鳥海山 (象潟口コース利用で千蛇谷、新山、外輪山周遊)
- GPS
- 08:32
- 距離
- 16.0km
- 登り
- 1,388m
- 下り
- 1,381m
コースタイム
- 山行
- 7:00
- 休憩
- 1:23
- 合計
- 8:23
天候 | 晴れ後曇り 無風微風 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
千蛇谷を含めて残雪箇所が多く、雪の上を歩くことは多かったが、今日の時点ではアイゼンの必要性は感じられず。 |
写真
感想
梅雨の最中のため、週末の関東近郊の天候は登山をするには絶望的。遠く離れた秋田山形県境に鎮座する鳥海山なら好天が約束されていた。埼玉から往復1000kmを越えるドライブに怯んだが、折角の好天予報と週末を無駄にしたくない思いから遙々出掛けてきた。
埼玉県南部の自宅は0:27に出発。途中の道の駅で同行者のZさんを拾って東北道に乗りあとは延々北上をする。道中は雨が降ったり止んだり。関東や福島など南東北は土日雨予報だしそのとおりなので雨でも気にしない。朝4時を過ぎるとあたりが明るくなる。福島も過ぎて山形に入っても空はどんより。片道500km以上かけて出掛けるので、空振りは避けたいが、曇天のため車中の雰囲気も少し重苦しい。しかしいくつかトンネルを抜けて日本海側に近付くと、晴れ間が見えるように。良かった、天気予報は当たっていた。それから休憩もそこそこにクルマを走らせて酒田に到着。途中の道の駅で大休止と腹ごしらえを済ませてブルーラインの登りにかかる。鳥海山は、4月と5月の残雪の時期にスキーで何度も訪れたし、その際にブルーラインも何度も利用したが、今回7月の夏の時期は初めて。5月の連休時はゲートが開いている時間に制限があったり、車道の脇に高い雪壁があったりするが、今日はどちらもなし。青々とした木々が茂っているのがとても印象的だった。何度も訪れたことのある山だが、季節が異なるので初めての訪問の気分。しつこいヘアピンカーブをいくつもこなし、自宅を出てから約6時間後の7:29に鉾立の駐車場に到着。6時間以上、500km超のドライブ。普段なら既にヘトヘトの疲労困憊だろうが、今日は気合いが入っていたのか、それとも高速区間の運転が長かったためか、疲労感はあまり感じず。身支度をして7:41に出発。
登山口からして残雪期とは全く異なり緑が濃い。歩き始めは石畳で整備されていて歩き易い。数年前このコースをスキーで往復した時は、雪が途中なくてスキーブーツで泥や石畳の上を歩いたことを思い出す。左手に4月は中島台からスキーで往復した際にずっと眺めて歩いた稲倉岳を見る。天気は曇ってはいたが眺望は良い。そして振り返れば日本海がよく見える。鳥海山は海にとても近く、象潟や福浦のコースを利用すると海がよく見え気分が高まる。歩き出しは海以外は特に見るべきものもない単調な登りだったが、しばらくすると残雪の上を歩くようになる。事前のリサーチで残雪のあることは知っていたので特に慌てない。目印に旗竿が立てられているところもあり、濃霧の際は助かるだろう。念の為チェーンスパイク持参で来ていたが、使用するほどではなかったし、この後何度も遭遇する残雪でも結局使用することはなかった。久々の雪の感触に嬉々としながら進むと、お待ちかねの高山植物が見られるようになる。花の時期なので、あらゆる花が咲いていた。自分が分かるだけでもチングルマ、イワカガミ、ニッコウキスゲ、シラネアオイなどが見られた。海が見え、高山植物も豊富。天気も上々。遙々埼玉から日帰りで訪れた甲斐は、これだけでもあった感じ。来て良かった、生きてて良かった。駐車場を出て1.5時間ほどで御浜小屋に到着。ここで大休止としたが風が通り抜けるので寒い。風の避けられるところで座って休む。積雪期にしか来たことがなく気付かなかったが、きれいで立派なトレイがあった。そしてここからはお待ちかねの鳥海湖が見えた。これが見たかった。スキーで来る季節には鳥海湖はただの丸い雪原になっていて、水をたたえる湖を見たことはなかったのだ。