台風5号のバカやろぉ でもって大池巡り(白馬大池・風吹大池・白池)
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- GPS
- --:--
- 距離
- 15.9km
- 登り
- 1,209m
- 下り
- 1,206m
コースタイム
天候 | ガス・霧雨 |
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過去天気図(気象庁) | 2017年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
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コース状況/ 危険箇所等 |
蓮華温泉駐車場のトイレに登山届 天狗原分岐以後の湿原の木道は破損箇所や修理のために板が外されている場所がある。 風吹大池方面(千国揚尾根、笹目尾根)は、登山者が非常に少ないが、危険箇所はない。 風吹大池から笹目尾根にとっついて間もないフスブリ山トラバースの湿原に「底なしの水たまり(泥沼)」が多数ある。膝上までの泥沼が最低1箇所、膝下までの泥沼が最低2箇所はある。雨天時には要注意。 |
写真
装備
備考 | 樹林帯の「傘」は有効でした。 |
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感想
平成29年夏、日本列島の南で迷走する台風5号に悶々・イライラさせられた。太平洋高気圧から離れた場所で発生した台風5号を移動させる風が弱かったことと、複数の台風が接近しているとお互いの風が干渉することで動きが変わる現象で迷走し、
結果的に長寿を保って日本各地に大きな被害を残した。自分にも大きな被害をもたらした。それは「行こうか? やめようか?」を悩ませられたこと。そして、消滅まで山に行くと「決断できなかった」こと。とどめは、「台風一過の翌日の山行が悪天だった」こと。ここ数年、何日間も快晴が続くことは少ないが、今年ほど青空が拝めない夏はなかった。過去最悪である。よって、結論は… 台風5号のバカやろぉ!!
7月30日(日)には準備を完了していた。ただ、天候がいただけない。気持ちも萎えてくる…。でもって1日延期を決め、2日順延を決め… 8月2日(水)は五竜岳につながる遠見尾根にとりついた。標高1300m付近からガスがまとわりつき… 気持ちは萎える一方。ふ〜、でもって… や〜めた。ヒマラヤ山系から移植した「青いケシ」や「シモツケソウ」を観察して下山した。唯一の収穫は、アヤメとカキツバタの「見分け方」を知ったことだった。
それ以後も仕事を時々入れながら天候の回復を待つ。今年はトレーニング不足を実感しており、太ももも気のせいか細くなって… 不安要素が大きい。そこで、ここまで待ったら快晴の尾根歩きができれば… 日帰りだけでもでも… になり、最終的には「大池巡り日帰りコース:蓮華温泉〜白馬大池〜風吹大池〜蓮華温泉」に落ちついた。しかし… このルートは… 湿っている。
結局、台風一過の8月9日(水)、雨の中を9時間歩いた。元々しめっている山域に雨は降り続いた。この山行で、「樹林帯で傘を差しながら歩くのは結構楽しい」こと、「低山の霧雨は冷たくない」ことがわかった。負け惜しみではない。
8月9日(水)午前3時起床。この日しかないのでばっちり目が覚める。自宅を午前3時40分に出発し、新潟県の蓮華温泉をめざす。新潟県平岩から山道に入るが、標高1000mあたりからガスが雨に変わる。予定通りの午前5時30分に標高1500mの蓮華温泉駐車場に到着した。予定と違うのは、雨が降っていることだけだった。蓮華温泉駐車場で九州・福岡から来られた単独行の男性、栃木から来られた女性2人と今後の展望について話す。話している中で、日帰りならずぶ濡れになっても… と思え、出発を決めた。
午前6時50分、白馬岳蓮華温泉ロッジ出発。カッパの下だけを着て上半身はタンクトップ、傘を差して歩き始める。カッパを装着した下半身が 暑い&蒸れる&濡れる。覚悟はしていたが、やはり30年物のカッパに防水性はなかった。最初の休憩でザックにしまった。お疲れ様でした。8時55分、強い風の中、天狗の庭(標高2000m)を通過する。時折青空が拝め、虹も間近に見ることができた。
10時15分、けっこうあっけなく白馬大池(標高2400m)に到着し、小休止でそのまま白馬乗鞍岳を目指す。大きな岩の上を飛び乗りながら歩を進め、10時47分に白馬乗鞍岳(ケルン)に到着した。ちなみにここが今回の山行における最高地点となる。35年前の冬、白馬大池の上を歩き、小屋のそばに雪洞を掘り、数日間の沈殿を経てから白馬岳に登った記憶をムリヤリ引きずり出す。
