燕岳 〜霧の登山道から絶景の稜線へ〜
- GPS
- 08:30
- 距離
- 11.9km
- 登り
- 1,497m
- 下り
- 1,494m
コースタイム
- 山行
- 7:01
- 休憩
- 1:30
- 合計
- 8:31
天候 | 曇 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2018年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
中房温泉登山口に登山相談所があり、そこで登山届を受け付けています。 |
その他周辺情報 | 登山口の中房温泉で日帰り入浴(9:30〜16:00)ができます。料金は¥700です。 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
長ズボン
靴下
サポーティングタイツ
手袋
ジャンパー
雨具
日よけ帽子
靴
サブザック(15L)
トレッキングポール
昼食(シリアルバー5本)
行動食(飴)
飲料(お茶500mL×2+スポーツ飲料500mL)
iPhone(GPS+カメラ)
カメラ
iPad mini
バッテリー
携帯電話
携帯ラジオ
腕時計
手拭い
|
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備考 | ジャンパーや雨具は使いませんでした。 |
感想
登山を始めて2年目の私にとっては「日本アルプス」は憧れの地だ。テレビの登山番組でもよく紹介されている。ただ、多くは「山小屋で1泊」といった日程が組んであり、ほぼソロ登山で山小屋泊経験のない私にはちょっとハードルが高い気がしていた。そんな中、書店で『PEAKS特別編集 日帰りで登る日本アルプス詳細ルートガイド』という本を見つけた。中を見ると、よく聞く有名な山へ日帰り登山できるルートが幾つも紹介されている。そうか、日帰りでも行けるんだと、俄然興味がわいた。
この夏に息子の暮らす長野県を訪れた。そして、1日は息子と共に北八ヶ岳を歩いた( https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1543792.html )。もう一つ山に登りたいと思ったが、息子が都合がつかなかったので一人で登ることにした。そこで、「PAKS…」の中で一番印象に残っていた燕(つばくろ)岳を選んだ。リードには「北アルプスを一望する抜群のロケーション」とあり、レベルは「初級」に設定されている。これなら一人でも登れるだろう。ただ、歩行時間は7時間10分とある。朝、早目に出かけた方が良いだろう。
登山口のある中房温泉には前日の夕方に到着した。駐車場が一杯で車が停められなかったらどうしようと思っていたが、夏休みとは言えど平日(月曜の夕方)だったからか第一駐車場も3割ぐらい空きがあった。ここで一晩過ごして翌朝に歩き始めることにする。私のような車中泊者で賑わっているのではと思っていたが、人の姿はほとんどなく、時折人や車が出入りするものの、車の中に留まっている様子は無く駐車場は静かだった。もしかして車中泊禁止?でも、そんな表示は見かけなかったが。
第一駐車場には簡易トイレが設置されているのは有難かったが、アンモニア臭が鼻を衝く。トイレに近い場所は遠慮しよう。川がすぐ近くを流れていて水音が心地よい。近くで温泉が湧出しているのか、硫黄(硫化水素)臭が時折漂って来る。車の窓を閉め切るとさすがに暑いので窓に蚊帳のネットを張り付けていたが、どこからか羽蟻が入ってきた。暗い中、やっつけ仕事でネットを張ったので、どこかに隙間があったのだろうが、暗くて確認することもできない。このまま羽蟻に悩まされて夜を過ごすのかと思ったが雨が降り出したら虫の襲来もおさまってなんとか眠ることができた。
朝は5時頃には明るくなってきたが、一面霧に覆われている。雨は止んでいるようだが濡れるのは嫌なので、車の中でカップラーメンを食べたり出かける支度をしたりしてしばらく待った。6時を過ぎて霧が少し薄くなってきたので出発することにした。まずは登山口の中房温泉まで舗装された車道を歩く。私の他に歩いている人はいない。けれども、中房温泉まで来ると登山者の姿が見られるようになった。バスの走っている音がしたので、きっとバスで来た人たちだろう。入口に小屋があって受付のおじさんが登山届をチェックしている。登山届に記されている登山コースの地図にはこの山域の沢山の山が記載されているのだが、私は日帰りで燕岳を往復するだけなので、隅っこの一区画に今日の日付を書くだけだった。
標識に従って登山口に入り歩き始めた。道はそれほど濡れていない。水が溜まっているようなところも無く、かえって土が締まって靴底にフィットする感じで歩きやすい。多くの登山者が歩く登山道だけあって道は周囲より一段低くなっており明瞭だ。ちょうどいい距離にベンチ(休憩所)が設置されており、そこでリュックを下ろし水分を口に含む。私より高齢の方や小さな子供を連れた親子も多く、追い越されるより追い越す方が多いペースで歩けた。ずっと霧がかかっており、稜線へ着くまで他の山を眺めることは一切できなかった。合戦小屋から燕山荘までの上りは北アルプス三大急登なんて呼ばれているらしいが、日帰りの軽い荷物を背負って風景を眺めることも無く黙々と歩いていたからか、それほど大変な道だとは感じなかった。氷ノ山の三ノ丸コースや那岐山へ向かう上り坂の方がよっぽどキツイ上りだったような気がする。
稜線へ近付くと照葉樹の高木が少なくなってナナカマドの赤い実や小さな花が見られるようになってきた。花の咲く斜面の上には霧の隙間から 建物の屋根らしきものが見える。いよいよ燕山荘が間近だ。右側の斜面は相変わらず霧に覆われているが左側の斜面の上、稜線の先には青空が見えてきた。そして、稜線に到着。そこは北アルプスの山々がくっきりと見え、霧の晴れた別世界だった。「中房登山口5.5km/燕岳1.0km」の標識の前でその壮大な眺めに圧倒されながらしばらく呆然と佇んでいた。ふと左側を見上げると立派な建物が。これが燕山荘だ。山小屋というと、もっと粗末な雨風をしのぐためのヘビイデューティーな建物をイメージしていたが、なんというかこれは、高原のロッジ的な佇まいだった。なるほど、こんな所に泊まれば快適な登山ができそうだ。そして、そんな施設が整っているということが、信州の山が多くの人々を引き寄せる理由の一つなんだと納得した。
稜線を歩いて燕岳への道は爽やかな風と壮大な風景で、思わずこのまま天国へ逝ってしまいそうだった。ここでゆっくりと一日過ごして、燕山荘に泊まって別の山を目指すなんてことができれば、それは最高のトレッキングになりそうだ。ここまで来たら燕岳日帰りなんてのはもったいない話だというのが身に沁みてわかった。第一駐車場に留めたままになっている車の主は、きっと何日かかけてこの北アルプスのどこかを歩いているんだろうな。
イワカガミの咲く斜面を横切り、真砂のザラメの道を踏みしめ、花崗岩の塊の上を乗り越えて燕岳山頂へ到着した。二等三角点も確認。山頂直下の岩の上で昼食のシリアルバーをかじって、しばし北アルプスの壮大な自然を堪能した。
帰りは上ってきた道を引き返したが、再び霧の中で足元の岩や灌木、近くの林ぐらいしか見えず、とぼとぼと中房温泉へ向かった。中房温泉登山口に到着したのは午後3時前だった。ここで温泉に入っても良かったが、その日の宿泊を予約していたのが松本市浅間温泉のドミトリーだったので、とっとと車で宿へ向かうことにした。宿に到着しチェックインの時、宿のお兄さんに「どこか山に行かれるんですか?」と尋ねられ、自信満々に「燕岳に登ってきましたっ!」と答えたら、「そうですか、僕も学校の遠足で登ったことがあります。」と返された。…汗…、何と、恐るべし信州人、あの山に遠足で登るとは。
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