10歳児とゆく予想以上にハード&絶景の小川山【山梨百名山】
- GPS
- 08:13
- 距離
- 12.3km
- 登り
- 1,140m
- 下り
- 1,140m
コースタイム
- 山行
- 6:53
- 休憩
- 1:17
- 合計
- 8:10
天候 | 晴れのちくもり |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2024年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
※コースタイムの目安が小川山分岐まで(瑞牆山との共用ルート)と、そこから小川山山頂までとで相当違う。1.0のコースタイムを出すにはそれなりの経験が必要、自信のない方は1.2で計算して予定を組むのが無難です 瑞牆山荘~小川山分岐:人気山ゆえの行き届いた整備 小川山分岐~八丁平:道は明瞭だがやや幅が狭い 八丁平~小川山山頂:ほどよくピンテがあり気をつけていれば問題なし |
その他周辺情報 | 増富の湯はまだ休業中 |
写真
感想
このところ妻が「あまりにもハードな山はちょっと」と言うようになった。去年、気軽にチャレンジした1泊しての飛龍山行が結果的に富士山御殿場ルートをも凌ぐ距離・高低差だったことですっかり懲りてしまったのかもしれない。そいつは申し訳ない。
なので最近は「大きな山だけれど登山道はそうでもない」ところによく登っていた。それぞれに面白い山だったけれど、息子は密かに「もっと登りごたえのある山に行きたい」と思っていたようだ。
さて土曜日。妻は出勤日で不在。こうなったら、行くしかない。ギリギリ日帰りできる未踏の山梨百名山、小川山へ!
小川山へのアプローチは、山梨・瑞牆山荘から、または長野・川上村から。後者のほうがやや楽らしいけれど、東京から車で3時間半ぐらいかかってしまう。少しでも早く登り始めたいので、瑞牆山荘から登ることにした。
ねむたい息子を6時過ぎに車につめこんで東京を出発、須玉インターで降りてコンビニで食料などを補給し瑞牆山荘横の県営駐車場に9時過ぎに到着。息子は珍しく車中で寝ることに成功したので元気である。
息子と瑞牆山に登ったのが、ほぼ2年前。前はバッタ取りしたね、と息子が言う。そう、あのとき君はみずがき自然公園に到着した瞬間からバッタとトンボを取り始めて出発が10時を過ぎてしまったのだ。今回は幸いにも草原がないので9時半前にスタートできた。
駐車場からすぐのところに登山口。最初はほぼ傾斜のない林のようなところ、しかしほどなく急登が始まる。元気な息子さんはガンガン進んでいくが、すぐに「暑い!!」 すぐに立ち止まってはお茶を飲み、うちわであおぐ。急冷スプレーをかけてなんとか進む。瑞牆山に登るハイカーさんが多く、休んでいるとどんどん追い越されていく。団体さんのうしろについてしまわないようにハッパをかける。
尾根にあがると、瑞牆山がドーン。ベンチがあるのでひと休みする。今日は本当に、ちょっと暑い。
斜度の緩くなった道を進んで、みずがき自然公園からの道と合流してしばらく行けば、水場の入り口。ここだ、ここを楽しみにしていた。氷のように冷たい水をすくって顔を洗い、がぶりと飲む。うまーーい! 冷却タオルに含ませて息子の首に巻く。ヒャアァァァ!と叫んで楽しそう。空のペットボトルと水筒に詰めてリュックに入れる。これで今回の水分と暑さ対策は万全だ。
前回はふもとからここまで2時間を要したが、今回は45分。これなら小川山もいけるだろう。
水場からすぐ、富士見平小屋がある。よい雰囲気の、ぜひいちど泊まりたい山小屋だ。湧水でつくったかき氷からジビエソーセージまで、なんとも魅力的なメニューがある。帰りにかき氷を食べてもいいかな。とりあえずは水を飲んで出発しよう。小屋の方が「富士山ビュースポット」という案内板を取り付けていて、そこで南方を見てみると富士山が森の間から頭を出していた。
小屋を過ぎるとわずかの間急登、そしてほのかに下りのガレガレな道。あまり効率的には歩けない。前回も寄った、瑞牆山の展望台に寄ってみる。瑞牆山はやっぱりカッコいい。
瑞牆山へのルートでもあるので、ハイカーさんが多く行き交う。すれ違ったご夫婦に「すごいねー」と言ってもらって息子の鼻が高く伸びる。瑞牆山ではなく小川山です、というとかなりびっくりされた。
天鳥川に下る手前のところで、小川山への道が分岐する。こちらに来る人はほとんどいないようで、道は明瞭なもののあきらかにこれまでと雰囲気が違う。あまり踏まれていないのでトレースが細い。それまで常に視界にいたハイカーさんたちがまるで存在しない。少々心細い。
分岐直後につづら折りで少し高度を上げてから、ごくゆるい登りが続く。ガケ下にあった沢が近づいてきて、顔を洗えるくらいそばに来た。水でしばし涼んでいたところ、後ろから男性がやってきた。あついですねー、なとど言葉を交わしたけれど、正直ほっとした。水場をゆずったあと、あいさつをしてこの方は進んでいったが、あっという間に視界から消えた。やはりこのルートを登るのは、山登りの上級者がほとんどなのだろう。
八丁平に近づくにつれて、道はほとんど平らになった。しかし道に水が流れ込んでいてねっちりしたドロになっている。これを避けるようにトレースがついているが、ひとつひとつ視認して進まねばならない。
やがて腰ぐらいの高さのマツが道の両側を埋めるようになってきて、八丁平に到着。
富士見平からここまで、きつい登りなどほとんどなかった。それなのにけっこうキツかった、それは足場があまりよくないからだろうか。ここでしっかり栄養をとっておこう、ということで息子とビスケットをもりもりといただいた。道しるべには「小川山 3時間」。えっここから3時間!?
