記録ID: 180160
全員に公開
山滑走
ヨーロッパ
念願のヨーロッパ・オートルート完走、山スキー(前半)
2012年03月22日(木) ~
2012年04月03日(火)
![情報量の目安: S](https://yamareco.org/themes/bootstrap3/img/detail_level_S2.png)
- GPS
- 59:30
- 距離
- 76.9km
- 登り
- 10,948m
- 下り
- 8,449m
コースタイム
※上記ルートはGPSロガー(WPL-2000LX)の実録であり、スキー場のゴンドラやリフト移動も含まれています。
●3/23(金) バレーブランシュ滑降
別レポートにしました。
●3/24(土) オートルート1日目
09:30 グランモンテスキー場、ロープウェイ下駅発
1回乗り継ぎ
09:50 グランモンテスキー場、ロープウェイ上駅着
スキー板を担いで長い階段を下降。スキー準備。
10:05 ゲレンデトップ(グランのコル3225m)出発
ログナン氷河のスキー滑降
アルジェンチエール氷河+トゥール・ノワール氷河のシール登行(トレーニング)
14:00 トゥール・ノワール氷河の最高点(3005m)、スキー滑降開始
15:20 ロニヨン小屋着(2032m)
●3/25(日) オートルート2日目 ※サマータイム切替え日
08:00 ロニヨン小屋 発
トラバースしてグランモンテスキー場の中間駅へスキーダウン
08:40 グランモンテスキー場の中間駅ロニヨンで並ぶ
09:05 再度、グランモンテスキー場のゲレンデトップ出発(3225m)
ログナン氷河のスキー滑降
アルジェンチエール氷河のスキー滑降
09:50 取付き(2390m)
10:10 シール登行開始
急斜面でスキー板をザックにセットしてクランポン登行
12:30 パッソンのコル(3028m)
トゥール氷河のトラバース
取付きにてシール登行
急斜面でスキー板をザックにセットしてツボ足登行
15:15 スーペリア・トゥールのコル(3288m)
トリエント雪原(プラトー)のトラバース
取付きにてザックにスキーをセット
16:20 エキャンディのコル(2793m)
アルペット谷のロング滑降
17:15 アルペットロッジ(スキーヤーズロッジ)(1627m)
●3/26(月) オートルート3日目
08:00 アルペットロッジ出発 スキーダウン
08:10 シャンペ村にてピックアップ APJ(神田泰夫さん)のクルマで移動
08:50 ル・シャーブルのヴェルビエスキー場 ロープウェイ乗場
2回ほど乗換え
09:50 ヴェルビエスキー場 ゲレンデトップ(ジャンシアンヌのコル 2980m)
スキー場を少し下ったあと、左へトラバース
11:00 ショーのコル(2940m)
11:15 取付き(モンフォー湖 2764m)
ガイド組合のパーティと遭遇
シール登行
12:50 モミンのコル(3015m)
グランド・デザートのトラバース
13:50 ローザ・ブランシュ分岐(3160m)ザックデポ
空身でシール登行
肩でスキーデポし、アンザイレンしてツボ足登行
14:20 ローザ・ブランシュ登頂(3336m)
肩までアンザイレンで降りて、スキーセットし、分岐まで滑降
15:10 ローザ・ブランシュ分岐(3160m)
プラフルーリ氷河の滑降
15:30 プラフルーリ小屋(2662m)
●3/27(火) オートルート4日目
06:50 プラフルーリ小屋発
シール登行
07:40 ルーのコル(2804m)
ディス湖西岸のトラバース
09:10 最下点、ポント(2385m)、パス・ド・シャー
シール登行
12:15 ディス小屋(2928m)
(以降、後半のレポートに記述)
●3/23(金) バレーブランシュ滑降
別レポートにしました。
●3/24(土) オートルート1日目
09:30 グランモンテスキー場、ロープウェイ下駅発
1回乗り継ぎ
09:50 グランモンテスキー場、ロープウェイ上駅着
スキー板を担いで長い階段を下降。スキー準備。
