【雲の平】新穂高温泉〜三俣〜雲の平〜高天原 往復
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- GPS
- 56:00
- 距離
- 44.9km
- 登り
- 3,266m
- 下り
- 3,281m
コースタイム
【2日目】三俣山荘テン場4:46⇒5:10黒部源流5:10⇒7:13雲の平山荘7:23⇒8:51高天原峠8:51⇒9:35高天原山荘⇒高天原温泉往復⇒高天原山荘11:11⇒13:30岩苔乗越13:35⇒14:37鷲羽岳14:37⇒15:39三俣山荘テン場
【3日目】三俣山荘テン場5:22⇒6:00三俣峠6:00⇒7:13巻き道分岐7:13⇒7:25双六小屋7:35⇒8:33弓折乗越8:35⇒9:15鏡平山荘9:31⇒12:03ワサビ平小屋12:15⇒13:13新穂高温泉
*このコースを日帰りする記録を見ましたが、エイリアンとしか思えません・・・
天候 | 4日・・・午前中は晴れ時々曇り、午後はガス 5日・・・午前中は快晴、午後は曇り 6日・・・ガスのちずっと雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2011年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
特段、道に迷うような場所もなければ、危険な箇所もありません。 ただ雲の平は良くも悪くもアプローチが長く、本来は上記コースを4日間で行くのが心身ともにゆっくりできるかと思います。 |
写真
感想
今年も本格的な夏山シーズン真っ盛りになりました。
今夏の山行計画を立てるにあたり幾つか候補を挙げましたが、とりあえず最初は今まで行ったことがなく、また比較的危なくなさそうな雲の平へ行くことにしました。
昨年の夏山はいきなり北鎌から始め、一昨年同様に足の爪を4本も剥ぐ痛々しい結果となり、その後1ヶ月ぐらい山へ行く気がしなかったので、最初は易しい山行にしようと考えていました。
今回考えているルートは、
8月3日(水):夜に自宅から新穂高温泉まで入る
8月4日(木):新穂高温泉〜鏡平〜双六〜三俣山荘テント場
8月5日(金):テント場〜雲の平〜高天原〜岩苔乗越〜テン場
8月6日(土):テント場〜双六〜鏡平〜新穂高温泉
です。
ホントは4日に双六に泊まって5日は高天原、6日に双六へ戻って7日に下山、がオーソドックスな流れなのでしょうけど、休みもそう多く取れず上記日程で強行しました。
【1日目】
8月3日(水)の夜に自宅を出て、新穂高温泉には1時ごろ着きました。無料駐車場があると聞いていて、あっさり見つかったのはいいのですが、平日の夜中だからガラガラだろうとタカをくくっていたらほとんど満車で焦りました。
早速車中で仮眠を取り、翌朝4時には起きて5時前には出発。まずは登山道をダラダラと鏡平方面に向かって登ります。
最初は上高地〜横尾のような、いやもっとフラットでアップダウンのない林道をひたすら歩くと、やがて笠ケ岳への分岐を経てワサビ平に着きます。
そのまま歩き続けると。やがて道は車が通れないような幅となり、ゴロゴロとした道に変わり、いよいよ登山道という感じになってきます。
ココからずっと上りの道となります。
出発前の予報では、今日は曇り、明日は曇り時々晴れ、明後日は晴れ時々曇りと聞いていたので、今日の天気は期待していなかったのですが、早朝だからかまずまずの天候です。陽も射す中をどんどん高度を上げていきます。
ひと登りすると秩父沢というところに出ます。みなさんここで1本とるようです。私もココでザックを下ろし、行動食をサッと腹に入れて先に進みました。
さらに高度を上げていくと、イタドリケ原とかシシウドケ原とかいう休憩ポイントがあります。
鏡平には9時半前に到着しました。ココは鏡池に槍が映し出されることで有名なスポットですが、確かに山の中にこれだけの大きな池があって山が映し出される様は一見の価値が有りますが、あいにく雲が多くて逆さ槍は見えませんでした。帰りの明後日は天気が良さそうなので期待しつつ先に進みます(実はこの日の方が良かったのだが・・・)。
さらに登りは続きますが、ようやく弓折乗越という稜線に出ました。ここまでは結構登り一辺倒だったので疲れました。
