北岳・間ノ岳
- GPS
- --:--
- 距離
- 17.8km
- 登り
- 2,449m
- 下り
- 2,434m
コースタイム
1日目(9/11)
芦安駐車場 1035
広河原 1120/1200
休 1240/1250
急登終わり 1335
白根御池小屋 1355
2日目(9/12)
御池 0430
休 0500/0505
右俣分岐 0525/0535 ここで御来光
小太郎尾根分岐 0545/0550
肩の小屋 0615/0620
北岳山頂 0650/0725
北岳山荘 0800
中白峰 0830/0835
間ノ岳 0920/0950
中白峰 1025
北岳山荘 1040/1045
北岳山頂 1130/1140
肩の小屋 1200
小太郎尾根分岐 1215/1220
御池 1250/1345
休 1415/1420
広河原 1505/1610
芦安駐車場 1713
過去天気図(気象庁) | 2011年09月の天気図 |
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アクセス |
写真
装備
個人装備 |
靴:シリオP.F.301
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感想
今年の山行は天候に恵まれず、景色を楽しめていない。悔しいので、晴天を狙って南アに行くことにした。しかし、折しも台風12号の影響が出た。どうも今年はついていない。広河原までの林道は直前に復旧してくれたが、大樺沢の登山道は全面的に当面通行止め。一日目に大樺沢経由で上まであがる予定を変更して、御池経由で北岳、間ノ岳をピストンするルートで行くことにした。
7時自宅発。横浜というのは中央道へのアクセスが極めて不便で、第三京浜―環八―R20のルートを行ったが、調布ICまで何と1時間10分もかかった。しかも小仏トンネル出口で見物渋滞になっており、予定よりも1時間近く遅れ気味。乗用車とバイクの事故のようだったが、さもありなん、渋滞中の二輪車の集団走行は恐ろしいものがある。事故が起きないほうが不思議だ。
南アルプスもマイカー規制しており、広河原までは入れないので、芦安駐車場に車を置く。この位置はちょっとわかりにくく、最初に見かける芦安バス停よりもずいぶんと奥まで行く必要があって、ちょっと迷った。それでも何とかバスの出る1030に間に合ったのだが、駐車場に車を入れるとすぐに乗合タクシーの運ちゃんに声を掛けられた。バスも乗合タクシーも、出発時刻や料金が一緒なのだ。どうしてこんな制度になっているのかよく理解できないのだが、乗合タクシー乗ったことないので乗ってみた。バスよりは速いし運用も柔軟のようだった。
広河原からの登りは急登が続くが、気は楽だった。今日は御池までと行程が短かったし、今回テント荷物で登るのはここだけだったからだ。さらに、曇で直射日光もなく、樹林帯を心地良い風が吹き抜けていて歩きやすかった。しかも、急登は思ったよりも早く終わってくれて、2時間弱で御池着。予定よりも1時間早い。ちょっとだけ自信回復。
白根御池小屋で道の様子を聞くと、やはり大樺沢はダメ、草すべりか、二俣から右俣ルートを行くようにとのこと。高1の頃の合宿では大樺沢を登って八本歯のコルで死にそうな思いをしていた覚えがあり、また大樺沢歩きたがったのだがやむを得ない。日曜日とあってかテン場は空いていて、ほぼ平地にテントを張った。シームレステープを張り替え、フライもきちんと張ると、20年もののゴアライトもまだまだ捨てたもんじゃない。だんだんこのテントがいとおしくなってきた。僕がテントを担いで歩ける間は、このテントをメンテナンスしていこう! という気分にさせられる。ところで、御池では携帯は繋がらない。小屋の15分手前に繋がるところがあるそうだ。小屋の人が偶然見つけたらしい。
さて、夕食にはコンビニ弁当をコンロの水蒸気で温めてみた。ご飯は温まりにくいようだったが、おかずは程良く温まって、なかなかいける。今日はとうとう雲は取れなかったが、それほど嫌らしい雲ではないことが直観でわかる。無風で、雲もまるで作り物のように形を変えない。陽が沈むと雲の合間から満月が時折顔を出す。雲が薄いということだ。これなら明朝は晴天が期待できそうだ。
2日目。
0330起床。予想通りの満天の星空。満月は北岳の背後に隠れ、オリオン座の小三ツ星まで肉眼でよく見える。完璧だ。既にいくつかのテントでは明かりがついている。今回山行デビューのサーマレスト・リッジレストのおかげで地面からの底冷えはまったくなかったが、熟睡できたのは寝込みの2時間半だけで、あとはうとうとしていた。寒いとか寝心地が悪いとかではなく、どうやら時差の問題のようだった。いつも午前3時に寝ている人間が、山に来て急に午後7時に就寝して一晩ぐっすり、というわけにはなかなかいかないのだろう。
