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Yamareco

記録ID: 1742079
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無雪期ピークハント/縦走
八幡平・岩手山・秋田駒

裏岩手三角縦走(三ツ石・大深・源太)

2010年06月13日(日) [日帰り]
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GPS
--:--
距離
14.4km
登り
966m
下り
952m
天候 晴れ
過去天気図(気象庁) 2010年06月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車

感想

2010年6月13日、裏岩手三角縦走してきました。

松川温泉松川荘の横手にある登山口を7時45分に出発しました。
ついさっきまで、周辺は濃いガスに包まれていたのですが日の出と共にガスは霧散。強烈な日差しが照りつけてきました。

最初の15分は急登の連続です。
まだまだ元気ではありますが、体が温まるまではあえてスローペースを守ります。
ペース配分に気を使ったおかげか、息一つ切れることもなく急坂を登り切りました。
5年前は、このあたりですでにヘロヘロしていた気がするので上々の出だしです。

1時間ほどかけて、奥産道から来る道と合流します。
さすがに5年前のことはあまりハッキリとは覚えていないため、どうしても直近の思い出である初冬の三石山行との比較になってしまいます。
あのときは、ここまで2時間以上かかったなぁ…と。

分岐点を過ぎると、少しずつ残雪が姿を現し始めました。
「ほ〜れ、踏み抜けぇ」と言わんばかりに下部が空洞になった残雪。
当然、先に無事通過したちゃってぃは、後続のツートンに期待しております(笑

登山口〜三石山荘間の最大の難所は、この沢を渡るための雪壁です。
ステップが刻まれているのを期待していたのですが、まだ入山者が少ないのか、それとも溶けて消えてしまったのか分かりませんが、自分でステップを刻まなければ登れませんでした。

このあたりで手強かったのは、こうした残雪よりもむしろ「笹」でした。
雪の重みで倒されていた笹が、雪解けと共に起きあがってきているのですが、これが泥をたくさん身につけているので、笹に触ると頭の上から泥が降ってくるのです…。
転んでもいないのに頭のてっぺんから泥だらけになってしまいました。
正直、これには参りました。

あ、あとニョロニョロも一本いたっけな…。

やがて林間から三石山本体が見えてきます。
二週間前に来たときよりも雪渓は確実に小さくなっています。

9時30分、三石山荘に到着です。
標準コースタイムより、若干多めにかかっていますが、残雪を乗り越え花が咲いているたびにツートンが立ち止まり…という感じで歩いたにしては上出来かな…と。

山荘で10分ほど休憩をとり、いよいよ三石山本体へとアタック開始。
登り初めてふと振り返ると、岩手山が綺麗に全身を見せてくれていました。

登山道が川になっています。
上部にある雪渓からの雪解け水が登山道に集まって流れているようです。
5年前のあの日も、こんな風に登山道が川になっていましたっけ。
印象深かったのでよく覚えています。

残雪期の三石のハイライト、大雪渓上に出ます。
ツボ足、キックステップで問題なく登れましたが、アイゼンを装着した方が楽かもしれません。

雪渓を登り切ると再び夏道に戻り、山頂付近は岩場の道となります。
この岩場付近が一面お花畑になっていました。
ツートンのテンションが一気に上がります!
花に駆け寄っては撮影し、また別の花のところへ…うれしそうです。

三石の山頂付近といえば、いつ行っても大勢の人が居て…というイメージがありますが時間が早かったのか、時期が早かったのか、この日、この時間は我々の専用でした。そんなわけで、誰に気兼ねするでもなく写真を撮ったり景色をながめたりしていると不意に登山道脇の灌木がバッサバッサと大きく揺れだしました。

「あれ? 誰か居たのかな?」
「いや、動物? 大きいな、鹿か?」
「鹿って黒くないよな? …まさか、熊?」

そこまで思考が至った瞬間、その黒くて大きい動物が茂みから姿を現しました。
どこからどう見ても熊です。本当にありがとうございました。

目が合いました。

距離は直線でおよそ10m。
こちらが若干高い位置にある岩の上に居るとしても、ヤツにとっては指呼の距離でしょう。

頭が真っ白になりました。

「熊に出くわしたらこうしろ!」みたいなことがよく山の本などに書かれていますが…
無理!(笑
そんな知識、目があった瞬間吹っ飛びますわ!

こちらが固まって動けないでいると、熊の方から踵を返し走り去ってくれました。
おそらく目が合ってからヤツが逃げ始めるまで2秒と無かったとは思うのですが私にとっては10秒、いやそれ以上に長い時間に感じました。

確実に遠ざかって行くのを確認し、ほっとした瞬間に
「あ、写真撮らなきゃ」
と思いつきまして…ブロガーの鏡でしょ?(笑
後ろ姿ですが、野生の熊の撮影に成功!

