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山滑走
槍・穂高・乗鞍

鉢盛山(敗退)

2019年03月09日(土) [日帰り]
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GPS
--:--
距離
9.7km
登り
658m
下り
715m
天候 快晴
過去天気図(気象庁) 2019年03月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
その他周辺情報 スキー場のポスター自体が、「穴場」と自虐的だが、確かにそうだ。展望に優れ、コースは幅、斜度、高度差とも申し分ない。アクセスであまり車を見かけなかったのは、関西中京方面の方が木曽側から見えるからだろうか?

ゲレンデ(後方)から尾根筋に入った出発点
ゲレンデ(後方)から尾根筋に入った出発点
雪が少ない
八ツ、浅間山、四阿山などが見える
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八ツ、浅間山、四阿山などが見える
笹やぶがうるさい
笹やぶがうるさい
鉢盛山が見えるが遠い
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鉢盛山が見えるが遠い
後ろ姿はラッセルパートナーの方々
後ろ姿はラッセルパートナーの方々
小鉢盛山と鉢盛山の鞍部付近
小鉢盛山と鉢盛山の鞍部付近
鉢盛山頂上に向かう斜面
鉢盛山頂上に向かう斜面
今回の最高到達点
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今回の最高到達点
2330凸部付近の稜線
2330凸部付近の稜線
南アルプス。北沢峠の上に富士山が覗く
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南アルプス。北沢峠の上に富士山が覗く
小鉢盛山頂上
御嶽山。まだ噴煙が上がる
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御嶽山。まだ噴煙が上がる
苦行の下り
ゲレンデからは乗鞍岳が大きい
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ゲレンデからは乗鞍岳が大きい
笠ヶ岳や穂高も

