【過去レコ】「雲海に浮かぶ島」 笠倉山(只見の薮山)
- GPS
- --:--
- 距離
- 2.7km
- 登り
- 559m
- 下り
- 559m
コースタイム
- 山行
- 4:15
- 休憩
- 0:35
- 合計
- 4:50
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2014年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
会津のエベレストとも呼ばれる「笠倉山」、会津百名山ではあるが登山道の無い山。新雪直後でかつて経験したことのない、胸まで沈むラッセルとなったが距離は短くどうにか山頂までたどり着くことができた。山頂からは周囲の峰々が雲海に浮かぶ島のように見え季節限定の絶景を堪能でき、ラッセルの苦労が吹き飛んだ。
早朝の六十里越(R252)は通行止めではなかったが路肩には除雪による雪塊が50センチ程度残っていた。路面の凍結も至るところで発生しており慎重にゆっくり通過した。只見の集落へ抜けると積雪は無くなったが深い霧に包まれ静まり返っていた。高塩集落から塩沢川に沿って塩沢林道を進む。途中から未舗装になり落ち葉と枝とワダチ掘れにより路面は荒れてくる。それでも終点近くまで車で入れた。
林道終点から踏み跡(ヘツリ道)をスパイク長靴で出発。塩沢川を右に見ながら進み、椿薮の雑木林が現れた所で笠倉山の東斜面に取付く。大きなブナの林床には椿の薮が密集している。かき分ける度に葉の上の湿った雪が容赦なく全身に降りかかる。周囲は濃霧、尾根を外れないように高みを目指して進む。ほどなく急登斜面が始まり山頂部まで続くこととなる。中腹まで登ると新雪は地面まで貫通し太腿まで潜るようになる。三歩進んで二歩下がるような状況で体力の消耗が激しい。尾根上部は潅木薮が密集し歩きにくいので時々迂回を強いられる。
標高800mあたりから霧が切れ始め、雲海の上に出ると気持のよい青空が広がった。振り向けば山頂部が霧氷で薄化粧した雲河曽根山が見えた。積雪はさらに増加し腰まで潜る激ラッセルとなる。時々雪中の枝に足が絡まり悪戦苦闘。標高850mで緩やかな細尾根に上がると眼前に崖に囲まれた要塞のような山頂部が立ちはだかる。潅木に捕まりながら身体を引き上げ、どうにか登った。山頂部はナイフのように細く両側が南北にシャープに切れ落ちている。不安定に乗っかった新雪を慎重にラッセル。薮はヤマグルマ、キタゴヨウ、シャクナゲ、コメツガなどの猛者がそろっている。
最後の力を振り絞りナイフのような稜線の西端までくると最高地点、ここを山頂とする。ようやくたどり着いた山頂からは期待通り360度の大パノラマが広がっていた。今までの苦労が報われるような瞬間だ。只見川沿いの盆地を全て飲み込むように厚い雲海が覆っている。山頂部だけ頭を出した山々が海に浮かぶ島のようだ。とても1000m足らずの低山からの眺めとは思えない光景に酔いしれる。遠くに目を向ければ会津朝日岳、村杉半島、越後三山、浅草岳、守門岳...新雪をまとった峰々が輝いている。意外にも川内山塊(矢筈岳、毛無山、駒形山など)が近くに見える。
贅沢な展望を見ながら行動食をとりながらしばらく休憩する。雲海が徐々に途切れ始めるころ山頂を後にする。ルートは登ってきた東尾根を戻った。薮の薄い斜面では尻セードで豪快に滑った。下部ではいつの間にか沢筋に入ってしまい登り返す羽目になるが、ナメコのお土産を得ることが出来た。出発地点に戻るころには湿った雪でグローブと長靴と衣類はびしょぬれ。帰途、国道に出ると天を突くように尖った会津蒲生岳が後方に聳えていた。
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
蒲生岳などの、259号かアプローチの良い山は積雪期も良いかな?と思ってみたことがありましたが。ここまで奥まった所は考えもしませんでした。
時期の見極めが本当に難しそうな山ですね。写真23等の、新鮮な角度からの川内山塊が素晴らしいです。
春になったら川内に入ってみたくなりました。
レコアップ有難うございます。
笠倉山からの川内山塊、 下田山塊の展望は新鮮味がありました。写真23で矢筈岳の手前に重なっている駒形山ですが今年の残雪期に登ってきましたが秘境ムード満点の静かな薮山でした。三方を室谷川源流に囲まれ五十嵐川水系との分水嶺にもなっており南は福島県境に近く人里から一番遠いエリアにあります。おそらく裏ノ山がどちら側から入山しても一番遠く奥まった薮山ではないかと自分は思っています。残雪期ならosamu310 様なら日帰りで行けるかもしれませんね。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する