一本岳(粟ヶ岳)

コースタイム
- 山行
- 9:00
- 休憩
- 1:30
- 合計
- 10:30
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年12月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
梯子、鎖場あり |
その他周辺情報 | 入浴 美人の湯(温泉) 七谷コミュニティーセンター(非温泉 ¥100) |
写真
感想
二日の一本岳山行は、行き当たりばったりの計画で五合目で撤退となってしまった。明日はそこそこの天気予報でリベンジすることにした。さてと準備を始めて、良く考えてみると、山頂付近は面的に白いものが目立つ。雪は凍結を繰り返しているからアイゼンは必携だと思うが、どこに置いたか不明。私の物は見当たらず神さんの物を借用する。もちろん神さんには内緒。変に断って借りたりすれば、何を言われるか分かったものではない。これで完璧と思ったら、ラッセルもあるかもしれないぞ、とワカンも持参することに。夏から冬への切り替えでバタバタの出発となる。
自宅5時半出発。6時20分登山口出発。歩き出したらすぐにストックのリングが外れた。昨日、分解して点検してしっかりはめ込んだはずなのに。吉か凶か。三合目に上がると展望がひろがる。うっすらと佐渡島が見えた。えんじ色に染まる晩秋の里の風景が郷愁を誘う。道は凍り付いていて、雪も覆いだしたので五合目からアイゼンを付ける。途中の鎖場でこれ以上は開けない位の両足開脚を強いられる。これはスタンスの選択ミスと短足のためだが、田中理恵さんに対抗してエレガンス賞級のムーブでクリヤする。
粟ヶ岳ヒュッテ(砥沢のヒュッテ)から登山道は完全に雪に覆われる。ワカンの跡も有るが、踏みこまれているのでワカンは必要ない。踏みあとの無い所も締まっていてそのまま歩ける状態だ。しかし、北峰山頂までは、急坂で下山者は滑るように降りているはずなので、北峰まではアイゼン登行で登る。ほぼ360度の展望を楽しみながらの登行で気分は爽快である。飯豊連峰が別格の白銀の連なりを見せる。珍しく粟島が見えた。北峰からアイゼンを外す。足が軽くなって、フラフラするような感覚。アイゼンの負荷の大きさを実感する。
下越の山どころか米山など新潟県の山の大展望だ。磐梯山など福島県の山の展望も広がる。佐渡島、粟島、朝日連峰の伊東岳らしきものも見えた。頂稜漫歩である。しかし、これから登ろうとする一本岳は急登である。とんがり帽子の孤高の山だ。山頂へ雪の道が続いている。果たして雪質はどうか、気になるところである。
山頂には誰も居なかった。久しぶりの山頂である。鬼の角のような双耳峰は私のペンネームに借用している燧ヶ岳である。その左側の平頂は日光白根山であろう。そのまた左に続くのは那須の山々か。朝日連峰の伊東岳と思われる山や出羽富士と称される鳥海山と思われる山も見えた。守門岳の爆裂火口が眼前だ。ほんとに粟ヶ岳は良い山である。町はずれの山なのに3時間も頑張ればこれだけの大展望を楽しむことが出来るのだ。ルートも初心者向きからベテラン向きまで種々選択できる。難点と言えば、ヒルの跳梁する区域があるということと、冬山は簡単には登らせてはくれない、ということくらいであろうか。
いよいよ今日の目的一本岳へ向かう。標識が有りルート全体が見えているので入り口を間違うことはない。夏道は良く整備されているらしく広い雪道となっている。キックステップで順調な滑り出しだ。これなら楽勝だ、と思う。キックも良く効いている。しかし、雪の締まっている個所があり油断できない状況が出てきた。風の当たり方や日の当たり方で微妙に違うのであろう。灌木を掴んで下った個所もある。目の前の登りはさらに急登だ。一本岳という名は、孤峰という意味だろうが登り一本という意味も有るのかもしれない。
いきなり締まった雪面だ。斜面の向きが悪く落ちれば下までだ。迂回して灌木の中を登る。灌木を掴んで伸びあがった拍子にザックに着けていたストックのリングが抜けてしまった。ああ、要らぬ散財をしてしまった、と思う。いままで2回も藪漕ぎでストックを無くし、リングも紛失して購入したばかりなのだ。しかし、1m位下の笹藪に引っかかって事なきを得る。とりあえずリングをズボンのポケットに押し込んで登る。
