緊急時にどうするの?快晴の天狗岳だったけれど
- GPS
- --:--
- 距離
- 8.4km
- 登り
- 863m
- 下り
- 851m
コースタイム
天候 | 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2017年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
登山届ポストは唐沢鉱泉の玄関前にあります。 桜平との分岐〜唐沢鉱泉の道は凹凸がかなりあり車高の低い車は低速で走っていました。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
第2展望台付近は霜どけで泥濘んでいました。また、西天狗岳山頂もかなり泥濘んでいました。 西天狗岳の西尾根は第2展望台から先は直登に近い岩登りです。東天狗岳から天狗の奥庭(すりばち池方面)は黒百合ヒュッテ手前まで岩の上をかなり長く下ります。○×表示や矢印も消えかけているところが有り、道が分かりづらいところもあります。視界が悪いときは要注意です。黒百合平〜唐沢鉱泉も鉄橋や木道も整備されているところもありますが、特に渋ノ湯方面への分岐ぐらいまでは段差のある岩の上を歩きます。 |
その他周辺情報 | 唐沢鉱泉700円で温泉に入れますが今回は利用しませんでした。 |
予約できる山小屋 |
黒百合ヒュッテ
|
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
ソフトシェル
タイツ
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
雨具
ゲイター
日よけ帽子
靴
ザック
ザックカバー
昼ご飯
行動食
非常食
飲料
計画書
ヘッドランプ
常備薬
保険証
携帯
時計
タオル
ストック
サングラス
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共同装備 |
ライター
地図(1/25000地形図)
コンパス
笛
ファーストエイドキット
ロールペーパー
ツェルト
ナイフ
カメラ
水2ℓ
ガイド地図1/50000
|
感想
アクシデントがいろいろあった山行でした。そしてツアーを先導するには何を考えなければならないかあらためて勉強させられた登山でした。
11月3日(金)4日(土)で会の仲間たちと北アルプスの蝶ヶ岳へ1泊で出かける計画を立てていました。前日の夜8時までいろいろなサイトの天気予報を確認し、予想天気図を見ると列島を挟んで日本海と太平洋に低気圧、いわゆる二つ玉の低気圧が進んできて下山の4日は朝から風雪がかなり強まりそうです。二つ玉低気圧は秋の終わりから冬にかけて特に北アあたりでは荒れた天候になりやすく、遭難も多発しています。
今回は山登りレベルアップを図っている、それも雪には慣れていない仲間を案内して出かけるので、安全を考えて急遽取りやめ、日帰りで天狗岳を目指すことにしました。標高自体は蝶ヶ岳とあまり変わりませんが、3日は好天が予想され、地理的にも北アほど雪の影響は無いこと、僕が昨冬に積雪期でしたが2度登っているのでルートは分かっていることを考えて天狗岳にしました。僕は多くの仲間と一緒に行くときは基本的に自分が登ったことのある山を案内することにしています。(当たり前のことかもしれませんけど)
前日の晩にあわてて計画書を作り直し、地図を準備して会の仲間にその旨を連絡しました。
当日朝、天狗岳登山口に車で向かっていると空が焼けて八ヶ岳のシルエットとともに美しく輝きはじめました。この美しさはほんのわずかしか保たない事が分かっていたので、仲間に、「ちょっと車とめて写真撮ってもいい?」と断って、フルサイズのカメラを取り出しました。が、シャッターが切れません。「あれ?」と思いながら何度か試している間に空の色が褪せ始めてきてしまったので、コンデジに変えて何枚か撮影しました。後で確認したらメモリーカードがフォーマットされていないだけだったので、なんとも残念な思いでいっぱいになりました。
さて、駐車場到着。空いていたのは2〜3台分。そこに停め、準備をして出発です。今回も、1月に上った西尾根から反時計まわりのコース。ただ、今回は中山峠を通らず、東天狗岳から天狗の奥庭を経て黒百合平へ下山することにしました。天狗の奥庭は、1月の時、黒百合ヒュッテから登って、夕景を撮影した場所です。
第一展望台まで来ると仲間の一人の体調が今ひとつということでした。西天狗への直登では、やたらに眠い、息切れ、気持ち悪いという状態だったようで、どうも初期の高山病かなという感じです。その日の体調によって、あまり高くない山でも症状が出ることは僕も体験しています。僕の場合は2000mに満たない谷川岳で何年も前に経験しました。とてもよく似た症状です。でも、山頂間近だったので、山頂へ登って休憩をして食事をしたらだいぶ治まってきたようなので安心しました。
