吉野山の紅葉と精神世界
- GPS
- 08:27
- 距離
- 18.0km
- 登り
- 933m
- 下り
- 933m
コースタイム
- 山行
- 4:51
- 休憩
- 3:36
- 合計
- 8:27
-
天候 | 曇り時々晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2016年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車
04:58発 三田 吹田行各停−(45分)ー05:44着 大阪 06:15発 大阪 環状線京橋方面ー(22分)ー06:37着 天王寺<徒歩9分> 06:50発 阿部野橋 吉野行−(1時間32分、970円)−08:22着 吉野 【復路】所要時間 2時間58分 18:07発 吉野 阿部野橋行ー(1時間35分、970円)−19:42着 阿部野橋 <徒歩9分>19:58発 天王寺 桜島行ー(21分)−20:19着 大阪 20:24発 大阪 快速 篠山口行−(41分)−21:05着 三田 - |
コース状況/ 危険箇所等 |
●吉野駅〜金峯神社 観光スタイルでも歩ける。細い道なのにクルマが入ってきてウザい。 ●金峯神社〜西行庵周回 急坂で滑り易い部分もあるが、新しく手すりが設置された。西行庵のある場所は落ち着いたイイ感じの場所で、休憩舎もある。 ●周回路〜青根ヶ峰(858m)ピストン 旧・女人結界石碑から古道へ左折して階段状の登山路を登るとすぐに愛想のない山頂に着く。展望などはない。名称の謂われなども知らない。 - |
その他周辺情報 | ●金峯山寺(蔵王堂) 拝観は8:30〜16:30 500円 特別拝観(11/19(土)〜12/11(日))は同時間 1000円 ※秘仏・金剛蔵王大権現のご開帳 ご開帳特別法話(開帳中毎日14時〜)金峯山寺蔵王堂・奥殿本地堂 ※「蔵王堂特別拝観券つき割引きっぷ」(11/19〜12/11) 2590円 (阿倍野橋⇔吉野の往復乗車券と特別拝観券がセット。特急券は別途。添付ファイル参照。) ●紅葉ライトアップ 11月5日〜27日 17:00〜21:00 ●温泉 吉野町HPによると、日帰り入浴可能な温泉旅館は以下の2か所で、桜シーズンを除く。 http://www.town.yoshino.nara.jp/kanko-event/welcome/yado/index.html#onsen ・吉野温泉元湯(要予約 0746-32-3061)700円 11〜14:30 ・湯本宝の家(一応連絡 0746-32-5121)1000円 14:30〜19:00 - 今回大汗をかいたので、宝の家(ほうのや)のほうに入ってきたが、吉野温泉自体の泉質はいまいちで、この旅館のお風呂は5〜6人も入れば満員となる。露天風呂(阿吽の湯)は開放的で気持ちがいい。 - |
ファイル |
(更新時刻:2016/11/22 00:05)
(更新時刻:2016/11/22 00:05)
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写真
感想
日本の古刹にはその精神世界がとても深い場所がある。多くは山岳信仰や自然崇拝によって極められたものだが、やはり歴史的な理由で京都や奈良にある場合が多い。より深く山に分け入ったら、より深まるだろうと思ったら大間違いで、いまの時代、それはおうおうにして観光地のなかにひっそりと埋もれている場合が多い。
ここ吉野山もその精神世界がとても深い場所のひとつで、世界文化遺産となっている。ここ吉野から山道の距離にして約180km南にある熊野へ続く大峯奥駈道(おおみねおくがけみち)は、この道自体も世界遺産になっていて、修験道の山岳修行ルートである。しかし、部分的に何度か歩いたことがあるが、山深く分け入るにつれ、その精神世界はむしろ薄れていく様な気がした。熊野から吉野に向かって修行しながら進むことを順峯(じゅんぷ)とよび、吉野がゴールとなる。吉野で精神世界が深まるのは、修行の最終地点でその精神性が昇華されるからなのかも知れない。
吉野山は古来より日本一の桜の名所として知られているが、実は紅葉もすごいのだ。吉野山の桜はほとんどが(シロ)ヤマザクラで約3万本あるそうだが、この品種は桜の中では唯一、黄葉する。カエデの木の数も多い。春には桜で山全体が埋まり、秋には錦繍の世界が広がる。つまり春夏秋冬が際立って訪れることになる。そういった自然環境に育った高い精神世界は、後醍醐天皇がこんなに不便なド田舎を都(南朝)に選んだ理由のひとつなのかも知れないと感じた。なお、吉野山にもソメイヨシノはあるが、最近の時代になってから植えられたものが多く、その本数はヤマザクラに比べて極めて少ない。
吉野山には、役行者(役小角)を開祖とする修験道の寺をはじめとして、 南朝ゆかりの史跡、源義経ゆかりの地や、西行法師が暮らした庵、その西行を慕った芭蕉が訪れたあとなど、文学の史跡、歴史的な場所が数多く見られ、高い精神世界をかたち造っている。残念なことにこれらの世界は、意識して見出さないと、いまは埋もれてしまっているのだ。したがって、とりわけここ吉野山のような精神性の高い古刹を訪れる場合、背景的知識をもって訪れるのと、そうでないのとでは、趣も、ものの見方も全然違ってくる。そうでない場合は、先人が残してくれた深い精神世界も気づかないままに終わってしまう。ボク自身の知識もまあ知れたものだが、方向的な意味あいで、ただ景色を眺めるだけの健康ハイカーや、ナルシストの一周野郎、またはただ登ったというだけの百名山登山者などには絶対になりたくないと思った。おっと、また毒を吐いてしまった(笑)
