「雪と風と奇跡の一瞬――木曽駒ヶ岳登山記」


- GPS
- 07:06
- 距離
- 4.4km
- 登り
- 483m
- 下り
- 483m
コースタイム
- 山行
- 5:06
- 休憩
- 1:56
- 合計
- 7:02
天候 | ほぼガスっていました |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2025年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
ほぼフカフカの雪。頂上付近で2人組と遭遇した以外他に登山者が見当たらず、トレースが一切ありませんでした。 |
その他周辺情報 | ふもとにある「こぶしの湯」を利用。別サイト(サウナイキタイ)にてレビューしております。https://sauna-ikitai.com/saunners/100578/posts/7794969 |
写真
装備
個人装備 |
長袖インナー
ハードシェル
ズボン
靴下
グローブ
アウター手袋
予備手袋
防寒着
雨具
ゲイター
毛帽子
靴
ザック
アイゼン
行動食
飲料
水筒(保温性)
マット
常備薬
日焼け止め
携帯
ストック
|
---|---|
備考 | ピッケルカバーが必要だった。 |
感想
本格的な雪山を体験したいという416氏とともに、木曽駒ヶ岳を目指しました。
始発のバスに乗ると、誰もいない可能性がある。そんな不安もあり、少し遅めの7:45発を選ぶことに。それでも、駐車場には誰の姿もなく、乗り込んだバスには観光目的らしきマダム3人がいるだけでした。
ようやく千畳敷に着いたところで、あたり一面がガスで真っ白。
「見てても仕方ない」そう思いながら、まっさらな雪道へ足を踏み出しました。
しかしすぐにズボズボと足が埋まり、思うように進めません。視界はほとんどなく、ただただ白い世界が広がっているだけ。
振り返ると、まだおぼろげながら千畳敷ホテルが見えています。
「今なら戻れる」
そんな弱音が頭をよぎりました。
でも——
416がラッセルで切り開いた道を、ただ黙って追いかけます。
最近の山行で鍛えたつもりだったのに、空気の薄さと荷物の重さもあるのでしょうか。すぐに息が上がり、体が重くなる。
それでも一歩ずつ、登っていくしかありませんでした。
2時間ほどの格闘の末、ようやく乗越浄土に到着。
ほっと息をついた瞬間、「がぁっ!」という大きな声が響きました。
雷鳥です。
アヒルのような、意外と可愛らしい鳴き声で僕らを迎えてくれました。写真には収められなかったけれど、あの一瞬は今でも鮮明に覚えています。
しかし、ここからが本当の試練。
ズボズボ地獄の次は、風と雹(ひょう)の地獄。
痛みと寒さで顔がこわばり、足は何度も止まりそうになります。それでも、進むしかない。416の後ろ姿を道しるべにただただ足を前に進めます。
さらに2時間。
道を見失いそうになりながらも、ついに駒ヶ岳の山頂に到着したその瞬間——
奇跡が起きました。
止んだ風。割れる雲。
それまで真っ白だった世界が静かに開き、遥か彼方の景色が見えるようになったのです。
まるで山が、「よく来たな」と微笑んでくれたようでした。
——すべてを越えた先にだけ、見せてもらえる景色があるんだ。
そんなことを感じずにはいられません。
なによりここまでクールぶっていた416がおもちゃを与えられた子どものように喜んでいるのが印象的でした。
とはいえ、長居はできません。ロープウェイの終電である17:00が迫っています。
中岳を登り返し、宝剣山荘を過ぎたところで少し道を迷いながらも、再び乗越浄土に戻ってきました。
眼下には千畳敷ホテルが見えています。
傾斜は急で、万が一滑ったら止まらないかもしれない——けれど岩場はなく、恐怖よりも滑稽さの方が勝っていました。
「歩いているのか、滑っているのか」そんな不思議な足運びで八丁坂をくだり、なんとかロープウェイの時刻に間に合いました。
雪に埋もれ、風にさらされ、迷いながら、それでも前へと進んだ一日。
また一つ、忘れられない山行が増えました。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する