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記録ID: 7266983
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沢登り
京都・北摂

【京都北山】天童山の「障子岩」と「牛ヶ滝(牛滝)」

2024年09月22日(日) [日帰り]
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GPS
--:--
距離
4.2km
登り
422m
下り
424m

コースタイム

日帰り
山行
4:00
休憩
0:00
合計
4:00
10:00
30
駐車地
10:30
80
牛ヶ滝
11:50
40
障子岩
12:30
50
13:20
40
14:00
駐車地
天候
過去天気図(気象庁) 2024年09月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
西ノ谷川沿いの林道は舗装されており普通の乗用車でも走行可能。茶呑峠に向かう林道と牛ヶ滝林道に分かれる地点の手前に2台分ほどの駐車スペースあり。
コース状況/
危険箇所等
【牛ヶ滝(牛滝とも)】
・ 現地には案内板やマーキングなどは一切なく,やや分かりにくい位置にあるので,詳しい滝の位置については写真欄1枚目の地図を参照。いも谷の出合すぐにあるのが牛ヶ滝。牛滝谷にも小さな3m滝があるが,こちらはあくまで無名の滝で,牛ヶ滝ではないようだ。「山と高原地図」には牛滝谷のほうに「牛滝」と記載された滝マークがあり,これを信じてしまうと上述の3m滝のほうを牛ヶ滝と勘違いする可能性が高いので,注意が必要。林道で近くまで行けるので,行くこと自体は難しくない。
・ ネット上では3段ほどの滝として紹介されていることがほどんどだが,今回,左岸を巻き上がりつつ詳しく観察したところ,実際は5段(1m,7m,1m,5m,1mの計5段)あり,全体の高さは15mほどだった。この滝の特質は,高さと言うよりも滝場を構成する深いゴルジュ地形の見事さ。特に4段目の滝のエグレっぷりはなかなかの見物。核心部は下からは見えないので,可能な限り巻き上がって観察してほしい。ただし,岩場混じりの急斜面なので注意。