いや、まあ、今無事でいるからこんな記事書いてますけどね、遭遇した瞬間はやっぱり怖かったですよ。何事もなくて本当によかったと、心の底から思います。

熊騒動という大変な事もありましたが、無事に三石山山頂に到着です。
半年ぶりの三石山頂ですね。
時刻は10時20分。登山開始から2時間半強。まだまだ前半戦です。

三石山頂で大休憩。(…というより熊のショックで惚けていたという話も…)
とりあえず、おにぎりを一つ食べたら気持ちが落ち着いたような気がします。

いつまでも惚けていても仕方がないので出発します。
さっき熊がいた茂みのすぐ脇を通って行きます。
もう居ないとは分かっているのですが、なんとなく気持ちが悪いです…。

三石から先の道は、実に広々とした景色が広がります。
山の上にこんな広大な空間が広がっているとは、麓から見ただけではなかなか想像できません。写真では分からないかもしれませんが、対抗してくる登山者がかなり手前から見えています。見えていますが、実際にすれ違うまでは5分以上かかりました。
この付近の広さと見通しの良さが強く印象づけられます。

裏岩手縦走路は刈り払いが良くない!と一部の登山者からは不評ですが、どうやら昨シーズンあたりに刈り払いが入ったようで、快適な登山道が確保されていました。
これは源太が岳までずっと続いており、藪をこぐような場面は一度もありませんでした。ありがたいことです。

ほとんど平地と言っても過言でないような、緩やかな下り坂を下りきると三ツ沼が姿を現します。沼が三つあるから三ツ沼。(そうはいっても、笹藪に遮られて一つの沼にしか見えませんけど…)名は体を表す…三石山といい、この三ツ沼といい、実に分かりやすいですね。…誰ですか? 安易な名前だと思ったのは?(笑

三ツ沼から少し登り返して名も無き小ピークを踏みます。
あんまり岩手山が綺麗に見えているので、思わず記念写真を…。

小ピーク付近の岩場には黄色い花々がたくさん咲いていました。
しかし、三石までの区間で写真撮影に時間を使いすぎたため、ここは涙を飲んで脇目を降らずに駆け抜けます!

…ウソです(笑
しっかり引っかかって写真撮影開始!(笑

11時15分、小畚岳山頂に到着です。
三石山頂から45分で到着しました。
三石、小畚間が約3劼任垢ら、時速4辧帖
ほとんど平地と変わらない速度で歩いてますね。
この付近は、本当に楽々散歩道です。

5年前は、ここに立った時点でだいぶ疲れており、山頂標識の前にへたり込んだのですが…なんでこんなところでバテていたんでしょ???
自分でも不思議なくらいです。
今の私が強くなったのか、はたまた5年前の私が弱すぎたのか…。

三石方面を振り返ってみました。
特徴的な三石山山頂の岩が見えています。
あそこから45分でここまで歩いたんですね。
いや〜、人間の足ってすごいな〜!

小畚岳の山頂で休憩をとりながら、これから行く道を眺めます。
わりと平坦な道が続く裏岩手縦走路ですが、ここ小畚岳と大深岳の間には高低差の大きなコルが存在し、コース中1、2を争う難所となっています
…まぁ、そうは言っても、畚岳〜大深岳間は歩いたことないんですけどね(^^;

小畚岳からの下りは、かなりの急傾斜となっています。
おまけに一部道が崩壊しかけており、迂闊に歩いていると落石を誘発させそうです。
他の登山者が居るときは気を付けなければいけませんね。
もちろん、自分が滑り落ちたりしないようにも…ね。

谷底まで下りてきました。
これから行く道が山の斜面に綺麗な雷光形を描いています。
「ジグザグ」のお手本のようなジグザグですね(笑

道が登りに転じる直前に大きな雪渓が横たわっていました。
夏道は完全に埋没しているし、赤テープ等も発見できなかったですが藪の向こうには道が見えていますし、最悪藪こぎすれば元の道に復帰できるでしょう。

暑いので雪だるまをこさえてみました。
涼し〜♪ 冷て〜♪

雪渓を渡りきると、今まであまり姿を見なかったシラネアオイが群生していました。
この谷をはさんで植生が変わるのか、今までたくさん見かけた花達は、ここから先はあまり姿を見なくなってしまいました。

大深岳への急な登り坂です。
下から見たときは綺麗な「ジグザグ」でしたが、実際歩いてみるとジグザグだろうがカーブを描こうが「登りは登り!」でした。

ここで体力をガッツリ消耗します。
5年前は、ここでトドメを刺されたような気がします。
なんかそういう思い出がかすかによみがえってきました(^^;

大深岳山頂直下からは、八瀬森・大白森を経由して、乳頭温泉に至る縦走路が分岐しています。以前来たときは、深い笹に覆われていて「廃道かな?」と思ったくらいですが、去年あたりに刈り払いが入ったようで、見違えるように綺麗な道になっていました。このコースも歩き甲斐があるようですので、一度行ってみたいものです。
でも、一泊は必須だろうから、それなりの装備が必要ですよね…。

まるで天に続いているような、長い長い登り坂を登ります。
そして傾斜が緩くなり、灌木帯に入ると、まもなく大深岳山頂です! 本日3つ目のピークです!

