鈴鹿 藤原西尾根〜善右ェ門谷
![情報量の目安: B](https://yamareco.info/themes/bootstrap3/img/detail_level_B2.png)
![都道府県](/modules/yamainfo/images/icon_japan.png)
- GPS
- 10:24
- 距離
- 13.2km
- 登り
- 1,566m
- 下り
- 1,562m
コースタイム
- 山行
- 9:07
- 休憩
- 0:59
- 合計
- 10:06
今日は藤原岳へ行こう。
目的は山上の秋のお花畑。テンニンソウやカワチブシがそろそろ咲きそろう頃。
涼しくなって、日中の行動にも余裕が出てきた。
お花畑だけでは物足りないので、もう少し、足を延ばしてみようか。
過去天気図(気象庁) | 2010年09月の天気図 |
---|---|
アクセス |
感想
23時の西藤原駅・・・
南の夜空に丸い月が浮かんでいるが、山から流れる雲の波に洗われがち。
その月明かりを頼りにして、僕は大貝戸道の登山口へと歩いていく。
「ドッ、ドッ、ドー」
何かが僕の行く手を走り抜ける。
鹿だ。
人の気配に驚いたのか、鳴き声も立てずに走り去る。
鹿は山の生き物だと思っていたが、ずいぶん人里へと降りてくるようになったものだ。
*****************
今回も早朝登山。前夜のうちに登山口に泊り込み。
暗い中でも歩けるように、強力ライトも持っては来たが、やっぱり目が覚めたのは空が白みはじめてから。
朝飯も取らず歩き始めたのは6時過ぎ。
神武神社にお参りしてから出発だ。
一時間のほどの歩行で、雑木林に囲まれた四合目にたどり着く。
ここは大貝戸道の中でも一番のお気に入りの場所。疲れて無くても一息入れたくなる。
朝飯抜きで歩き出したから、グーグーお腹が鳴り出している。
ここで朝ごはんにするとしますか。
標識の下に座り、昨夜握ったおにぎりをひとつ頬張ります。
更に一時間後、八合目に到着。まずは標識の前の石に座り、疲労回復と栄養補給。
さて、ここで少しだけ山頂部が見えるのだが・・・
見上げる山上には厚い雲。
・・・・・・涼しくていいかな。
ついでに八合目の池を見に行く。おたまじゃくしはいなくなり、半分ヌタ場と化していました。
八合目からの道の脇にはキク科のシロヨメナがいっぱい咲いている。
おっ、栗のイガが落ちている。青いけど実が入っているのもあるぞ。
若い皮は手でも剥ける。中の実を口に入れてみた。
しぶっ!
渋皮がまだついていたみたい。爪先でこすって落とし、もう一度味わってみる。
フムン、ちょっとナッツのような風味だ。
登山口をでて三時間、藤原山荘にようやく着いた。もちろん周りには誰もいない。
荷物を広場のベンチに残し、ガスの流れる山上台地を散策。
まずは小屋の裏手の丘の上へ。
シロヨメナは大胆に、カワチブシはしとやかに、白と紫の縞模様を描きながら、お花畑を作っている。
更に丘を登れば、テンニンソウの大群落。程よく白い花を咲かせてます。
アケボノソウは少なくなった。岩陰から僅かに顔を覗かせてます。
山荘に戻り、荷物を担ぎなおす。次は展望丘だ。
展望丘から見る竜ヶ岳。山頂はのどかな笹原が広がっている。
しかし、どこの谷だか判らないが、酷いがけ崩れの跡もみえる。
御池岳は相変わらずどっしりと佇んでいる。時間が出来ればまた行きたいな。
展望丘の往復だけでは芸が無い。時間もあるし、今日は涼しい。このまま西尾根を下ってみよう。
薮をかき分け、急な斜面を気に掴まりながら下って行けば、僅かな踏み跡のある雑木林の中。
テクテクと茶屋川へと下っていくが・・・
鹿が食べた跡だろう。木の幹の皮が一回り、丸々かじり取られている。
それも一本だけでなく、何本も。
そういえば・・・・・・
八合目で座った石の脇に生えていたスゲも、山頂で見たアケボノソウも、みんな齧られた跡があった。
山上を彩るシロヨメナやカワチブシは鹿は食べないのだろう。
だとすれば、あの目に美しく映るあの景観も、結局、鹿が作り上げた物かもしれない。
そう考えると少々複雑な気持ちになる。
鈴鹿の山は、この先どうなっていくのかなあ・・・
炭焼ガマ跡の残る、850m平坦地から、蛇谷方面と善右ェ門谷方面に尾根が分かれている。
僕は善右ェ門谷に向かい、茶屋川との出合の少し手前で、善右ェ門谷に降りた。
出合には大きなトチノキが生えている。
ここから茶屋川を少し遡れば、三筋滝にぶつかる。
ちょっと見物しに行こうか。
茶屋川へ向かうも、こちらは酷く荒れている。歩くの大変そうだ・・・ おや?