ここからは稜線通しとなりますが、槍や穂高のような岩稜帯ではありません。小さなアップダウンはありますが、比較的穏やかな稜線となります。1時間ほど歩くと双六小屋が見えてきました。両手両足で登るような稜線もスリルと達成感があっていいですが、こういうノンビリと行く稜線もまたいいですね。
やがて双六小屋に到着。ココから三俣や槍など色々な登山コースの中継点となっているため、たくさんの人が休憩しています。テン場は見晴らしの良い場所にありますが、微妙に斜めっている感じもします。ここにテントをデポって周囲に出かけている人も多いと思いますね。
ここから短いですが急登となることが小屋からうかがえました。じっとしてても目的地には着きませんから(笑)意を決して登りにかかります。20分ほどで上に上がると、そこから三俣方面へ行くルートがいくつか分かれていますが、だんだんガスって展望もきかなくなってきたことや急登を経てハアハア言ってたことからあたいは迷わず一番ラクで時間的に短くて済む巻き道を選択(笑)。今日は誰も稜線コースは選択していないみたいでした。
ここから三俣峠まで巻き道ルートをとったわけですが、平和なトラバースかと思いきや、意外にアップダウンがある道でした。今回の雲の平行きは“雲の平”という高原的なイメージから道という道はアップダウンのない木道を歩くようなイメージができあがっていたんですけど、雲の平周辺はともかく、当然そこに至るまでの道はそれなりに体力を必要する道で、イメージと違う道に戸惑いながら三俣峠に到着。
またこのあたりからほとんどガスに覆われてきました。
ただここまで来れば三俣山荘はもうすぐです。ガスっている中を山荘方面へ下降。やがてガスの中からカラフルな色のテントが見えてきました。目標が見つかると足も動きます(笑)。
テントサイトは見えたのですが、山荘が見えない・・・ 山荘はこちら側から行くとさらに奥になるんです。鷲羽岳から来ると山荘の前を通過するんですが、ガスっていると三俣峠方面から来るとわかりずらいですね。
テントサイトは山荘から1分ほど離れた、緩やかな沢沿いにあります。近くには美味しい水場もあるし、この日は風もなく、とても快適なサイトです。ただトイレは小屋まで行かないといけませんが。
その山荘のトイレですが、木の香りのする、涸沢ヒュッテ以上にキレイなトイレでした。山荘の部屋は標準的っていうところでしょうか。
まずは2泊の寝床となるテントサイトを確保。ちょうど川べりになり、水場まで20歩(笑)。平日なのであまりテントの数も多くありません。
早速夕飯。水が豊富と聞いていたのでメニューは素麺(笑)。重たかったけど大きめのコッフェルを持参、これで素麺を湯がき、豊富で冷たい山の水で素麺を冷やします。これも普通の山行では持ってきませんが“ざる“に盛って雰囲気を出し(笑)、持参した”めんつゆ”でいただきます。いやー、冷えてウマイうまい!
夜になるとすることもないので、そそくさに寝ました。
【2日目】
翌日は3時半に起きて4時40分ごろに出発。天候は良さそうです。
この日はメインイベントとも言える雲の平から高天原まで行って戻るコース。地図上で見ると12時間近くの所要時間がかかるようなので早めに出ました。当然テントやシュラフなどはテント場にデポし、水とカッパ、行動食などを入れて出発。
まずはテントサイトの沢を黒部源流方面へ下ります。30分ほど下ると、他人さんのブログなどでよく見る碑がありますが、しかしココが源流じゃないだろ?と突っ込みを入れたくなるのは来た人みんなが思うハズ。だってテントサイト方面から流れてきているのだから、三俣蓮華岳あたりの山腹にある雪渓近くに碑があるならわかるのですが・・・
ココからいよいよ雲の平へ向かいます。地図を見ると目の前の山(祖父岳?)の左側から回りこむような感じのようです。ココでも私は山腹を緩やかにトラバースするもんだと思って川を渡り先に進みました。
しかしココでも期待は裏切られます(笑)。どこをどうみてもトラバースらしい道はありません。見えるのはテントサイトから下る時に見えた一筋の直登っぽいガレ場だけ。まさかと思いましたが、そのガレ場を登るようです。朝から思いやられるなぁと思いながら登りました。