感想

野麦峠スキー場上9:10〜小鉢盛山の先11:00/11:13〜2350m地点引き返し12:35/12:55〜スキー場上15:49

 北アルプスの行き帰りに、地味ながらボリュームある存在感で目を引く鉢盛山。高校生の頃から興味を持っていたが、最近立て続けにレコがアップされ、背中を押されて実現の運びとなった。
 上高地への道路と別れ奈川方面に入ると、前後に車の姿もなく、山中に分け入っていくのが何だか心細い。しかし野麦峠スキー場の駐車場は意外にも賑やかで、登山者には馴染みにくい(私だけか・・)華やいだ雰囲気に溢れていた。切符売り場に計画書を提出し、動き始めたばかりのリフトに乗り込む。雲一つない快晴の下、背後には乗鞍岳が雄大な全貌をさらし、焼岳、笠ヶ岳、霞沢岳、穂高が新鮮なアングルで輝いている。八方尾根のように完全にアルプスの山懐にあるか、はるかに遠望するスキー場はいくつもあるが、このように眺めるのにちょうど良い距離の場所は他に見当たらないのではないか。
 リフトを2本乗り継ぎ、最上部からエキスパートコースを100mほど滑る。コースが左下へと稜線を離れるところで、右側の樹林の中に入る。目印などはないが、地形から容易に判断できる。シールを付け、スノーシューの単独行者と相前後して出発する。
 初めは針葉樹林の中を緩く下り、程なく登りになる。雪は、締まった層の上に前日の積雪が1〜10センチくらい載っており、その分だけ沈む感じだ。右手が開けた所からは八ケ岳から蓼科にかけての見慣れたスカイラインが望まれ、ホッとする。無風快晴だが、標高なりの寒さはある。初めての山なので比較はできないが、雪は少ないらしく、笹ヤブの切れ目を階段登りですり抜けるような箇所もある。2100から2270mまでの間は、ジグザグを切りながらの登りらしい登りだが、樹が邪魔になるようなことはない。ようやく傾斜が緩むと、右に小さな雪庇の出た尾根らしい地形になる。アンテナのある鉢盛山が遠く、南アルプスや浅間なども少し霞んで見える。
 この辺りで後続者が追い付いてきて、私を含めスキー2人、スノーシュー2人の4人がなんとなくトップを交代しながら進むようになった。尾根は意外に狭いが、傾斜も樹間もスキー歩きに問題はない。行く手が下りになっているのでGPSで調べると、いつの間にか小鉢盛山を通過しており、2370m凸部だった。少し休憩して、この後の登りに備える。
 さて、出発して先行3人のトレースを追ううちに、2330mの凸部でルート(稜線)が右(東)へ曲がるところを、まっすぐ北側の斜面に引き込まれてしまった。目指す鉢盛山が正面に見えるので、ついつい向かってしまいたくなるので要注意だ。他人に頼って気持ちが緩んでいたと、自分を戒める。右手にそれと見える稜線へとトラバースしてトレースに復帰した。
 平坦な鞍部から先は、赤テープが目に入るようになり心強い。いよいよ鉢盛山への登りにかかる。樹の間隔は広がって、青空を背景に濃緑の針葉樹と岳樺の白い幹が映える。気持ちは良いが、ちょうどトップに当たってしまいガシガシ登らなければならずしんどい。頂上まで標高差100mを切ったところで、予め決めておいた折り返し時刻になってしまった。頑張ればゲレンデトップに16時のタイムリミットにはぎりぎり間に合うかとも思うが、単独スキー行で時間に追われて焦るのは危険だ。折角の好天に悔しさはあるが、計画ミスは認めて打ち止めとする。他の三人はそのまま登って行かれる。あえてカップラーメンをすすって脚を休め、シールをはがして滑降に移る。既に陽の当たる雪面は腐り始めており、右寄りの樹林の中を慎重に下る。楽しみはすぐに終わってしまい、問題の登り返しだ。下ってきたトレースは斜度があり、シールが滑り苦労する。体が重く、呼吸を整えながら辛抱の時間だ。往きでルートミスしたところは、トレースを辿るか迷ったが、翌日の方のために正しいトレースを付けるべきだろうと考え、忠実に稜線をたどった。傾斜が緩むと樹林が濃くなり、間違ったトラバースルートの方が結果は良かったような気もする。
 2330ピークに戻り、気分的にはホッとするが、まだまだ先は長い。先ほど見過ごした小鉢盛山の頂上をGPSで確認。標識も何もない。小さなアップダウンが続き、いつまでも下りにならず、おまけに急に風も吹き始めて、時間が気になる。ようやく大下りに差し掛かるが、ここは試練?だった。笹ヤブの合間のボソボソの雪面をキックターンで何とかつないで下るのみ。担いだ方がよほど速そうだが、意地だけのスキーだ。一度など、樹の幹に引っかかって頭を下にロックされてしまい、このまま凍死するかと思った。苦心の末にやっと下りきると、最後は登り返しのおまけ。ゲレンデにトラバースできないかと窺うが、樹林の密度が濃く踏みきれない。16時の10分前に、樹を透かしてスキーヤーが動いているのが見え、安堵する。
 今季最後?のゲレンデは、高度差も斜度もあって中々良いが、疲れた脚では流すだけだ。半ばシルエットになった乗鞍の山肌がテカっている。あちらには多くの人が訪れただろう。チケット売り場に下山報告をして振り返れば、渋い樹林の山の上にまだ空は青かった。
スキー場のすぐ下の渋沢温泉ウッディもっくで疲れを癒し、長い帰路に就いた。
〔総括〕
(1)リフトの機動力を使い日帰りのプランだったが、それほど甘く済む距離ではなかった。最高の条件に恵まれないと、制限時間内の往復は厳しいだろう。レコを見ると、暗いうちからゲレンデを登っている健脚の方もいらっしゃるが、標高差は大きく、それはそれで大変そうだ。再度挑戦するとしたら、取付きにベースキャンプを張って早朝発だろうか。
(2)スキーが有効かは微妙。部分的に斜度があり、雪が締まっていればスノーシューと速度は大差なかった。大きく潜るときなら有利と思われるが、今季のように少雪だと下部は非常に苦労する。鉢盛山からの帰途の斜面だけは楽しめる。

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