常念乗越から中山(途中まで)


- GPS
- --:--
- 距離
- 16.7km
- 登り
- 1,868m
- 下り
- 1,862m
コースタイム
- 山行
- 13:00
- 休憩
- 0:40
- 合計
- 13:40
天候 | 晴れのち曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2016年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
中山(2492.1m)は梓川の支流、一ノ俣谷を挟んで常念岳の真西にあり、登山道がなく残雪期向きの山である。展望が良いことは『山頂渉猟』で知り、以後ネットの山行記録を読み、日帰りでの山行計画を立てる。
常念小屋から一ノ俣左岸沿いに下り、渡渉して対岸から中山乗越(2269m)へ上がり、戻りも同一ルートを歩く予定だった。
一ノ沢林道終点手前に2ヶ所で10台分ほどの駐車スペースがあり、そこに29日夕方7時前に着き、明日の登山届を出してから車中泊。既に、林道下の登山者用駐車場に8台、2ヶ所のPスペースにも8台が停められていた。私の後にも眠りにつくまでに愛知ナンバーの車が2台来た。
登山道は1750m付近から雪が出始め、笠原沢出合(標高1890m)までは夏道と同じ。出合から夏場の最終水場近くまでは一ノ沢右岸の残雪にトレースや、常念小屋スタッフが着けたピンクリボンがある。
最終水場直下(2130m)からは左上に続く雪渓を上がって、常念乗越(2460m)へ。乗越より一段高い電波受信塔の所で食事休憩。これから向かう中山が同じ高さの目線で見えている。
天気はほぼ快晴、まさか途中で退却することになるとは夢にも思わなかった。
常念小屋の右側から針葉樹林帯を下る。小屋へポンプで水を上げている水源地辺りから沢が見え始め、流れはすぐ大きくなる。やがて右側から別の沢(それが本流、水量は両沢ともほぼ同じ)が合流し、合流点以下ではとても飛び石伝いには渡れないばかりか、どこも急流で、渡り損ねると流される危険性がありそう。
予定していた中山乗越直下(2120m付近)は変更し、少し戻って合流点直上でY字形の二つの沢を渡る。小屋からの沢はどこも雪壁で、安全に渡渉できそうな所を探して行ったり来たり。本流には大木が横たわった天然の橋が架かり、一ノ俣右岸へ難なく渡渉し、中山乗越へ上がる前に水とエネル源を補給する。
乗越直下へ向かって右岸を下降中、とんでもない所へ出た。スラブ状のガレが直接 沢に落ち込み、水際も上部も急すぎて歩けない。これを大きく高巻くか、ここから中山尾根の乗越北部へ上がるかどちらかだ。
大きく高巻いたとしても、その先がどうなっているかは行ってみなければ分からないので、直接尾根へ上がることにする。
そこは地形図2145m、右岸に凹地状の地形が落ち込む地点だった。GPSは持つには持っていたが、逐一現在地を確認する余裕は既になく、帰宅後もログは見ていない。
地形図を拡大して見るとよく分かるが、一ノ俣の左岸斜面に対し、右岸斜面は全体的に急。ずっと雪の斜面ならまだしも、陽当たりの良い南斜面で所々で藪漕ぎ。
右岸で小休止後、1時間43分掛かって辿り着いたのは中山尾根2400m地点だった。ここから乗越まで標高差130mを下り、中山頂上まで220mを登り返して往復すれば3時間以上掛かりそうなので、至極残念だがここで撤退することにした(+_+)。
小屋泊まりに変更すれば往復出来そうにも思えたが、藪交じりの急な残雪斜面を一ノ俣右岸まで下るのはリスクが高いと感じた。なので、退却と決めた時点で、遠回りにはなるが中山尾根を北上することにした。
標高差約370m、東天井直下の登山道まで2時間余り要したが、危険個所は全くなかった。雪の消えた稜線では明瞭な道形がハイマツに覆われていた。喜作新道が拓かれる前、中山尾根は東側から槍へのメインルートだったそうで、東天井直下にはその遺跡がある。
中山尾根を北上中、天候が急変する。小雪交じりの強風となり、早朝の快晴からは予測されないような状況。
前日に見た『山の天気』(無料サイト)で常念岳は☀マークのみだったが、常念や大天井の安曇野市は晴れのち曇り。山の天気は予報ほど良くない場合が多く、一旦荒れると強風を伴う雨や雪となりやすい。
東天井直下までは悪場があるかどうか、新雪に隠されたクレバスやシュルントに落ちないかなどで、緊張感の連続だったが、正規の登山道に出て人心地がつく。あとは明るいうちに下山出来るかどうか・・・・・
遅くても、標高1800mまでは明るいうちに下ろう。そこから下はライトで照らしてでも歩けるが、残雪帯の下りをライトで歩くのは危険だ。
幸い膝の痛みもひどくはなく、『山ノ神』で神の加護に深謝し、まだ明るい18時17分、飛び出すような思いで車道終点に着く。あと30分遅いと、登山口奥のヒノキ林では足元がよく見えなかっただろう。
5月1日から2日にかけて、北アルプスでは遭難が相次いだ。
1日は猿倉から小日向山へ登るつもりで道の駅白馬で車中泊していたが、目が覚めると雨だったので、三城(さんじろ)から王ヶ頭へ変更する。
美ヶ原も強風でどんよりし、写真は一枚も撮らず。
遭難発生時の気象状況など詳しいことは知らないが、GW前半は好天の予報だったので多くの登山者が雪山へ向かったのだろう。
標高の高い残雪期の雪山は達成感も強いが、リスクも高い。
山で遭難して帰らぬ人となるか、何事もなく無事に下山し、「さぁ、次はどこの山に行こうか(^o^)」と楽しみに胸を膨らますことは、紙一重であり、瞬時が生死を分けると思う。
目的のピークを目の前にし、途中で引き返すにはそれなりの決心が要るが、目的達成での無事下山も遭難も全てが結果論である。
『山は逃げない』とは美言に過ぎず、加齢に比例して山の体力は衰える。
来年以降、憧れの【中山】へ行ける体力が持続していることを願わずにはいられない。
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