男鹿岳《日本三百名山》

- GPS
- --:--
- 距離
- 29.3km
- 登り
- 1,607m
- 下り
- 1,529m
コースタイム
- 山行
- 5:27
- 休憩
- 0:54
- 合計
- 6:21
| 天候 | 1日目(4/29):曇り一時雨・雪 2日目(4/30):晴れ |
|---|---|
| 過去天気図(気象庁) | 2007年04月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関:
電車 タクシー
下山口:野岩鉄道男鹿高原駅 |
| その他周辺情報 | 鬼怒川温泉日光きぬ川ホテル三日月 |
写真
感想
1日目(4/29):
栃木・宇都宮行の夜行バスは京都市内の事故と連休の渋滞の影響で到着が1時間余り遅れた。東武鬼怒川線から野岩鉄道に直通する列車に乗り上三依塩原温泉口で下車した。タクシーを呼んで塩原の小山邸登山口まで入った。最も山際にある小山邸は大きな農家で、日留賀岳、男鹿岳の登山口として登山者に便宜を与えてくれ、手作りの登山地図まで用意されていた。車で来た人には敷地内に設置した駐車場を提供されているようだ。そして庭の傍らには天皇陛下幸行の記念碑が建っていた。登山届けを書いていると小山さんから「お願いがある」と言われ、「日留賀岳手前の古くなった鳥居を5月1日に取り替えようと思っているので雪の状況を知らせてほしい」と頼まれた。携帯が繋がるそうなので、連絡を約束して登山道に踏み出した。
今日の天気予報は午後から雨、覚悟の上歩き始めたが、1.2卆茲領啼擦暴个觝△砲魯櫂張櫂弔塙澆蠅世靴拭最初に現れる比津羅山は登山道がなく雪があれば寄り道もと目論んでいた。しかしまったく雪はなく、雨、バスの遅れで時間が押してしまい、初っ端から藪漕ぎする気持ちにもなれず、林道のある東側を巻いて進んだ。
雨は止む気配がないので林道の終点で雨具を着た。歩き出すとどうしたことだろう5分も経たないうちに止んでしまった。折角着たのに残念と云うのも変だが、日差しも出てきて一安心。日留賀岳の斜面に取り付く頃、傍らにカタクリの花を数輪見つけた。前方から重装備の男性が下りてきた。朝4時から歩きひょうたん峠を目指し日留賀岳まで行ったが山頂は吹雪で行くのを諦めて引き返してきたそうだ。回復してきた天候が恨めしそうだった。さらに進むと傾斜は急になり標高1,400mを過ぎると漸く残雪が現れだした。登山道は稜線の東斜面に一段下がって付いている。残雪があるとトラバース道は歩きにくいものだ。夏道を捨て稜線に上がると藪漕ぎ半分、積雪半分。適度な雪の方が歩き易い。林道終点から約1時間の歩行でP1514に達し昼食を摂った。
小山さんに頼まれた鳥居はこの辺りにあるようだがルートを外れて登ったので通り過ぎてしまったのだろうか。下りに転じる頃、幸い携帯が通じたので、この辺りの雪の状況を報告した。一旦下って登り返す。標高1,600m辺りからは完全に雪山になった。傾斜が増しいよいよアイゼン、ピッケルの登場だ。前方の日留賀岳はガスが掛かっている。急斜面を登りガスの中に入るとそこでは雨ならぬ雪が降りだした。寒気が入り不安定な天気で、遠くでゴロゴロ雷鳴も聞こえてきた。
休憩したP1514から1時間余りで漸く今回の最高峰・日留賀岳(1,849m)に達した。山頂部は雪が飛び、2等三角点「蛭岳」が露出していた。展望は360°あるがガスの中ではどうしようもない。雪が激しくなり、風も強まった。再び雨具を着て北に向った。強くなった雪もすぐに止んで気まぐれな天気に翻弄された。日留賀岳から先は微かな踏み跡があるかないかの藪漕ぎ道、登山地図に登山道は載っていない。鞍部で塩原温泉から上がってきた塩那道路と出合った。この道は県道266号線として塩原温泉と黒磯市板室温泉までの51キロを結ぶ山岳道路で男鹿岳と日留賀岳の間では山頂域を走る。“塩那スカイライン”として計画され昭和41年から5年の歳月をかけて陸上自衛隊の手によってパイロット道路が作られたが標高1,700mまで達し距離が長く利用価値がないと判断されその後工事は凍結され35年間供用されることもなく今日に至っている。無駄の象徴のようなこの道路、開通しないことが自然への労りと納得したい。
