2019/9/14-16 湯俣〜北鎌尾根〜小槍〜槍ヶ岳

- GPS
- 26:01
- 距離
- 39.3km
- 登り
- 2,569m
- 下り
- 2,357m
コースタイム
- 山行
- 8:42
- 休憩
- 0:56
- 合計
- 9:38
- 山行
- 8:53
- 休憩
- 3:30
- 合計
- 12:23
- 山行
- 4:32
- 休憩
- 0:56
- 合計
- 5:28
| 天候 | 3日間晴れ |
|---|---|
| 過去天気図(気象庁) | 2019年09月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
七倉〜高瀬ダムは乗り合いタクシー移動(一人500円) 特急あずさで帰京 |
| その他周辺情報 | 小梨の湯 からあげセンター松本駅店 |
| 予約できる山小屋 |
横尾山荘
|
写真
感想
天上沢の沢アプローチから北鎌尾根、小槍登攀に継続という計画を完璧に実行できたことを心から嬉しく思う。
狙った山をやれたことが嬉しいのではない。
不安に感じながらあれこれ考え抜いて、悩んで、自分たちの出来る範囲で精一杯の計画を立て、それをやりきれたこと、計画以上の内容をできたことが何よりも幸せだ。
そんな今回の山行を共にしてくれたYutaには改めて感謝感謝である。
山に入る時点で山の7割は終わっているんだな、としみじみ思う。
実力拮抗型メンバーとの山は計画が楽しくて、ワクワクする。
※これ以降はただの感想文です。
北鎌は一度やっておきたかったが、Yutaは今春まで興味無さそうだった。沢が好きな彼なら、湯俣から行くルートは興味示してくれるかな?と思っていた矢先、本人から湯俣ルートの北鎌を提案してきたのはびっくりした。僕も沢が好きなので、願ったり叶ったりだ。
【9/14】
○新宿→七倉
毎日アルペン号で新宿→七倉へ。アメリカで仕入れたメラトニンサプリと酒の相乗効果ですぐ寝る。首が痛くても気づかないレベル。起きたら首バッキバキでしんどかった。
○七倉→千天出合
高瀬ダムまでは乗り合いタクシーに乗る。
時間の節約にはならないが、体力の節約のため。
この日は北鎌沢出合までクロックスで沢歩き。舐めてると言う人もいるかもしれませんが、これが今回の戦略です。
沢靴・アプローチシューズの2つを担ぐ余裕は持てなかったので。
ぶっちゃけ、クロックスでの渡渉はかなり快適だった。クロックスのソールは横方向にパターンが入っているので、岩では横の荷重に弱くてよく滑る。荷重方向を意識して足を置けばなんとかなる。滝登りには不適だろう。
水俣川は15回渡渉。2回くらいスクラム徒渉。幸い水量少なく問題なかった。千天出合手前のワンポイントは水流強く、突破方法がわからない…。
Yutaが俺の肩に乗れ!というので、Yutaの肩を踏んづけてハシゴ。こんなムーブあるんや!!!難なく突破。
いい沢ムーブを教えてもらいました。さすがカモの会、沢に強い!
○千天出合→北鎌のコル付近
天上沢の序盤は水流が強くて遡行対象にはならない。しばらく右岸を巻く。すると斜度が落ちてゆったりした沢に。渡渉は5-10回くらいあったが、全て浅かったので記憶がないレベル。
間も無く北鎌沢出合。ここで沢装備を解除。北鎌沢を少し登ったところで水を4.5L汲む。
疲れた身体に650m upの登りはキツかった。
北鎌のコルの少し先で良いビバークポイントを発見、幕営決定。
18時頃4人パーティが追い抜き、50m程先に張っていた。我々は19時前には就寝。
【9/15】
○北鎌のコル付近→独標
3時起床で4:30出発。ツェルトは撤収が早くて楽だ。独標にヘッデンの明かりが見える。いいところに張っていてうらやましい。
この週末は多くのパーティが入っていて、沢山のテントを途中で見かける。ほとんど追い抜き、独標手前へ。独標のパーティはとっくに居なくなっており、この時点でおそらく2,3番手につける。
○独標→槍ヶ岳
独標は直登。前穂北尾根4峰を彷彿とさせるスクランブルで楽しい。
独標以降は、3本程度誤ったトラバースルートがあるのを調べており、それらに迷い込まないように地図を見ながら進む。
稜線通しを原則としていれば、惑わされない。間違いトラバースはしっかりした踏み跡なので、気をつけないと間違えることもあるだろう。
槍ヶ岳にはチムニーを抜けていくらしいが、どこかわからなかった。通ったのかもしれないし、違うルートだったのかも。
さすがに3000mを超えると息が苦しい。ハアハアしながら撮影の列が出来ている槍の穂先には9時過ぎに飛び出す。
