大深岳 仮戸沢、東の又沢
- GPS
- 29:15
- 距離
- 16.5km
- 登り
- 967m
- 下り
- 974m
コースタイム
青森(5:20)-八幡平樹海ライン1147から赤川遡行(08:45)ー大深山荘北の沼(9:50)ー嶮岨森(10:30)北側鞍部から仮戸沢下降(10:50)ー本流三又995(12:50)-下降898二股泊りC1(14:00)
2日目
898C1(6:00)-992三又(6:45)-東ノ又沢1250(8:20-50)ー登山道1385コル付近(9:50)ー大深岳(11:10-30)-山荘(11:50)ー八幡平樹海ライン停車地(12:50)
天候 | 晴れ、曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2011年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
週末二日休みは当分なさそうなので、八甲田の黄瀬川を計画していたが、前日夜になって大深沢(おぶかさわ)を計画していた高野さんの計画に吸収合併した。一人だと、また山に行くのをやめちゃいそうだったため。八幡平南部山域も、大深沢も初めて知った。
高速道路で岩手山麓まで行き、八幡平樹海ラインを登ると、タケノコ採りの車だらけ。赤川の取り付きには駐車スペースが出来上がっていて十台くらいは停まれそうだ。既にタケノコで五、六台停まっている。ここから標高差270mの稜線までは階段みたいな赤川。石灰岩層かなにかが鉄分でさびて赤い。小屋への登りでよく使うのか、赤い印も多い。上の方はまだ雪渓が残っていて、稜線下の円形崩壊記号のとこまでべったり付いている。そこから直進すると、山荘北の沼に出た。沼を横断してすぐ夏道。山口百恵の歌の話題で盛り上がりながら緩い稜線を嶮岨森(けんそもり)まで。東側がすっぱり切れ落ちていて、この山域では珍しく格好良いピークだ。東に鏡沼、置いて来た車もよく見える。登山者一組と会う。遥か北に八幡平最高点の平らな高まりが見える。
嶮岨森を下って北のコルから秋田県側に下降する。はじめはヤブ。そのうち石灰岩の粘土化したような所を経て多少の小滝を降りて行くと、北ノ又沢、東ノ又沢との三又分岐。大きな川だ。沢床広く、一枚岩盤で、水がするする流れる。下るとすぐに大きな滝、幅50m、高さ15mくらいのナイアガラ滝。幅広くなだれ落ちている。ちょうど真ん中辺り、流れの無い岩部分で懸垂する。鉛筆くらいの小ブッシュを10本くらい束ねた支点で、持参の漁業用ロープ。ろくな支点が無い。一段下には、腕の太さ位の抜けそうな灌木から残置のロープも下がっている。登り返しはノーザイルでなんとかなりそう。この滝は下から見ても圧巻。緑のトンネルぎりぎりまで下がって、全容が視界に収まるくらいデカい。
この下にも10mくらいの大きな滝がある。左岸に残置のロープが下がっているところを下る。898、関東沢分岐の二股付近で泊まる場所を探す。百米ほど下ったところ、左岸に良いところがあり、薪も豊富に溜まっていた。
焚き火を起こして、レッドをちびちびしながらぽーっとしていると、イワナを釣って来た。汁と、蒲焼き。川瀬の音と焚き火の灯明、星の満天。高野さんは飯盒で飯を炊く。僕は朝晩とも、タケノコ入りくまもと棒ラーメン。
江戸時代の旅行者、橘南谿の紀行で、旅の途上思いがけず夜になり心細かったが、焚き火をしたらゴキゲンになった話を先週読んだ。「炎四方にもへ上れば、今迄淋しく侘びしかりつるが、此陽気に心ひらけ、げん気勃然とおこり、何となくたのしくて、腰に付たる握りめし取出して、あぶりくひ、小唄謡ひつゝ夜をかけて恙なく山を下りぬ。」(西遊記/続編巻三「陽気」)
タープの下、草を倒して柔らかく寝心地良く寝たが、夜半凄く冷えた。水はまだ冷たく、冷気を運んでくる。寝袋無しだったので、暗いうちから目が覚め、震えていた。焚き火に戻りたいと思いながらうとうとしていた。それでも今回の荷物は全部で6キロくらいで軽々来た。次回この季節は新聞紙を防寒具に持って来て、体に巻けばいいかも。
翌朝はナイアガラ滝を、残置ロープをちょいちょい引っ張りながら真ん中を直登して、東ノ又沢を遡行する。三又付近から東ノ又沢に入ったあたりは爽快な滑床だ。「小唄謡ひつゝ」って感じだよ、山口百恵の。コンタ1180あたりでは二度目のヤマ場。釜や小滝、トイ状岩部が連続して楽しい。げん気勃然とおこる。空が広く、全体に明るい山域だ。あんまり急いで行くと終わってしまうので、1252付近で30分ほど腰を下ろして大福などつまむ。
源流の詰めは、水沿いに登ってほぼ一本道。最後はササのヤブの中ぐるぐる蛇行して湿原近しと思わせるが、選んだ詰め沢は左に逸れ、多少のササ薮コギしてコルよりやや東の登山道に出た。なだらかな八幡平山脈の丘を越え湿原を超えて歩いていると、岩手山が姿を見せる。岩手山以外の遠い山並みはどれがどれやらさっぱり分からぬ。岩手山方向との分岐付近で声をかけられた。八戸の前沢さんご夫妻とその一行四人で、三石山荘泊で松川上流部の時計回り縦走の稜線歩き中、源太ヶ岳経由で降りるとの事。共通の行程はそれほど長くもないのに、よくまあお会いできました。大深岳山頂で立ち話して、源太ヶ岳分岐までご一緒した。道ばたで僕がぽきぽき採った鉛筆みたいなタケノコ数本を持っていたのを見つかって、「そんなに細いのじゃ、剥いたらなくなっちまうよ」と御指導を受ける。確かに、昨日のタケノコラーメン、スジスジで、食べるところあんまり無かった。ちゃんとしたのを採るにはヤブコギしないと無い。さっきまでヤブコギしていたけど、目的がタケノコ採りじゃないから全然目に入らなかった。いつもながら不思議なことだ。大深岳山頂は、通り道みたいな素っ気ない山頂。でもまあ大深沢の最高点ということでケジメも踏んで満足。
大深山荘は、新しい無人小屋で冬期入り口もある。木の匂いがぷんぷんして、便所も臭わない。小屋の北西の木の橋を渡るところから赤川へ下る。すぐに水場と呼ばれる円形崩壊地。昨日はここで一本となりの沢詰めたら、沼に直登したのだった。あとは雪渓を踏み抜いたりしてずるずる下り、タケノコ採りだらけの車デポ地へ。
帰りにアスピーテライン経由で帰ると、温泉だらけ。どこも湯煙もうもう上げ、山中一軒宿という感じのが次々出てくる。溜まらずそのうちの一軒に寄る。蒸の湯(ふけのゆ)ってところで白濁とろりんタイプの湯だった。離れの露天は人が一杯いたので、母屋内の小振りな露天で弛緩する。陽気心にひらく。食堂でふけのゆラーメンを注文する。しゃぶしゃぶ肉が乗っていて、たしかに「ふけのゆ」を演出している。これで三食連続ラーメンだがラーメンはいいなあ。帰りの車では松田聖子や早見優の80年代歌謡を聴きながら帰る。
前日まで山域も沢の名も山の名も知らなかった山に行ってしまうなんて、モチベションという点ではともかく御縁の山だよなあ。何年も計画を温めても行けない山行がいくらでもあるのに。
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