石尾根から鷹ノ巣山を経て鴨沢へ
- GPS
- 11:17
- 距離
- 24.7km
- 登り
- 2,052m
- 下り
- 1,844m
コースタイム
- 山行
- 6:34
- 休憩
- 1:19
- 合計
- 7:53
天候 | 曇 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
コース状況/ 危険箇所等 |
全体を通じて危険箇所や迷うところはありませんでした。紅葉は1000mから1400m辺りが盛りでした。 |
写真
感想
ツェルトと寝袋を買った。自宅のベランダで一泊、近所の裏山で一泊してからいよいよ奥多摩で試す事にした。鷹ノ巣山はわざわざ一泊するには大袈裟だが、石尾根から登るルートは長すぎてまだ完登できていない。鷹ノ巣山ならその辺の山より余程勝手が分かっているし、ツェルト泊に失敗すればいつでも立派な避難小屋に逃げ込めば良い。翌日の下りは鴨沢から水根まで、その時の体調と天候によって選ぶ事にした。
二日間の天気は曇りがちだが、予報も天気図も大きく崩れる心配は無いようだ。麓の風速も1-2mで、初陣にはもってこいだ。紅葉が色づき始めた奥多摩駅を出て交番の前を通った時、登山届を出し忘れた事に気づき、駅に戻った。
準備運動をさぼった代わりにかなりのスローペースで登り始める。尾根に辿り着いて暫くすると、消防車のサイレンに防災無線らしいもののサイレンが続いて何度も聞こえた。南側の青梅街道のある方角からだ。
思ったより順調に足が動き、三ノ木戸山を北に巻くところまで来た。前の方から除草機らしい音が聞こえる。こんな山中で除草するはずも無いから、チェーンソーか。その時は姿は見えなかったが、狩倉山手前の急斜面で二名の作業服姿の男性が横になっていた。南側の木が何本も切り落とされていて、防火線が広がっていた。
石尾根は距離が長い分全体に傾斜が緩やかだが、ピークの前は流石にきつい。狩倉山手前が200m以上の標高差があって一番きつかった。山頂にはよく分からない布袋の仕掛けがある。東京農大のもののようだ。中を覗いても落ち葉しか入っていない。当然だ。
12時になったが空腹ではない。チョコレートを二つ齧って先に進んだ。稜線を下っていくと南側から霧が駆け上がってきた。今日は夕方の方が天気が良いらしいし、下山の事は気にしなくて良いし、ここまで予定通りに来ているので、ペースを落として進む事にした。城山をやっつけ、水根山手前の傾斜にとりかかっていると、目の前がギャアギャア煩い。ほんの20m先の草地で猿が群れている。声で数えると10匹は居たように思う。構わず進むと左右の林に逃げるが、一匹が残ってこちらをじっと見ている。間が10m程になったところで他の猿に追い立てられたのか、逃げた。箕面の猿ほどではないが、随分と人馴れしている。
水根山を超えると鷹ノ巣山が一望出来た。雲で富士山も丹沢も見えない。この辺は紅葉はあらかた終わっていて、初冬の景色だ。ナナカマドの実に慰められながら、最後の登りにかかる。いい加減足が痛いし、息が続かない。大袈裟だがいつもこういう時は「神々の山嶺」の羽生の台詞を噛み締めながら、足を止めないように踏ん張る。
登山口から6時間半、鷹ノ巣山山頂に到着した。やり切った。相変わらず霧が南斜面から登ってくるが、その合間に覗く榧の木尾根と浅間尾根の見事な紅葉をおかずにカレーパン1個とジンを少量楽しんだ。後は200m程降りるだけだ。山をやっていて良かったと思う時だが、この日はもう一度それがあった。
避難小屋まではまた急斜面でいよいよく霧が濃くなってきたが、迷うようなところでもない。到着すると既に6張程のテントがあった。ベンチで休んでいる男性に訝しげに声をかけられた。テント装備を背負っているようにも見えないし、今日下山するには遅すぎるという事だったようだ。翌日の下りでも同じように聞かれたが、荷物が小さすぎるらしい。そう言えば前日に食料も全部詰めて重さを量ったら6.6kgしかなくて寧ろ残念に思った。
ツェルトを張る場所を探す。適当な間の空いた二本の立ち木のある平地を探しているうちに、避難小屋から離れてしまった。稜線からも離れていて風も強くはないだろうし、静かそうでよいだろう。また猿が煩い。一匹だが延々鳴いている。適当に合いの手を入れながらツェルトを張り、水場で水を汲んで(ちょろちょろとだが出ていた)戻ると去っていた。
ツェルトに入って横になり、ジンを舐めながら魚肉ソーセージをかじり、石尾根の道を眺める。午後の陽射しが妙に明るいと思ったら、丁度赤指尾根に陽が落ちるところで、周囲が輝いているのだ。この時間にこの場所に居なくては見られない、見事な光景だった。初のテント泊の褒美としては充分だ。
山行は思いの外順調だったが、食事が上手くいかなかった。袋麺の「頂」の塩を持って来たのだが、最初ライターの火が続かず、何度か繰り返して安定したのでエスビットの燃料にかざすとすぐに消える。それも何度か試して漸く燃料に着火した。1550mの標高でプラスの気温で問題になるとは思えない。焦って「いざとなったらそのまま齧ってもええかな」と考えたが、なんとか湯が湧いた。そこで麺を半分に割って入れると、鍋代わりにしていたダイソーのステンレスマグカップが倒れ、湯を全て失った。朝食も含め、計三回同じ失敗をした。
なんとか食事を終えて7時半には床についた。最初は足が冷えていたが、ダウンの寝袋の効果か、懐炉も何も入れていないのに暖かくなった。朝までに3度程起きたが、1度めは暑すぎて寝袋を開き、2度めは寒くて閉めた。5時過ぎには物音で起きたが、寒さの極みだったようで、どうせ今日は降りるだけなんで、暖かくなってから降りよう、その方がいつもの駅前の飲み屋も開いている等と考えていると、7時半まで熟睡してしまった。
また苦労して袋麺(長野のポンチャンラーメン醤油、お勧め)を作って、誰も居なくなった避難小屋周辺を後にする。ぐっすり眠れて元気なので、鴨沢ルートで降りることにした。但し石尾根は通らず南側の巻き道を通った。七ツ石小屋の下辺りから標高1100m辺りまでが紅葉の盛りで、存分に楽しめた。ただ流石に土曜日の季節の人気ルートだけあって、登ってくる50人程に挨拶する事になった。矢張り赤指尾根にするべきだったかなと思いつつ、長いルートを降りた。ただ上で一泊したせいか、いつもは途中で悲鳴を上げる膝が最後まで元気だった。でももうしばらく「こんにちは」は言いたくない。
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