欅平から白馬岳
- GPS
- 49:08
- 距離
- 31.7km
- 登り
- 3,341m
- 下り
- 2,692m
コースタイム
- 山行
- 8:59
- 休憩
- 0:12
- 合計
- 9:11
- 山行
- 7:00
- 休憩
- 1:48
- 合計
- 8:48
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2018年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
コース状況/ 危険箇所等 |
百貫の大下りでは沢のトラバース路が細く、路肩を踏み抜く危険有り |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
Tシャツ
ソフトシェル
ズボン
靴下
グローブ
雨具
日よけ帽子
靴
ザック
昼ご飯
行動食
非常食
飲料
地図(地形図)
ヘッドランプ
GPS
筆記用具
ファーストエイドキット
常備薬
日焼け止め
保険証
携帯
時計
サングラス
|
---|
感想
思い立って夜行バスで富山入り。地鉄、トロッコと始発を乗り継いで欅平から祖母谷温泉を目指す。
小屋に立ち寄って水の補給のお願いと、ルートの情報をうかがった。登山道入り口から1時間半ほどまでは刈払いしてあるが、沢渡りから先はまだとのこと。「ひたすらトラバースだから気をつけてね」とアドバイスを受けたが、すぐにその意味を実感することに。
入山口からいきなり急登の連続。直登、トラバースの繰り返しでテント泊装備のダメージが蓄積される。沢の水音が聞こえ、そろそろ大休止しよう思った瞬間、おそらく谷側の茂みに隠れた路肩を踏み抜いてしまい、滑落した。
必死の思いで草をつかみ、一度は滑落がとまったが、とても支えきれるようなものではなかった。靴を斜面に蹴り込んで足場を確保しようとしたが、稼げた時間は数秒ほどか。見下ろすと、まだ5mほど沢面まである。そうこうするうちに草が抜けてしまい、再び勢いづいての滑落が始まる。今度こそ、どこで止まるか分からないが、「骨折だけはしないでくれ」と願う。幸い、岩に当たることもなく、沢ギリギリでストップ。足場の土はグズグズで、ザックを外して浮いていなさそうな石の上に移動した。
まずは体のチェック。変に冷静だったことを覚えている。両膝に擦り傷とその他も軽傷。不幸中の幸いだった。沢の上流を見上げるとコースを示すリボンが見える。高度にして20mほど上になるか。目指すべき復帰ルートは見えたが、動揺でひざが震えてしまうのと、メガネを失ってしまい、このまま行動するのは危険だという判断で一旦、休むことに。沢の水を飲んで息を整える。
ザックを担ぎなおせるか試したが、足場が悪く踏ん張れない。ここで待機し、通りがかった人に声をかけることも考えたが、何度か足元の土を払っているうちに、大き目の石が顔を出し、再び荷物を担げるめどが立った。ここでようやく気力も戻り、ルート復帰を目指すことに。
まずはサングラスをかける時用のコンタクトレンズを装着。手に付いていた砂も少し入ってしまったが、その時は気にしている余裕がなかった。視界を確保し、沢の遡行を始める。幸いなことに、登攀が難しい箇所はなく、登山道に復帰できた。
その後は慎重に道を辿り、ようやう百貫の大下りを上りきった。だが、精神的に追い詰められたことで体の動きが重くなり、極端なスローダウン。避難小屋までの距離を確認して、ビバークすることも頭の片隅に上ってきた。日没は19時ごろなので、18時までにめどが立たなければ幕営すると方針を定めて、這うようなスピードで小屋を目指す。GPSに表示される距離をみるたびに絶望しかけたが、不帰山直前の鎖場にたどり着き、何とかなりそうだと気持ちが奮い立った。それでも、なかなか見えてこない避難小屋に心が折れそうになりながら、ついにたどり着いたのは日没ギリギリ。大きなため息がもれた。
小屋には誰もいなかったので、まずは荷物を解いて、水場に降りて、炊事用水を確保。水を汲んでいる最中に顔をブヨに刺されるアクシデントはあったが、大急ぎで小屋に戻って、長い1日が終わった。
翌日、体調に問題はなく、白馬岳に向かって行動開始。清水尾根は登り応えのある道筋で、無理のないペースを心がけて歩く。初日はまったく眺望のない中を歩いてきたが、稜線に出ると後立山連峰から槍、穂高など北アルプスの名峰を眺めながらのお花畑歩きで、滑落から復帰できた喜びもあいまってハイになる。白馬岳山頂宿舎でテント泊の手続きを済ませると、空身で行動できる喜びをかみ締めながら頂上を目指した。雲がわき始めてしまったが、それでもロングコースを歩いてきた達成感に包まれながら山頂からの眺めを堪能した。
テントに戻ると次第に風が強まり、日付が変わる頃には暴風、突風の阿鼻叫喚。ペグは抜け、テント内で必死にポールを支えながら、ひたすら耐え忍ぶ。ほぼ一睡も出来ないまま、夜明けとともに撤収開始。大雪渓を黙々と下り、猿倉に着いたときは心底ほっとした。
帰宅中はしばらく山行を控えるつもりだったが、一つ一つのトラブルを思い返し、自分の力量を過信せずに、また次の山を目指そうという気持ちを取り戻してきた。
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
読ませてもらいました、わたしは23日に通過しましたが、その対岸と思われるところで岩を踏み抜きましたが草をつかんで何とか滑落停止、事なきを得ました。お互い無事でなによりでした。清水尾根上部はよかったですね〜!
はじめまして!
fukatakaさんも危ない目に遭われたようで、無事で何よりでした。
私は、踏み抜いた瞬間のことはあまり覚えていません。気が付いたら斜面にしがみついていました。今まで遭難手記や小説などで漠然とは意識していましたが、初めて遭難とか、死を間近に感じたと言ったら大げさでしょうか。
清水尾根は最高でした。前日、全く眺望のない道を歩いていたので、北アルプスの山々を見渡しながらお花畑を進むことができて気が晴れました。とは言え、旭岳への上りもきつかったですが。
慢心せず、山歩きを楽しみたいですね。
初めてコメントします。「最近の登山で会ったかも」から来ました。
迫真の滑落記事、8/5に下りで通過する予定ですので、ドキドキハラハラしながら読みました。
不帰避難小屋から下は、毎回疲れている午後の時間に下りで通過するので、緊張の連続で疲れが増大しますね。
今回は沢渡り箇所に雪渓が無いようなのでそれだけでも助かります。
登山道の様子が分かり、大変参考になりました。有り難うございました。
避難小屋のノートも読ませて戴きたいと思います。
これからも御安全に山にお出かけ下さい。
初めまして。
沢の徒渉前後で道が崩落しているところがありました。沢が連続する頃には結構な疲労度になっていると思います。
コースを通じて雪は全く残っていませんでした。
お気をつけて行ってらっしゃい!
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する