明山 (竜神峡 奥久慈)
- GPS
- --:--
- 距離
- 8.8km
- 登り
- 413m
- 下り
- 407m
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
亀が淵渡渉は、ミドルカット以上の登山靴なら川に入っても平気だと思います。 途中谷を快適に詰めるのですが。登山道が谷底へかなり傾斜している箇所があったり、苔の生えた岩があったりと、難しくはないのですがある程度の緊張は続きます。 そろそろ、亀が淵辺りでブユが出始めるかも。今回は遭遇しませんでしたが。虫除けを用意しておくべきだと思います。 |
写真
装備
備考 | 雨具、ヘッドランプ、水、行動食兼朝食(おにぎり) |
---|
感想
前日の那須登山はふかふかの新雪で冬を楽しむと同時に、完璧な晴天の下界に広がる春を感じさせてくれた。往復のドライブでは満開の桜や耕作の始まる田畑と路肩の草花を楽しんだし、道の駅ばとうではイチゴまでどっさり買い込んでしまったついでにルッコラとせりも買い込み春の香味を満喫した。
この勢いで翌日は地元で春山を楽しむことにした。手っ取り早く春山を楽しむならば竜神峡だ。昨日は自宅を4時に出発したが、朝日岳の疲労が残っている今朝は一時間遅れの、4時起床、5時前出発となった。しかしながら地元の山に取り付くのはあっという間で、5時半には竜神ダムの駐車場に到着した。駐車場にあった公衆トイレがなくなっていて驚いた。
亀が淵までは竜神ダム沿いにひたすら歩くのだが、薄着の体に朝の空気がひんやりとしみこんでくる感覚が心地よい。歩き始めはまだ震えるほどの冷たさだが、体が暖まるにつ入れて冷気とのバランスが取れてきて、愉快な気持ちになる。
鳥の声しかしない竜神峡の春はまだ気配のみ。ダム沿いの道にはまだ梅まで咲いていた。山は枯葉のような茶色のベールをまとっていたが、これは冬景色ではなく新芽だ。新芽はまだ若葉をその褐色の殻の中に収めている。あと何日かたつと、改元後の連休の季節には駆け足で新緑をまとうだろう。
歩くことさえ遠ざかっていたから、亀が淵までは長かった。時間はかかったが、新緑以前の竜神峡をそれだけ満喫できたと考えると、悪いことでもない。。
亀が淵の渡渉箇所はいつも並みの水量と幅。あまり悩まずに浅めのところを狙って足を突っ込んだ。水は靴の甲まで達したが、ぎりぎり中まで濡れない深さであった。
そして最初の湿った階段の登りとなった。ここは10年くらいまでは雨上がりを除いては乾いていたものだが、いつの間にか湧き水の出方が変わったのか、1年中濡れているようになってしまってやや歩きづらい。冬は凍結するところなのだがこの日はその心配はまったくなかった。前日はもっと冷え込んでいたから凍っていたかもしれない。
この難所を過ぎると谷の入口までは尾根を使って高度を稼いだ。今まであまり意識しなかったが、この尾根道は両側が切れ落ちている。亀が淵山に挟まれた峡谷(竜神川)は慣れ親しんできたものだが、実は左側もかなり深く切れ込んだ谷となっている。なんとなく尾根筋に溶け込んで消えてしまうのだが、いつか踏査してみるのも悪くない。
谷は今回のハイキングのハイライトのひとつだ。いったん尾根を登ったあと、がれた谷をつめていく。あるときには谷底に降りあるときは谷を巻いた。苔むした大岩や、足元の名前を知らない小さな草花を楽しんだ。
三葉峠でスミレに迎えられると、あとひと歩きで明山山頂だ。アップダウンの繰り返しに堪える脚に、運動不足を感じつつも、腐ったベンチから見る北東尾根の圧倒的な姿に力をもらった。なんと格好いい岩稜か。烏帽子岩(筆者勝手に命名)が明山のジャンダルとしてその岩稜を守っている。しばしばその峨峨たる姿に登はん欲を掻き立てられたものだが、今朝はまだ脅威のほうが強かった。
ひとしきりその岩稜に圧倒された後、最後の急登へ取り付いた。前日剣が峰をやっているあとだから登りはさほどの恐怖心も無く、ひと登り、ふた登りで山頂の三角点へ到着し、おにぎりと水の朝ごはんを頂きつつ、360度の山並みを楽しんだ。始めて奥久慈に来たときにはこのどこまでも山が続く風景に圧倒され、かつこの山並みを縦横に歩きまわりたいと狂乱したものだが、実際にそうしていることは感慨深い。
男体山、中武生山、竜神峡上部(竜神川遡行ルート)、遠くに竜神大吊橋、そしてそのはるか遠くに日立アルプスと堪能した。
山頂は鳥の声だけが聞こえる静かな空間というわけではなく、つつじヶ丘方面だろうか?歌謡曲が流れてくる。どこかの家庭でかけているステレオというわけではなさそうなのだが、どの施設から流れてくる歌謡曲なのか。
今回の山行の新発見は、山頂南部の藪の中に発見した空のペットボトルだ。藪の急斜面の先立ったので、確認することは見送ったが、中に紙が入っていて、ふたが付いて笹に紐でつるしてある。どうやら何かの標識の代わりとなっているようだ。踏み跡を見て取ることは出来なかったのだが、この方向へ下降できるのかもしれない。
じっくり過ごしていたようでも山頂にいたのは10分間程度。快晴の昨日と異なり、今日は雨の予報も出ている。今こそ薄日もさしているが、油断は禁物。足許が乾いているうちに下山しよう。
登りとは違い、最初の急斜面の下降には多少神経を使った。ようやく固定ロープ地帯を通過したときにはほっとした。
北東尾根とその烏帽子岩(筆者勝手に命名、明山のジャンダルム)を何度も振り返り、亀が淵山南稜の何度の絶望的に高い岩壁を眺めてから、三葉峠から再度明るい谷を辿った。下山は眼下に谷の全容が広がり、心地よい。谷の向かいの斜面では藪を抜けるノイズが聞こえた。イノシシだろう。
気持ちの悪いトラバースを何度か過ぎ、天然のガーデニングのようなグリーンのトンネルを過ぎ、最後の難所、濡れた階段を慎重に降りて、亀が淵まで戻ってきた。
最後に静かな竜神峡をもう一度堪能した。定点観測の谷。竜神槍(筆者勝手に命名)の三角峰、そして新緑直前の新芽で茶色くなった山を目に焼き付けて、駐車場に戻った。
県道に合流するT字路にトイレと駐車場がある。そこの桜が余りにきれいだったので寄り道したら。桜の根方にニリンソウの小さな群落があって、二種類の花見を楽しむことが出来た。
ただし、帰路のドライブ中くしゃみが止まらなくなって運転が大変だった。水府の産直店のトイレで鼻腔を洗って何とかその先を走ることが出来た。
雨の予報の中、薄日さえさす静かな竜神峡を満喫したことは幸運だった。
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する