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記録ID: 7793817
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積雪期ピークハント/縦走
北陸

【敦賀】蠑螺ヶ岳 北東稜(冬季)

2025年02月11日(火) [日帰り]
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GPS
--:--
距離
5.3km
登り
645m
下り
649m
MarkerMarker
1 km

コースタイム

日帰り
山行
6:10
休憩
0:00
合計
6:10
8:30
140
駐車地
10:50
100
核心部の岩稜取り付き
12:30
120
14:30
10
14:40
駐車地
天候 曇り時々晴れ,一時的に雪
過去天気図(気象庁) 2025年02月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
蠑螺ヶ岳登山口付近は除雪されておらず,駐車スペースを見つけるのに苦労した。最終的にできるだけ邪魔にならなさそうな付近の路肩に寄せて駐車した。
コース状況/
危険箇所等
(積雪状況)
・ 尾根取り付きで30cmほど,山頂付近で100cmに届くか届かないかくらいの積雪。終始スノーシューを使用した。北東稜はヤブ尾根なので,できる限り嶺南地方の積雪が多い時がおすすめ。今回の山行でもまだかなりヤブが出ていた。本当はあと1mくらいは山の積雪が欲しいところだが,嶺南は雪が少なく,温暖な海際でもあるのでなかなか良いタイミングをつかむのが難しいかもしれない。

(アプローチ)
・ アプローチとしては,標高300m付近までは高圧電線の巡視路が使える。それ以降はヤブ尾根となるが,ヤブは濃くなくそれほど苦労はしない。

(北東稜の状況)
・ 標高550m付近の岩記号の箇所あたりから核心部の岩稜が始まる。積雪期は雪壁と雪稜の連続となっている。左右は終始急斜面で,特に南側が切れ落ちており落ちると無事では済まないのでそれなりに慎重な行動が必要。ヤブがかなり出ており煩わしさは否めないが,ブッシュをうまく使わないと登れない箇所もあるので,その処理も楽しむくらいのおおらかな心持ちで。
・ 全体的にそんなに難しくはないが,第二岩稜(仮称)の出だしの部分など,一部ロープを出したほうが安全に思われる箇所もある(今回は使用しなかったが)。
・ 身近な雪稜バリエーションルートで例えるなら,比良の堂満岳北壁の中央稜をもっと長くして高度感を増した感じ,もしくは荒島岳の大ワサビ谷右稜をヤブっぽくした感じ,と言ったらいいだろうか。例えがマニアックすぎる?

(下山路について)
・ 帰路は一般ルートの浦底登山道を取ったが,特に上部で雪を被った灌木が倒れて雪ヤブになっており,かなり通過に苦労する。また道形やマーキング等も埋まっているので,下りに使用する場合は意識的にルートファインディングする必要がある。

【北東稜のルート概説】
① 第一岩稜…最初に傾斜が増し,断続的に岩が出てくる区間。急な雪壁状になっており,ブッシュを頼りにほぼ尾根通しに登る。無雪期より難しくなっている印象。
② 第二岩稜…すっきりした岩稜が連なる,最も印象的な眺めの区間。リッジ通しは相当困難なので右側(北側)の斜面をトラバースしていくことになるが,この斜面の出だしがかなり急で,ロープを出したほうが安全かもしれない(今回は灌木頼りに強引に通過してしまった)。
③ 第三岩稜…第二岩稜に続く,ややハングしたような岩稜。ここも右側(北側)基部をトラバースして稜上に抜けるが,無雪期に登った凹角は急な雪壁となっている。
④ 第四岩稜…痩せた雪稜を慎重に通過。もう少し積雪が多ければ完全なナイフリッジになりそうな雰囲気。
⑤ 第五岩稜…山頂手前の最後の岩峰。第四岩稜から眺めるとかなり険悪に見えるが,実際は右手(北側)の基部を容易に巻ける。