稜線の西側に付いた塩那道路を歩くが吹き溜まりや谷筋の雪は堆く危険がいっぱい。歩き難いので再び稜線に上がった。雪の薄いところは踏み跡もなくシャクナゲや這松の枝が張り出し歩き辛い。急登でP1846に達した。北に進み一旦塩那道路に下り登り返すと鹿又岳(かのまただけ1,817m)だが二重稜線でどこを登ろうかと迷った。中央の雪の上を歩き直下から再び藪漕ぎ急登でピークに達した。丁度その頃、周りの山のガスが晴れ女峰山を始めとする日光の山々を望むことが出来るようになった。冬にしか来ることが出来ない鹿又岳山頂は山頂標識があり誇らしげだった。3等三角点「鹿ノ又岳」は雪の下で発見できず。北東方向には大佐飛山(おおさびやま1,908m)も徐々に姿を現してきた。天候回復はもうすぐだ。
稜線を更に進み再び塩那道路に下りるとこの先は道路に危険はなさそうだ。最後のピークを東から巻き込みむと小屋が現れた。今日の宿泊地、ひょうたん峠(標高約1,690m)に達したのだ。他に誰もいない静かな峠、寒くなりそうなので小屋の中にテントを張り寝ることにした。
2日目(4/30)
天気は回復した。夜中に目が覚めると、満天の星、こんなにたくさん星はあったのか! 風もなく冷え込みは厳しい。ポリタンの水、鍋の水そして靴まで凍ってしまった。那須岳の肩から陽が昇り雪晴れの山々は最高の眺めを見せてくれた。小屋に荷物を置いて男鹿岳へピストンする。先ずは塩那道路を歩き男鹿峠から雪の斜面を登った。前衛峰の女鹿岳(1,754m)山頂からの展望もまた素晴らしい。那須の三本槍や大佐飛山が近い。男鹿岳(1,777m)は栃木・福島県境の山で黒磯市・塩原町・田島町に接している。三百名山の中でも登り難い山の一つだろう。
ひょうたん峠のすぐ手前で大佐飛山と連結している部分がある。片道3劼△襪ピストンしようと斜面を下り始めたが余りの急斜面となり、目の前に見える登り返しの斜面も相当なものだ。急に気分が萎え断念した。大佐飛山はこの山域の最高峰で出来ることなら行きたかったが時間的にも厳しそうだ。小屋に戻るといよいよ下山だ。この下山も特に決まったルートがあるわけではなく塩那道路建設時の資材運搬道を下るつもりだが果たして・・・地形図によると旧運搬道はひょうたん峠から急斜面をジグザグに下り白滝沢の左岸に付けられた道だがパイロット道完成時に捨てられ廃道となり荒れ果てていた。倒木は倒れ放題、落石は転がり放題、崩落は至るところ、3箇所の木橋はすべて破損している。雪に覆われひょうたん峠の分岐が辛うじて分かる程度で、その先の道形ははっきりしない。標高の高いところは雪が多いので旧運搬道を無視して緩斜面を下った。P1472まで下り旧運搬道らしき跡に合流した。後は道なりに下るのだが標高1,300m辺りで雪がなくなると藪が煩い。35年も打ち捨てられた道は自然に返りつつあり非常に歩き難い。
白滝沢に山葵田が見えてくると尾根の張り出しを巻く部分の道は完全に崩れ道形が無い。一旦山葵田の道の急斜面を下りた。ここから先は作業車が入るらしくまともな道になった。やがて男鹿山林道に合流し男鹿川沿いの林道歩きとなった。左手に横川牧場への分岐道が幾つもあり、右岸に渡ると横川ネイチャーランドのキャンプ場とボートの浮かぶ池、折りしもゴールデンウィークでバンガローは満杯のようだった。ここに車止めゲートがありこの先は一般車の進入は許されていない。道理で1時間の林道歩き車を1台も見なかったはずだ。
山王トンネルを福島県から越えてきた国道121号線に合すると、横川は文化財の宝庫、三依姫伝説の五輪塔、会津藩の横川関跡、横川一里塚などが次々現れ興味を引かれた。国道と分かれ静かな道を歩き野岩鉄道男鹿高原駅に到着した。9分後の列車で鬼怒川温泉に立ち寄り、ゆっくり温泉に入った。名物の湯葉そばを食べ、新設1年のステッカーを貼った東武からJRへの直通特急“スペーシアきぬがわ号”で新宿に出た。この山行で出会った人は昨日の男性一人だけという静かさだったが充実感は十分味わうことができた。
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