九輪草の花咲く谷を遡行して白い花咲く八丁平へ
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- GPS
- 03:03
- 距離
- 8.9km
- 登り
- 406m
- 下り
- 408m
コースタイム
天候 | 曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
アラ谷には一般登山道なし、テープ類もなし、 フジ谷峠を越える登山道は斜面崩落のため通行不能 (詳しくは感想にて) |
写真
感想
そろそろ新緑の八丁平の風景を見に行こうと思う。尾越のクリンソウも気になっていたので、尾越から入ることにする。そして、尾越から入るのであれば、アラ谷に沿ってまず峰床山に至るコースを考える。地形図から読めるこの谷の広くなだらかな様子を実際に目で確かめてみたいと以前から思っていたのだった。
午前中に出発は昼前になってしまったのだが、京都市内は雨が降り出す。R367を北に向かうと比良のあたりは上の方は完全に雲の中だ。大原を過ぎると気温は17℃と標示されている。新緑はかなり進み、緑が濃くなっている。
大見集落に通りがかると集落の奥でひっそりと咲き誇るクリンソウの群落が目に入る。ここのクリンソウは一際、色が濃いようだ。
前坂峠の手前で道を歩いておられる単独行の女性がおられる。八丁平を目指すのだろう。車を停めて、「どちらまでですか?」と聞くと、最初は怪訝な顔をされたが、こちらの意図を理解してくれたようだ。しかし「好きで歩いているので、結構です」とのことであった。
前坂峠から下って尾越にはいるとすぐにもクリンソウの大群落が現われるのだが、まだまだ咲き始めのようだ。集落に入ると杉木立の手前のクリンソウの群落はそれなりに花が咲いていた。クリンソウの花を鑑賞して車に戻ると、後ろから走ってくる女性が目に入る。女性はどうやらトレラン・スタイルのようだ。
尾越集落を越えて、アラ谷の手前の道路脇の広地に駐車する。登山靴を履いたりゲイターをつけたりと、準備をしているうちに、早くも先程の女性が脇目もふらずに通過していった。外はかなりの強風だ。半袖のTシャツでは明らかに肌寒いので早速にも長袖を着る。林道をあるき始めると、咲き始めたばかりのヤマツツジの鮮やかな朱色に目を奪われる。
アラ谷の入口は地図で見る広さとは裏腹に意外にも狭い。谷の右岸の薄い踏み跡を辿って谷に入るとすぐにも平らな植林地が広がる。植林地の中を沢沿いに歩いていくと、やがて谷の周囲は自然林となり、左岸に小さな湿地が現われる。ここでもクリンソウがいくつか咲いている。湿地の脇では山毛欅の上に鳥の木箱がかけられている。しかし、樹の幹には多数の熊の爪の削ぎ跡が刻み込まれていのだった。再び小雨が降り出す。
広い谷の中には明瞭な踏み跡が現われる。ところどころ掘割式になっており、古道の雰囲気だ。尾越から峰床山を越えて久多に至るにはこの谷を通るのが最も楽と思われるので、おそらくかつては要路の一つだったのだろう。
沢に沿って奥へと進む。ほとんど傾斜のない平らな谷を進んでゆく。谷の平地では生えだしたイワヒメワラビが褐色の林床を若緑色に点描する。間もなくするとあたり一面の緑に覆われることになるだろう。
ところどころに倒木はあるが、乗り越えるか潜るかして先に進むことは出来るので、この程度で文句を云うわけにはいかないだろう。北山は昨年の台風以来、谷によっては通過が出来ないほど倒木が酷いところも少なくないのだから。
踏み跡を辿るうち、谷の最奥部では二俣に分かれる。沢の流れは既に非常に細くなっている。右手の谷に薄い踏み跡が続いているように思われるのと、尾根に楽にたどり着けそうなので、この谷に入る。谷の突き当りでは樹に巻かれた古いテープを見かける。斜面をジグザグと登るとすぐに林道に飛びだす。林道を進むと斜面には石楠花の花が咲いているが、花は終盤のようだ。しかし、どうも花数が少ないように思われる。
しばらく林道を歩くと、尾根を通過してゆく風がたてる風鳴りの音が一際大きく聞こえる。やがて峰定寺の方から登ってくる登山道と合流して、俵坂峠に至る。尾根道を少し登ると南東に展望が開け、正面に皆子山を望む。比良の上のほうは相変わらず雲の中だ。峰床山の山頂へは一息だ。山頂に辿り着くと風が弱まり始めたようだ。ここで遅めのランチとする。山頂からは新緑の山々を見渡すことが出来る。彼方に辛うじて愛宕山のシルエットが浮かんでいる。
山頂を辞すと、まずはオグロ坂峠へと至る東稜を歩き始める。新緑の山毛欅や楓の若緑色が美しいが、その中にあって白い花を満開に咲かせている樹が目立つ。サワフタギの花に思われる。
八丁平の北西のなだらかな谷を八丁平へと下る。八丁平の周回路との間は以前は防鹿ネットが二重三重に張られており、通過出来なかったのだが、防鹿ネットは植生の周囲のみを囲うように張られており、谷を下ったその足で周回路に合流することが出来る。
時計回りに周回路を辿ることにする。中村乗越からのコースの合流点では白い五弁花をつけている樹々が目立つ。ズミの樹のようだ。
そのまま周回路を南西のベンチのあるところまで周回する。湿原の中でも多くのズミの花を見かける。916m峰の斜面にあがると、そのまま八丁平の南の谷を南下する。すぐに林道に出る。
最後はフジ谷峠を越える道に入る。北山分水嶺クラブの地図では通行不能と記されているが、間もなくその理由を知る。
明瞭な登山道を歩いていくと突然、右側の斜面が大きく崩落している地点に出る登山路の先は崩落斜面の空中に消えていっているのであった。崩落地の中は歩けそうもないので、踏み跡の全くない尾根芯を下ることにする。やがて右下には見覚えのある堰堤が目に入るが、尾根の下部ではかなりの急下降となる。このフジ谷峠を越える道はかつて下から辿ろうとしたことがあったが、全く道が判らずに諦めたのだった。登山道はほぼ完全に消えている訳を理解する。
堰堤を越えると杉の丸太橋を渡って尾越へと下る林道に出る。ヤマツツジの朱色を再び目にすると車を停めた空き地が近いことを知るのだった。
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