※ 上記の「第〇岩稜」はhillwandererが便宜的に勝手につけた仮称です。
蠑螺ヶ岳の登山口にある「蠑螺ヶ岳登山口 3.0km」の看板。一般ルートの登山道はここを看板に従って右に入るが,北東稜へはまっすぐ進み,高圧電線の巡視路を辿る。
蠑螺ヶ岳の登山口にある「蠑螺ヶ岳登山口 3.0km」の看板。一般ルートの登山道はここを看板に従って右に入るが,北東稜へはまっすぐ進み,高圧電線の巡視路を辿る。
きっと巡視路があるだろうと思ってたらやっぱりあった。巡視路沿いには巡視路の看板やピンクテープあり
きっと巡視路があるだろうと思ってたらやっぱりあった。巡視路沿いには巡視路の看板やピンクテープあり
小さな橋を渡って色川を渡り,北東稜の末端に取りつく。
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小さな橋を渡って色川を渡り,北東稜の末端に取りつく。
鉄塔を2つ通過
標高300m付近で巡視路の切り開きが終わり,その先はヤブ尾根。ただ,それほどヤブは濃くなく(積雪で埋まっているのもあると思うが),いいペースで登っていく。
標高300m付近で巡視路の切り開きが終わり,その先はヤブ尾根。ただ,それほどヤブは濃くなく(積雪で埋まっているのもあると思うが),いいペースで登っていく。
ついに北東稜の核心部の岩稜が見えてきた。思った以上にしっかり雪をまとってくれているのは嬉しいが,けっこう威圧感あるなぁ…。心なしか,無雪期よりも傾斜も増して見える。
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ついに北東稜の核心部の岩稜が見えてきた。思った以上にしっかり雪をまとってくれているのは嬉しいが,けっこう威圧感あるなぁ…。心なしか,無雪期よりも傾斜も増して見える。
まず第一岩稜(仮称)。無雪期は岩よりヤブの勢いのほうが凄くてあまり印象に残らなかったが,岩に薄く雪が張り付いて雪壁状になっており,這い上がるのにやや苦労する。
まず第一岩稜(仮称)。無雪期は岩よりヤブの勢いのほうが凄くてあまり印象に残らなかったが,岩に薄く雪が張り付いて雪壁状になっており,這い上がるのにやや苦労する。
南側の色川側が早くも切れ落ち始める。落ちたら谷底までノンストップだろう。
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南側の色川側が早くも切れ落ち始める。落ちたら谷底までノンストップだろう。
第一岩稜を登りながら,振り返って。ヤブっぽいので登っていると気にならないが,ふと我に返ると結構高度感がある。
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第一岩稜を登りながら,振り返って。ヤブっぽいので登っていると気にならないが,ふと我に返ると結構高度感がある。
出ました,第二岩稜(仮称)! 北東稜で最もすっきりした,岩稜らしい岩稜だ。雪をまとって凛々しさがアップしている。
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出ました,第二岩稜(仮称)! 北東稜で最もすっきりした,岩稜らしい岩稜だ。雪をまとって凛々しさがアップしている。
問題は一番手前のコイツだよ…。無雪期は右側の基部をトラバースした気がするんだけど,雪のせいかラインが見いだせない…。ホントにここを通ったのか,自分。
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問題は一番手前のコイツだよ…。無雪期は右側の基部をトラバースした気がするんだけど,雪のせいかラインが見いだせない…。ホントにここを通ったのか,自分。
結局,岩稜の右手をブッシュを頼りに少し下り,急斜面をトラバース。ここがかなり急峻で,安全を期すならロープを出したほうが良さそうだった。沢登りのクセで,灌木頼りに強引に通っちゃったけど。
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結局,岩稜の右手をブッシュを頼りに少し下り,急斜面をトラバース。ここがかなり急峻で,安全を期すならロープを出したほうが良さそうだった。沢登りのクセで,灌木頼りに強引に通っちゃったけど。
そのまま急な雪壁状の斜面を斜上。
そのまま急な雪壁状の斜面を斜上。
ややハングした第三岩稜(仮称)。ここも右手基部をトラバース。
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ややハングした第三岩稜(仮称)。ここも右手基部をトラバース。
無雪期に登った凹角は,急な雪のルンゼとなっていた。
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無雪期に登った凹角は,急な雪のルンゼとなっていた。
第三岩稜の上に出て,越えてきたルートを振り返る。
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第三岩稜の上に出て,越えてきたルートを振り返る。
相変わらず南側の色川側は急峻
相変わらず南側の色川側は急峻
第四岩稜(仮称)。ここは無雪期もやや細かったけど,ちょっぴり痩せた雪稜となっていた。その向こうに見えるのは蠑螺ヶ岳山頂。
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第四岩稜(仮称)。ここは無雪期もやや細かったけど,ちょっぴり痩せた雪稜となっていた。その向こうに見えるのは蠑螺ヶ岳山頂。
ナイフリッジとまではいかないが,それなりに細くてちょっと怖い。慎重に通過。もう少し積雪が増えれば,完全なナイフリッジになりそうだ。
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ナイフリッジとまではいかないが,それなりに細くてちょっと怖い。慎重に通過。もう少し積雪が増えれば,完全なナイフリッジになりそうだ。
雪稜の向こうに,たおやかな山頂が近づく
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雪稜の向こうに,たおやかな山頂が近づく
敦賀湾を望みながら
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敦賀湾を望みながら
そして最後の難関(?),第五岩稜(仮称)。手前から眺めるとイカつく見えるが…
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そして最後の難関(?),第五岩稜(仮称)。手前から眺めるとイカつく見えるが…
実際は右手を比較的簡単に巻けます
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実際は右手を比較的簡単に巻けます
最後はまさかの青空と樹氷が迎え入れてくれました
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最後はまさかの青空と樹氷が迎え入れてくれました
無雪期はヤブヤブで心配していた山頂直下も,今は比較的すっきり
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無雪期はヤブヤブで心配していた山頂直下も,今は比較的すっきり
蠑螺ヶ岳山頂。無雪期は樹林に遮られているが,雪のある今はダイレクトに海が見える。
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蠑螺ヶ岳山頂。無雪期は樹林に遮られているが,雪のある今はダイレクトに海が見える。
樹氷と水島ブルー
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樹氷と水島ブルー
西方ヶ岳方面。誰か登っているだろうか。
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西方ヶ岳方面。誰か登っているだろうか。
左下の白い岩尾根が,辿ってきた北東稜
左下の白い岩尾根が,辿ってきた北東稜
空の青と海の青,そして雪山の白さの組み合わせがいかにも美しい
空の青と海の青,そして雪山の白さの組み合わせがいかにも美しい
さあ,下山しましょう
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さあ,下山しましょう
帰路は一般ルートの浦底登山道へ
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帰路は一般ルートの浦底登山道へ
若狭湾のさざなみと,海に映る雲の影がうつくしい
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若狭湾のさざなみと,海に映る雲の影がうつくしい
最後に注意喚起。浦底登山道の上部は,雪の重みで灌木が倒れまくって凄いことになってます…。北東稜よりこちらのほうが真の核心?
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最後に注意喚起。浦底登山道の上部は,雪の重みで灌木が倒れまくって凄いことになってます…。北東稜よりこちらのほうが真の核心?