10:05 ゲレンデトップ(グランのコル3225m)出発
ログナン氷河のスキー滑降
アルジェンチエール氷河+トゥール・ノワール氷河のシール登行(トレーニング)
14:00 トゥール・ノワール氷河の最高点(3005m)、スキー滑降開始
15:20 ロニヨン小屋着(2032m)
●3/25(日) オートルート2日目 ※サマータイム切替え日
08:00 ロニヨン小屋 発
トラバースしてグランモンテスキー場の中間駅へスキーダウン
08:40 グランモンテスキー場の中間駅ロニヨンで並ぶ
09:05 再度、グランモンテスキー場のゲレンデトップ出発(3225m)
ログナン氷河のスキー滑降
アルジェンチエール氷河のスキー滑降
09:50 取付き(2390m)
10:10 シール登行開始
急斜面でスキー板をザックにセットしてクランポン登行
12:30 パッソンのコル(3028m)
トゥール氷河のトラバース
取付きにてシール登行
急斜面でスキー板をザックにセットしてツボ足登行
15:15 スーペリア・トゥールのコル(3288m)
トリエント雪原(プラトー)のトラバース
取付きにてザックにスキーをセット
16:20 エキャンディのコル(2793m)
アルペット谷のロング滑降
17:15 アルペットロッジ(スキーヤーズロッジ)(1627m)
●3/26(月) オートルート3日目
08:00 アルペットロッジ出発 スキーダウン
08:10 シャンペ村にてピックアップ APJ(神田泰夫さん)のクルマで移動
08:50 ル・シャーブルのヴェルビエスキー場 ロープウェイ乗場
2回ほど乗換え
09:50 ヴェルビエスキー場 ゲレンデトップ(ジャンシアンヌのコル 2980m)
スキー場を少し下ったあと、左へトラバース
11:00 ショーのコル(2940m)
11:15 取付き(モンフォー湖 2764m)
ガイド組合のパーティと遭遇
シール登行
12:50 モミンのコル(3015m)
グランド・デザートのトラバース
13:50 ローザ・ブランシュ分岐(3160m)ザックデポ
空身でシール登行
肩でスキーデポし、アンザイレンしてツボ足登行
14:20 ローザ・ブランシュ登頂(3336m)
肩までアンザイレンで降りて、スキーセットし、分岐まで滑降
15:10 ローザ・ブランシュ分岐(3160m)
プラフルーリ氷河の滑降
15:30 プラフルーリ小屋(2662m)
●3/27(火) オートルート4日目
06:50 プラフルーリ小屋発
シール登行
07:40 ルーのコル(2804m)
ディス湖西岸のトラバース
09:10 最下点、ポント(2385m)、パス・ド・シャー
シール登行
12:15 ディス小屋(2928m)
(以降、後半のレポートに記述)
天候 | ずっと快晴。(ただし3/30のみ曇りのち晴れ) 贅沢を言えば、降雪もほしかった。 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト) 飛行機
11:45 関空発 フィンランド航空 AY078 ヘルシンキ行き 14:50 ヘルシンキ・ヴァンター空港着 (ハブとして利用) トランスファーの手荷物検査、シェンゲン協定国への入国審査 16:10 ヘルシンキ発 フィンランド航空 AY869 ジュネーヴ行き 18:30 ジュネーヴ・コアントラン空港着 荷物受取り(スキー板は奥の大型ターンテーブルにて受取る) 18:40 APJ(アルプス・プランニング・ジャポン)の神田美智子さんがお迎え 東京組(男性1名、女性3名)と合流 17:30 APJのクルマにて、ジュネーヴからシャモニーへ移動 20:50 シャモニー着 ホテルへ ※帰路については、後半のレポートに記載 - |
コース状況/ 危険箇所等 |
