シャクナゲ咲く金峰山 / 御岳道から八幡尾根周回


- GPS
- 11:00
- 距離
- 23.7km
- 登り
- 1,742m
- 下り
- 1,742m
コースタイム
06:30 林道を外れ登山道に。(標高1569m)
07:10 造林記念碑前。
08:00 水晶峠
08:40 御室小屋(廃屋)
09:20 片手廻し岩
10:40 五丈岩-金峰山山頂(標高2595m)以上往路所要5時間20分(標高差1340m)
(ランチ休憩・散策30分)
11:10 山頂発(下山開始)主稜線歩行
11:25 八幡尾根降下開始
14:00 伝丈沢へ下降開始(標高2075m)
15:10 沢から上がり登山道へ。(標高1660m→1750m)
15:40 御岳林道に出る。
16:20 駐車スペース帰着。以上復路所要5時間10分
全行程所要11時間00分(30分休憩含む)。(歩行距離23.7km)
天候 | 天気/ 快晴(AM5)→曇り(AM8~PM5) 気温/ 11℃(AM5)→18℃(PM5) 風 / 終日無風 他 / 霧(八幡尾根上部) |
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過去天気図(気象庁) | 2012年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
林道が精進沢を渡った先、約300mで通行止めゲートに突き当たる。 その角を左折し伝丈沢を橋で渡った先の5台分程度の空き地に車を停める。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
[御岳林道(閉鎖)-造林記念碑] 林道は傾斜緩く歩きやすいが距離が長い(約5.0km)。自転車などでゲート進入し、登山道口にデポがお勧め。 渓流沿いの登山道はほとんど踏み跡なく廃道と化している。地形図の標高1690m付近に東西に走る点線道があるが、これは単なる「草地」。ここで東を走る林道に出て北に向かうと約500mで造林記念碑(道路左側)に着く。その反対(右)に登山口がある。 [造林記念碑-金峰山頂] 水晶峠を越え御室小屋まではなだらかな道。御室小屋を過ぎると一気に急登となり、鎖、ハシゴ、ロープ場が続く。 [金峰山頂-八幡尾根] 山頂から西(大日岩方面)に向かう主稜線上のルートはわずかに尾根の北を走るため、南の八幡尾根方面への分岐がわかりにくい。大岩ごろごろのガレ場を適当に下る。 シャクナゲとハイマツの藪の中で「境界見出標」があれば、これが尾根筋の印。 尾根道は極めて不明瞭。地形に注意しながら尾根を外れないよう細心の注意が必要。藪や岩を巻くときも少しでも早く尾根に戻ることが肝心。 また支尾根が多く迷い込みやすい。常に進行方向をコンパスで確認すること。 [伝丈沢] 沢の岸に歩けるスペースがあり安全に歩行可能。標高1900~1800m区間に3つの滝があるので慎重に下降する。 [伝丈沢から陸に上がる] 標高1660m付近、伝丈沢が大きく右カーブする地点で沢を上がる。 左岸の適当な水無し沢筋を上がるが猛烈な藪だった。しかし地図上、他に上がれそうなルートはない。 [コンビニ] 甲斐市敷島市街の「上町交差点」角にセブンイレブン。または昇仙峡ライン沿い甲府市千塚4丁目にローソン。 [そば] マウントピア黒平の北すぐにある「藤原庵」。 店主が採取した山菜のてんぷらや手打ちそばなど山の幸いっぱい。 http://www.ybs-g.jp/fujiharaan/ [参考レコ] 下記Neuron様のレコ(特に伝丈沢)を参考にさせていただきました。この場でお礼申し上げます。 http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-139131.html [写真] 下の写真のうち主なものは地図上に撮影ポイントが落としてあります。 なお、写真は巾1024pxあります。各写真クリック(巾800px)よりもスライドショーか「元サイズ」をクリックして頂いた方が大画像になります。 |
写真
感想
今回の山行の目的は三つでした。
1)甲府黒平(くろべら)からいにしえの「御岳道」を辿って金峰山に到達する。
2)先週わずかに歩いた「八幡尾根」の北部、金峰山-八幡山の区間を踏破する。
3)奥秩父のこの時期の名物、シャクナゲを堪能する。
