中央アルプス 越百山
- GPS
- 12:22
- 距離
- 18.3km
- 登り
- 1,910m
- 下り
- 1,906m
コースタイム
- 山行
- 6:43
- 休憩
- 1:20
- 合計
- 8:03
- 山行
- 3:47
- 休憩
- 0:28
- 合計
- 4:15
天候 | 晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2024年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
この3連休は、昨年途中で断念した南ア深南部のリベンジをしようと思ったが、土曜日が土砂降りの予報だったので断念。
転進先に選んだのは中央アルプスの越百山。「コスモ」と読むらしい。何気に初の中央アルプス来訪である。
伊奈川ダム手前の駐車スペースに降り立つとひんやりした空気が肌を通り過ぎ、頭上を覆う樹木も秋を感じる装いだ。紅葉狩りをしながら黙々と林道を進み、福トチ沢の出合から登山道に入る。
つづら折りの急登をいなして越百山からの尾根に乗る。登っていくにつれて、周りは赤と黄の衣装を羽織った広葉樹の森から、しっとりとしたシラビソの森へと変化していく。夏場ならひたすら続く登りに大汗を滴らせながら辟易しそうな感じだが、この季節は特に気にしなくても視界に色とりどりの景色が広がるものだから、退屈せずに登ることができるのが良いものだ。秋晴れの青空が遠くの景色をよく映えさせる。証明写真の背景みたいな青空を背に、木曽駒ヶ岳、八ヶ岳連峰などが存在感を際立たせる。秋を眺めながら標高を上げていく。
たどり着いた越百小屋は山あいのコルに立つこじんまりした小屋だった。小屋からは越百山と仙涯嶺がよく見える。荷物をデポして山頂へ。
越百山の山頂に降り立つと、初めて南アルプス方面の視界が開ける。伊那谷を経て南北に連なる南アルプスを一気に視界に収めることができる極上の展望台だ。「あれが北岳」「あれが塩見」「あれが悪沢」と化物語みたいなことをした。しばし体育座りで景色を眺めてのんびりして、記念写真を撮って下山を開始する。
「今日中に下山できるのでは?」と軽口を叩いていたが、余裕でヘッデン下山確定コースなので、ここはのんびり越百小屋の冬季小屋に泊まることにした。夕食は豆乳坦々鍋。僕はグツグツ煮立つ鍋を眺めながら、豆腐とニラを切っただけである(すみません)。小屋の前からの星空はおそらく今年一の眺めだったろう。調子に乗って「あれがデネブ、アルタイル、ベガ 君は指さす夏の大三角」をやってみた。もう晩秋なのだが。
およそ10時間ぐっすり寝て下山を開始。下山中に携帯の電波が入って、横浜ベイスターズが日本一になっていた。ヒイヒイ言いながら登った道も下りるのは速い。他愛のない会話をしながら歩みを進め、気がつけば林道を歩ききって駐車スペースに着いていた。次は南駒ヶ岳か、空木岳か、とりあえず「コスモサーキット」をやってみよう。
下山後は温泉に入った後、カツ丼を食べ、木曽福島の街並みを観光して帰宅。江戸時代にタイムスリップしたような宿場町を散歩して、秋の風が心地よい穏やかな午後を満喫した。次は街歩きを目的で泊まりに来る、そういう旅も良い。
初の中央アルプスは、素晴らしい好天に恵まれ、パーティーメンバーのサポートもあって想像以上のプレゼントとなった。でも、来年こそ深南部へ行こう。「不完全燃焼」は嫌いなのだ。それと、寸又峡温泉に入りたいのである。
この連休は、昨年のリベンジで南ア深南部縦走を計画していたが、土曜の悪天候で敢えなく転進することに。
転進先は中央アルプス。中央アルプス自体、アクセスが悪いのもあって夏と冬の木曽駒ヶ岳しか登ったことがなく、実はかなり楽しみにしていた。
登山自体久々なメンバーもいたため、大事をとって越百山のピストンに決定。
【1日目】
前日夜に木曽福島に集合し、早朝に登山口に向かった。
車で行けるのは伊南川ダム手前のゲートまで。ゲートから登山口まではだらだらとした緩い登りが続くため、ここぞとばかりに先頭メンバーが巻いてゆく。
登山道は登りやすく、ペースもゆったりめだったので、1日の獲得標高差1800m近くあるとは思えないほど短く感じた。久々に会うメンバーとの会話に花が咲いたのも大きい。
天候は正に台風一過とでも言うように、色づく広葉樹や、深い緑の間から燦々と差し込む光が神々しい。角度によっては後光が差しているかのように見える。登っていると次第に体は温まり、前をゆくメンバーの身体から立ち上る湯気に晩秋の冷え込みを感じた。
地道に歩を進めてゆくと、青く澄み切った空の下に鎮座する御嶽山がお目見え。