ふと振り返ると尖峰が見えてきました。槍ヶ岳です。やっぱ槍はカッコいいなーと思いましたね。今年1回は行ってみようと思います。
やがてようやく登りきり、ハイマツ帯を抜けると大きな雪渓がありました。この雪渓の脇から流れ出ていた水のうまかったこと! 今回のルートはホント水には困らないし、またその水がみんな美味しいんです。
しかし朝早いからか雲もなく絶好の山行日和です。遠くの山々まで見渡せます。
雪渓を過ぎるとやがて木道となります。この風景が行く前からイメージしていた雲の平です。
と、突然左の脇でガサッガサッと物音がしました。相手も驚いたと思うのですが、こっちも予期せぬことに大変驚きましたが、よく見ると・・・
雷鳥でした。雷鳥は学生時代に東鎌尾根で1度見たきりでしたのでこの遭遇は大変嬉しかったです。雷鳥は母親+雛数匹でした。私が驚かせたせいか雛が散り散りになったようで、親鳥が迷子になった雛を探しているようでしたので、私が長居するとかえって迷惑になると思い、写真だけ撮らせていただいて先に進みました。
このあたりから祖父岳分岐を過ぎ雲の平山荘までの区間は、雲の平のイメージ通りの素晴らしい景色でした。アプローチ地点から1日は歩いてこないと来れない場所とは言え、日本にこんな素晴らしい場所があるんですねぇ。やがて雲の平山荘も見えてきました。
どんどん高山植物保護のためと思われる木道を歩きます。天気もよく、マイナスイオンをいっぱいに浴びて心の洗濯をしているようなトレイルです。天気もよく最高の気分でしたね!
7時過ぎに雲の平山荘着。昨年建て替えたばかりというだけあって、ウッディーな雰囲気で良さそうな山小屋です。木の香りもするし、一度は泊まってみたい小屋ですね。
ジュースを1本飲んだあと、いよいよ最果ての秘境・高天原温泉へ向かいます。
雲の平山荘から木道へ降り、そこから丘を登り返したその時、目の前にモゾモゾ動くものが目に入りました。
雷鳥くんです(笑)。でも今度は先ほどの母親鳥+雛ではなく1匹だけだし、やたら大きいのでオスのようでした。近づくとゆっくり逃げますが、のんびり歩いている様子でした。ウチにもインコが2羽いますが、癒されますねー。
やがて急下降のルートに入りました。雲の平から高天原へは下降するとは聞いていましたが、いや、ホント下るんです。「こんなに下るなんて聞いてないよ〜ぉ」「これだけ下るということは、登り返すんだよな・・・」など悪いことばかりを考えながら歩いていくと高天原峠に到着。
ここからさらに下りつつ高天原山荘方面へ向かいます。こんな奥地に人なんて通るのか?と思えるような山奥・・・ よくもまあこんなところに温泉があることがわかったよなぁ・・・などとブツブツ考えながら歩いていくと、やがて川を渡り、広い草原地帯に出ます。とても日本とは思えないような牧歌的N風景でした。
こんな山奥に山小屋があるなんて正直驚きですね。ココも昨年か今年建て替えたようできれいな山小屋でした。
とそこに突然ヘリが荷上げに来ました。こんな間近で荷上げを見たのは初めてでしたね。
いよいよ秘湯の温泉へ向かいます。こんな山奥で温泉というのも風流だなぁと思いながら進むとやがて河原に出て温泉が見えます。対岸に簡単にスノコを敷いた脱衣所などはありますが基本的には野趣的なたたずまいの温泉です。左岸にも露天がありますが、こちらは周囲から丸見え。この歳になれば別にどうでもいいのですが、せっかくなので両方入りました。ただ左岸の露天は何か入ると底から色々なモノが浮き上がり、すぐに出ました(笑)。
高天原山荘まで戻りましたが、テント場までの復路は往路とは違う道にすべく、最短で戻れる岩苔乗越経由のルートとしました。
ところがこの岩苔乗越への登りが高天原への下りの時点でわかっていたとは言え思った以上にキツく、結構堪えました・・・ 途中で沢水などでのどを潤しながら、なんとか岩苔乗越に到着。
岩苔乗越に到着する前は、この日は岩苔乗越から黒部源流へ下り、あの碑のところから三俣山荘へ登り返すつもりでした。で、山へ出発する前の予報では一番天気が良さそうな明日に鷲羽岳へ行って鷲羽池を見てからテントを撤収して新穂高温泉へ戻ろうと思っていたのですけど、岩苔乗越に着いたのが13時半だったので思ったより時間的な余裕があったものですから、ココから鷲羽岳も行ってしまおうと考え、ルートを変えました。結果的にはこれが良かったことになります。