稜線上は一切通過待ちになるようなこともなく、我々だけの山歩きができてよかった。
我々も記念撮影を済ませ、混みそうな槍のテン場へ。幸い、テン場を確保できたが設営してのんびりしているうちには満席になった。10時くらいだったかな。
○槍のテン場→小槍〜大槍登攀
登攀装備を調えて小槍へ。
アプローチは昔のゴミ捨て場からトラバースするのと一般道のコル?からルンゼを下るルートがある。
ゴミ捨て場トラバースはよく分からなかったので一般道からコルを下る。ガレガレで悪かった。50mくらい下ると小槍の基部に伸びているトラバース道へ合流。ここはしっかりしていて歩きやすかった。
先行パーティ2組が小槍に取り付いており、基部で1時間ほど待機して登攀開始。
ピッチ詳細はYutaが書いてくれているので割愛。
小槍のフェイス登攀は気持ちよかった。先行パーティが懸垂待ちをしていたので、フリーにこだわらずA0しながらサクサク登っていく。
小槍トップアウト後、懸垂を教えているパーティがおりここでまた小一時間待つ。
コルまでは60mロープ折り返し一回で余裕もって下降できた。
その後脆い曾孫槍、快適なフェイスの孫槍、脆い大槍を登攀してトップアウト。
いずれも終了点にはしっかりしたハンガー・鉄の杭があった。
槍の肩に下り、ビールで祝杯を交わす。
もともと小槍の登攀は3日目に計画していたが、2日目までに終わらせられてとてもよかった。計画以上に余裕をもってサクサク行動できることは嬉しい。
事前に会話こそしていなかったが、初日は北鎌のコルまで上げて2日目に小槍まで終わらせることを僕は目論んでいて、Yutaも同じことを考えていたらしい。
結果的に3日目余裕を持って下山できたし、3日目の朝はガス&霧雨だったので3日目に小槍を持ち越していたら登れなかっただろう。
【9/16】
○槍のテン場→上高地
6時前に霧雨の中出発。どうせ下れば晴れるんだからレインウェアは着ずに。
ダラダラ降りてたらやはり晴れてきて、気づいたら槍沢ロッヂに到着。
CT8時間だから6〜7時間くらいかなぁなんて思っていたら昼前には下山できた。
小梨の湯で風呂に入り、酒を飲み、松本へ。
唐揚げセンターで唐揚げをつまみ、酒を飲む。あずさに乗って酒を飲む。帰宅。
本当にいい3日間だった。山は良い!これだからやめられない!最高だ!
後日談、山の中で飯を食べ過ぎて3kg太ってました。
さらに後日談、3日で3kg無くなり元の体重に戻りました。
いつものパートナーとバリエーションへ。
北鎌尾根はここで書くのが躊躇われるほど有名な初級バリエーションルートだが、正直言って今年まで全然興味がなかった。でも、湯俣からという沢登りからの北鎌尾根を楽しめるルートがあると知り、俄然興味が沸いた。
沢登りからバリエーションを始めた自分にとって、これぞやってみたいルートだと。
さらに北鎌尾根だけではアルパイン要素が少ないなと思って、小槍〜大槍の登攀もアクセントとして加えた。
小槍登攀をやるなら、60mロープと登攀具は削れない。(北鎌尾根からの小槍〜曾孫〜孫槍〜大槍やるなら60mロープが最適解だと思う。小槍から基部じゃなくコルまで下りるだけなら25mぐらいの懸垂で済むので)
もしかすると無駄になるかもしれないその装備を背負って湯俣〜北鎌尾根を超えないといけない。
今回の戦略としてはロープ・カム装備を自分が引き受け、その分自分が最大限軽量化に務める。
今回は本気出した。
就寝時の快適性を諦め、シュラフカバーと50cmくらいのマットだけで寝ることし、22Lザックに全ての装備を詰め込む。
また、今回の山行だとレイヤリングが悩みどころとなる。
沢装備は充実させた方がいいが、北鎌尾根以降は無駄になるものも多い。悩んだ末にフラッドラッシュ上下+ネオプレンソックス+ラバーソール沢靴で望むことにする。フラッドラッシュは防寒着も兼ねて。沢を突破できないのは嫌だったので、あくまで沢靴で。
天候は申し分ないくらいいい予報。
有難く思いつつ、アルペン号に乗り込む。
1日目
4時前に七倉山荘着。
それから仮眠したりしつつ、高瀬ダム行きのタクシーに乗り、6:30から歩き始める。
高瀬ダムまではたくさんの登山客と一緒だったが、湯俣方面に行く人は自分たちだけだった(笑)
湯俣までは3時間弱のアスファルト&登山道歩き。いきなり遠い。
湯俣からは沢装備を着けて入渓となる。
水俣川はとても水が綺麗で素晴らしい。
谷も深くてアルプスの沢らしい。
入ってすぐ渡渉があるが、なかなか水勢が強い。