です。
周回ルートになるため、どう元の出発点に戻るかが問題でしたが、八幡山南の1965m鞍部から「伝丈沢」に下り、正規の林道に無理矢理復帰するということにしました。
(この「無理矢理」が後述の通り、本当に無理矢理だった。)
天気が良いという予報の朝、朝一番に起きて出発点の林道を目指します。
ですが、着いてみたら林道は通年閉鎖の非情のゲート。
大きな誤算ですが、最初からめげていられませんからさっそく身支度してゲートを進入します。
かれこれ1時間も歩いて当初の登山口に到着です。
渓流沿いの点線道は実際にはあるのかないのかわからないようなあやふやさ。
何度も渡河しながらとにかく沢沿いに上っていきます。
そのうち横を並走するはずの林道に移ればいい、と思っていたら、案の定右にブロック積が見えて来ました。
ここで林道に上がってさらに北を目指します。
すぐに「造林記念碑」があり、ここから金峰山登山道が分岐。
最初から気持ちの良い散歩道のような登山道を進みます。
ほどなくミコノ沢を渡河し、水晶峠が近づくと路傍にピンク色に咲いたシャクナゲが散見されるようになり心が浮き立ちます。
水晶峠を過ぎると道は下りになって御室川に至ります。
いったん御室川の河床を歩き、やがて御室小屋に到着。御室小屋はすでに廃屋と化し、荒れ果てるままになっていました。
甲府からの距離を考えると、昔はここをベースキャンプのように一泊して翌朝金峰山に向かったのかも知れません。
交通の便が良くなった現在では御室小屋はその使命を終えてしまったのでしょう。
御室小屋を過ぎると登山道は一気に急登に変わり、すぐにハシゴ、大きな岩の鎖場などの「核心部」を進みます。
昔の人々はこんな場所をどうやって越えていったんだろう?、と思いながら・・・。
奇岩「片手廻し岩」を過ぎ、ガケのトラバースをロープで越えて進んでいくとやがて目の前に金峰山頂の五丈岩が見えて来ました。
山頂付近にはガスが流れて五丈岩が黒いシルエットに見えるとまるでゴーストに見下ろされているような圧迫感を感じます。
それでも標高を稼いでいくとほどなく森林限界となり山頂に到着。
山頂には、平日にもかかわらず相当数の登山者がくつろいでいました。
時刻はほぼ11時。ここで昼食・休憩して、下山ルートの八幡尾根に向かいます。
今回の目的の一つでありながら、おそらく最も難しいミッションと思われた八幡尾根降下。
案の定、最初から道が分かりません。
主稜線ルートから八幡尾根への分岐などどこにも案内板もなく、踏み跡さえも見あたらないのでした。
さらに追い打ちをかけるように八幡尾根には濃いガスが押し寄せています。
事前情報の「踏み跡極薄」「猛烈藪こぎ」に「濃霧」+「単独行」です。このまま、この状況に身を投げ出してもいいものでしょうか?。
頭の中に「やめた方が身のためだ。このままピストンでいいじゃないか。」という声。一方「まだ時間はたっぷりだ。やってみろ。」というささやきも聞こえます。
そして、私はついに藪の中へと身を投じたのでした。
道が見あたらないのですから、当然最初から藪こぎ開始です。初めはハイマツの中をうろうろして足元に踏み跡を探しながら降下します。
やがて踏み跡と「境界見出標」を見つけて安心。しかし下っていくと道はすぐにあやふやになり、またシャクナゲの藪。
この藪こぎの酷さは筆舌に尽くしがたい・・・。あえて例えれば東京の朝の通勤電車の中で隣の車両まで移動しようとしているような感じです。
また紛らわしい支尾根に何度も迷い込み、コンパスで確認しては戻るという繰り返し。
こんな調子ですから一向にペースが上がらず、下山開始からかれこれ3時間も経つというのに八幡山に着きません。
いよいよ時間も少なくなり、八幡山までの踏破は諦めざるを得なくなりました。
というか、藪こぎに心底疲れ果てたというのが正直なところでしょうか。
事前に想定していた「エスケープルート」である鞍部から伝丈沢に「逃避」するように滑り降ります。
伝丈沢は最初のうちはもちろんささやかな沢でしたが、すぐに流れが太くなり大きな滝も現れました。
こちとら沢屋さんではないので滝の脇のほぼ垂直の崖をビビりながら降下します。一つ過ぎてはまた一つ・・・。結局三つの滝を下りました。
このまま、伝丈沢を下れば都合良く駐車位置まで下れるかとも思いましたが、やはりそれは甘い考え。装備も技術もないのにこのまま大渓谷にはまったら大変です。