ヨーロッパ・オートルートの山岳ツアーは、我々日本人にとって”非日常の連続”である。とりわけ今回のような冬期の山岳スキーツアーにおいては、良い意味でも悪い意味でもそれが極められる。夢の中の様でもあり、地獄の様な苦しみを味わうかもしれない。また長丁場であるがゆえに、異質の生活環境のなかであっても、”食う・寝る・出す”を翌日に負担を持ち越すことなく、着実に処理していけないと、どこかで破綻が生じてしまう。しかも標高が3000m前後での寝食生活だ。単に体力があるとか、技術がすぐれているとか以上に、この基本的な生命力や生存競争の力が、かかる”非日常”のなかで求められると思う。 【オートルートについて】 ”Haute Route”と書いて”オートルート”と読む。”標高の高い道”という意味で、フランスのシャモニーから、スイスのツェルマット(正式にはサースフェーらしい)をつなぐ山岳ルートである。季節を問わないが、3月〜4月に山スキーで踏破するのが人気となっている。夏場の踏破も素敵らしいという。 【ツアー選定にあたって】 あくまでも個人的な所感であるが、一般に参加できるオートルートツアーを、そのハードさの順に並べると以下の様になる。(コースの部分的なものやヘリツアーを除く)。費用的な負担も、安い順にならべた場合とほぼ等しい。 1.や2.は、それぞれ海外へインターネットで直接申し込む。私が参加したのは3.で中間的な位置づけである。 1.シャモニーガイド組合が開催するツアー Chamonix Zermatt: The "Haute Route "6.5days http://www.chamonix-guides.eu/ 2.スイス・アルピンセンターが開催するツアー http://www.alpincenter-zermatt.ch/welcome.html 3.AT社の日本人TL(ツアーリーダー)が参加しないツアー 4.AT社の日本人TLが参加するツアー 5.AG社のツアー(常に日本人TLが参加) 6.F社のツアー(常に日本人TLが参加、イタリアンルート) 【オートルートのルートについて】 単に”高い道”という意味だからいろいろなルートがあるが、クラシックルートと呼ばれるものと、その他のルートに大別される。クラシックルートには、フランスルートと狭義のクラシックルートがある。この二者が異なるルートは一部分だけだ。その他のルートには、イタリアンルートなどがある。私が完走したのはフランスルートである。 スキーでのオートルートの詳細ルート内容については、シャモニーガイド組合のディディエー(Didier Lavigne)ほか1名が著した”Haute Route Chamonix to Zermatt ski touring”(ISBN 978-2-918824-09-1)の英語版を推奨する。2012年01月出版のもので、最新情報にあふれている。また、写真も多くて、山座や氷河の名前も多く記述されていて良い。(本の写真は、後半のレポートに) 【装備その他について】 旅行会社が提示した装備以外に、クランポン、プローブ、スコップが必要となった。これらはガイドの指示であり、すべてガイドに従わなくてはならない。当然、ビーコンやハーネス(常時装備だった)などは必携。私のスキー装備に関しては、次の通りである。 ・スキー板: K2 WAYBACK 先端ロッカー板 ・ビンディング: ディアミール・フリーライドプロ(2011-2012モデル) ・山スキー靴: ガルモント エンドルフィン ちなみに、我々のガイドのスキー装備は、次の通り、 ・スキー板: ATOMIC FREE DREAM ・ビンディング: ダィナフィットTLT ・山スキー靴: スカルパ マエストラーレ その他の装備で注意したほうがよいのは、次の通り。 ・太陽光線(紫外線)が強烈なので、日焼け止め対策は十分に! 忘れがちなのが、くちびる。SPF効果のあるリップクリームをもっていくこと。 ・ビーコンやGPS、ヘッデンのための乾電池は、シック・エナジャイザーがお勧め。 高価だが、寿命が長くて、軽くて、低温に強くて、自然放電が少ない。ただし、 初期電圧が、1.8Vぐらいあるので、実際にテストしておくこと。以下は大丈夫だった。 マムートのビーコン、GPSロガーWPL2000LX、ペツルのヘッデン ・ホテルの室内および周辺で履く軽いスリッパ。ガイドは折りたたみの軽いモカシン を持っていた。ずるい。 ・スキー靴が臭くなるのがイヤな方は、何度か、グランズ・レメディの白い粉を インナーになじませておくとよい。今回、私のは大正解だった。他の方のは・・・ 【コース状況など】 ●3/24(土) オートルート1日目 シャモニーのホテルにて、置いていく荷物とオートルートに持っていく荷物に分けてから、APJのクルマで出発する。アルジェンチェールにあるグラモンテスキー場がオートルートのスタート場所だ。朝一のグラモンテスキー場は、土曜日ということもあってか多くのスキーヤーでごったがえしていて、なかなか発券できない。この多くのスキーヤーのなかには、我々の様にオートルートをスタートする人もたくさん居て、初日宿泊予定のアルジェンチエール小屋を満員にしてしまった。ツアー会社から直前に知らされたものだが、今宵の我々の宿は、ロニヨン小屋に変更となった。 ゲレンデトップ(グランのコル3225m)からそのままロニヨン小屋にスキー滑降してしまったらすぐに終わってしまうので、今日はトレーニングとして、一旦ログナン氷河をスキー滑降し、アルジェンチエール小屋をかすめて、アルジェンチエール氷河とトゥール・ノワール氷河をシール登行することになった。最下点は2580mで最高点の標高をあとでログを見たら3000mを越えていたので、アルジェンチエール小屋(2771m)へ行くより大変なトレーニングとなった。ガイドのクリストフは初日からやってくれる。このトレーニングに着いてこれなかった一名が今日の宿で離脱することとなった。実際、パーティが何度もかなり待たされたし、スキー技術も一般に言う初級クラスだったので、ガイドとしてもやむをえない判断だったのだろう。 山小屋とは言っても、どの山小屋でもディナーはコース料理になっていて、最初にスープが出てきて、サラダが続き、メインディシュが出て、最後に必ずデザートがつく。日本の山小屋も高額料金を取っているので、少しは見習ってほしいものだ。今日のディナーのメインディシュは、マスを銀紙で包んで蒸したものだったが、美味であった。ベットは2段のものだったが、可愛らしい部屋だった。 ●3/25(日) オートルート2日目 ※サマータイム切替え日 今日がサマータイム切替え日であることを事前に知らされていたが、時計を1時間進めるところを間違えて、遅らせてしまい、朝からタタキ起こされてしまった。 一旦グラモンテスキー場の中間駅ロニヨンまで滑り込んでから離脱する一名と分かれてゲレンデトップに向かったが、なんだか時間ばかり食っている感じだった。二度目となるゲレンデトップ(グランのコル3225m)からようやくスタートして、アルジェンチエール氷河を滑り込んでパッソンのコルへの取付き(2390m)に着く。 途中で一度転倒して少し置いてけぼりにされた。私の板は、先端がロッカー仕様になっていて、滑りでトップコントロールが出来ない。板全体をしならせるか、テールコントロールしか出来ないのだが、ずっと降雪がなくてアイスバーンになった状態には極めて弱い。しかもスキーのトレースのミゾが出来て、カチコチに凍っている状態を”面”で滑っていくと、スキー先端がフラフラとあさっての方向へ遊びたがり、これを制御することが出来ずに、顔からアイスバーンに突っ込んでしまった。アイタタタ。。。この先どうなることやら。。。 シールをセットして、快調に高度をかせいでいく。ジグザグのたびに不安定な山向きのキックターンを繰り返す。ガイドの真似をしようとするがなかなか出来ない。シール登行を始めて1時間以上になっても休憩がない。急斜面のためスキー板をザックにセットして登るところまでやってきて、ようやく休憩する。ステップが出来上がっているのでツボ足で登れ、という指示だったが、見上げるような急斜面で怖かったのでクランポンのセットを許してもらった。 よれよれになってパッソンのコル(3028m)に着く。最初のコル越えからこんな状態じゃあ情けない。景色が一変して、尾根の反対側に、プラトーが広がっていて、1本のトレースがスーペリア・ツールのコルへと続いている。しばらくゆっくりと眺めていたいが、すぐにスタートとなる。長い長いトラバースが続く。