まだ残雪があって「ドラゴンアイ」になっていたが、湖になっているのを見られて満足。休憩後は右手に鳥海湖を見つつ進む。扇子森を登ると一旦下り、ここも雪が残っていた。スキーの時はここはシールを着けたまま下る。そして御田ヶ原の分岐付近くると、今日の主役とも言うべき新山がそびえ立つのが見えた。4月末に来て以来なので約2か月ぶりの対面。相変わらず堂々としていて立派。500kmドライブの甲斐はさらに増した。七五三掛けの下降点へ向けての登りにかかる。積雪期は七五三掛け付近で板を外しアイゼン歩行に切り替えることが多かったが、今日は付近に雪はないのでそのまま下る。下降点の少し下に昔の下降点と思しき所があり、そこがロープで進入禁止のようになっていたが、スキーでは何度もその場所から下った経験があったので、ここが下降点ではないか?と思い少し狼狽える。先に進むと下降点の立派な登山道があるのを見て安心する。ジグザグに下って千蛇谷に無事降り立つ。雪のある時期は日本離れした景色に何度来ても心躍らされるが、7月に来てもその感慨はやはり全く一緒だった。残雪はまだ多く、雪面の汚れや岩石は気になるものの、その気になればスキーができるほどの積雪があった。そして千蛇谷から見上げる外輪の壁は植物の緑色になっていて、4月や5月の雰囲気とは大きく異なっていた。それでもやはりここのこの景色は他の山域ではなかなか得がたく、往復で1000km以上走っても、毎シーズン来たいと思ってしまうのは、当然のように思われた。千蛇谷に降り立った後はしばらく残雪の上を歩く。シール歩行の際ジグザグ不要な緩斜面のため、アイゼンなしのつぼ足でも特に不都合はなかった。千蛇谷の圧倒的な景観を楽しみつつ先に進み、途中からは夏道を歩く。今までここに来たときは雪の白一色と言っても良く、草の緑や赤茶けた岩石は見たことがなかったが、7月にもなると当然のことながら雪は少なくなり夏山の様相で標高を稼ぐことになる。夏道を使ったものの、千蛇谷の残雪の上を歩いて下ってくる登山者もあり、そちらのほうが岩の上を歩くよりも容易に思われた。新山直下の山頂小屋で小休止。ここでは多くの人が休憩していたし、ここにザックをデポして新山往復している人が多かった。私たちは周遊ルートなので装備をデポせず一式を持って先に進む。スキーではここから先も何度も登ったが、雪のない時期は完全に岩の世界。両手両足を駆使して登る。ストックは邪魔だったが、しまうのも億劫だったので、そのままで登る。途中狭い岩の間をくぐったりして、フィールドアスレチックのようなところをこなし、11:48に無事新山山頂に到着。駐車場を出てから約4時間、自宅を出てから約12時間後の到着に感激。天気は良く周りの景色はよく見えたが、山頂はとても狭いので、写真を撮った後は早々に引き上げる。ここまで12時間かけた割には山頂にいられた時間は少なかった。この先再び岩の上を歩き、更に残雪の上を歩いて外輪の壁を登り外輪に到着。東側や北側の景色を見る。北側の祓川などのルートは残雪が豊富で、実際にスキーで滑っている人も見られた。鳥海山も7月にスキーができるところだったとは知らなかった。七高山まで歩いてここで大休止。風が少し吹いて寒かったので、シャツを重ね着して保温に努める。栄養と水分を取って外輪山の周遊を始める。雲は多かったが天気は良く、遠くまで見通せる。月山は朝からずっと雲が着いたり離れたりで、終日その姿をはっきり望むことはできなかった。それ以外は雲が多く山座同定はできず。やはりこの地域だけが好天のようだった。外輪歩きをしていると風がほぼ止んで、しかも太陽が照ってきて暑さを感じるように。今日はここまで比較的暑くはなかったのだが、ここに来て梅雨明け後のような暑さにペースが落ちる。自分にとっては2週間ぶりの登山だし、その間海外出張など入っていて、まともな運動は皆無だったので、足が止まってきたというか、次第に腿やふくらはぎに違和感を感じるように。暑くて大汗を絞る気候ではなかったので、足の痙攣にはならないだろうと思われたが、それでも足の疲労感が強く、ペースはがっくり落ちた。景色が良かったのは本当に幸いだった。ゆっくりなペースで歩き続け、行者岳と伏拝岳は気付かぬうちに通過。