ヤマレコなら、もっと自由に冒険できる

Yamareco

記録ID: 193068
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
東北

神室山 (北東尾根〜東稜藪漕ぎ周回)

2012年05月20日(日) [日帰り]
 - 拍手
GPS
--:--
距離
11.9km
登り
1,186m
下り
1,184m

コースタイム

6:30出発-10:20夏道合流(御田ノ神)-11:30神室山 12:10出発-14:35 1,115mピーク-16:15下山
天候 快晴
過去天気図(気象庁) 2012年05月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
コース状況/
危険箇所等
秋田県側から神室山へ登る場合は、通常なら林道に入ってから西ノ又川方向へ右折しますが、今回はそのまま役内沢沿いに直進し、二股になる地点、駐車スペースのある広い河原まで入りました。役内沢沿いの林道は落石や倒木で狭くなっている箇所がありましたが、車が通った形跡があり、そのまま進みました。
南と西から沢が合流する広い河原に車を置いて出発
2012年05月20日 06:28撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
5/20 6:28
南と西から沢が合流する広い河原に車を置いて出発
林道は少し上に上がって西へ進む
2012年05月20日 06:34撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
5/20 6:34
林道は少し上に上がって西へ進む
役内沢を左岸へ渡る。渡る地点には川床にコンクリートが敷かれていたので簡単に渡れたが、水の勢いが強い
2012年05月20日 06:37撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
5/20 6:37
役内沢を左岸へ渡る。渡る地点には川床にコンクリートが敷かれていたので簡単に渡れたが、水の勢いが強い
右手からの沢を渡るコンクリート製の橋。手前が崩れている。これは渡らずに少し戻り、尾根に取付いた
2012年05月20日 06:47撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
5/20 6:47
右手からの沢を渡るコンクリート製の橋。手前が崩れている。これは渡らずに少し戻り、尾根に取付いた
ブナ林の藪を登っていく
2012年05月20日 07:41撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
5/20 7:41
ブナ林の藪を登っていく
右手に高松岳が見える
2012年05月20日 07:41撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
1
5/20 7:41
右手に高松岳が見える
ブナ樹海を登る
2012年05月20日 07:44撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
5/20 7:44
ブナ樹海を登る
950m付近から尾根右手(北東)側に残雪が現れ、藪から解放される
2012年05月20日 08:01撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
5/20 8:01
950m付近から尾根右手(北東)側に残雪が現れ、藪から解放される
振り返ると高松岳と山伏岳(左)が大きい
2012年05月20日 08:07撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
4
5/20 8:07
振り返ると高松岳と山伏岳(左)が大きい
神室山から北東の三角石山に延びる尾根上に到達し、登ってきた尾根を見下ろす
2012年05月20日 08:46撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
2
5/20 8:46
神室山から北東の三角石山に延びる尾根上に到達し、登ってきた尾根を見下ろす
虎毛山と左奥に栗駒山
2012年05月20日 08:47撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
4
5/20 8:47
虎毛山と左奥に栗駒山
三角石山(手前)
2012年05月20日 08:53撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
2
5/20 8:53
三角石山(手前)
鳥海山がくっきりと
2012年05月20日 08:57撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
7
5/20 8:57
鳥海山がくっきりと
目指す神室山。この後また藪に突入
2012年05月20日 09:08撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
4
5/20 9:08
目指す神室山。この後また藪に突入
1214mピークは北西面をトラバース
2012年05月20日 09:21撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
5/20 9:21
1214mピークは北西面をトラバース
1214mピークを振り返る
2012年05月20日 09:35撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
1
5/20 9:35
1214mピークを振り返る
神室山が近づいてきた
2012年05月20日 09:37撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
3
5/20 9:37
神室山が近づいてきた
登ってきた尾根
2012年05月20日 09:54撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
7
5/20 9:54
登ってきた尾根
役内沢を挟んで神室山東稜を見る。下山はどうか?
2012年05月20日 09:54撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
2
5/20 9:54
役内沢を挟んで神室山東稜を見る。下山はどうか?
藪を一つ越えたところに夏道が見える
2012年05月20日 10:11撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
1
5/20 10:11
藪を一つ越えたところに夏道が見える
夏道(御田ノ神)に出た
2012年05月20日 10:20撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
5/20 10:20
夏道(御田ノ神)に出た
前神室山の姿
2012年05月20日 10:21撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
7
5/20 10:21
前神室山の姿
夏道がわからない。少し下りて雪渓を登ることにした
2012年05月20日 10:41撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
5/20 10:41
夏道がわからない。少し下りて雪渓を登ることにした
雪渓を登って、下を見下ろす
2012年05月20日 10:52撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
2
5/20 10:52
雪渓を登って、下を見下ろす
雪渓上部の草付きに上がった
2012年05月20日 10:59撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
5/20 10:59
雪渓上部の草付きに上がった
上を見上げる。急斜面を上がる
2012年05月20日 10:59撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
5/20 10:59
上を見上げる。急斜面を上がる
前神室山
2012年05月20日 11:03撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
5
5/20 11:03
前神室山
マミヤ平(御田ノ神)の向こうに栗駒山。右手は虎毛
2012年05月20日 11:03撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
4
5/20 11:03
マミヤ平(御田ノ神)の向こうに栗駒山。右手は虎毛
足元はお花畑
2012年05月20日 11:08撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
1
