高尾山口ー陣馬山往復(徹夜ハイク)


- GPS
- --:--
- 距離
- 28.9km
- 登り
- 1,637m
- 下り
- 1,625m
コースタイム
6号路琵琶滝コース
13:10 高尾山山頂
もみじ台は巻いた
00:00 小仏城山山頂
00:20 小仏峠
00:40 景信山山頂 20分休憩
以下、今回は往復ともに尾根筋を選択
01:40 堂所山山頂
01:50 底沢峠
02:00 明王峠
02:30 陣馬山 5分休憩
03:00 明王峠
03:30 堂所山分岐点
04:10 景信山山頂
04:30 小仏峠
04:50 小仏城山山頂 ヘッドランプをしまった
05:40 高尾山山頂
4号路、2号路、病院坂コース、高尾山病院を通過
06:40 高尾山口駅
天候 | 晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2016年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
・標識が多数あるため、見落とさなければ道迷いの可能性は低いコースです。 ・城山、景信山、陣馬山に茶屋がありますが、たとえば今回の夜間のように店が開いていない場合は、高尾山から先の奥高尾に水場がありません。十分に飲み水を用意しましょう。 ・高尾山6号路は渓流ぞいの道を歩くのですが道が湿っていたり岩が露出したりと、小さな危険がたくさんあります。油断して谷に落ちないようにしましょう。後半の一部、沢筋を通るところがあり、飛び石伝いに歩く際のスリップに要注意です。今回は若干水量が大目でした。ゴアテックスの靴なら無理に飛び石を使わないで歩くのもありです。 ・浄心門から高尾病院方面への下りは斜度が大きいのでつまづかないように慎重に歩きましょう。 ・城山から小仏峠方面への下り、景信山から明王峠方面の下り、景信山側から堂所山への登り、これらのルートは急斜面でかつ木の根が大きく露出しているため、つまづき注意です。特に堂所山の景信山側斜面を景信山側へ下るところは慎重に。 |
その他周辺情報 | 駅の隣(ほとんど構内?)に温泉施設「極楽湯」ができました。 営業時間:8:00〜23:00 ※最終入館受付 22:00 |
写真
装備
備考 | 雨具、手袋、ヘッドランプ、予備の懐中電灯、コンパス、食料、水(飲み物込みで2L) 地図「高尾山・(景信山、陣馬山)登山詳細図」 (守屋益男、守屋二郎編、吉備人出版) |
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感想
いつもは終電近くに入山している高尾山夜間ハイクであるが、今回はいつもより2時間近く早い入山となった。そのせいか、自分以外にも3名ほどのハイカーが高尾山を目指して登って行ったが、筆者とは別ルートを取ったため、いつもどおりの一人ぼっちの山息となった。
コースはいつものように第6号琵琶滝コース。琵琶滝までは突然街頭が現れたり、灯篭の明かりが滝のあたりにあったりと、あまり気持ちのいいものではない。そもそも高尾山自身が霊場であることも関係しているだろう。
渓流の音に少しどきどきしながら高度を稼いでいると、不意に左前方の茂みの中がきらりと光った。「出たな」と思ってそちら方面を凝視すると、オレンジ色に輝く二つのまん丸な目と視線が合った。お互いにしばし見つめあった後、かれは悠然と姿を消した。目玉の持ち主が何だったかは不明である。
三日月ではあるが明るく、杉の大木のシルエットをはっきりと見て取ることができる。時々ヘッドランプを消して立ち止まってみる。月明かりが谷に差し込んいる様子は見て取れるものの、残念ながら谷底までは見て取れなかった。
先回の夜間ハイクは昨年の5月だったが、そのときに比べて足元の湿り具合は大きかった。何度か軽くスリップしたり、ぬかるみに足を突っ込んだ。
前回見つけた固定ロープは今回見つけらないまま、登山路から沢筋へ進んだ。6号路はこの沢筋を進むのが正しいルートである。前回は飛び石を使わずに歩いたが、今回は飛び石をなるべく伝って足を流れの中に突っ込まないように気をつける必要があった。結局今回の山行きでは、この沢筋の流れよりも、奥高尾ルート途中で突っ込んだぬかるみのほうが足を汚したようだ。
高尾山頂に11時過ぎに到着した。誰もいなかった。雲が少ないため夜景は良く見えたが、富士山が見えるほどには晴れていなかった。陣馬山に期待しようということで奥高尾ルートへ突入した。
往路ではもみじ台を登らず、初めて南側の巻き道を使ってみたが、杉が深く月明かりを利用することができなかったので、失敗だったと思う。上り下りで多少ばててでも、もみじ台経由のほうが、夜間ハイキングに向いているコースだろう。
