がなんとなくフリーになる。一昨年、昨年とこの日を利用して奥久慈男体山のバリエーションルートに挑戦していたが、昨年12月の高尾ー雲取の際に膝を悪くした。クリスマスごろまでは登山どころか駅の階段でさえ手すりにつかまらないと歩けない状態だった。幸いにも歩行は通常に戻ったが、痛みが完全に消えたわけではない。また、この1ヶ月間全く運動せずに飲食に興じていたから、5kg以上も太ってしまった。日常生活の動作でも膝とは関係なしに重さを感じる。そこで、今年はできるところまで歩いてみることにした。
快晴だった。国道118号を、常陸大宮辺りから北上した。今までは山方へ出る山越えルートを使っていたが、まだタイヤがノーマルだったので、より平坦なルートを使うことにしたのだ。国道が道の駅ひたちおおみやを過ぎたころ、右遥か前方に奥久慈男体山から、鷹取岩方面の岩稜が目に飛び込んできた。血が騒いだ。青空に突き上げる岩稜の全貌は堂々としており、運転中でなければその場にたたずんで暫く見物したいほどであった。2012年、奥久慈の山歩きを始めたころ、持方側から見た岩稜の全貌に興奮したときのことを思い出した。
道草を食いたい気持ちをこらえて、国道を急ぎ、右手前方に現れるピラミッドピークの均整の取れた美しさにうっとりすれば、西金駅はすぐ、ピラミッドピークの裾の先だ。駅の駐車場に車を停めて歩き始めた。国道を渡ればすぐに表縦走路の岩稜が顔を出す。その様子に興奮することができれば、まだ登山欲はなくなってはいない。大丈夫。もうひとつ心配な膝も登りは大丈夫。下りの方が痛むので、下山後まで安心はできないが今のところは普通に歩ける。でも体の重さは懸念どおりずっしりくる。
林道界隈の民家を縫いながらゆっくりと高度を稼いで、ゾウの足跡の化石発見現場を通過した。茨城県北は昨年、全国では初めてジオパークの認定を取り消されてしまった。地層大好き、断層や褶曲が見られれば興奮する自分にとっては残念なことだった。もっとも地質学的な価値は観光資源としては少々マニアックすぎるか。カンブリア紀の岩石といってもただの石だし。
さらに高度を稼ぐと林道は再び細くなる。昨年ウリボウが隠れていたわら置き場を過ぎると表縦走路の岩稜が眼前にはっきりと姿を現す。鷹取岩、入道岩、P460、そして篠原商店の背後に奥久慈男体山がその堂々とした姿を見せた。
今まではどちらかというと正面岩壁から健脚コースにかけての急斜面に目が向いていたが、昨年夏から大円地越の深いくびれに熱狂している。豪快に落ち込む谷に馬場島から見る裏剱岳の大窓を思い出すからだろう。さらに、大円地越から山頂へ向けての稜線も美しい。登山できなくても、古分屋敷でお茶するのもいい行楽になりそうだが、今日は歩くことを目的にしよう。
大円地山荘前を過ぎると木道があるのだが、その一部分が除かれていた。おそらく冬のうちに改修するのであろう。こうしたメンテナンス活動には頭が下がる。
木道の改修地点を過ぎて分岐点を一般コースへ曲がった。昨年滑ったぬかるみの坂も、霜さえおりずにからからだった。まだスギ花粉がお出ましになるには若干期間があり、鼻たれジジイになることもなく、順調に高度を稼いだ。いつものように大岩に枝を一本立てかけ、さらに高度を上げて、トラロープの張られたガレ地を通過した。一時期は浮石訓練と称して、わざわざこのがれ地の中も入ったものだ。一歩足を出すたびに石が動き、ちょっとコースを外れるだけでこれほど悪くなるのかと驚いたものだ。そして、清水を飲んだこともあるオーバーハングの岩の横を過ぎて、凍結したちっちゃい沢を通過すれば、大円地越だ。落ち葉のじゅうたんと、葉を落とした木々が空にまっすぐ伸びる様を思い切り楽しめるピクニックエリアだが、今日も通過するだけにとどまった。
大円地越のくびれを一気に登って稜線に出ると、白いものが舞ってきた。雪だ。葉の落ちたこずえや、枯葉をかさかさと鳴らしながら乾いた雪が降り続いた。一般コースの主稜線から雪越しに見る奥久慈岩稜は始めての経験だった。思えば男体山で雪に降られること自体始めてのことだ。
雪越しに見る日立アルプス方面は半分白くかすんでいた。雪が降り込んでいる箇所と、そうでない箇所があるのだろう。白いお年玉をもらって、奥久慈男体山山頂に到着した。山頂にはご夫婦のハイカーが暖かい食事の準備中だった。ご主人に「しぐれてきたね」と声をかけられた。まさにしぐれだった。近頃そんな風流な言葉はすっかり自分の辞書からは抜け落ちていた。
山頂の祠で一年のご加護を祈った。山頂まで膝の痛みはないが、ここからが本番。下りで痛みが出るかどうかが今回の山行きの大切な確認事項だ。うっすらと雪化粧した登山道の先に登山道が、そして滝倉別尾根(筆者勝手に命名)を山頂に詰めるときの目印となる松の木が見えた。ここから健脚コースを下るのだ。
ここで登はんで愛用しているタフレッド(ゴム引き軍手)を持ってこなかったことに気がついた。毛糸のミトンではホールドをつかめないので、素手で下降したが、かさかさに荒れた手ではホールドが滑ってかなりどきどきした。幸い乾いていると靴底の摩擦がかなり利くので、フットホールドが多少のっぺらとしていても足をぺったりと置くことによって思いのほか安定して立てたのが救いであった。
夢中になって展望岩まで降りてくると雪はいつの間にか止み、晴れようとしていた。もう一息鎖場を下り、かつて割れヘルメットを被っていた標識を通過した。以前座禅岩(筆者勝手に命名)に登ったときと同様、巨岩が転がる谷は明るかった。今日はその谷は詰めない。普通に健脚コースの杉林を根気よく下り、葉が落ちてスカスカになった緑のトンネルを抜けると、茶畑に飛び出した。登山は無事終了した。膝の痛みは出なかった。これならば短い距離のハイキングくらいからじっくりと体作りができそうだ。ありがたい。奥久慈男体山を振り返って、痛みなく下山できたことに感謝するとともに、今年の精進を誓って手を合わせた。
古分屋敷からの林道の下山中、すっかり快晴に戻って午後の日を一杯に浴びた奥久慈岩稜、p460、入道岩、鷹取岩にしばし見とれた後、西金駅まで快調に歩いた。
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