コーヒーとコンビニ・サンドイッチで簡単な朝食。ヘリの荷揚げがあるのでテントを畳むよう小屋から言われていたのだが、テントを乾かしたかったので、テントに荷物を入れたままポールを抜いて潰してその上から石を置いておくことにした。飛ばされないことを祈る。
空身で出発。夜明け前のいちばん冷える時刻だが、気温12℃で無風、いつもの短パンTシャツでまったく寒くない(僕は、だが)。暗いうちから歩くのは久々だ。草すべりは最初から最後まで急登、高度差500m。草すべりといっても草の上を歩くわけではない。日の出前に出たのは今日の行程が時間的に厳しいと予想していたのもあるが、暑くなる前にきつい登りを済ませておきたいというのもあった。これは結果的に大正解で、水の消費量も山頂までで500mlで済んだ。カンカン照りの中を歩いていたらこの3倍は必要だっただろう。途中で御来光、北岳バッドレスがほんの一瞬だけ朝日に萌える。
小太郎尾根に出るとすごい光景が目に飛び込んできた。目の前に北岳、仙丈、甲斐駒、鳳凰三山、南に富士山、西に中央アルプス、北東に八ヶ岳、遙か北には北アルプスと、すべて見えるのだ。もうこれだけで山行目的は十分達成、この先は行かなくてもいいかなー、くらいの勢いである。北岳山頂ではさらに圧巻。峰々が雲海に浮かぶ。
あまりにも景色が素晴らしすぎたので、北岳山頂では予定よりもゆっくりしてしまった。帰りにも通るのでまずは先を急ぐつもりだったのだけど、この景色が帰りにも見られる保証はないのだ。まあ、間ノ岳に行かずにここでゆっくりする手もあるのだが、南ア深部の景色は間ノ岳のほうが良さそうだった。それに、ここまで来て間ノ岳のピークを踏まないのは、ピークハンターとしては名折れである。ということで、予定通り間ノ岳を目指すことにした。間ノ岳往復4時間が目標だ。北岳では携帯は繋がるので、ここで仕事のメールチェック。
下って北岳山荘の名物公衆トイレに入ってみる。何だかどっかの宇宙船みたいなトイレだ。これみよがしに「1基1000万円、1回の使用で500円の費用がかかってますー」的な看板があってチップを要求している。元取れているのだろうか? 3,000m稜線歩きはゴキゲンなのだが、間ノ岳って、僕の中では裏切りのイメージがある。「あのピークだ」と思って歩いて、達してみると実はその先がある、というのを繰り返すからだ。今回も「騙されないぞ」と思いつつ、騙されながら歩いた。
間ノ岳ピークではオレンジを食す。美味いね。北岳は混んでいたが、さすがにその先は登山者も激減して人は殆どいない。景色は北岳山頂と殆ど変わらないが、南ア深部が見えることと北岳が見えることが異なる。ここでもまたちょっとまったりしてしまった。
来た道をスピードアップして戻る。北岳山荘からは山頂を巻いて八本歯方面に下りれば速いはずなんだけど、結局諦めて山頂経由で戻ることにした。公式に通行止めになっている以上、本当に通れない箇所があったら戻らなければならないリスクがある。それに比べて時間がかかるかもしれないが、小太郎山尾根+草すべり経由であれば道は問題ないし、自分が通ってきた道なので時間も読みやすい。しかし、北岳への再度の登りはきついことこの上ない。さすがに僕のエネルギーも切れつつある。それでも何とか目標の1130に北岳山頂に戻ってきた。既に雲が出て早朝ほどの景色は残っていない。なので、小休止しただけで下りにとりかかった。バスの時間を考えると時間的余裕はあまりなかったのだが、草すべりを30分で下りて時間を稼いだ。御池でテントを回収し、広河原まではゆっくり下った。
広河原では1時間待ってバスで帰った。乗り合いタクシーのほうが速いが、バスにも多少の金を落とす必要がある。帰路、林道から沢筋の景色を見ていると、よくもまあこんなところに道を作ったものだと感心してしまう。こんな山奥の谷を超えるように電線が引っ張られている。大したものだ。それだけのことをするのに一体どれだけの税金がかかるのだろうか? これらのインフラ整備のお陰で、我々が広河原まで入れるのだ。それがなければ、気軽に北岳なんか行けたものではない。駐車場に戻ると疲れきっていたので、温泉もパスしてさっさと帰途についた。甲府から見た夕暮れの富士山シルエットが美しかった。
ようやく景色に恵まれて最高の山行だった。南アも15年ぶりくらいだし、懐かしかったな。2日目はちょっと無茶し過ぎたか。
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