大崩山・大滝川右俣
- GPS
- 10:02
- 距離
- 9.2km
- 登り
- 1,314m
- 下り
- 571m
コースタイム
- 山行
- 8:12
- 休憩
- 0:35
- 合計
- 8:47
過去天気図(気象庁) | 2018年08月の天気図 |
---|---|
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
スラフにつかまりスキーの片板を失った冬の大崩山、今回その現場を再訪した。目的はもちろん板の回収である。最悪一人でも行くつもりだったが、一人ではルンゼの完全遡行は難しいだろうと思っていたところ、山岳フォトグラファーのSHOさんが「面白そう」と興味を示して下さり、二人で行くことができた。たいへんな物好きである。富山勤労者山岳会が10年前に左俣を遡行した記録をSHOさんが見つけたが、目的の右俣の記録は皆無。これは、よほどつまらないか、危ないか、めんどくさいかのどれかかも知れない...と思いつつも、目的達成のため大崩山を目指した。私にとっては実に3年ぶりの沢登りである。
当初キャンプ場から山スキールート同様のアプローチを取ろうかとも考えたが、藪の具合がわからないことから、より計算のできる旧登山道沿いを選択した。5時半前に平湯温泉スキー場奥の駐車場を出て、堰堤横の小尾根に取り付く。薄い踏み跡と、割と最近藪をかき分けたような跡がある。適当な場所で一旦沢に降り、再び尾根へ。様子を見ながら高度を上げ、大きな滝が無くなった所で笹藪を掴みながら左俣に下りた。
そこから土壁を登り、台地に乗り上げると美しい泉があったが、時間も限られているので写真を撮って足早に右俣への入渓地点を探す。冬に見た景色から右岸は崖状だとわかっていたから、適当なところから懸垂下降2回で沢に降り立つ。これで大分逃げにくくなった。そこからはしばらく河原歩き。最初は硫黄の匂いがきつかったが、しばらく行くと冷泉が出て辺りが白化した場所があり、それより上は清流となった。
小滝がいくつかあるが難しいものは無い。一箇所小さな滝つぼを備えた滝があったので、高巻いた。左ルンゼ出合が近づくと土砂の量が増えてくる。仮に板がここにあったとしても、石や砂に埋まって見つからないだろうといった感じだ。しばし作戦会議をするが、諸々検討した結果、予定通り左ルンゼを詰めることにした。下部は水流が埋まっていたが、少し高度を上げると少量の水が流れていた。クライマーズライトに巨大な崩落地帯があり、脆い岩がハング状にむき出しになっており、その横に滝がある。冬にクライムダウンした滝だ。
これを避けるように左側を登り、ロープを出して灌木でランナーを取りながらトラバースして滝の落ち口に立った。続くピッチはSHOさんがリード。右岸側の灌木を狙って登るが、思いのほか悪かったらしく、結局滝を直登していた。ここをフォローしてからしばらく歩いた後、続く屈曲した滝にトラバースして取り付き、落ち口でビレイ。最終4ピッチでSHOさんが草原に抜けた。上部が狭まったルンゼが一旦開ける扇状の草原で、ここに板が眠っている可能性もある。しかし、地面が草で覆われているため、たとえあっても見つかる可能性は低い。
稜線までの残り200メートル余りは、わずかに残る沢状のくぼみをたどりながら、あざみの藪を漕ぎ、最後は木を掴みながらのクライミングでやっと稜線に出た。山頂はすぐそこだが、時間も無いため寄らず。最初稜線に踏み跡があるように見えたが、すぐに背丈を超えるハイマツの激藪となる。当初猫岳まで縦走する考えであったが、修正して最短距離で乗鞍スカイラインを目指す。ここの藪漕ぎが一番ツラかった。道路に出てパートナーと握手。身支度をしてあとはひたすら道路を歩くだけだったが、道中心優しい人々に拾われ、車で駐車場へ戻ることとなった。
今回は濃密な藪に翻弄されながら冬のルートをトレースすることで、雪山におけるスキーの効率性と自由さを痛感する山行だった。同時に原始の登山ができたような気がして、素晴らしい体験ともなった。目的としていた板の発見はできなかったが、やるだけやったという実感があるため、胸のつかえも取れた気がする。同じ経験は二度とできないし、あそこでスキー板を見つけるのは不可能に近いことがわかったので(いまさら)、グリーンシーズンにはもう二度と来ないだろうと思う。この山行を可能にしてくれたパートナーに感謝。
※写真は冬のもの以外SHOさん撮影です
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