5/20 11:08
足元はお花畑
ようやく主稜線に立ち、遠く鳥海山を見る
2012年05月20日 11:09撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
2
5/20 11:09
ようやく主稜線に立ち、遠く鳥海山を見る
北東尾根。夏道(西ノ又コース)が見える。
2012年05月20日 11:17撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
3
5/20 11:17
北東尾根。夏道(西ノ又コース)が見える。
レリーフピーク付近から神室山頂。山小屋が見える。その右手奥に火打岳。さらに遠く葉山と、右に月山
2012年05月20日 11:21撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
3
5/20 11:21
レリーフピーク付近から神室山頂。山小屋が見える。その右手奥に火打岳。さらに遠く葉山と、右に月山
神室山頂から小又山へ延びる稜線
2012年05月20日 11:32撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
8
5/20 11:32
神室山頂から小又山へ延びる稜線
火打岳
2012年05月20日 11:32撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
3
5/20 11:32
火打岳
前神室山。西面は残雪が少ない
2012年05月20日 11:32撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
2
5/20 11:32
前神室山。西面は残雪が少ない
山頂から役内沢を見る。遠くに虎毛と栗駒
2012年05月20日 12:05撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
5/20 12:05
山頂から役内沢を見る。遠くに虎毛と栗駒
鳥海山アップ
2012年05月20日 12:06撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
3
5/20 12:06
鳥海山アップ
下山はまず十里長根コースを下る
2012年05月20日 12:12撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
5/20 12:12
下山はまず十里長根コースを下る
これから辿る東稜
2012年05月20日 12:19撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
2
5/20 12:19
これから辿る東稜
天狗森と小又山(左)
2012年05月20日 12:22撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
4
5/20 12:22
天狗森と小又山(左)
根ノ崎沢を見下ろす
2012年05月20日 12:25撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
5/20 12:25
根ノ崎沢を見下ろす
小又山の姿。秀逸だ
2012年05月20日 12:26撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
4
5/20 12:26
小又山の姿。秀逸だ
神室山を振り返る。間もなく、十里長根コースと分かれ、藪に突入
2012年05月20日 12:42撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
3
5/20 12:42
神室山を振り返る。間もなく、十里長根コースと分かれ、藪に突入
ちょっと一息ついて神室山を振り返る
2012年05月20日 13:10撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
1
5/20 13:10
ちょっと一息ついて神室山を振り返る
こんな残雪があると助かる
2012年05月20日 13:13撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
5/20 13:13
こんな残雪があると助かる
途中、振り返る
2012年05月20日 13:34撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
1
5/20 13:34
途中、振り返る
尾根の左手(北面)をトラバース
2012年05月20日 13:42撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
5/20 13:42
尾根の左手(北面)をトラバース
役内沢対岸の1214mピーク
2012年05月20日 13:50撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
1
5/20 13:50
役内沢対岸の1214mピーク
午後の光
2012年05月20日 13:51撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
1
5/20 13:51
午後の光
残雪を選んで進む
2012年05月20日 13:51撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
5/20 13:51
残雪を選んで進む
山頂からもよく見えた雪堤を登る
2012年05月20日 14:25撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
1
5/20 14:25
山頂からもよく見えた雪堤を登る
1115mピークから神室山
2012年05月20日 14:34撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
5
5/20 14:34
1115mピークから神室山
天狗森と小又山(左)
2012年05月20日 14:34撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
3
5/20 14:34
天狗森と小又山(左)
辿ってきた尾根
2012年05月20日 14:35撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
5
5/20 14:35
辿ってきた尾根
虎毛山方面。わかり辛いが、写真中央奥に軍沢岳
2012年05月20日 14:36撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
1
5/20 14:36
虎毛山方面。わかり辛いが、写真中央奥に軍沢岳
残雪をぐんぐん下る
2012年05月20日 14:55撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
5/20 14:55
残雪をぐんぐん下る
尾根右手に雪堤が続く
2012年05月20日 14:57撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
1
5/20 14:57
尾根右手に雪堤が続く
だんだん細くなってきた
2012年05月20日 15:05撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
1
5/20 15:05
だんだん細くなってきた
藪の中では山ツツジが和ませてくれる
2012年05月20日 15:18撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
2
5/20 15:18
藪の中では山ツツジが和ませてくれる
2012年05月20日 16:00撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
1
5/20 16:00
見事なブナ林だ
2012年05月20日 16:02撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
2
5/20 16:02
見事なブナ林だ
見上げると若葉が空を覆う
2012年05月20日 16:04撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
1
5/20 16:04
見上げると若葉が空を覆う
針葉樹も出てくる
2012年05月20日 16:07撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
5/20 16:07
針葉樹も出てくる
クロベ巨木
2012年05月20日 16:09撮影 by  EX-Z550 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
5
5/20 16:09
クロベ巨木