この辺りのルートは樹木が繁茂していたりして一部歩きにくかったが、それでもルート自体はとても明瞭だった。湯ノ台の素敵な斜面を左手に見、右手に新山と千蛇谷を見つつ進んで文殊岳に到着。行者岳と文殊岳は過去スキーで登ったことがあったが、外輪山を通して歩いたことはなかったので、今回夏道で歩いたので、赤線が繋がったことになった。外輪山歩きを始めた当初はカンカン照りに近かったが次第に雲が出始め視界も得られなくなってきた。とは言え終日晴れの予報で雷の予報もなかったので、雨の心配はせず。文殊岳で休憩後は下って七五三掛けに至る。腿もふくらはぎもプルプルしていて、ゆっくりしか歩けない。ここまで大した距離でも大した標高差でもなかったが、単純に普段の運動不足があらわれたのだろう。七五三掛けでもベンチで座って小休止してから先に進む。5月の時期のスキーだと、ゲートの閉まる時間が気になるが、今日はその心配がないので気楽。扇子森に向けて登り返しになるが、普通の登山なのであまりきつさは感じず。山スキーの時、この登り返しは板を担ぐかシールを貼るか悩むところだ。扇子森を越えると朝眼下に見た鳥海湖が再び見える。しかし朝とは様子が異なり、さらに湖の雪解けが進んだ感じ。ドラゴンアイの様子が朝と午後で異なり、違う姿を見られたようで得した気分。御浜小屋に14:46に到着。もう足がプルプルで言うことを聞かないので、ベンチに座ってしっかり休憩する。この後は下るだけとは言え、残雪歩きもあるし気は抜けない。ただもう大丈夫だろうとのことでここまで履いていたスパッツは外す。これで足首周りが涼しく開放的になる。小屋からの下りはすっかり雲ってしまい景色は見られなくなったが、涼しくて良いとポジティブに考える。まだ登って来る登山者もいたが、御浜小屋泊まりだろうか。下り続けると次第に眼下に再び日本海と飛島が見えるようになった。どうやら雲の下に出たらしい。最後海が見たいと思っていたのでこれは嬉しい。16:03に駐車場に到着。約8.5時間の山行だったが、疲労感が多かったのは、日頃の運動不足のせいであり、あとはやはり500km超の長距離ドライブのせいだったのだろう。
後片付けをして16:25に駐車場を出る。クルマの混雑はまったく見られなかった。鳥海山がもしも関東近郊の山だったら、この時期大混雑は必至だろう。朝登ってきたブルーラインを今度は下る。車窓から見られる日本海が青く、ブルーラインのブルーは海の青さから取ったのか?と思うほどだった。遊佐町のあぽん西浜で汗を流すと既に18時前。そのままどこかに泊まりたいが今日は日帰り弾丸ツアーなのでそれは却下し、酒田から高速に乗って帰宅開始。帰りは行きと反対というか、日本海側から離れるに従い天気が悪化していった。山形の山地に入ると雨も落ち出す。これも想定内。しかし既に起床から20時間近く経過し、日帰りの弾丸登山には慣れているとは言え、山形福島栃木とまだまだ通過しなければならない土地があり、距離も長く、途中東北道の松川PAで力尽き仮眠を取ることに。外気温が17度程度と涼しく、車中でシートを倒して寝ていても汗もかかずにいられたのは快適だった。1時間ほど仮眠すると不思議と元気が出てきたので運転再開。安達太良SAで今日初めての暖かい食事をし、その後は雨が降ったり止んだりする中で先に進む。疲れていたし天気も路面も悪いので、のんびり安全運転に徹した。栃木に入ると一旦雨は上がったが、館林を過ぎ利根川の橋を渡って埼玉に入った途端雨が落ち始め、南へ向かうほどに雨は強くなった。これも途中の休憩で見た雨雲レーダーのとおりだったので慌てない。Zさんと道の駅で解散し、途中給油して自宅に帰り着いたのは1:58だった。自宅を出てから25.5時間後の帰宅。とてもとてもくたびれたが、鳥海山はやはり良い山だった。春のスキーは毎年のルーチンとなりつつあるが、この時期も毎年訪れたいとさえ思った。しかし来年以降訪れるならどこかで泊まりとしたい。往復1000km超を日帰りはやはりつらい。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する