辿り着いた越百小屋からは、白く輝く荒々しい岩肌をあらわにした空木岳が臨め気分が昂る。小屋前にテントの入ったザックをデポし、必要なものだけを持って山頂をアタック。
小屋からは若干下るものの、そこまで登ることなく山頂に到着。山頂からは西に御嶽山、東に南アの稜線が広がり、遮るものなく見渡す景色が疲れも吹き飛ばしてゆく。こうして見ると夏は北岳から塩見までよく歩いたものだ。隣には南アほぼ全山縦走したメンバーもいるので、思い入れもひとしおだろう。しばし腰を下ろし歓談したあと小屋まで下る。
越百小屋(冬季小屋)には先客がいたがちょうど4人分ねじ込ませていただけそうだったので、テントは広げず入らせてもらう。テントの結露が著しいこの時期はありがたい。
小屋内には過去ここを訪れた登山者たちが残したノートが置かれており、その字体を見ては好き勝手に性格を想像しながら推論を繰り広げていた。書いた人からしたらたまったものではないだろう。
具沢山の豆乳坦々鍋を囲んだ後小屋を出ると、満点の星が降り注いでいた。今年は天気に恵まれ幾度となく星空は眺めてきたが、ここまで鮮明な天の川はそう多く拝めるものではない。流れ星も目に焼き付け、充実感と共にシュラフに入るとまだ19時だった。
【2日目】
前日の寝不足もあって1度深夜に目を覚ましたただけで爆睡し、寝覚めの良い朝を迎える。
時間に余裕はあるため、ゆっくりと準備し下山。下山は皆心の余裕があるためか、登りよりも紅葉がよく視界に入る。普段は長く感じる下山も、4人いれば会話も弾みゲートまではあっという間。
下山後は、朝から温泉温泉と言い続けて待ちに待った温泉を堪能。見かけによらず可愛らしいご主人のいるお店でお昼をいただき、木曽福島の宿場町を観光までして非常に余裕のある休日を過ごすことができた。
そう頻繁には会えない後輩とも登れ、中央アルプスの魅力を再確認できた良い山行だったと思う。
今回の山行は、昨年度のリベンジ(南ア深南部)という位置づけだった。リベンジといっても、そもそも自分は目の手術と被って行けてすらおらず、悲願の南ア深南部といったところであったが、生憎の天候不順で再びお預けとなった。
転進先は、3年前の夏に木曽駒~空木を縦走したぶりの中央アルプス。当時は知識も経験もなく、這う這うの体で下山したなぁ。。と思い出す。当時から少しは成長したと思いたい。
逸る気持ちを抑えながら新幹線と特急を乗り継ぎ、木曽福島に到着。先輩と後輩が乗った車に拾って頂き登山口へと向かった。
今回登った越百山は1日の獲得標高1,700mと登り応えがあったが、予報に反して快晴であり、また美しい紅葉に見惚れながら気持ち良く登ることが出来た。あの気持ち良さを詩的に表現するとすれば、「秋晴れの空を吹き抜ける風が汗ばんだ肌を心地よく撫ぜ」「深緑に混じる赤や黄色の木の葉たちが艶やかに秋の訪れを教えてくれた」といったところだろうか。
山頂からは南アルプスが一望できた。あそこからあそこまで歩いたなあ!と回想に耽りながら、のんびり景色を満喫した。
夜は冬季小屋に宿泊し、豆乳坦々鍋を皆で作って食べた。調理中は他愛のないことで笑い合って、しばし学生時代にタイムスリップしたような、キラキラした時間を過ごした。その後は満点の星空を眺め、天の川や流れ星も見ることができた。この時、先輩が「あれがデネブ・アルタイル・ベガ 君は指さす夏の大三角」を地で実施する貴重な場面に立ち会ったので、「覚えて空を見」ておいた。
翌日、足取り軽く下山した後はカツ丼をかきこみ、木曽路の宿場町を観光。残存する古い街並み(関所跡や酒蔵など)が、かつて多くの人々が行き交ったであろう、江戸と近江を中継する中山道の活気を物語っていた。酒蔵で試飲して美味しかったので、「七笑」大吟醸を購入し、木曽川沿いを散歩した。
楽しい時間は一瞬で、あっという間に帰る時間になってしまった。名残惜しくて電車の時間ギリギリまでダラダラ喋ってしまったが、皆最後まで相手をしてくれて、駅の改札まで見送ってくれた。1人になると寂しかったけど、ワンゲルのメンバーには山という集合場所があるから、またすぐ会える!と自分に言い聞かせた。
というわけで、久しぶりのアルプス山行は最高の思い出と共に幕を閉じた。何より、大学卒業後関西の地元で就職して半年以上が経ち、山で語らう相手に飢えていた自分にとって、久しい先輩や後輩に会えたことが嬉しかった。
なんとも穏やかで楽しい、素敵な山行だった。とはいえ、未だ本当の意味でリベンジを果たせた訳では無い。次こそは深南部へ行きたい。
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