いのししが一頭、沢の中を歩いている。まだ気付いてないみたい。写真を撮ろうか。
あっ・・・ 目が合った。
一秒ほどの見つめ合いの後、いのししさんは180度向きを変え、上流へ向かって走ってゆく。
それを追いかけるウリ肌模様の消えかけた四頭の子いのしし。
綺麗に一列に並んで走り去る。
沢は荒れているし、いのししにまた会うのも面倒だ。
滝見物はやめにして、ここで昼休憩としておこう。
沢の水を沸かし、残ったおにぎりとカップ麺で昼ごはん。
*****************
休憩の後は、善右ェ門谷を遡って山荘へと戻ることに。
この谷も茶屋川に劣らず、土砂が溢れている。
少し上ると水を汲んだ流れも、土砂の中に消えてしまった。
谷にはトチノキケヤキなど大木が多いが、あちこちで木が倒れ、残っている木も、土砂にもまれて苦しそう。
「さざれ石?」の大岩も多く転がっている。
やがて沢の分岐点に。
左の沢は天狗岩方面。土砂はこちらから流れてきた模様。
大量の土砂で溢れている。
対して右の展望丘方面に向かう沢は、穏やかなもの。
消えていた水流もここで復活している。
もちろん僕は右の沢へと進みます。
時々現れる鹿やシマリスを眺めながら、沢芯を登ってゆく。
ずいぶん水量も減ってきた。そこへ高さ2mほどの小さな滝が現れる。
う〜ん、これなら登山靴でも直登で着そう。
慎重に足場を探して、手がかり探して・・・
よっ・・・よっ・・・ほっ・・・!
抜けたー!
これより上に水は無くなる。
岩がゴロゴロする急坂をひたすら上へ。
途中酷く獣臭いところがあった。もしかしてカモシカのねぐら??
もう一息、もう一息と登ってゆくと、急に傾斜は緩やかになり、穏やかな緑のトンネルに。
やがて、草原の中に飛出した。
登山道はどこ? 今歩いているところは、人の踏み跡かただの獣道か?
なんとも判然としないが、右手には展望丘が見える。
このまままっすぐ進めば、そのうち登山道にぶつかるはずだ。
木立を抜け、小さな池を見やると、やがて山荘に程近い登山道にでた。
*****************
朝と同じく、山荘には誰もいない。
ふー、疲れた。広場のベンチに横になる。厳しい日差しはないし、風も穏やか。
目を瞑っていたら、いつの間にか眠っていた。
30分ほどで目を覚ましたが、その間も誰も来なかったようだ。
下りは聖宝寺道を使うも、やはり誰ともすれ違わない。
いのししにシマリス、オフシーズンは野生動物の楽園か。
それにつけても・・・、鹿の多さには驚かされる。(おしまい)
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する