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Yamareco

記録ID: 149429
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
槍・穂高・乗鞍

北鎌尾根、緊急ビバーグ

1999年07月28日(水) ~ 1999年08月01日(日)
 - 拍手
クマ その他1人
GPS
77:34
距離
28.8km
登り
3,114m
下り
3,439m

コースタイム

●7/29
10:00 中房温泉
14:00 燕山荘

●7/30
10:00 燕山荘
14:00 喜作レリーフ
15:00 大天井ヒュッテ 体力を蓄える。

●7/31
04:00 大天井ヒュッテ 出発
04:30 貧乏沢 乗越(2549m)
  (下りの途中で、飛び出した枝で目を突いてコンタクトを喪失。眼鏡に切替えるも遠近感が掴めず。)
  (天上沢の出合から、天上沢を少し遡行する)
07:00 北鎌沢出合 
  (右俣を詰める。最後の草付きの斜面がきつい。)
09:00 北鎌のコル、北鎌尾根
  (行ったり戻ったりを繰り返し、ルーファイに時間を食いまくる。)
16:30 北鎌平 ツェルトかぶって緊急ビバーグ
  (薄暗くなってきたためタイムアウトとした。)

●8/1
05:00 北鎌平 (朝が待ち遠しかった。)
07:30 槍ヶ岳ピーク -08:00
08:30 槍ヶ岳山荘
12:00 新穂高温泉
-
天候 晴れ
アクセス
利用交通機関:
電車 バス
往路: 7/28(水) 夜行列車ちくま 21:09大阪発
復路: 8/01(日) 記憶に無いが、ぎりぎりの列車を乗り継いで帰った
     (高山で飛騨牛あじわった時、生きてて良かった! と実感した)
-
コース状況/
危険箇所等
●北鎌尾根は厳しかった。我々2人のレベルを超えていた。しかし、緊急ビバーグしたのは大正解だった。

●最大の原因は、体力不足、技量不足、経験不足だ。あちこち行っては行き詰り、また戻っては、疲れて休憩し、また進んでは、高度感にさいなまれてビビリ、心拍数があがって足元もふらつくので、弱い気合を込めなおした。要するに、ルーファイに時間を食いまくった。そのため、北鎌平で薄暗くなってしまって、タイムアウト。大槍に挑戦するのは翌日とした。

●北鎌平は寒かったが、真夏なので知れていた。それでも、ツェルトは自分のカラダが発する蒸気で結露し、ベトベトになった。喉が渇いていたので、何度かその結露を舐めようかと思った。緊急ビバーグは水がないので辛い。

●翌朝、北鎌平から大槍のピークまでは、それまでのルートと比べて、楽勝だった。昨晩は、覆いかぶさる様な大槍の登りにビビッたが、順調そのものだった。気持ちのあり方が、いかに重要かを思い知らされた。

●槍から新穂高温泉までの一般ルートの下りは、抜け殻の様にノロノロと下った。精も根も尽き果てていた。

-
予約できる山小屋
槍平小屋

感想

山行から帰ってきて直後に、一緒だった相棒に送ったメイルをもって感想とします。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――
いま、ヌカガラの様なカラダに鞭打って仕事しています。
本当にお疲れさんでした。
冗談ではなく、今回は『命びろい』、しました。
二人とも、擦り傷程度で帰れたのが不思議なくらいです。

僕の登山感覚から言って、2年前に行った『剣岳北方稜線』が限界ですが、
これと同等か、それ以下と聞いていたので、キタカマを完全に甘く見ていました。
キタカマ尾根は、これを数倍超えていました。
約1年前に、計画を始めてから、雑誌、ホームページ、いろいろな登山家からの情報と。。。
相当に調べ尽くしたつもりでしたが、こんなに過酷とは思いも寄りませんでした。
キタカマの言いだしっぺとして、責任を感じています。

どんな山行にも、主として、体力・精神力・技術力の3つが必要となりますが、
キタカマに関しては、僕は、3つとも下回っていました。
体力は、最初のキタカマ沢右俣登高時に尽きていました。
精神力がもったのは、JUNJIが居たからと、ラッキー以外にありません。
技術力がなくて、ルートに上がれなかった所が、何箇所かありました。
(ハーケンを打って、ルートであることを示しているのに。。。)
ちょっとでも気を抜いたら、オダブツ だった箇所がいくつあったことか!
正規ルートだし行かざるを得なくて、命をかけて『エイヤッ』っと渡った箇所もいくつあったことか。。。
たかがレジャーに、なんという引換ゲームをしたことか!
たまたま二人とも、そのゲームに勝ったからよかったものの。。。。

今回の登山中、最も生命の不安を感じたのは、ルートを見失った時でした。
(トラバース行為などの、瞬間的なドキドキを除いて。。。。)
復旧に一時間以上かかりましたが、これで、ビバーグを決心できました。
つまり、このロスタイムは、いいほうに働いたかも知れません。
ルートに迷わなかったら、大槍に挑戦できる微妙な時間だったので、
多分挑戦していたと思います。時間と、だんだん暗くなってくるのに急かされて、
非常に危険な挑戦になっていたと思います。
実際は、翌日に、じっくりと超慎重に攻めたので、2時間強かかっていました。
ビバーグは寒かったけれども、これで正解です。
また、ツェルトによるビバーグは、自信にもなりました。
今後、この精神的な自信を、登山という方向ではなく、自分の『うつわ』の一つとして、
組入れていけたらと思います。

もう、2度とこの様な山行は、したくありませんが、
今回の山行は、上記デメリットばかりではありません。
まずなによりも、精神力が強化されました。集中力も相当に強化されています。
これも今後、登山という方向に生かすのではなく、人生に生かしたいと思います。
それと、当然、体力も強化されると同時に、この2日間で、体重が6Kも減っていました。

最後に、一番よかったことは、
肉体的、精神的に超過酷な環境において、それぞれが比較的に冷静に判断し、
自分を失うことなく、また喧嘩することなく、協力して、解決にあたれたことでした。
これは、おたがいの『うつわ』によるものでしょう。。。

ただし、今後は、今回のような登山はやめます。
万一(いや、今回は十一)のときの代償が大きすぎます。

以上 平成11年8月2日 記
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
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積雪期ピークハント/縦走 槍・穂高・乗鞍 [2日]
槍ヶ岳/飛騨沢ルート/新穂高温泉起点槍平経由
利用交通機関: 車・バイク、 電車・バス
技術レベル
3/5
体力レベル
4/5
無雪期ピークハント/縦走 槍・穂高・乗鞍 [2日]
新穂高〜上高地
利用交通機関: 車・バイク、 電車・バス
技術レベル
3/5
体力レベル
5/5

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