西天狗の山頂はかなりぬかっていました。冬に来たときはハイマツが雪の下で一面雪だったので、ずいぶん広い山頂のイメージがありましたが、思っていたほどではありませんでした。
空には雲ひとつ無く、風も穏やか、気温もまあまあで絶好の登山日和です。空気も澄んでいて北ア、中ア、南ア、南八ヶ岳、北八ヶ岳とガスもかからずに360度の美しい展望です。本当なら登っているはずの蝶ヶ岳やその隣の常念岳もくっきり見えます。今日登っていたら雪をかぶった槍穂の美しい姿が目の前に見えただろうなとは思いますがしかたありません。今日はいいけど、明日が心配だったのです。
軽く食事をして、東天狗へ登り返します。西天狗の下りも冬はしっかり雪に覆われ岩が見えなかったので、こんなに岩がゴロゴロしていたのか・・・と思いました。雪があった方が登りも下りも楽だったなと思いました。
東天狗はやや風がありましたがそれでも、冬の時ほどではありません。気持ちのよい山頂からの眺めです。
東天狗からは天狗の奥庭へ。溶岩の固まった大石がゴロゴロしていて歩きづらい下りです。山道の目印も薄くなっていて見えづらく、ガスっていたら困るだろうなと思いながら下りました。
黒百合ヒュッテで休憩、遅い昼食後に下山です。そこで、ハタッと気づきました。前夜あわてて作った計画書をみんなに渡してありませんでした。もう、あとは下山だけになってしまいましたが、あわてて渡しました。
その計画書を見て「唐沢鉱泉までの下山にこんなにかかるの?」とメンバーから質問がありました。ガイド地図の標準タイムは「渋ノ湯分岐」まで45分、そこから唐沢鉱泉まで40分の合計85分となっているのですが、計画書では150分を見てあります。「最後に疲労も溜まっているだろうし、何かあったときに対応できるようにかなり余裕を持って計画してあるよ。」といいました。日没も早くなっているし、到着が早くなるには何の問題も無いけれど、ぎりぎりで計画をして暗くなってしまったらステップアップ中の皆は大変だと思うからです。ヒュッテ出発はこの時点で予定より25分ほど遅れていますが、まあ、なんとか予定時間では下山できるかなとも考えていました。
さて、天狗の奥庭を経ての下山で「岩はもう嫌い!」と言っていた仲間に「黒百合平からは岩は少ないよ」と言ったものの、いざ下山に取りかかると大岩ゴロゴロの上を歩かなければなりませんでした。実は、ここでも僕には冬山の、雪に埋まってわりとフラットな下山道のイメージがあったのでそう言ったのですが、大きな間違いでした。結果的に嘘つきになってしまいました。
下山していると今度は別の仲間の体調が悪くなってしまいました。頭痛、吐き気・・・貧血気味の症状。ゆっくりゆっくりペースを落として歩きます。かなりつらそうですが、気力を振り絞って歩いています。
僕は少し前に「山の突然死」という本で、体調が悪いと言って途中で休んでいるうちに心肺が停止してしまったという事例を読んでいたので、「もしも」の事を考えてしまいました。緊急時にどうするか、メンバーにはどういう指示を出すか、どうやって救助要請をするかなど色々なことを考えながら、そして時々立ち止まっては様子を見ながら下山しました。顔は色を失って真っ白です。僕は道案内で危険箇所を確認しながら先頭で歩き、サブリーダーが付き添いながら歩きます。顔は血の気が引いて真っ白です。本人曰く、「頭痛持ちで夕べから少しおかしかった。時々こうなるけど、山でははじめて」ということです。とはいってもかなりつらいはずです。
とにかく様子を見ながら、休憩も途中で取りながら、体調を確認しながら下山します。
幸いなことに、辛そうでしたが、計画よりも45分遅れでなんとか下山。帰りの車の中で睡眠をとると回復したようで一安心でした。帰りの車を運転しながら見る北アルプスの上空は雲が美しく焼けてきれいな夕焼けになっていました。予定通り蝶ヶ岳で宿泊していたらきっと美しい夕景をみんなに見せてあげられたんだろうなとも思いましたが、下山時の天気が心配だったのでこれでよかったのだと自分に言い聞かせていました。予報が変わって、たとえ、翌日下山時に荒れた天気になっていなかったとしてもそれは結果論だと・・・
今回も色々なことが勉強になりました。みんなと一緒に出かけるときは天候を読みながら安全第一で判断すること。そして仲間の体調管理、さらに緊急時への対応の準備、心づもり。想定できるものはしっかり想定して対応を考えておかないといけないこと。CL(というほど大げさなものではないけれど、でもやっぱり立場的にはそうなってしまう)として行く限り、仲間の安全をしっかり守らなければならないなあ、まだまだ勉強しなければならないなあ・・・と思い知らされました。
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