ふと見上げるとはるか上方にジグザクのトレースがあり、アリの様にパーティの列が登っていた。これが、スーペリア・ツールのコルだ。『うわぁ〜これを登るんか・・・』とすでに弱気が支配している。カラダに鞭打ってジグザグ登りを繰り返す。するとまたもや、急斜面でスキー板をザックにセットして登ることになる。 疲労困憊でスーペリア・ツールのコル(3288m)に着く。また景色が変わった。これぞオートルートといった広大なトリエント雪原(プラトー)が広がっていて感動する。その中に1本のスキートレースが続いていて、地球上で我々だけ。。。といった錯誤を覚える。そもそもここは地球か?といった疑問すら沸いて来る。 ゆっくりしたツアーなら、この先にあるトリエント小屋(3170m)で泊まることになるのだが、我々にはもう1本のコル超えが待っている。トリエント雪原に続く氷河を滑り降りたところに、エキャンディのコルへの取り付き(2750m)があった。ほんの50m弱の登りであるが、最初からスキー板ザックセットのツボ足だ。エキャンディのコル(2793m)に着いたら、ふくらはぎが悲鳴をあげていた。 エキャンディのコルから、これからスキーダウンするアルペット谷の景色が一望できた。カラダのあちこちで悲鳴を上げていたが、あとはロングな下りのみとなるとゲンキンなもので、塩水に入れられた金魚のように元気になる。楽しいスキーダウンを堪能する。ビールだ、シャワーだ、メシだ、と叫びながらシャンペの村がだんだんと大きく見えてくるのを楽しみに滑っていった。 シャンペの宿(ルレ・ド・アルペット 1627m)はスキーヤーズロッジであり、何となく可愛い感じのするお宿であった。スイス入国であり国旗がはためいていた。部屋は相部屋で、料理もそこそこであったが、雰囲気はとても良かった。今日は大変疲れて、食欲すら出ない。食欲を失うほど疲れたのは久しぶりだ。明らかに内臓疲労と思われる。”ノ・ミカタ”というサプリを呑んだ。個人的にいつも重宝している。 ●3/26(月) オートルート3日目 朝食後、宿から10分ほどスキーダウンしたところで、APJの神田泰夫さんにピックアップしてもらって、ル・シャーブルにあるヴェルビエスキー場までクルマ移動する。このポイントでも離脱者があれば回収するのだろう。私自身も半分は回収されかけである。移動中に神田さんから、『決して頑張らないで、楽しんでくださいね!』と言われた。全くその通りだと思った。 ヴェルビエスキー場は巨大なスキー場だ。ロープウェイやリフトを2度ほど乗り継いでゲレンデトップ(ジャンシアンヌのコル 2980m)に達した。スキーで東へ東へとトラバースした。小さなショーのコル(2940m)を超えて、氷結したモンフォー湖(2764m)でモミンのコルへの取付きとなり、シールをセットしていたら、後からシャモニーガイド組合開催のパーティ13人が現れた。何と日本人が3人(うち女性1人)も参加していた。 ツアー選択にあたって、私もこのツアーを検討範囲に考えていたが、仏語会話がさっぱり出来ないので、断念していたものだ。実際は意外と英語が通じるので、それほど心配要らないらしい。こういった国際パーティに参加する最大のメリットは様々な国から参加したスキーヤーと交流ができることだ。もみくちゃにされながら同じ苦しいルートを辿って共有感を味わうことができる。ある種の”うらめしさ”を感じながら、それでも私はこの日本のツアーに参加して良かったと思った。なぜなら、このガイド組合のパーティはスピードが抜群に速いのだ。こんなパーティに参加していたら死んでしまうと思った。 ガイド組合のパーティとはその後もしばらく同じルート、同じ宿となり、その参加者のS氏とは、サバ?(大丈夫か?)、サバビアン!(大丈夫だ!)とやりあった。このパーティのメインガイドは上述の本の著者であるディディエーご本人であり、サブガイドは、ジャン・ピエールという中堅ガイドだった。ジャン・ピエールは我々のガイドであるクリストフと一緒にガイド研修した仲間であって、やたらとクリストフにちょっかいかけてくるので、我々は彼のことを”いたずら小僧”と呼んだ。