なお西行法師の永眠場所(西行墳)は、吉野からずっと大阪に近づいた大和葛城山の山麓にある。
『願はくは花のもとにて春死なむ その如月の望月の頃』
(願わくば2月の満月のころに、満開の桜の下で逝きたい)。
ここで意味する2月15日は陰暦であり、お釈迦様の入滅日でもある。西行法師は亡くなる十数年前にこの歌を詠んで、実際に亡くなったのが陰暦2月16日だったというから驚きだ。
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-300850.html
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コメント
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アルプスとは間逆の景色・・・でも心が和みます。
西行庵みたいな場所、行ってみたいなぁ。
クマさんが目指すような「背景的知識をもって訪れる」とまでいかずとも、ただの健康ハイカーとして景色を眺めてみたいものです。
北陸にも景色だけなら近い場所があるんだろうけど、そっち方面は知識なさすぎて;;
京都一周トレイルとかやってみようかな。雪もないことだし(笑)
さんちゃん、
雪山とは”真逆”で、いいでしょ。
雪が降ってくれないので、行く場所をいろいろ考えます。
しかし、背景的知識があるのと無いのとでは、
同じ場所を訪ねても、見方が全然違ってきますよ。
その結果、感動も倍加されます。
京都一周トレイルも、
できるだけ背景的な知識をもって訪ねることをおススメします。
でないと、オリエンテーリングしただけで終わってしまいます(笑)
プラスアルファがあれば、感慨もひとしおですから。
クマ
kuma-san, Masayanさん、こんにちわ。
吉野山は紅葉の名所でもあるんですね。知らなかったです。
私は深い知識はありませんが、こういった精神世界を見て歩くのは好きですね。
お釈迦様の入滅日、こちらでは「やしょうま」を作ってお供えして食べます。
子供のころ行っていた山の中のピアノ教室に、
「この奥に桜の里のあればこそ裾花川と人はいふ 西行」
という句の書かれた木札がかかっていて、いつも眺めていたので
子供心に「西行さん」を身近に感じていました
さくちゃん、
そーなんですよ。
吉野山は紅葉の名所でもあるのです。
『やしょうま』って信州の郷土料理で、細長いお餅ですね。
ボクも、何度か、食べたことあります。
涅槃会に食べる風習があるというとは、初めて聞きました。
日本中のほとんどの桜の名所には、
西行さんが訪ねた跡があり、
何らかの歌が詠まれています。
すべてが、事実ではないらしいのですが、
この行脚というか放浪の旅の距離は、
すさまじい距離になります。
個人的には、とってもそそられます。
漂泊の思い止まず・・・といったところでしょうかね
クマ
桜は落葉すると思っていたので紅葉は知りませんでした。まあ、考えてみれば、山ですから桜だけではなく他の広葉樹もありますよね。
30年ほど前の新婚時代に四日市から吉野まで家内と車で観桜に出かけました。ロープウェイに乗ったか、横目に見ながらだったかで上がった記憶があり、街中の一本道を、この道の行きついたところで義経と静が別れたのか、とロマンティックな気分に浸りながら歩いたような。
ちょうどその日はお祭りか何かで武者行列があって、神社仏閣は寄らずに帰りましたが、色々歴史のあるところなのでkuma-sanのレコを読んだらいつかまたゆっくり歩きたくなりました。
レッズさん、
そんな思い出をお持ちですか・・・
正直、似合わんわ〜(笑)
その話は、吉水神社での話ですね。
『吉野山 峰の白雪 ふみわけて 入りにし人の 跡ぞ恋しき』(吉野山の峰の白雪を踏み分けて姿を隠していったあの人(義経)のあとが恋しい)と、静御前は義経を慕う歌を唄い、頼朝を激怒させたということです。
頼朝の執拗な追撃をかわしながら、義経たちは吉野の吉水神社(当時は吉水院という僧坊)にかくまって貰っていました。しかしこれより先は「大峰山」で女人禁制の山となり、静御前が一行の足手まといになることを知った義経は、この場所で静御前に「都へ帰りなさい」という。それを聞いた静御前は「あなたの子供を身ごもっている」ということを打ちあけ、「別れるくらいならいっそのこと殺してください」言うも聞き入れられず、義経は自分が使っていた鏡を渡して「これを自分だと思って使ってくれ」という。静御前は「確かに鏡は、見る人の顔をうつすけれど、恋しい人の顔はうつしてくれない」と言ったとか・・・・歌舞伎や浄瑠璃で演じられる『義経千本桜』であまりにも有名なシーンですね。
感受性が鈍らないうちに再訪されることをおススメします
クマ
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