石尾根から雲取山
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- GPS
- 12:00
- 距離
- 34.9km
- 登り
- 2,618m
- 下り
- 2,394m
コースタイム
天候 | 晴れのち曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2011年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
危険個所 トラバースの斜面、特に狭くて崩れやすい場所でスリップ、踏み外しに注意。 道迷い箇所 奥多摩の街中から登山道に辿りつくまでが一番気を使った。山中の分かれ道では十分に道案内があったと感じた。石尾根では踏み跡が複数に分かれたところが随所にあり、どこでも歩けるが油断すると歩きにくいところに行ってしまう。特に夜間歩行では。 |
写真
感想
所用がいつくか重なって1週間ほど東京に滞在することになったが、途中の空いた一日で山に行くことにし、30年ぶりの雲取山を考えた。日帰りなら鴨沢往復あたりが定番だろうが、自動車の足がないので、鉄道の駅から取り付く石尾根に挑戦することにした。長いコースなので早出にしたいが、滞在先からだと始発でも奥多摩駅朝7時になり、これではちと遅い。ということで終電で奥多摩駅に行ってそのまま歩き出すことにする。
深夜の奥多摩駅に着き、水を汲んで装備を点検したりして、さて行きますか。駅前から登山口までの道筋が一番迷いやすいのだが、昭文社山と高原地図「奥多摩」には奥多摩駅周辺の詳しい地図があって、これのおかげで大分楽に道を探せた。林道歩きでは途中近道があったのに、見つけずに若干遠回りした様だが。9月10日のyasuhiroさんの記録には「石尾根への入り口林道にて土砂崩れ」とあったがどこだか分らなかった。山道への取り付きは複数ある様なので、私は違うところから入ったのだと思う。
十五夜から5日後の月が出ていて、月明りで周りが見えるところもあるが、殆どが樹林の中なのでヘッドランプを消すと真っ暗だ。登山道入り口には熊注意の掲示があったので、物音がすると何だろうと緊張する。声で猿かなと分かった時もあったが、大概は姿も見えず、何だかわからない。道は濡れたりしてはいなくて歩きやすい。
六ッ石山は分岐からの往復になりパスしても良いのだが、山頂まで行って見る。まだ暗闇の中、この日初めての標識のある山頂だ。しばらく前から眠かったので、ベンチでもあれば眠気取りの仮眠をしたいと思ったが、ここには何もないので先を進む。水根山へは、途中から木が刈り払われた防火帯の道となり、5時過ぎて次第に空が明るくなって来た。真後ろが東の空で、防火帯のすき間から朝焼けが始まった。
水根山に着いたが、山名の木札が立ち木に取り付けてあるだけで、本当に何もない山頂だ。ヘッドランプが要らない位の明るさになって来て、日の出はもう直ぐの様だが、鷹巣山への尾根道を行く。5分後に、木の間から昇る太陽がついに見えた。撮影適地を探しながら登り続け、折良く富士山展望ポイントを見つけて、しばし撮影タイム。朝焼けの富士なんて何十年ぶりだろうか。眠気も一旦は吹き飛んだ。
夜明けのドラマを見終えてから、15分位で鷹巣山に到着。休憩中に水根山側から一人登ってきて、この日初めて人類との遭遇となった。その後は泊まりがけの人も下りて来るし、何人もの人と会うようになった。七ッ石山までも大体似たような、防火帯を含む尾根道を歩き、七ッ石山を過ぎるとようやく雲取山が見えた。山頂の避難小屋がはっきり判る。奥多摩小屋とその近くでテント泊の人達と挨拶を交わし、一登りで小雲取山、雲取小屋への分岐を過ぎていよいよ雲取山頂への最後の登りだ。一旦樹林の中の道になり、次に避難小屋が見えるとそれはもう目の前、標高差30m位だろうか。時刻は9時5分前、9時前に確実に着けると思ったが、ダッシュ気味に登って9時2分前に小屋に到達。すぐ近くに山頂標識らしいのがあって、ここでゴール!と思ったが、よく見ると山頂は右に折れてもう100mほど先にある。これゃ大変だ、と本気でダッシュして8時59分40秒、本当の雲取山頂に見事到達した。まぁ、9時に間に合わなくても別にどうということはないのだが、気分の問題だけで。奥多摩駅を出発して8時間でしたね。
避難小屋のベンチでしばし休憩し、次にどちらに進むか考える。候補としてさらに飛龍山まで進んで丹波に下りる「大構想」もあったが、近い鴨沢ルートに決定。まだ10時前、残り標準タイム7時間の飛龍山ルートも可能かとも思ったが、東京に戻って夕食の約束があったのと、バスの時間を調べてなくて何時に帰れるか分からないので止めることにした。七ッ石山までは晴れて遠くが見えていたが、雲取山では曇って来て遠望はなくなり、夕方雷の予報も出ていたのでもう早く下りようとも思った。三条の湯コースは後山林道が土砂崩れ通行止めと書いてあるし、日原に下りるコースも大ダワ林道は駄目みたいだ。やっぱり鴨沢しかない。
七ッ石山の手前まで元来た道を戻り、鴨沢への下山路に入る。こちらから昇ってくる人は多い。石尾根に比べてもさらに道はしっかり・はっきりしており登山者の多い主要道に違いない。ともかく樹林帯の変化のない道をひたすら下りるだけである。小袖山の辺りから左手下方に舗装された道路が見えてきて、次第に近づき、ついにその道に出た。一旦舗装路歩きになるが、小袖乗越に近道の標識があり、また山道を歩いて鴨沢の部落に到達。間もなくバス停「小袖川」に着いた。ラジオでは「今日も残暑が厳しく、30度を超えます」と言っていたので、標高を下げる毎に暑くなると予想していたが、不思議なことに涼しいままで一向に暑くならない。ところが舗装路に出ると途端にウワーッと言うほど暑くなった。これは普段の夏山の経験とは明らかに違う。一旦涼しくなってからの残暑のぶり返し、山林は冷気を貯めこんでいたのだろうか。
バス時刻を見ると、奥多摩駅行きのバスが来るまで1時間以上ある。この区間はバス便が少なく、少し下流の留浦からの方が本数が多いのでそこまで歩くとよいと、昔からガイドブックに書かれ、山の中の案内図にも書かれているので、留浦まで歩いた。しかし留浦のバス停に着いて判明したのは、午後は丹波からの最終便の後にもう一本留浦から出るだけで、他は何にも変わりがないということだった。その点は平日も休日も同じ。まあ大した距離じゃないし留浦にはお店もあるからがっかりはしなかったし、ともかく夜中から12時間の修業は終わった。待つ間に近くの食堂でビールとつまみをいただいて、奥多摩湖にかかる浮橋を散歩して、退屈した思いはなかった。しかしバスが来る10分前にバス停前の椅子に座って、待っている間に眠ってしまい、バスがほんの数メートル先まで近づいてやっとその音で目を覚ました。
5年前から富山に住んで、北アルプスを代表とした北陸周辺の山ばかり登っていた。久しぶりに関東の山に登り、だからと言ってバカにしていたわけでもないが、石尾根の登りは予想した以上に体力を要した。標高差は正味1700mだが行程が20km以上と長く、登り返しも入れれば2000m以上の登りになる。その日の体調、夜間登山の影響もあるかも知れないが、登りだけ見れば標高差2200mの剱岳早月尾根よりも大変だった様に感じた。
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