感想

多くの登山道が切り開かれている神室連峰にあって、主峰神室山の北東及び東側は空白地帯になっている。北東に向けては、神室にしては幅広い尾根が延び、三角石山などのピークを起こしている。また東に向けては、根ノ崎口へ下りる十里長峰の合流点を過ぎると、この秋田・山形県境稜線上に夏道は無い。

私は沢歩きはできないが、幸い役内沢の奥まで林道が延びており、北東尾根に取付いて神室山頂に立った後、東稜を辿って下山すれば周回コースがとれそうだ。積雪期限定のプランだが、G.Wも過ぎて雪はだいぶ消えている。歩くとすれば藪漕ぎは避けられない。来シーズン以降に回そうか、正直かなり迷った。当日朝も決断できず、とりあえず近くまで行ってみて、雪がなさそうなら一般ルートの西ノ又コースを登ることにして出発する。

秋田自動車道を南下し、湯沢市雄勝が近付くと、神室の稜線が朝日に照らされて白く輝いているのが見える。やはり東側にはまだ残雪が十分ありそうだ。よし、北東尾根を登ろう−

役内沢沿いの林道を深く入り、広い川原のある二股付近に車を置いて、林道をさらに役内沢上流方向へ、一段高みへと上がって歩いていく。目安を付けた斜面に取付き、ブナの若木の藪の中を一歩一歩登っていく。尾根らしくなってくると、けもの道なのか少し歩きやすくなった。クマの見事な一物がデンと落ちている。道を作ってくれるのはありがたいけど、会いたくはない。通りますよ〜とばかりに、クマ鈴を振り鳴らす。

尾根はやがて、南西方向へ向きを変えていく。背丈程の笹薮に飛び込むが、ありがたいことに尾根の右手側に残雪が現れてきた。残雪は次第に多くなり、快適に登っていく。振り返ると、ポツンと山小屋を乗せた虎毛山の巨体、そして遥か北方には和賀岳の姿も確認できる。予想通りきつくはない、いい尾根だ。

神室山と三角石山を結ぶ尾根上、1214mピーク付近からは前神室から神室山への主脈がくっきりと見えるようになる。だが残雪もなくなって、笹薮のブナ樹林帯をトラバース気味に進む。尾根の左手に出ると、足元は役内沢へ切れ落ち、いかにも神室の顔だ。やがて夏道(西ノ又コース)を発見、小さな雪渓を上がって合流する。ちょうど御田ノ神だった。

あとは楽勝と思ったが、雪田となっているマミヤ平の先は藪がビッシリ、夏道がどこに繋がっているのかわからない。実は秋田側のメインルートである西ノ又コースを歩いたことがないのだ。