八丁平からは、これこそ山登りという感じの斜度の登りになった。岩をのぼったり、避けたりして高度を上げる。時計の針が12時を回り、正確無比な腹時計をもつ息子の動きが止まってしまった。頂上で食べる予定だったおにぎりを食べさせる。
このきつめの坂を登りきったところに、いかにも「登ってね」的な岩があった。ならばと登ってまみると、絶景! 真横から見る青空の中の瑞牆山、これはちょっと予想していなかった。逆サイドは金峰山、五丈岩がよく見える。小川山は眺望がないというけれど、ここは小川山を目指さないと来られないわけだから実質これが小川山の眺望だ。
この岩のあと、道はゆるやかになった。木の道しるべが地べたに置かれていて、その反対側から道がのびている。これがおそらく、瑞牆山東尾根の道。しかし倒木ではっきりとふさいである。瑞牆山側にはずいぶん古びた「小川山」という道しるべがあったけれど、ルートとしては登録されていない。ヤマレコマップではトレースのオレンジが濃くついているからここを歩く人がそれなりにいるのだろうけれど、整備はされていないから自己責任で、ということだろうか。
道はほとんど平坦、そのあとゆるやかにくだる。さきほど我々を追い越していった方がもうおりてきた。さすがに速い! この先にあとひとつ絶景ポイントがあるよ、と教えていただいた。
果たして、ゆるいくだりのあと、少しピシッとした登り。そしてそこにまた岩があり、登ったところからはこの日最大の絶景が見えた。さっきの方が「両神山もばっちり見えるよ!」と言っていたけれど、どれだかわからない。ただ確かに、金峰山と国師ヶ岳、そこから北の方がよく見えていた。
うっすらとした登りが続く。これがまた、疲れてきた足にはキツい。歩き続けて、シオサブというポイントをやっと通過。あとから他の方のレビューを見て知ったのだけれど、ヤブをかきわけた向こうにまた絶景ポイントがあるらしい。でもこの時はまったく気づいておらず、また知っていても余裕はなかった。シオサブから道がくだる、次の登りに備えなければ。
最後の登り、これは緩い坂が続くというものだった。これだけ歩いてきたあとに、これは足にこたえる。自分はもちろん、息子でもきついという。何度も止まって、がんばって進む。川上村・廻り目平からの道と合流したら、あとはもうすぐ。シャクナゲらしき木の間を抜けて広場に出た、ついに到着! 小川山に! 登ったよ!
山梨百名山の山頂標があるところはハエがちょっと多かった。Google mapsの小川山のレビューに「眺望ないっていうけど西に数メートル行ったら岩があってそこからは眺望がある」的なことが書いてあったけれど、ちょっと木々が成長しすぎていて金峰山の五丈岩がちょろっと見える感じだった。それでも、ないよりはずっといい。ただここの岩もハエがちょっと多かった。
山頂の広場より少し奥に座り、汲んできた富士見平の水をガブ飲み。そしてお湯を沸かしカップ麺を作る。そのあいだ、冷やしキュウリとトマトをいただく。高度2400mとあってふもとの暑さは嘘のよう、かなり涼しい。汗でぬれた服が冷たい。カップ麺の熱さがありがたかった。
時間は午後2時、実に5時間近く登り続けたのだった。高低差と斜度からは難しい山には思えなかったが、なかなかきつい。コースタイムは瑞牆山との分岐以降かなりタイトに設定されているようで、我々は着実に進んできたつもりだったが1.2ぐらいのレート。小川山コースにきて3名の方とすれ違ったが、どなたも経験豊富そうな雰囲気。上級者の修行に使われる山なのかもしれない。
さて、降りよう。2時半下山開始と思っていたが10分ほど押した、心持ち急ぎ目にいこう。
川上村への分岐、シオサブ、緩やかなくだりなので快調に進む。ふいに見晴らしのいいところに出たので息子に「あれ、こんなところあったっけ?」と言うと「ふつうにビックリするわ(笑)」と言われた。そうか、ここは見晴らしのいい岩2、だ。
息子が足元を見てワーと声をあげる。登山道にある石が少しくずれて、そこに水晶が覗いていた。尖り頭の結晶がキラキラして美しい。あとで調べたら、小川山は水晶の産地だという。
見晴らしのいい岩1を過ぎると岩だらけの急坂、たんたんとおりていく。八丁平を過ぎてぬかるんだ道を抜け、草原へ。よく見ると火をおこしたような跡がある。それはあまりよくないのではないか。
瑞牆山からの道と合流すると、緊張が一気にとけた。ここまで来たらかなり安心。ガレガレの道、小屋手前の登り返しが疲れた足にキツいけど、一瞬で通り抜けて富士見平小屋に到着。ほーーっとした。かき氷を食べるか、と息子に聞くと、ちょっと遅いから次回にしようという。持ってきたジュースを提供する。
水場で妻へのお土産として水をたっぷり汲み、ラストのくだりへ。小川山への道を考えると、なんてきれいに整備されているのか、と心底安心した。瑞牆山は雲をかぶって本日の営業は終了です、みたいになってた。
富士見平小屋で休んでいたハイカーさんたちも降りはじめていて、我々はもう孤独ではなかった。小屋からは20分足らずでふもとに到着、おつかれさまでした!
時間は17:30、増富の湯も休業中だし、急いで東京に戻ることに。土曜日だったのでさほどの渋滞もなく帰りつくことができた。
小川山。それなりにハードなのに山頂の眺望がないことで人気はイマイチな山だけれど、美しい沢や草原、平らな林や岩登りもあってバラエティ豊かで楽しい。見事な眺望のあるスポットもきちんとあるので、とても楽しい山だったと思う。
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する