装備

備考 ・ 要ピッケル・アイゼン
・ 一部ロープを出したほうが安全と思われる区間もあるので,ロープは携行したほうがよい。

感想

 敦賀湾の美しい海景をのぞむハイキングの山,蠑螺ヶ岳(さざえがたけ)にひっそりと切り立つヤブ深き岩稜,北東稜。記録未見のこの岩尾根を,昨年6月に登った。

<関連記録>
【敦賀】蠑螺ヶ岳 北東稜(海をのぞむヤブ深き岩稜) 2024年6月16日
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-6937875.html

 この尾根が真価を発揮するのは,ヤブの埋まる積雪期に違いないと思い,今冬はずっとアメダスで敦賀の積雪量をチェックしていた。が,やはり嶺南は雪が少なく,なかなか思うように積雪が増えてくれない(もちろん,地元の方々の生活にとっては,むしろそのほうが良いに違いないが)。今回の大雪でも30cm足らずの積雪だが,今季これ以上まとまった降雪は望めないように思え,チャンスは今しかないと思い,蠑螺ヶ岳に向かった。
 実際に取りついた北東稜は,やはりいささか積雪不足でヤブっぽさは否めなかったが,それにもかかわらず今季で一,二を争う楽しい登山となった。自分でルートを見出し,自分で思いを膨らませて登る山はやっぱり面白い。次にどんな風景が待ち受けているのか分からず,それどころか本当に登り切れるのかすら分からない,それが楽しいのだと思う。たとえ里山のヤブ尾根に過ぎないとしても,それはワクワクする気持ちとはあまり関係がない。
 若狭の山には,空の青に加えて,海の青がある。それがいっそう,雪山の白さを際立たせてくれる。眼下に行き交う船を眺めながら,いつまでも座っていたい蠑螺ヶ岳の午後でした。

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