藪に入るよりはマシかと、少し下って雪渓を登ることにした。西ノ又沢上流部は雪渓となっており、アイゼンなら前爪を突き刺して登るような急斜面を、ピッケルを突き刺し、スパイク付き長靴で一気に登る。わずか50m程だが、グングン高さを稼いで爽快だ。花々の咲く草付きの急斜面に上がってトラバース、そして直登、ようやくレリーフピーク付近の主稜線に立つ。鳥海・月山・そして神室山頂から遠く火打岳まで一気に展望が開ける。

山頂でお会いしたのは単独の男性お二人。お一人は火打新道から登って火打・小又・神室と6時間で縦走してきたという猛者だった。微風快晴の山頂に腰を下ろして昼食。神室山頂から天狗森、そして最高峰小又山へと続く稜線の展望は一級品だ。

下山はまず小又山への縦走路を辿り、分岐を左、根ノ崎口への十里長峰コースを行く。しっかり刈払われた夏道だ。下山をどうするのか、山に入る前はもちろん、登っている間も考えていた。この東稜が難しそうなら、前神室を経由するパノラマコースを下って、林道を歩いて車に戻るという選択肢も考えた。だが車を置いた地点に下りる周回が可能なら、それに越したことはない。決め手は、1115mピークに向けてきれいに付いている雪堤だ。北東尾根を登っている時も、もちろん山頂からもその雪堤はよく見えた。そこへ達するまで藪はあるだろうが、山頂からは下り加減だ。その1115mピークから尾根を辿って下れば、無理なく戻れるだろう・・

十里長峰コースを右手に分け、藪に飛び込む。覚悟して臨んだ藪漕ぎだが、ここが一番酷かった。多くの灌木に蔦も加わって、足や腕、時には指まで引っかかる。だが先日の羽後朝日岳のときと違って荷物は軽いし、距離もわずかだ。懸念した岩場のような難所も無い。

尾根の左手、役内沢へ落ちる急斜面に残雪が付いていて、トラバース。このまま下ろうか一瞬思ったが、もしも下りて行ったら、最後は草木の剥ぎ取られた急斜面で立往生してしまうことになるだろう。慎重に前へ進んでいく。

ここはめったに人の入ることの無い秋田県最深部、雄物川源流域だ。どう表現したらいいのかわからない、特別な雰囲気が漂う。晴れているから普段通りに歩いているが、もし深いガスの中だったらどうだろう・・

目当ての雪堤を登り、1115mの高みに立つ。振り返ると神室〜天狗〜小又の主稜が圧巻だ。東側から眺める神室主脈のすばらしさに感動する。1115mピークからさらに東側は、これまでとは違ったおおらかな尾根になっている。右手の高みとの鞍部は、一泊したくなるようないい雰囲気だ。

さてここからは、北に向けて延びる尾根を下る。見事なブナ林が広がり、新緑がすばらしい。幸い尾根の右手に雪堤が残っていて、ぐんぐん下ることができた。藪に入ってからも慎重に尾根を見極めながら下っていく。かすかに踏み跡もあるようだ。途中右手に行き過ぎてしまったが、すぐに修正して尾根に戻る。最後はピッタリ目当ての林道に下り立った。

自分の中で一番うれしかったのは、下山にこの尾根が良いだろうという読みが当たり、そしてピッタリ下りてこれたことだ。登りについては極端に言えば高みを目指していけばいいが、下りは判断力が問われる。この尾根は急斜面もほとんど無く、登りに使っても良いと思う。林道に雪崩の危険が無くなった頃に入山してこの尾根を登り、1115mピーク東側鞍部にテントを張って、神室や軍沢岳をピストンする・・なんていうプランも楽しいと思う。

好天に恵まれて、順調に歩き通すことができた。有り難い。ますます神室が好きになった。

お気に入りした人
拍手で応援
拍手した人
拍手
訪問者数:2279人

コメント

kamadamお父さん…
一体どこを歩いてるんですか〜!!! まだ春山続いてたのね〜
kamadam ウオッチャーの自分としては、まだ当分目が離せないかな〜
自由自在に天狗のような山行、まさに神業のレベル。前人未到、空前絶後、東北の山はこう歩くんだという教科書みたいなレコですね
この尾根、クマ遭遇率30%、「猛者」遭遇率1%、山ガさん遭遇率だと限りなく0%でしょうかね
(御田の神から夏道行かないで、沢つめて稜線にあがるところも、地味にすごいな〜)

