滝子山(笹子駅〜やまと天目山温泉BS)
- GPS
- --:--
- 距離
- 14.4km
- 登り
- 1,387m
- 下り
- 1,000m
過去天気図(気象庁) | 2016年01月の天気図 |
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アクセス |
写真
感想
利用最終日の冬の18きっぷを使って、払暁の笹子駅で下りる。日の出まではあと30分ほど。東の空が明るんできている。甲州街道を東にバス停2つ分歩き、吉久保集落を抜け、中央道を跨ぐと桜公園に着く。甲州街道沿いの温度計は+1℃を示している。冬晴れの朝にしては暖かい。公園の少し先から、右に寂惝苑を示す分岐を辿る。
分岐から間もなく、両側に木造の建物が見える。右側が寂惝苑、「茶屋」という看板が見える左側の建物は、かつては営業していたのであろうか。「惝」という見慣れない字はうっとりと心奪われるさまを表すらしく、冬桜か何か、庭先に侘しく白い花木が咲く傍でひっそりと静まる寂惝苑は、何人かが桃源郷に憧れた結果であろうか。
特徴のある字で左へ滝子山を示す道標が立っている。少々怪しげにも見えるが、これに従い登っていく。鉄塔を越え、ひと登りすると林道にぶつかる。林道をはさんだ登山道は、ロープが張られた滑りやすい急登から始めるが、すぐに冬枯れに朝陽が柔らかく射し込む穏やかな明るい道となる。滝子山の山頂や南東尾根がすぐ近くであるかのように見えるが、山頂まではまだ約2時間の道のりである。
冬枯れのこの季節にうってつけの南向きの尾根を辿り高度を上げていくと、背後に何かの気配を感じる。振り返ると、枝ごしに富士山が白い山頂を覗かせていた。富士山が見えるといよいよ岩場が始まる。手がかりはしっかりしているので、慎重に変化を楽しみながら登っていく。上部の岩場は斜度がきつい。「滑落多発!危険」という大きな赤字の下に小さく「(寂ショウ尾根)」と書かれた道標まで来れば、山頂は近い。浜立山分岐付近の絶壁の露岩からは、登ってきた寂惝尾根の向こうに富士山が大きく見える。
まだ霜が溶けていない山頂からは、西側を除いて遮るもののない展望が広がる。八ヶ岳はさすがに雪化粧しているが、金峰山などはこの時期でもまだ黒く見えている。風も雲もほとんどなく、穏やかな冬の山頂である。
「山と高原地図」を見ると、山頂から少し戻って大谷ヶ丸方面に向かうようになっているため、少し戻ってみたが、それらしき分岐はない。先ほどの秀麗富嶽の山頂で三角点を見ていないことを思い出し、地図を再度見てみると、三角点の山頂は東側に別にある。大谷ヶ丸への分岐は、秀麗富嶽の山頂と三角点の山頂との鞍部にある。
「山梨県の山」では「完全に名前負けの小さな水たまり」と酷評されている白縫神社の脇にある小さな「鎮西ヶ池」だが、澄んだ水が湧く小沢の源頭となっている。氷りついていないのは暖冬のせいだろうか。大谷ヶ丸への道は、落葉が積もる雑木林の中、やや不明瞭だが、注意していれば道を見失うことはない。3つ目くらいのピークが大谷ヶ丸。展望は良くないが、西側に木の隙間から白峰三山が姿を見せている。
この1年で3度目となる米背負峠。薄暗いイメージしかなかったが、昼前の峠には陽の光がしっかりと届いている。米背負沢を下るのも3度目。沢もこの時間は明るい。大蔵沢大鹿林道は一般車輌通行止めなので、のんびりと道の真ん中を歩けるのがいい。治山工事も終わっており、ひたすら静かである。真っ暗な大蔵隧道を抜ければやまと天目山温泉は間近。アルカリ性の温泉と十割豆乳で疲れを癒し、通年運行の甲州市営バスで甲斐大和駅へと下りついた。
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