鷲羽岳へは途中でワリモ岳を経ねばなりませんが、岩苔乗越にいた時点は頂上が少しガスっているかなという程度だったのに、頂上に近づくとかなりガスってきてしまい、鷲羽岳の頂上に着いた時は回りは何も見えず・・・
とっとと下りましたが、途中で目当ての鷲羽池が見えました。写真を撮った地点あたりから池畔まで降りる道筋がついていました。
あとはもう三俣山荘へ戻るだけです。ザレた道ですがゆっくり下りました。
この下りで朝に雲の平へ向けて登った、トラバースルートと思っていた道の全貌が見えました。こりゃトラバースじゃないですよね・・・笑
山荘には15時半ごろ到着。しばし近くにテントを張った方々と談笑。でも山荘の天気予報によると明日は雨とか・・・ あれ〜、明日が一番天気良かったんじゃないの?!と思ったのですが天気には勝てません・・・ カレーとパスタの夕食を済ませると、ちょうど薄暗くなってきたのでサッサと寝ました。
【3日目】
夜中2時ぐらいでしたか、ザッと雨が降り始めました。眠気まなこのおぼろげな中で「あ〜、予報通りなんだ・・・」と思いましたが、まだ真っ暗なのでそのまま寝続け、4時ごろにフライシートを開けると、やはり雨・・・
けど結局雨でも自分の足で歩いていかないと新穂高温泉には戻れません。バスもタクシーも来ないんだから。
朝ご飯を食べ終わるころには霧雨状態となり、身支度をしていると雨はやみ、遠くには青空も・・・ やはり今日は天気良いのか??
結果論ですが、昨日鷲羽岳に登っておいたのが正解となったのです。
5時半ごろ出発しましたが、途中からやはり霧雨状態となり、双六小屋に着く前にはカッパなしでは厳しい状態に・・・
持参したストームクルーザー、初めての出番です。けど土砂降りでもない限り、この季節は風さえ吹いていなければカッパがあってもなくてもあまり変わらないとその後に気づきました。
その後は休憩しても雨に濡れるだけなので、弓折乗越から鏡平山荘、ワサビ平を通り、新穂高温泉に戻ったのは13時ごろでした。駐車場へ戻ると車で溢れかえっており、中にはこんなところに停めるか?という場所に停めてある車も・・・
車に戻って着替えていたら、バケツをひっくり返したような土砂降りになりました・・・
今回の雲の平山行で感じたことは、こうしたなだらかな高原地帯をノンビリ歩く山行もまた良いなと思いました。軽量化をあまり気にせず、食材もふんだんに持って行けますし。これまで槍・穂エリアに偏った山行になりがちだった私の山行ですが、もっと色々な山へ行けば、他にも素晴らしいルートやテント場があるんだろうな、と思いました。
次回山行は夏休み中を考えていますが、さすがに3日間の山行は疲れましたので、少し間を置くかもしれません。
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この記録に関連する登山ルート
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雲ノ平山荘前ですれ違った「枯葉」です。
その節は三俣の情報をありがとうございます。
私は今度の週末、テント山行初体験で北岳です。
あの大きなザックで山を歩く人は
えらいなあ、といつも思っていました。
小屋泊まりが偉くない、ということでもないんですが・・
また、テント泊の楽しさをいろいろお書きになってください。
私は自転車が長いので、やはりイタリアは山も車輪も憧れです。
テント泊ばかりやっている私から見れば、テント泊よりトレランで信じられないほどの短い時間で山を登り降りする人たちの方が凄いなぁ、と思います。
なのでトレランの人からすれば、テント泊なんてたいしたことではないですよ、きっと。
昨年私も北岳に行きましたが日帰りでしたので、テント泊ならなおさら時間的余裕はあると思いますから、モノ足りなくて日帰りで広河原まで下ってきちゃうかもしれませんよ(笑)。
私は来週、3年連続の槍ヶ岳を狙っています。おそらく誰もいない、幕営箇所でもない場所でのテント泊ビバークとなるでしょう・・・
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