ヤマレコだけに載せるの、もったいない。せめて東北のページのトップにピンで留めておきたい。本格派を目指す若い人に読んでほしい…
1115ピークBC案,大鏑山、そして禿まで届くんじゃないでしょうかね。来年のお楽しみね

kamadamさんは、最上山岳会の「神室」は持っておられるのかな?
2012/5/23 12:07
天狗だと困りますよ〜
次々とお褒めの言葉をいただいて、パソコンの前でペコペコ 恐縮しっぱなしです
天気に恵まれて、たまたま読みが当たっただけなので・・  ホントに天狗にならないよう、気をつけなければなりません

神室はすばらしい山域だから、山ガールさん遭遇率30%ぐらいになってほしいですよネ
でも今回は藪漕ぎで山用パンツが太もものところで破れてしまったので、0%で結構でしたが

ところでkiyoshiさんは会報誌「神室」をお持ちなのですか? 以前、役場に問い合わせたところ、山形の大きな書店にはあると言われ、書店2軒ほど当たったのですが、結局手に入りませんでした

今回登った北東尾根はともかく、下山に使った県境稜線の東稜はバリエーションとして歩かれていて、○○尾根とか名前が付いているのではないかと思うのですが、いかがでしょうか
2012/5/23 19:01
kamadamさん、お早うございます
kamadamさんの記録を見るといつも想像力を刺激されますよ
僕の辿った軍沢と繋げてみたいですね〜

あと、三角石山を通るルートを僕は密かに考えていたりしました
神室の空白地帯、徐々に踏破していきたいですね
2012/5/24 6:09
tooleさん、おはようございます
沢を歩けない私ですので、役内沢沿いの林道は助かりました。kiyoshiさんがコメントされていた、宮城・山形県境、禿への長〜い稜線も魅力的ですよね

でも今は、tooleさんの超強力な飯豊レコに圧倒されていますよ  
2012/5/24 7:16
プロフィール画像
ニッ にっこり シュン エッ!? ん? フフッ げらげら むぅ べー はー しくしく カーッ ふんふん ウィンク これだっ! 車 カメラ 鉛筆 消しゴム ビール 若葉マーク 音符 ハートマーク 電球/アイデア 星 パソコン メール 電話 晴れ 曇り時々晴れ 曇り 雨 雪 温泉 木 花 山 おにぎり 汗 電車 お酒 急ぐ 富士山 ピース/チョキ パンチ happy01 angry despair sad wobbly think confident coldsweats01 coldsweats02 pout gawk lovely bleah wink happy02 bearing catface crying weep delicious smile shock up down shine flair annoy sleepy sign01 sweat01 sweat02 dash note notes spa kissmark heart01 heart02 heart03 heart04 bomb punch good rock scissors paper ear eye sun cloud rain snow thunder typhoon sprinkle wave night dog cat chick penguin fish horse pig aries taurus gemini cancer leo virgo libra scorpius sagittarius capricornus aquarius pisces heart spade diamond club pc mobilephone mail phoneto mailto faxto telephone loveletter memo xmas clover tulip apple bud maple cherryblossom id key sharp one two three four five six seven eight nine zero copyright tm r-mark dollar yen free search new ok secret danger upwardright downwardleft downwardright upwardleft signaler toilet restaurant wheelchair house building postoffice hospital bank atm hotel school fuji 24hours gasstation parking empty full smoking nosmoking run baseball golf tennis soccer ski basketball motorsports cafe bar beer fastfood boutique hairsalon karaoke movie music art drama ticket camera bag book ribbon present birthday cake wine bread riceball japanesetea bottle noodle tv cd foot shoe t-shirt rouge ring crown bell slate clock newmoon moon1 moon2 moon3 train subway bullettrain car rvcar bus ship airplane bicycle yacht

コメントを書く

ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。
ヤマレコにユーザ登録する

この記録に関連する登山ルート

この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。

ルートを登録する

この記録で登った山/行った場所

関連する山の用語

この記録は登山者向けのシステム ヤマレコ の記録です。
どなたでも、記録を簡単に残して整理できます。ぜひご利用ください!
詳しくはこちら