【障子岩】
・ 2万5千分の1地形図において,天童山の南側(牛滝谷の源頭付近)に「障子岩」という名前付きで描かれている岩記号。ネット上や手持ちの書籍では記録が見当たらないので今回訪問してみたが,正体は高さ10mほどの枯滝。両岸の岩壁の高さは最大30mほどあるものの,想像していたより規模は小さくあまり見栄えのしない岩場で,少々期待外れだった。右岸から巻けるが,急斜面なので注意。(なお,牛滝谷沿いにはとくに登山道があるわけではないので,念のため。)
牛ヶ滝と障子岩の位置図(クリックで拡大できます)
牛ヶ滝と障子岩の位置図(クリックで拡大できます)
西ノ谷川沿いの林道が茶呑峠に向かう林道と牛ヶ滝林道に分かれる地点に立っている京都一周トレイルの標識。点線路で「牛ヶ滝」の記載あり(道中で見かけた牛ヶ滝に関する案内はこれだけ)
西ノ谷川沿いの林道が茶呑峠に向かう林道と牛ヶ滝林道に分かれる地点に立っている京都一周トレイルの標識。点線路で「牛ヶ滝」の記載あり(道中で見かけた牛ヶ滝に関する案内はこれだけ)
早速ですが,これが牛ヶ滝。写っているのは1段目(1mくらい)と2段目(7mくらい)で,このアングルでのショットは(数は少ないものの)他サイトでもよく紹介されている。
早速ですが,これが牛ヶ滝。写っているのは1段目(1mくらい)と2段目(7mくらい)で,このアングルでのショットは(数は少ないものの)他サイトでもよく紹介されている。
2段目。これだけでも十分端正で美しいが,上にもまだ滝が続いていそうな気配がある。左岸を巻き上がることに。
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2段目。これだけでも十分端正で美しいが,上にもまだ滝が続いていそうな気配がある。左岸を巻き上がることに。
左岸を巻き上がっていくが,岩場が発達しており,なかなかの急斜面が続く。
左岸を巻き上がっていくが,岩場が発達しており,なかなかの急斜面が続く。
2段目の上には3段目(1mくらい)があり,その落ち口から下を見下ろす。
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2段目の上には3段目(1mくらい)があり,その落ち口から下を見下ろす。
そして振り返って先を見ると…うおっ! なんじゃこの凄まじいゴルジュは!
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そして振り返って先を見ると…うおっ! なんじゃこの凄まじいゴルジュは!
側壁を慎重にクライムダウンしてゴルジュの中に降り立ち,奥へと進むと,そこにはやはり4段目の滝が隠れていた。高さは5mほどか。
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側壁を慎重にクライムダウンしてゴルジュの中に降り立ち,奥へと進むと,そこにはやはり4段目の滝が隠れていた。高さは5mほどか。
しかし,この滝場の特異な点は高さなどではない。滝場を構成するゴルジュ地形の,凄まじい,と形容したくなるほどのエグレっぷりだ。まるで逆さまに立てた巻貝の底から,空を見上げているような感覚。台高・絵馬小屋谷の五ヶ所滝ゴルジュのミニチュア版のようだ。
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しかし,この滝場の特異な点は高さなどではない。滝場を構成するゴルジュ地形の,凄まじい,と形容したくなるほどのエグレっぷりだ。まるで逆さまに立てた巻貝の底から,空を見上げているような感覚。台高・絵馬小屋谷の五ヶ所滝ゴルジュのミニチュア版のようだ。
4段目をやはり左岸から巻き上がると,その先にもまだ掘り込みの深い廊下が続いていた。予想以上に長い滝場とゴルジュだ。写真の一番上に写っているのが,最上段の5段目の1mほどの滝。
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4段目をやはり左岸から巻き上がると,その先にもまだ掘り込みの深い廊下が続いていた。予想以上に長い滝場とゴルジュだ。写真の一番上に写っているのが,最上段の5段目の1mほどの滝。
最上段の1m滝の上に降り立ち,牛ヶ滝ゴルジュを振り返る。このエグレっぷり,お分かりいただけるだろうか。まさか京都北山にこんな地形があるなんて…。〆て5段15mほどの滝場であることが判明した。
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最上段の1m滝の上に降り立ち,牛ヶ滝ゴルジュを振り返る。このエグレっぷり,お分かりいただけるだろうか。まさか京都北山にこんな地形があるなんて…。〆て5段15mほどの滝場であることが判明した。
その先も右岸側に妙に圧迫感のある壁がそびえる谷が続くが…
その先も右岸側に妙に圧迫感のある壁がそびえる谷が続くが…
この3mほどの小滝を最後に,滝場は終わる。
この3mほどの小滝を最後に,滝場は終わる。
そのあとは右岸側に林道なんかも降りてきて,平凡な谷であることを確認。ここで引き返すことに。
そのあとは右岸側に林道なんかも降りてきて,平凡な谷であることを確認。ここで引き返すことに。
ちなみに,これは牛滝谷のほうにある3m滝。「山と高原地図」の「牛滝」の滝記号を頼りに来ると,こちらの滝を牛ヶ滝と勘違いする可能性があるので注意。
ちなみに,これは牛滝谷のほうにある3m滝。「山と高原地図」の「牛滝」の滝記号を頼りに来ると,こちらの滝を牛ヶ滝と勘違いする可能性があるので注意。
さて,本日の本命の障子岩を見るため,今度は牛滝谷を登っていく。だが,倒木の多い荒れた谷が続き,水も早々に切れて,正直モチベーションがだいぶ削がれる。
さて,本日の本命の障子岩を見るため,今度は牛滝谷を登っていく。だが,倒木の多い荒れた谷が続き,水も早々に切れて,正直モチベーションがだいぶ削がれる。
そして目の前に,ボロい感じの10mほどの枯滝が…。え,まさかこれが障子岩?(雨のせいでレンズが濡れて,見にくい写真ですみません)
そして目の前に,ボロい感じの10mほどの枯滝が…。え,まさかこれが障子岩?(雨のせいでレンズが濡れて,見にくい写真ですみません)
うん,地形図的に場所は合ってるし,どうやらこれが障子岩のようだ。特に左岸側の岩場は30mくらいあって結構高いが,思っていたよりだいぶ規模が小さい。どうしてこのあまりパッとしない岩場に,「障子岩」なんて名前が付いているのだろう。何かの謂れがあるんだろうか…
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うん,地形図的に場所は合ってるし,どうやらこれが障子岩のようだ。特に左岸側の岩場は30mくらいあって結構高いが,思っていたよりだいぶ規模が小さい。どうしてこのあまりパッとしない岩場に,「障子岩」なんて名前が付いているのだろう。何かの謂れがあるんだろうか…
帰路は天童山から茶呑峠経由。写真は茶呑峠のお地蔵さん。ところで,このお地蔵さん,「京都周辺の山々」(昭和41年刊)では「首無地蔵」と書かれており,「北山の峠」(昭和54年刊)では「行くたびに首があったりなかったりする,不思議なお地蔵様」と紹介されている。なにそれこわい
帰路は天童山から茶呑峠経由。写真は茶呑峠のお地蔵さん。ところで,このお地蔵さん,「京都周辺の山々」(昭和41年刊)では「首無地蔵」と書かれており,「北山の峠」(昭和54年刊)では「行くたびに首があったりなかったりする,不思議なお地蔵様」と紹介されている。なにそれこわい
「右 山国ゆげ 左 下村しうざん」
いいねぇ,北山っぽい
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「右 山国ゆげ 左 下村しうざん」
いいねぇ,北山っぽい
駐車地の近くにも,ちょっと分かりにくいですがお地蔵さんありました。古い街道の香り。きっと今日見てきた牛ヶ滝や障子岩にも,古くからの謂れや伝説があるのでしょう。
駐車地の近くにも,ちょっと分かりにくいですがお地蔵さんありました。古い街道の香り。きっと今日見てきた牛ヶ滝や障子岩にも,古くからの謂れや伝説があるのでしょう。