ワンポイントでスクラム渡渉も挟みつつ、抜けていく。
滝の登攀とかはないけど、人臭くなく、歩いているのが楽しい。
とにかく沢を遡行していくと、北鎌沢出合へ。
ここで沢パートは終了。
まだ時間が早かったので、北鎌のコルまで幕営地をあげることにする。
今日あげておけば、次の日に小槍登攀まで終わらせられる可能性が高くなるだろう目論見もあり。
だが、ここまでで意外と疲れていたのか、水背負って、北鎌のコルまでの登りがつらかった。
コルは既に先客がおり、さらに150mほど上げたところで張れそうなところがあったのでそこにて行動終了。
この時に飲んだビールがめちゃくちゃ美味しかった。
もう北アルプスはすっかり秋めいていて、夜はすごく寒かった。
シュラフを削ってしまったのもあったので寒くて凍えながら一晩を過ごした。
さすがに防寒着をもうすこし増やすべきだったかな。
2日目
3:00起床。4:30出発。いよいよ北鎌尾根歩き。起床が遅いパーティを抜かしていく。4.5パーティくらい抜いて、2番手に。北鎌尾根は快晴でとても景色が良い。踏み跡は明瞭でかつリッジ通しなのであまり迷いようがない。独標は直登した。変にトラバースして迷ったりしないようにしつつ、進んでいく。
特に難しいところもなく、9:00過ぎには山頂着。
そこから一般道で肩の小屋へ下山。
早めにテント場を場所取りし、(午前中に既にいっぱいになってた)、登攀装備を持って、小槍登攀に向かう。
小槍へのアプローチは2種類あり、ヘリポート奥へと進みトラバースするパターンと穂先へ登る登山道の途中からガレ沢を下降するパターンがあるが、前者はいまいちルートがわからず、後者のルートで小槍基部に向かった。ガレガレで嫌だった。
小槍基部に着くと、先行2パーティがおり、待ちになったのでゆっくり休憩して待つ。1時間くらい後、小槍登攀スタート。
1P目・小槍登攀
yutaリード
爽快なリッジとトラバース登攀。卦蘢度で難しくないが、高度感が最高で楽しい。ハーケンが多数あり。登攀後、前パーティの懸垂待ちしてからコルに懸垂。25mくらい。
2P目・曾孫槍登攀
Futoリード
リッジ沿いに登る。難しくないが脆い。残置は最初にひとつだけしか見つけられず。10mほど歩いて孫槍の基部へ。
3P目・孫槍登攀
yutaリード
中央のフェースをほぼ直上。気持ち良いフェースクライミングだった。卦蕕らいだが、気持ち良すぎて最高だった。50mくらい伸ばして、孫槍のピナクルまで。
そこからは懸垂で下降し、大槍取り付きへ。ハーケンが10m位ごとにあった。
4P目・大槍登攀
Futoリード
リッジ沿い。ガバガバだが、最後が浮き石だらけで緊張した。
そして、本日2度目の槍ヶ岳山頂にトップアウト!
気持ちよい。
その後はダラダラ一般道を下山して山荘へ。
そして、ビールを買って、ここまでの成果に乾杯!
2日間でやり切れて達成感でいっぱいだった。
そして、この日は槍ヶ岳山荘のテント場からの夕焼けがとても綺麗でこの山行の締めくくりにピッタリだった。
また寒さに凍えながら、一晩を過ごす。
3日目
4:30起床、6:00下山開始。高速下山で11:30上高地。途中の徳澤園でPhotoAwakyさんたちと会う。松本駅のからあげセンターでたらふく食べて飲んで、あずさにて帰宅。お疲れ様でしたー。
今回の山行の素晴らしさは、沢パートと孫槍のクライミングだったと思う。沢からのアルパインからのピークハントという自分がやってみたかったジャンルをここまでてんこ盛りで、ここまでのスピード感でやれたのはすごく嬉しかった。
futo,今回もありがとう!
またよろしく!
Futo
yuta19921024











初めまして
コロナ対応で古い写真をアップした後、北鎌尾根で検索していると貴殿の記録に辿り着きました。
独標のあの灌木に注目されていますが、私もあの灌木をビレイポイントにすれば行けると判断しました。
また驚いたことに私は大槍を変なところから上がったと思っていましたが、貴殿たちも全く同じく小槍を背にルートを取っている写真を見て、思わず笑ってしまいました。
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-2316038.html
事後承諾になりますがカモの会の皆様の当記録を私の日記にリンクを張らせていただきました。ご了解のほどよろしくお願い申し上げます。
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