磐梯山(翁島口から往復)
- GPS
- --:--
- 距離
- 5.9km
- 登り
- 1,047m
- 下り
- 1,044m
コースタイム
- 山行
- 6:30
- 休憩
- 0:50
- 合計
- 7:20
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2018年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
せっかくアイゼンの爪を研いで冬山に備えたのにその機会が無い。せめて訓練の真似ごとくらいはしなければ、と思ったが適当な場所が思いつかない。里山では、アイゼンを必要とするようなところは無いし、高山ではそこにたどり着くことさえ無理であろう。いろいろ考えてみて磐梯山ならば、との結論に達した。磐梯山は、私が初めて冬に登った山であり、登山という名に相応しい初めての山行も磐梯山だ。前者は東尾根、後者は翁島口から登った。どちらも、ずいぶん前の話なので記憶は定かではない。しかし、いつかは翁島口からのコースを、アイゼン、ピッケルで登ってみたいと思っていた。アイゼントレーニングなら、やっぱり翁島口だ。
登山口から一直線の登り。なかなかに急斜面だ。あの斜面をアイゼン、ピッケルで、寒風に吹かれながら、喘ぎ喘ぎ登る。考えただけでワクワクして来る。が、しかし、分不相応ではないかとも思う。猪苗代リゾートスキー場が出来て、ゴンドラリフトで標高1200m辺りを登山口に出来る。これを利用すれば、時間的、体力的にかなりのアドバンテージを得られることは間違いない。スキー場内を登ることは出来るのかも含めて、スキー場に照会すると、場内歩行は可能だったが、ゴンドラの運行開始が午前9時だった。土、日などは運行開始が早まるかもしれ無いが不確定である。これはもう覚悟を決めるしかない。
磐梯山は黒々と、これは会津の原風景だ。会津富士とも言われる端正な山容。山腹には、灯りがともる。スキー場の照明だ。猪苗代リゾートスキー場の駐車場には2台の車が停まっているだけだ。スキー場が賑わうのはまだまだだろう。6時出発。このスキー場には何回が来たことが有るが、ほとんど記憶は無い。ザラメの大きな断片のような氷片が敷き詰められているようなゲレンデ。ギャップは無い。こんなに整備されたバーンでは面白味が薄れてしまうんじゃないの、と余計なことを考えてしまうのは、おっさんの証左か。
なだらかなスロープだがペースは上がらない。見た目以上にきついこう配だ。圧雪車が走り出した。振り返ると猪苗代湖が眼下に広がっている。その向こうの峰々は那須山塊か。いい天気、いい光景だ。ゲレンデの最上部から取付く。見た目登り易そうな斜面だ。左手へ進み、右、左と斜上する。木立の中に動くものが。カモシカだ、と思ったら猿だった。こんなところにもサルがいるとは驚きである。磐梯山にサルがいるなんて聞いたことが無かった。いつの間にか急登となる。なぜだ? ルート取りが甘かったのか。自然にダガーポジションの登りとなる。ダガーポジションなどというと“カッコイイ”が、ただの四つん這い、亀の登りだ。わずかな距離だが一気に息が上がる。下りはもっと左側から降りようと思う。
カリッ、カリッと雪面にアイゼンの刺さる音が心地よい。正面には山頂へ雪堤が続く。振り返れば猪苗代湖、会津平が広がる。ぐるりと川桁山・額取山・那須連山・小野岳・博士山。飯豊連峰の白さは格別だ。やがて岩礫帯に入ると、踏み抜きが多くなった。ランダムに積み重なった岩の隙間等が多いのであろう。西から強い風が吹き付ける。独立峰だからシベリアおろしがもろに吹き付けるのだ。
ボコボコした形の雪塊が多くなり山頂が見えて、ようやく着いたかと思えば、また、雪面は続く。そんなことの繰り返しで遅々として進まず。東尾根に登山者がいるのが見えた。上からお二人下ってきた。ここを下ってくる人はいないだろうと思っていたので意外だった。やはり踏み抜きが多いとのことだった。一段と風が強くなった。一瞬、風の止む時があると、たちまち優しい春の陽が体を包む。これがうれしい。吹き付ける風は厳しいが、季節は確実に動いているのだ。