装備

備考 ・ 足元はフェルトソール沢足袋を使用したが,正直,水量が少ないので普通の登山靴でも歩けると思う。
・ ロープは携行したが使用場面なし。ただ,牛ヶ滝は岩場が発達しており,2段目より上部の滝壺に降りる場合はロープがあったほうが安全(ノーロープでのクライムダウンも一応可能)。

感想

 台風からランクダウンした低気圧の接近でどこも天気が悪そうなので,近場の京都北山めぐり。地形図を眺めていて気になった天童山の南側に記載されている「障子岩」と,そのついでに大森の里のさらに奥,西ノ谷川の源流にあるという牛ヶ滝も見に行くことにした。
 本命はあくまで正体不明の障子岩で,牛ヶ滝はついでのつもりだったのだが,結局インパクトが大きかったのは牛ヶ滝のほうだった。ネット上の情報では3段くらいの滝ということで,なるほどふんふんという感じで見に行ったのだが,いざ現地に来てみると滝上に続く岩場のただならぬ雰囲気に怪しさを感じ,岩場を巻き上がってつぶさに観察すると,実際は全部で5段まであり,しかもなかなかのミニゴルジュ付きだった。特に4段目の滝(ゴルジュ内に隠れているので下からは見えない)のエグレっぷりが物凄く,まるで巻貝の内側に入り込んだようだった。小粒とはいえ,まさか京都北山にこれほどの造形のゴルジュ物件がまだあったとは…。
 そして本命の障子岩はどうだったかというと,こちらは残念ながらやや期待外れでした。2万5千分の1地形図にわざわざ名前付きで記載されているにもかかわらず,ネットや手持ちの書籍では記録や関連記載を見つけることができず(見落としがあったらごめんなさい),かなり期待していたのだが,実際は山中によくある感じの,ボロい枯滝に過ぎなかった。しかし,「障子岩」という名前が付いているからには,何らかの謂れがあるに違いないと思う。周辺には霧谷不動や岩屋不動もあるし,石仏も多いので,北山修験の古い行場だったのでは,なんて想像したりするのだが,どうなんでしょう。牛ヶ滝だって何となく気になる滝名,その上あの特異な地形である。きっと何かしらの伝説があるに違いない。天童山周辺は鳴の堂や茶呑峠など京都北山の古い歴史の息づきを感じる山域,他にもこんな気になるスポットがありました。

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