実際はきびしいヤツらしくて、パーティのメンバーを叱り付けていたらしい。 モミンのコル(3015m)への登りも辛かったが、何とか登れた。その後、グランド・デザート氷河をトラバースしながら、ローザ・ブランシュへ登る分岐に着いた。2人の女性は登らなかったが、荷物をこの分岐にデポして、ガイドを含めた3人でシール登行した。頂上直下の肩の部分でスキーを脱ぎ、ガイド先導による3人のアンザイレンでローザ・ブランシュ(3336m)に登頂した。360度全方向・全展望であった。ツアー中、初めての山頂であり、涙ものだった。 スキー滑降は、肩から分岐までのモサモサ雪を気持ちよく滑った。これまで散々だったK2のロッカー板の面目躍如となった。本当に気持ちのいい滑りだった。その後、プラフルーリ氷河を滑降し、15:30にプラフルーリ小屋(2662m)に着いた。すぐに小屋前のオープンテラスで飲み物を頂いたが、ガイド組合のパーティよりも到着が早かった。彼らは行動中は速いが、人数が多いのでどうしても休憩時間が長くなってしまうらしい。 ●3/27(火) オートルート4日目 朝6:00すぎ、暗いうちにプラフルーリ小屋を出発する。まだ、うす暗い中、ルー峠に向かってシール登行した。ガイドのクリストフはゆっくりと登ってくれるので助かる。休憩は1時間に一回ぐらいしかしないが、休憩をしなくてもいけるペースだ。ガイド組合のペースは、休憩しないと進めないペースだ。ルー峠(2804m)を越えて、ディス湖の西岸を標高を保ちながらトラバースする。なだれの跡があちこちにあって、それがカチコチに凍っていて、ふとももに負担のかかるトラバースだ。凍ったデブリは後始末に悪い。早朝に出発した理由がなんとなく分かった。 長い長い、乳酸をふとももに供給するトラバースで、ようやくパドゥシャー(シャー峠 2385m)に着く。ここでシールをセットしディス小屋まで登る。この登りは事前に調査していなかったこともあって、大変辛かった。それでも12:30にはディス小屋(2928m)に着いた。昼食は小屋で頼み、ロシティとケーゼシュニッテをいただいた。ちょっと注文しすぎて、腹にもたついたが、ロシティは大好きなメニューのひとつとなった。午後の時間は、テラスでくつろいで、日記を書いたりした。食欲も戻ってきて、いい休養日となった。もちろん周りは雪山の絶景である。至福の時間を過ごした。 (以降、後半のレポートに続く) - |
写真
感想
オートルートツアー選定にあたって、最初はKAOR氏がツアーリーダーとして主催するF社の裏ツアーに参加する予定でいました。このツアーではスキーでの滑りを重視してイタリアンルートを採り、メンバー厳選で実行されるというものでしたが、震災などの影響により、2011年末の時点で催行されないことが決定されました。そこで私は、どうせ行くなら、正面からガッツリ完走してやろうと思い立ち、AT社の日本人ツアーリーダーが参加しないタイプの13日間のツアーを選びました。途中で、シャモニーガイド組合主催の国際ツアーに参加しようかとも考えましたが、なにぶん仏語が全くダメなので断念しました。仏人ガイドと十分にコミュニケーションが図れないと危険と感じたからです。しかし、6日半で1100ユーロという魅力的な価格設定には今でも、もう一回行ってやろうかと、そそられるものがあります。
最終的に、AT社のツアーにした決め手は、現地案内人すなわち、APJ(アルプス・プランニング・ジャポン)の神田夫妻にあります。夫妻はシャモニーに在住して40年近くになり、事情はすべて知り尽くしていて、かつ夫の泰夫さんはUIAGM認定国際ガイドでバリバリの山男です。ツアー中に何か事故でもあれば、その対応を最もふさわしいやり方で採ってもらえます。現地のいわゆる留守本部的な存在で、非常に頼もしい思いをしました。
-
ツアー後半につづく
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-181361.html
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