(この日の私の沢装備といったらビーチサンダル一足のみ)
そこで当初のとおり伝丈沢が大きくカーブする場所で沢を離れて陸に上がることにしました。
しかし、これがまた絵に描いたような「無理矢理なルート」で、実際にはまたしてもシャクナゲの藪の中、急傾斜の崖をよじ登るハメに。
もうこうなると意地で上るばかり。くよくよ考えている間はありません。
ひたすら上を目指して上ってみると、なんと天国のような美しい高原にでました。
ここはいったいどこ??・・。
ピンクテープを頼りに進んでいくとやがて立派な林道に出て、ここでやっと自位置を確定できました。
その後は平坦で平穏この上ない道を下って帰還。
一部ルートを「逃避」しましたが、おおむね所期の目的を達した山行でした。
帰宅後、両脚を見れば左右各5箇所づつくらい擦過傷・打撲傷で真っ赤。しかもひどい筋肉痛です。
バンテリン塗り込んで寝ましたが、びりびりするような痛みに熟睡できない一夜を過ごしたことでした。
もう当分、藪こぎなんか行かないぞ~。
八幡尾根下られすごいですね。
3回も尾根をはずされて良くご無事で、藪の中を60m・50m・50mも登り返してますね
よく御無事で、そのためですか
合計距離: 23.72km
累積標高: 1949mはものすごいです。このルートで誰よりも沢山歩かれてますね。
先日私、八ヶ岳の赤岳・横岳・硫黄岳日帰り縦走しましたが完全に上まってます。
まいりました。
チョキ経由のFutaroさんのここの最長距離の記録より標高差は100m上回りずっと大変なようです。
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-82067.html
アドレナリンでも出ていたのでしょうか藪こぎプロ
それもたった11時間で、ごりっぱ。
ところで質問をすこし、鉱物の御専門のpasocomさまですが
伝丈沢の水晶採掘小屋後の廃屋はありました。?
八幡尾根の祠はまたそこの中のでっかい水晶の質はいかがでしたか?
登山口~「造林記念碑」~水晶峠間はいろんな道があるようですが
△1709,5の西側に防火帯があって真直ぐ造林記念碑まで行けるようですがそんなのありましたでしょうか、
わたしも甲府から金桜神社経由で歩いて金峰目指してます。もう少しです
機会を見て逆回りで八幡尾根あるいてみたくなりました。
いつもコメントとお褒めの言葉ありがとうございます。
累積標高については改めてグラフを確認して知りました。
でも、これって御岳林道部分でギザギザになっている部分が効いているようにも思えます(^^)。
これは地図上に入力したルートが大雑把だから見かけ上、登り下りしているようになっているのだと・・・。
実際には「赤岳・横岳・硫黄岳日帰り縦走」にはとてもかなわないと思います。
実際に「登り」だったのは、確かに3回のルート外れと最後、伝丈沢からの脱出時です。
ルート外れでの累積標高は自慢にはなりませんよね(^^)。
一回目にルートを外したときには、尾根を歩いているはずなのにどんどん下っていくのでびっくり。コンパス見たら南に向かっておらず東を向いていました。
その後はよくよく注意したつもりなのに2回も外し。
とにかく八幡尾根に関しては、自分が歩いたルートがどこなのかよく分からない、という情けない結果です。
このルートはナビ必携ですね。
ご質問についてですが、
1)伝丈沢の廃屋はありました。位置はちょうど伝丈沢が南西から南東に折れるところでした。
2)八幡尾根の祠は、情けないことに見落としました。「正規ルート」上にあるのでしょうが、自分がそこを歩いて見落としたのか、外れて歩いてしまったのかさえ不明です(^^)。
祠の中の水晶については、他の方の写真で白色に写っていますから、枇杷窪沢の山神祠に供えられているのと同じような「石英」だと思います。
「水晶」は石英の中でも六角柱に結晶していて白色ではなく透明のものを指しますので「水晶ではない。」と言っても良いでしょう。
3)登山口~「造林記念碑」直通道については歩いていないので不明ですが、調べたところ下記のようなページが見つかりました。
http://www.geocities.jp/y_saidajp/OldMt/KinpuGojo_978/KinpuGojo.htm
この方が歩かれたのは、地形図の御岳林道から△1709.5に向かっている道だと思います。