一本岳へは灌木掴みの登りも想定してストックは一本使いできたが、ここから2本使いとする。ストックを逆さにして、雪面に打ち込んで登る。リングが無くなった方は、簡単に刺さるので楽である。いわばダブルアックスである。灌木に結ばれたロープの一部が見えた。さっきの所も同じだが雪に埋れてしまっているのだ。ロープが無ければ潅木を掴んでの登下降になるような道なのだ。
急に膝の筋肉が攣った。ふくらはぎが攣ることは珍しくないが、膝頭と太ももを繋いでいる筋肉で初めての経験である。足を全然動かせないのだ。揉んだりさすったりして何とか山頂に達することが出来た。粟ヶ岳山頂と変わるはずも無い風景だが、越後平野や海が見えない分、なおさら川内山塊の奥深さを感じるものである。もう少し陽の光が多ければ、トレースが浮き上がっていい写真が撮れるのだろうが、それには陽射しが弱すぎる。
下りは登りのトレースを利用して難なく降りることが出来た。鞍部から粟ヶ岳山頂への登り返しは厳しかった。快適に降りたステップは、一気に降りたので、歩幅が広くそれに合わせるのが難儀なのだ。もちろん新しくステップを切るよりは楽だが、一気に登れず休み休みの登りとなった。ようやく山頂の域に達したと思ったら、また、膝の筋肉が攣ってしまった。足を引きずるような形で山頂に戻る。頂上の山座同定盤を眺めて山座同定をしたり、ぐるり見渡して写真を撮ったりしているうちに筋肉の痛みも薄らいできて降りる。
粟ヶ岳ヒュッテからアイゼンを付けたが、雪はザケていて直ぐに外して歩く。大栃平まで降りてもう危険個所は無い、と思ったら安心して腰に根が生えた。紺色に染まる山々。エンジ色の木々の広がる山麓。実に日本的な色に染まる初冬の風景を見ていると、気持ちが落ち着いてのんびりとした気分になってしまう。あの山が、米山だからその左は黒姫か等と山座同定を始めたら限は無いが、15時30分大栃平出発。
16時過ぎ、越後平野に灯がともり始めた。移動しているのは車のヘッドライトであろう。冬至間近のいま、日は短くなるばかりであるが、ヘッドランプは使うことなく下山出来た。いい1日の終わりである。
雪山だし
筋肉冷えやすいし
田中理恵さん開脚やられるし
で膝も堪えてしまいますね。
計画通りに帰られて何よりです
厳しくも美しい冬山ですね。
足が攣ったのは、アイゼン登行やキックステップで膝に負担がかかったのはあると思いますが、冷えの影響も大きかったと思います。出がけに下ばき探したのですが見つからず、そのまま行ってしまいました。上部では合羽を履くとかすれば良かったのですが、ものぐさでいけません。今回の反省点です。品物は有りました。神さんの所に(+_+)
朝から誰一人会うことも無く、のんびりと楽しめたイイ山行でした。遠望が利いて妙高燧が見えました。寿命が延びたかも。
ではまた。
妙高さん こんばんは!
アイゼンもカラピナもザイルも全く知らない学生時代に井上靖の「氷壁」にとても惹かれておりました。(寒そうなので登りたいとは少しも思いませんが…)
山岳小説好きでした。
やはり、妙高さんの文章はいいです。
ぴりりとした切り口に時々入る緩みが絶妙です。歩くなら…写真に残すなら…晴天が良いのでしょうか、私は短編小説感覚で拝見するせいか、お写真に冬の厳しさを感じ、ため息が出るほどぴたりです。
ただ、小説ではありませんので、くれぐれもお気をつけください。
奥様のアイゼン。ご夫婦で一緒に歩かれているようで、ロマンティック!
ますます私好みです。
*miepp*
君子危きに近寄らずで、確信の持てるところしか行かないようにしております。危ないと思ったら即撤退です。常に反省し、前進できるように考えています。事故だけは起こしたくありませんので。神さんも心配しているようですし。
今日は、最近課題となっている加茂駅〜新津駅間を歩くルートの確認に行ってきました。一日で歩こうとすると時間が足りないので、時間短縮できるコースはないかとエスケープルートの確認です。
藪を行けば短縮できそうなところが2か所あって、昨日も一か所行って来ました。どちらも歩いたことはあるのですが、念押しです。どちらも劇的な短縮は出来ないようです(+_+)
でも何とかやってみたいですね。ナイトハイクの領域と考えれば可能性はありますね。そうなれば後は体力だけですから。
今日は、じゃない昨日ですね。昨日は疲れのためかコタツに入ったまま寝てしまいました。目が覚めたら今日になっていました(+_+)
おはようございます。
私はおやすみです。ではまた。
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