磐梯山は独立峰。360度の展望が広がって、ようやく山頂に立つ。先客が4〜5人。風が半端じゃないので長居する人は殆どいない。私も御同様。食料を掻きこみ、写真をバチバチ取って下る。天気が良くて液晶画面がはっきり見え無いので適当にシャッターを押す。すでに飯豊山には雲がかかり始めた。下りは出来るだけ踏み跡をたどる。風がまた一段と強くなった。下から吹き上げてくる風は半端じゃない。
ゲレンデ近くなると、雪は融けてグサグサの腐れ雪になっていた。腐れ雪だから“ダガーポジション部”も問題なかろうと思ったが、予定通り右手に灌木の中を下り、ゴンドラ駅の脇に出た。風もほとんどない小春日和。都合の良いことにベンチがあり、暖かな日差しの中で大休止。猪苗代湖を眼前に景色を眺めのんびり過ごして下る。
スキー場の方は、ゲレンデの端であれば自由に下りてよいと言われたが、ボーダーやスキーヤーは疎らで、難なく降りることが出来た。初心者よりは、歩いて降りる私の方が確実に早い、わけないか。何年もスキーはやったことは無いが、ちょっともどかしくて、口を出したくなるスキーヤーもいたが自重する。って、当たり前か。見ず知らずの歩いて降りる者が、口を出したら変だよな。結局、全線、長袖シャツとアンダーシャツで登った。スノーシューは使用するところが無く、ゲレンデ内ではアイゼンは使用しなかった。
ゲレンデを横切るところも三か所位あったが、慎重に、今はやりの言葉「お客様ファースト」で下る。最近はやりの“○○様ファースト”は、今やメッキがはがれて「自分」ファーストの感が強いが、私は正真正銘の「お客様ファースト」を貫いて無事下りることが出来た。長年、頭の片隅にくすぶっていた懸案が一つ消えて満足の山行だった。次の山行に、この成果を活かして行きたい。
コメント
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こんばんは。
さすがというか、やはり凄いですね。
地図を見ても、急斜面が続き、「斜面をアイゼン、ピッケルで、寒風に吹かれながら、喘ぎ喘ぎ登る。考えただけでワクワク」に思わず、笑ってしまいました。
そこまでの山好きには、まだ、辿り着けていません。 (^▽^;)
「今度こそ山頂」が何回も続く、その気持ちも”あるある”で、楽しく読ませて頂きました。磐梯山もこの冬行きたいベスト10です。
(リフト使用で、多分、途中までですけどねー) ヽ(^。^)ノ
minkさん おはようございます。
お天気に恵まれて、久しぶりにいい山行が出来ました。今も山行の余韻を楽しんでいます。
「ワクワク」の表現は、正確じゃなかったです。本当に登れるかな〜、とか思って不安な気持ちの方が多かったような感じでした。でも、登らなくては、登ってやるみたいな感じ。ホント、登山って、マゾのスポーツじゃないかと思ってしまいます。
翁島口ルートは、南斜面で雪解けが早いですから登る時期は早いほうがいいんじゃないでしょうか。ルートは全線通して、崖などは有りませんので、比較的安全なルートだと思います。問題は持久力だけだと思いますが、日が長くなっていますので、ゴンドラ利用で余裕じゃないでしょうか。
ではまた。
妙高さん、こんばんは。
青空に真っ白な山頂がとても美しいですね。
いつもながらにストイックな山行が凄いですね。
白く大きな飯豊連峰の連なりがまたカッコよくて。
やっぱりいいなあ雪山は。
楽しませていただきました。
harunonekoさん おはようございます。
山行から帰ると家の周りの雪もすっかり消えていて、こちらにも春がやって来たようです。
新潟から行って会津平に出ると、磐梯山の端正な山容が現れ懐かしさが募ります。ぐるりと懐かしい山やまが取り囲み、あの山、この山と、いろいろ思いだします。青と白、この対比がいいですね。本当にきれいだと思います。ただし、陽射しが強くて日焼けが大変です。今回も日焼け止めクリームは持っていたのに、またも塗り忘れて、鼻がピリピリしています。次回は塗り忘れしないようにしないとね。
ではまた。
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