この辺まで来ると、さすがに疲れも出始め、お腹も空いてきたので大休憩にしたいところです。しかし、大深岳の山頂は笹藪に覆われており、眺望も無く蒸し暑くあまり休憩向きの場所ではありません。軽く休憩して、もう少し先まで頑張って歩くことにしました。

大深岳山頂から5分とかからずに、大深岳分岐までやってきます。
直進すれば大深山荘を経て八幡平に至る裏岩手縦走路。
右に行けば源太が岳山頂となります。ここは右へ…。

分岐から源太が岳山頂への道は、ゆるやかなアップダウンの稜線歩きです。
見晴らしも良く非常に気持ちの良い道になっています。
ここで、三ツ石山周辺以来となる他の登山者とすれ違いました。

源太が岳は裏岩手縦走路からせり出したテラスのような位置にあるため右を向けば、今まで歩いてきた三ツ石方面が一望でき、左を向けば、まだ歩いたことのない縦走路の続きから八幡平まで、とにかくスケールの大きい大パノラマが展開します。
おそらく、ここからの眺めは八幡平周辺の中でも屈指の大パノラマではないでしょうか。どこの登山口からでも、最低片道5劼亙發なければならないので、誰でも見ることが出来る景色ではありませんよ。

こんな素晴らしい景色のはずなのに、5年前の記憶がほとんどありません。
きっとヤラれきって、夢遊病患者のようにフラフラ歩いていたのでしょう(笑
大深岳から、ほとんど高低差のない道を歩いてきましたが、一応「山頂」です。
源太が岳に着きました〜!

本日4座目のピークです。
縦走すると、「今年○座目!」の○の中の数字が一気に増えて嬉しいですね(笑

毎度の事ですが、こうして素晴らしい眺望の山頂に立つと下山したくないんですよねぇ…。下山しないわけにはいかないので、後ろ髪を引かれる思いで出発します。

源太が岳は東側の斜面が切れ落ちているので、一転急傾斜の下山路となります。
山頂直下には巨大な雪渓が残っていて、三ツ石のものより角度も急なため慎重に下ります。アイゼンを装着し、まずは最短距離で下降。その後雪渓下部をへつりながら登山道を探します。

雪渓下にある登山道への入り口がすごく分かりづらいので注意が必要です。
この時期、雪解け水が幾筋もの沢を作って流れ下っているのですが
その沢筋がどれもこれも登山道のように見えるのです。

上を見ると、まるでのしかかって来るかのように雪壁がそびえていますし、なんとなく目に見えない圧迫感を感じる場所です。この斜面では、厳冬期ですが雪崩で何人も亡くなっているのでなんとなく禍々しい感じさえします。

道と言われれば道のような、沢と言われれば沢のような藪っぽい道に入っていきますが、しばらくすると大深山荘からの道にぶつかります。

この標識を見つけることができたらビンゴ!
もし見つけられなかったら…そこは道ではなく沢です! すぐに引き返しましょう!…となるわけです。

ん? 大深山荘方面は綺麗に刈り払いされていますね…。
5年前来た時はあちらもこちらも藪藪藪で大変だったのですが、少しは整備されたようです。

源太が岳から松川への道は、この時期とにかく泥、泥、また泥です。
上部は激しく水が流れ、下に行くほどその水が流してきた泥が堆積しているという感じ。転んだら大変な事になります…。

道が悪くて、下りなのにペースがあがりません。
ここの下りはとにかく長く感じますね…。
5年前は、このあたりではもはや体を支える体力も残っておらず滑っては転び、立ってまた転び…そんな感じでした。
ああ、なんかあの時の悪夢が蘇ってきました…。

丸森川の木橋をわたると、ようやく路面も安定してきて歩きやすくなります。
しかし、まだ2匐瓩の道のりが残っています。
長い…。

延々と下り続け、変電施設などが見えてくるとゴールも間近。
ここまでくると発電所やら樹海ラインの車やら人工的な音が聞こえ始めます。
今は「ああ、もう少しでゴールか」くらいの気持ちですが、5年前は「やっと人里だ!」「暗くならないうちに下れた!」「生きて帰ってきた!」と心の中で驚喜したっけなぁ…。それを体で表現する体力は残っていませんでしたから…。

そして、ゴール。
7時間半の山旅でした。

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