【厳冬期】クリスマス富士山剣ヶ峰【ソロ】
- GPS
- 18:16
- 距離
- 20.8km
- 登り
- 2,365m
- 下り
- 2,369m
コースタイム
- 山行
- 2:21
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 2:21
- 山行
- 13:03
- 休憩
- 2:40
- 合計
- 15:43
天候 | 1日目:晴れ、一時霧のち快晴 2日目:快晴、時々風 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2024年12月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
新七合目から雪が出始める。雪の辺縁部をツボ足で突破。 元祖七合目に向かう途中で雪面が道いっぱいに広がりアイゼン装着 氷はまだカチコチにはなっておらず、アイゼンの刃は余裕で通る。 部分的に透明な氷が出てくるがまだ避けて歩ける。 |
予約できる山小屋 |
八合目池田館
|
写真
装備
個人装備 |
重登山靴
ゲイター
12爪アイゼン
ハードシェル
レイン下
フリース2枚
グローブ(アンダー、毛手袋、オーバー)
ゴーグル
バラクラバ
ネックウォーマー
コンパス
ホイッスル
地形図
マップケース
ガス缶
ガスヘッド
コッヘル
ナイフ
|
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感想
一年前雪上訓練のために訪れた富士山吉田ルート八合目。
時間切れによる撤退となったが、あの瞬間確かに日本で一番高い場所に居るという感動があったのを覚えている。
春
時は流れ今年の三月。湘南の浜辺でその時の感動を語った。
いつか
日本で一番高いあの山に行きたい。
世界で一番高い場所へ、それが無理でも七大大陸最高峰へ挑戦したい。
そしていつか、いつの日にか技量が高まった暁には厳冬期富士へ挑戦したい。
肩を外し山に入れなかった期間、幾度となく言葉を交わした友人に語った。
夏
五月。キリマンジャロへの挑戦が決まる。
七月。キリマンジャロへ向けた高所トレーニングとして八月に富士山へ挑戦することを決定。
八月。富士山御殿場ルート日帰り。
何度も口にした日本で一番高い場所。想像以上に人が居たがそれでも楽しかった。
九月中旬。富士山吉田ルート日帰りソロ。
初めての単独2000m越え。不安もあったが、楽しかった。
九月下旬。キリマンジャロマチャメルート登頂成功。
部内でもリーダーとして大きく飛び上がりそして個人でも七大大陸最高峰が一角キリマンジャロを落とし自信を付けた夏となった。
秋
紅葉を見るのも違う。そんな気がして縦走バリエーションや岩場、ボルダリングに手を出し始める。
キリマンジャロという強すぎた光。その光の後に伸びる道はどうもボヤける。
山野井泰史氏の『垂直の記憶』を読む。初めて覗いた8,000mの世界。そして岩と雪と氷の織りなす世界。写真よりも何よりも言葉に心躍り、自分が目指したい世界がそこにある気がした。
冬
山へ向かう。雪上訓練として谷川。ラッセル訓練として爺ヶ岳。寒さと風とそして何よりただの山に体力を悪戯に消耗する感覚。
ヒマラヤに行きたい。世界一高い場所からの景色を見てみたい。8,000峰に挑戦したい。
そう感じる自分にはどれも楽しさこそあれ虚しいものだった。
クリスマス。また暇だ。なら、山に行こう。
そう考えて山域選定を始めた。
最初に上がったのは甲武信ヶ岳。自分がテント泊を始めた山。思い出深いし丁度いい。
次に鳳凰三山。雪山としては簡単。ただ、稜線上の雪は殆どない。面白くはないかもしれない。
もう一座知ってる。人が簡単に死ぬヤバい山。ただそこはまだ手を出すべきじゃない。
そんなことを思いつつ、想いを寄せて居た人をデートに誘ってみた。多分無理だと分かってたけど。
答えはNOだった。
天気図予報を開く。12/24~25にかけて。
冬型気圧配置が一気に緩む。
きっと呼ばれたんだ。
人が簡単に死ぬヤバい山。それでもいつかは行きたいとその人の隣で語ったことを思い出す。
行くしかない。
勢いに任せた富士山。ルートは調べた。テンバの見当も付けた。
ソロテン泊の経験は無い。ただテン泊経験は50日以上ある。行ける。
厳冬期富士。ヤバいのは知ってる。ただ、呼ばれたんだ。
友人に話し準備を進める。
そして山に入った。
少しずつ上がる高度。下がる気温。気にならない。
風も無い。雲も無い。
神は味方している。登る。ひたすら登る。
道中会ったのは2人だけ。異様な静けさ。時折下界の友人に現在地を送り、励まされながら脚を進める。
『11:30までに剣ヶ峰に着かなければ撤退する。』
自分で決めて下界の友人に伝えた行動準則と照らし合わせながらそれでも一歩一歩進む。
10:52富士宮ルート山頂到達。
荷物を小屋の近くのポールに固定し剣ヶ峰へ
11:15富士山山頂剣ヶ峰到達。
山頂部に人影はなく、自分独りで文字通り独占する日本で一番高い場所。
幸せだった。想い人に振られたことを思い出す。決して届かぬ愛を叫ぶ。
側から見れば虚しい行為も、達成感と満足感と幸福感と。全て、神に包み込まれたような気持ちに覆われる。
最高だった。
きっと僕はあの瞬間日本で一番幸せな人間だったに違いなかった。
その後新七合目で出会った中国からの留学生と共に21:45下山になるとは知る由もないが、まぁそれもまた良い経験と言えるだろう。
死ぬために選んだ山。どうにでもなれと歩みを進め、生きるために下山する。
いつか8,000峰を狙う時、またここに来る。
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