月が出ているときの夜間ハイクの面白さのひとつは、月明かりでどれだけ歩けるかを試してみることだ。民話など読んでいると、月明かりを頼りにとか、星明りを頼りになどという表現が出てくるが、日常生活では信じられないようなことだ。町で街頭の明かりに慣れてしまうと、星はおろか月が明かりになることさえ忘れてしまう。三日月の明かりがまぶしいと感じることは想像することも難しい。もみじ台を越えて、城山までのハイキングコースは空が開けているので、月明かりを試すには絶好の場所であった。階段の滑り止めに溝を切ってある様子も識別することができた。
真冬のハイキングで、桜の幹を見ながら春にこのルートが桜並木になる様子を想像したものだが、期待通りになっていた。月明かりが逆光になり、桜が陰になってしまうこともあり、残念ながら三日月の明かりだけで夜桜を堪能する能力は自分にはなかったが。
城山を過ぎるとルートが再び山の中になるため、ヘッドランプを消すことはできない。暗いハイキングコースをひたすら急ぐ。特に城山から小仏峠までの道の夜間歩行は、なんだか胸騒ぎがして苦手なところだ。そういえば前回はここで枝道に入り込んでやぶこぎ寸前に引き返したのだ。そのことは覚えていたので、分岐点に用心してより踏み跡のしっかりしたルートを選んだ。その枝道も防火用水のドラム缶が並べてあるなど紛らわしいのだ。
峠の直前で左の斜面で枝を踏み割る音がしたが、足跡の持ち主を見ることはかなわなかった。いのししだろうか。やっぱり城山ー小仏峠間ではなにかどきりとさせられるのだ。
小仏峠のたぬき様に挨拶をして、景信山への急登を急いだ。今回は昨年に比べると持久力がついているようだ。入山からここまで休憩を入れていない。しかし、晩御飯も軽食のままで入山しただけにお腹が空いてきたし、空き腹を抱えての景信山の急登なのでばててきた。景信山の山頂で、東京方面の夜景を見ながら持参したおにぎりをいただき、水筒のコーヒーを飲んだ。コーヒーは会社で飲むために朝入れたもので、とっくに冷めていたが、ハイキングの途中ではそれでもうまかった。
一息入れて、いよいよハイキングの後半へ突入した。この森の中の道は暗いし、やや単調に感じられるところである。日中であればぼんやりと歩ける快適なハイキングコースなのだが、明王峠と、その前の底沢峠が待ち遠しかった。
その明王峠を過ぎて2時。この調子だと陣馬山山頂には2時半ごろ着いてしまうだろう。もしも藤野や相模湖駅へ下山すると、始発電車を待たなければならないかもいけない。最後に電車町で長いこと駅にいるのは時間がもったいない。それならば思い切って高尾山口まで戻ってしまおう。合計距離が30kmくらいになる長丁場なのだが、今の体調なら、ばて具合を試すのにちょうど良いだろう。
かくして初の陣馬山往復への挑戦を決意しつつ、白いお馬さんが待つ陣馬山山頂へラストスパートした。陣馬山山頂2時30分。完全な夜中である。三日月は沈んでしまって、月明かりで富士山を見ることもかなわず、東京方面の夜景を見ながら給水して、復路に取り掛かった。
下山といっても、高尾山までは登り下りの繰り返す尾根筋である。ペースを上げて一気に下るというわけにも行かない。ヘッドランプ頼りの森の道ではなおさらのことだ。往路と同様に、マイペースで歩いた。堂所山からの下りの、木の根が張り巡らされた急斜面はなかなか難儀した。木の根トラップは、一見快適な幅広のハイキングコースにもそこかしこにあるのでうかつに走ったりはできない。
そして今回のもうひとつのトラップはぬかるみであった。靴が半分ももぐってしまうようなぬかるみが何箇所もあった。冬場の夜間ハイキングではこのような場所はすべて氷が張る(乗れば割れてしまうのでスリップしない)か霜柱が伸びれいるかのいずれかだから気にする必要はなかったのだが、今回はヘッドランプの明かりの反射具合から、濡れた地面に出くわしたら用心した。
景信山山頂で、他の登山者とすれ違った。夜間ハイキングで山で人に会ったのはこれが初めてだ。
ここまで来ると薄明は目前、鳥たちはどういう順番で目覚めるのかが気になった。結果、まずはトラツグミ、続いてシジュウカラのようだった。あとはなにやらいっせいに起床したかのようであった。ウグイスも本格的にさえずっていて、うるさいほどであった。
小仏峠でたぬき様に再会したが、まだヘッドランプは手放せなかった。結局ヘッドランプがお役ごめんになったのは小仏城山山頂で、天狗様に無事帰還の報告をしたときであった。
城山から高尾山山頂までは、日の出前の薄明かりの中、往路で期待した通りの桜並木を楽しんだ。山桜の褐色の新芽と白い花の彩が大好きだ。いつかのんびりと途中でお茶を沸かしながら歩きたいところだ。
もみじ台の登り、そして高尾山頂直下の登りを歩ききって、高尾山山頂に目の高さが並んだとき、向こうに橙色の朝日をはじめて見て取ることができた。今日はいい天気になりそうだ。ばて気味なことは間違えないが、歩くことに差し支えることもなく、思いがけなく深い渓谷を埋め尽くす新緑の高尾山を楽しみながら、下山した。
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