天狗原の手前でパトロール隊員と会い、風吹大池方面の情報を得る。「木道が壊れている」、「ほとんど人が通らない」、「ぬかるんでいる」etc. 結論は「十分注意して欲しい」とのこと。登りでもヘルメットを被って登山の安全を訴える方の言葉は重い。11時17分、天狗原を通過し、山の神尾根分岐の誰もいない湿原で腹を満たす。その後、靴紐を締め直してヘルメットを装着し、気合いを入れる。
ワタスゲやタテヤマリンドウ、イワイチョウ、チングルマが咲き乱れる湿原を一人で歩く。なんとも贅沢… と思っていると、パトロール隊員が語るように木道の破損が目立ってくる。修理の途中なのだろうが、土台から板が外され、高山植物の上を歩かざるを得ないところもある。
千国揚尾根は地面も柔らかく歩きやすい。…な〜んて思っていると… 水たまりの泥沼が連続する。泥の付いたビブラムは、木道に対して決定的に弱い。注意して歩いても滑る・滑る・滑る。泥沼に渡された木道(板)に乗ると転ばないまでも滑って… 泥沼に落ちる。泥沼→木道→滑って泥沼… の繰り返し。ほとんどアップダウンがないルートなので、晴れて、乾いてさえれば気持ちイイかもしれないのに…。標識が2種類あり、棒状の地面に埋められているものは「天狗原〜風吹大池:5辧廚1劼瓦箸防充┐靴討△辰凸鬚卜った。ただ… 角が同じように削られており、人為的な物か? それとも熊為的な物か? ちょっと気になった。もう一つひし形の看板標識があり、「3/13」「4/13」「5/13」の3枚は確認できた。見落としならいいが、何を現す標識か分からず、何の参考にもならなかった。笹目尾根分岐を通過し、13時16分、風吹大池(標高1770m)に到着した。池畔の風吹山荘はこぢんまりとした山小屋で、太陽光パネルが工夫して張られていた。
ここから先の笹目尾根はオップダウンがほとんどない尾根歩きと300mの下りになる。ガスが巻き、霧雨が絶え間なく降り注ぐ。フスブリ山のトラバース道は湿原となっていて、登山道は水たまりの泥沼が連続していた。全身びしょ濡れ、靴の中も水が入り込んでいたので、泥沼なんて気にせず直進した。左足のある一歩が… 地面の感触がなく… 膝上まで沈み込んだ。恐るべし、底なし泥沼。木道の他にも恐ろしいものが潜んでいた。それからは泥沼を避けようとしたが全部回避することはできず… 「右足1回」と「左足1回」はくるぶしまではまった。35年前の地図には書かれていない笹目尾根の登山道は、ルートとして整備されているが、雨のときには難路となる。二度と歩くことはないだろうが…。
15時00分、エネルギーチャージしてから300mを一気に下り、15時35分に風吹大池入口の車道に到着した。むき出しの木の根で滑って転びながらも、気持ちが切れないことを意識した。ここからアスファルトの車道を3辧30分歩いて、16時01分、蓮華温泉駐車場に帰還した。この道路の歩きが一番辛かったかもしれない。「乗っていきますか?」と声をかけられたら迷わず乗せてもらっただろうし、タクシーでも乗り込んだかもしれない。結果的には、天狗原からは誰とも会わなかった。ヤッパリ、そんなルートだったのだ。
トレーニング不足は明らかだったが、コースタイム通りに9時間で歩き通すことができた。気分が乗らなかったら白馬大池から引き返す気持ちもあったけど、結果的に予定通り歩き切れたことがなんとも言えず嬉しい。新潟県は湿度が高いイメージがあったが、今回で確信に変わった。
蓮華温泉にはもう一度必ず来る。そのときは栂海新道を日本海:親不知まで歩ききる。
コメント
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kumahigeさま、初めまして。
ようこそ、蓮華〜大池〜風吹コースへ。
翌々日、私も蓮華ルート(バス停から直接)で行きましたが、人がほとんどいません。
判別つかない野生動物はいましたが。
人が溢れる北アルプスとは思えない過疎・・もとい秘境オブTHE秘境ルート。
靴はドロドロになり可哀そうでした。
バス停から蓮華までは遠いですね。
誰か拾ってくれないかな・・・と私もブツブツ言いながら行きました。
そうです、新潟は降雨量はんばないです。
長野に行くと、カラッとしていてとても隣県とは思えません。
湿っていてお肌には良いので、ぜひまた蓮華においでくださいませ。
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