祖母山☆雲上にて望外の花に遭う
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- GPS
- 03:47
- 距離
- 8.9km
- 登り
- 833m
- 下り
- 819m
コースタイム
天候 | 曇り後晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
一般登山道 |
写真
感想
九州出張の最終日、天気はあまり期待していなったのだが、朝、熊本市内は雲はほとんど見当たらないほどの快晴である。この日は空港でレンタカーを借りて菊池渓谷に向かおうと考えていたが、この快晴ならばと、行先を思い切って祖母山に変更することを思いつく。
しかし、阿蘇外輪山を越えて、R325を宮崎県に入った途端に雲行きが怪しくなる。周囲の山々はすっかり雲の中である。北谷登山口に辿り着いた頃には小雨も降り始めた。
この祖母山には昨年の同時期、前日は高千穂に宿をとり五ヶ所まで来たのであるが、厚い雲がとれる見込みがないと読んで登山を諦めたのだった。さらにその前年にもこの祖母山への登山を目論見ながらも交通のトラブルで到来できなかった苦い思い出がある。今回も天候には恵まれないかもしれないが、登山口まで来てしまうと、とりあえず登ってみようという気になる。
登山口の10台ほどの駐車スペースはほぼ埋まり、隣のご夫婦も出発の準備を整えておられるところであった。お先に失礼して、千間平コースを辿る。登り始めの植林帯では意外と空気が乾いていることをぬか喜びしていたが、自然林に差し掛かると登山道は重苦しい濃霧の中へと入ってゆく。千間平を過ぎると登山道は緩やかになる。
国見峠に差し掛かると10m先も見えない濃霧なので、あたりは真っ白な闇のようである。方角を頼りに東に進むと白い闇の中から眼鏡をかけたお地蔵様が登山を労うかのように微笑んでいるのであった。
八合目を過ぎるとそれまではなだらかであった登山道もようやく登りらしくなってくる。九合目を過ぎて、いよいよ山頂直下に近づいたあたりで、ようやくあたりの濃い霧が薄らぎはじめる。
ふと足元をみると、登山道に散る大きめの白い花がある。ふと上を見上げると、もう花期は終わったものとばかり思っていたオオヤマレンゲの花がいくつも咲いているではないか。花は樹の高いところにあるものが多く、正面からカメラに捉えるのは容易ではない。
山頂にかけて、最後の夏椿と思われる白い花も数多く咲いている。山頂に辿り着いた途端、突然、あたりの視界が開ける。南の方角には天狗岩から障子岳への稜線が雲海を遮っている。東の方向にはひたすら茫々たる雲海が広がっているが、そのからわずかに頂きを突き出しているのは傾山ではないだろうか。
丁度、二人組の男性が出発の準備をされておられるところであり、我々の写真を撮っていただく。しかし、雲の流れはあまりにも早いようだ。写真を撮っていただいている間にも急に雲が押し寄せ、東の方角は雲がかかり、障子岳への稜線にも雲がかかり始める。
軽く行動食を済ませると下山の途につく。風穴コースを下りはじめると、こちらでも山頂直下にオオヤマレンゲの花が多く咲いている。驚いたことに蕾もまだ数多く見かけるので、あと一週間ほどは見られるのかもしれない。
すぐにも小さな草原に出ると、バイケイソウの花が多く咲いている。草原の中ではいつしか夏椿の花に燦々と降り注ぐ日差しが白い透過光を生じる。ふと祖母山の山頂部を振り返ると、厳めしい岩峰の背後は青空が広がっている。山頂から下りがこれほどの急下降でなければ山頂に戻りたいところであった。
斜面を右手に下る登山路を見送り、尾根道を進むと小さな展望地に出る。登りの山道を覆っていた濃霧はどこへ消えたのだろうか。登山口のあたりから五ヶ所の集落のあたりまで雲一つなく晴れている。家内がすぐ下で咲いているピンク色の花に気が付く。こちらも花期はとうに終わったものと思っていたミヤマキリシマツツジに思われる。
まもなく登山路は樹高の高い自然林の中を下るようになる。木漏れ日の落ちる林は登りの尾根とほぼ同様の林相なのであろうが、まるで違う山を歩いているかのように思われる。風穴に辿り着くと、ヘッデンのライトをつけて穴の中に降りてみる。一瞬にして天然の冷蔵庫に舞い降りた感じがする。風穴を出てもその周囲には冷気が漂っているようだった。
登山口に近づくあたり、最後に北谷を渡渉することになる。ここ数日の九州地方の雨でかなり水量が増しているのだろう。一見、渡渉が容易ではない。少し上流に遡ったところで飛び石を伝って渡れそうな箇所を探すことが出来るが、冷や汗をかくことになった。
快調に下ったつもりではあったが、下山後、時間を見て驚いた。登りに要した時間は1時間32分、下山は1時間41分、なんと下りの方が時間を要したとは。山頂直下ではオオヤマレンゲの写真を撮ったり、風穴や湧水で休憩をしているものの、下りの方が遥かに距離も短いはずなのだが。
下山後は三秀台に立ち寄る。阿蘇山、久住山、祖母山の三秀峰を眺めることが出来る展望台ということらしい。阿蘇山と久住山は雲により眺望が遮られているが、祖母山は右手の黒岳、左手の筒ヶ岳を従えて、すっきりとしたその鋭鋒を見せてくれる。
昨年のこの時期、祖母山に登るのを諦めて、この三秀台から雲に隠れた祖母山を虚しく眺めたのだった。その日はユウスゲの花が数多く咲いていたのだったが、この日はユウスゲの花は片端から花を閉じている。好天の日には花を閉じるのがこの花の特性らしい。かわりに草原の中にひっそりと咲くヒメユリの花が我々を見送ってくれるのだった。
コメント
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奥様と合流されて祖母山へ上がられたんですね。いつも熱々で羨ましいです。
霧の林を歩くのも神秘的な感じもあっていいですが、なんか出てきそうな… これだけの濃霧だと、ひんやりして気持ちよかったかな?
レンタカーを借りられたかと。九州内移動は、やっぱり車が必要そうで…
由布岳の話で、登山口から逆向きに湯布院へ下って、翌日に久住山へ行けるんじゃないかとプランニングしましたが、そう簡単に公共交通では移動できないようです。
ののさん コメント有難うございます。
濃霧の中はさすがに蒸し暑かったです。山頂もガスの中であることを覚悟して登っておりました。今月は家内と出かける機会もあまりなかったので。
これまでも九重は何度か訪れているので、由布院からバスを使う方法も検討したのですが、バスの本数が少ないんですよね。由布院から牧ノ戸峠は土日のみ亀の井バスが運転しており、それから平日は熊本と別府の間を走る九州横断バスというのがあるのですが、登山に使うにはいずれも不便な時間に思われます。
レンタカーにののさんお得意の自転車を載せることが出来れば、牧ノ戸峠に自転車をデポして、大曲か長者原まで下るという方法もありますし、由布岳の場合は正面登山口にデポして、由布院やお隣の鶴見岳から登るという方法も出来そうです。
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