「左から旧登山道と思われる道が合流する・・」とある道も地形図に合致します。
地形図では最後点線がピークで終わっていますが、この方はそのまま記念碑に出られているようですね。
写真のプレハブ小屋は私も目撃しました。
私も林道よりこちらを歩いてみたかったです。
直通道の情報ありがとうございます。
藪こぎホント御苦労さまでした。
さらに探したところ下記ページを見つけました。
筆者は山梨の方のようです。
いわく
「林道を入ってすぐの一七○九米峰へ続く破線路を辿るつもりだったが、金峰山入口とペンキで石垣に書かれ、古い木の梯子も立て掛けられているものの、入ってみるととんでもない藪で、突破したいが時間がない。
諦めてガイド書通り林道を行くことにする。林道は無駄な迂回が多くて嫌だなあと思いながら歩いていると、金峰山へと書かれた小さな標識が木にぶらさがっていたので従う。
わずかで防火線の切られた尾根に乗った。標高差百メートル以上もある防火線はワラビの畑で、びっくりするほど生えている。 先を急ぐ身だというのに嬉々として採ってしまう。
この登りの途中でガスが濃くなってきた。 防火線が終わった所に収穫をデポ。ここから北へ向かって緩い登りが続く。 径沿いの木にところどころ陶器の碍子が残っているが、電気が通っていたのだろうか。造林記念碑のある林道を横切って落葉松の植林地の中を登る。・・・」
http://www1.ocn.ne.jp/~yamatabi/kinpusan.htm
この「防火線の切られた尾根」というのは地形図からするとピークに向かう破線のこと。すると「防火線が終わった所」とは1709ピークそのものでは?。
さらに「そこから北へ向かって緩い登り。」というのが1709ピークから北ではないかと・・。
いかがでしょうか?
金峰にそんな攻め方があるとは!
エアリアマップで一部破線ルート、八幡尾根なんてもちろん初めて認識しましたが思い切り道ナシじゃないですか。
ついでにその尾根を辿った先にある「チョキ」が猛烈に気になります(笑)
八ヶ岳の「にゅう」に匹敵する珍山名。
そう、美しく愛でたはずのシャクナゲも、ヤブ漕ぎの相手となれば蹴散らすのみ。
ワンゲル時代のヤブ漕ぎ合宿でシャクナゲには苦しめられました。
そんな私にもシャクナゲを愛でる時が来ようとは・・・久々に晴れの週末、予定通り甲武信を楽しんできます!
山梨の達人pasocomさんの渋いレコ、これからも期待してます。
(でも渋すぎて危ない目に遭わないようにお願いします!)
渋い、ですか!。それは一応褒め言葉と解釈しておきましょうか。
でも「金峰にそんな攻め方があるとは!」は私にとって(というか金峰山にとって)最高の褒め言葉です。
同じ山でも登るルートが違うとまったく別の印象になりますから「攻め方がいくつもある山」は本当にいい山だと思うのです。
「一粒で二度以上おいしい」。金峰山は正にそういう山です。
金峰山は平安時代の昔から信仰の対象であり、周囲から10本もの登山道(参拝道)があったそうです。
八幡尾根も実はそんな参拝道の古道だったとか。(おそらく韮崎あたりからの)。
ですので八幡尾根の探索はその古道探索の目的を兼ねたものでした。
「チョキ」もこのルート上にあるはずで、いずれは昔の人々に倣って、チョキ-八幡山-金峰山というルートを完全踏破したいと企んでいます。
もっとも当分藪こぎは勘弁、ですが(^^)。
「チョキ」という珍名についてもいずれ調べようと思ってます。
今頃は、甲武信ヶ岳に向かっておられるでしょうね。
幸い天気が良くなりそうです。
「ヤブ」ではないシャクナゲを満喫して来られることを願っております。
こんなルートがあったんですね
須玉と牧丘からしか登ったこと無いので、今度チャレンジしたいと思います
初めまして。レコへの訪問とコメントありがとうございます。
「須玉から」は「みずがき山荘起点」、「牧丘から」は「大弛峠起点」でしょうか。
金峰山へは甲府からの他、川上村川端下から登るルートもあり、実に多彩ですね。
標高では「北奥千丈岳」に負けていてもこれだけの度量ですから、さすが「奥秩父の盟主」とか「裸男百貫」と言われるだけの山です。
山梨県人として、ぜひまず御岳道をお試し下さい。
きっとお気に召すことと思います。
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