万太郎谷ノゾキ沢遡行・南トッサカ沢下降



- GPS
- 18:57
- 距離
- 12.8km
- 登り
- 1,476m
- 下り
- 1,396m
コースタイム
- 山行
- 6:49
- 休憩
- 3:10
- 合計
- 9:59
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
その他周辺情報 | ・下降した沢の名称については、南トッカサ谷、南トッサカ沢等、資料により異なるが、「南トッサカ沢」が旧来の名称のような気がしている。 |
感想
万太郎谷ノゾキ沢遡行・南トッカサ谷下降記録
作成者:丸山
■日程 2019/8/10-11
■山域 谷川連峰
■天候 晴れ
■メンバー
CL丸山(35/OB)、SL橋本(40/B2)、鶴田(40/B2)、山本(37/OB)
■総評
好天の下、名渓といわれる沢を泊りで遡行できて良かった。バリエーションとしてノゾキ沢を遡行してみたが、本谷よりは面白そうで充実した。しかし下山に取った南トッカサ谷は藪と涸れゴーロばかりのクソ沢で、暑さにも悩まされタフな山行となった。
■ヤマレコ記録
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-2054554.html
■時間
○8/10
6:32 出発
8:38-49 井戸小屋沢出合附近で野帳探し
10:33-11:56 一ノ滝
13:08-14:58 三ノ滝
15:09 幕営地(ノゾキ沢1285m右岸)着
○8/11
6:55 幕営地発
8:45-9:33 源頭部8m滝
10:15 詰め終わり
10:19 一ノ倉岳
10:47-55 茂倉岳
11:49-12:02 矢場ノ頭
15:35-47 880m湧水
16:09 南トッカサ谷出合
16:15 帰着
■ルート概況(敬称略)
※滝の落差等は自作遡行図に基づく。
※絶対ラバーソール推奨。
○万太郎本谷
情報の多い沢であるため省略
○ノゾキ沢
・入ってすぐの右岸、整地してぎりぎり4人で泊まれた。幕営適地はほぼ無い。
・入ってしばらくはほぼゴーロ。
・左側に大きい斜瀑のあるインゼルは、左側の斜瀑(30×70m)を快適に直登可能(III-)。ぬめりはあるが、ガバだらけなので問題ない。
・滝上は開放的で景観の良い大岩のゴーロとなるが、ところどころにクライミング力が必要な部分がある(IV程度)。ゴーロが終わるとナメ状になる。
・7m滝は水線の右が直登可能(IV)。右岸の壁をクライミングして巻いても快適(III+)。越えると詰めの様相。
・詰めは主に草原で、背丈は低く、開放的で快適。
○南トッカサ谷
・入谷するには茂倉新道を外れてから少し尾根を辿るが、ここは足がつかない程の激藪。下りでも辛い。
・上部はスラブがあり沢筋の下降は厳しいので、その脇の藪を主に下る。
・中部と下部は殆ど水のないゴーロに藪がかかる、汚い谷。途中にナメと11m程度の滝があり、ここだけは見栄えが良い。11m滝は捨て縄で懸垂下降。
・880m附近で湧水が出てくると本谷は近い。相変わらずのゴーロに藪がかかる汚い沢を下っていくと、本谷のインゼル部分に出る。
■行動記録
□8/10
・朝から気温が高いので、スリット堰堤は左(深いが、流木登攀なし)を通過。
・オキドウキョウの瀞は、正面突破した。気温も高く、濡れても寒くなかった。鶴田は泳ぎに抵抗があるようで、お助け紐を出した。
・井戸小屋沢出合を過ぎたあたりで丸山が野帳の紛失に気づく。最後に記帳した井戸小屋沢出合まで探しに戻ったが見つからず、諦める。
・一ノ滝手前、幅広いナメ滝が多く美しい。ラバーソールが快適。フェルトの鶴田は苦戦。
・一ノ滝は丸山のリードで左壁を登攀。残置が豊富で安心して登れる。
・二ノ滝はロープなしで左岸を小さく巻いた。快適。
・一ノ滝〜三ノ滝間は割と平凡でちょっと飽きた。
・三ノ滝は1段目を橋本が右壁(水線右よりも右)から、2段目を山本がリード。ここも多くの残置があり打ち足す必要は感じられず。登攀中、いかにも悪そうな三ノ滝沢がよく見え興味深い。
・ノゾキ沢の出合から少し登った右岸で幕営。藪を倒して何とか平地を作り、ぎりぎり4人が寝られる場所を作った。これはこれで面白い。薪は分散しておりそれなりに苦労して集めたが、晴天が続いていたのでさほど労せずに焚火はついた。
□8/11
○ノゾキ沢
・ノゾキ沢の30×70m滝はノーロープで快適に登った。
・大岩のゴーロとなると、部分的に難しいところがあり、荷揚げしたりお助け紐を出したりした。
・7m滝は、橋本が水線右を直登したが、苦戦している間に丸山が左から巻いた。巻きも高度感あり。巻きルートのほうが易しいが、ロープを張れないので、鶴田・山本はゴボウも交えて水線右を登った。
・詰めは開放的な草原で良かったが、個人的にはスラブのほうが好き。
○稜線登山道
・一ノ倉岳山頂は展望があまり良くなく残念。
・稜線の景観は普通に良かったが、ややガスが多かったのが残念。9/26に遡行することになる西ゼンも見えた。
・矢場ノ頭につく頃には登山道歩きにも飽きていたし、暑いので、予定通り南トッカサ谷の下降を開始。
○南トッカサ谷
・沢筋に出るまでは、足がつかないほど酷い、灌木の藪。
・沢筋に出ても、ややスラブ状で下降が厳しいので、その脇の藪を下降。
・スラブが終わって沢形が明瞭になっても水はなく、藪がかかる不快な沢。
・とっくに嫌になった頃にナメが出てきたかと思うと、下れない11m滝出現。捨て縄で懸垂下降。
・非常に暑くて山本や橋本が水を切らすが、まだ流水は現れない。
・880mで待ちに待った湧水出現。休憩し、しこたま飲む。水は大切。
・相変わらずの滝もナメもない藪沢を下って、本谷に出ると、なんと開放的なことか。下山の喜びに浸りながらスリット堰堤を通過し、泳いだりして大休止。
■食事記録
・夕食は橋本のちらし寿司で、初めての焚火調理だったが美味しくできた。
・朝食は丸山のパスタで、焚火缶を乗せていた木が折れて缶が倒れるというトラブルがあり、ボイルオーバーになった。近くに生えていたクレソンを入れて野菜も補給できた。
■備考
・ノゾキ沢には大きい斜瀑と7mの登りごたえのある滝があり、殆ど何もないらしい本谷よりも遡行価値は高そう。ただし難易度も高いと思われる。
・本谷はラバーソールの方が明らかに良いが、ノゾキ沢では滑りまくった。とはいえラバーソールの方が適しているといえそう。
・人気のルートらしいが、沢中での人との遭遇はなし。
・ヤマビルなし。
・南トッカサ谷の右岸には巨大なスラブがあることが空中写真から分かるが、それを覗うことはできず残念だった。行くところがなくなったら登攀してみても面白いかもしれない。
■CL感想
・期待したほど良い沢ではなかったが、谷川連峰の代表的な沢を、程よいバリエーションもつけて遡行することができ、良かった。南トッカサ谷はなかったことにしたい。
・幕営地を探して、整地してなんとかものにするのは割と面白い。とはいえ、沢中泊はやっぱりあまり好きになれない。
■CLコメント
・初の2級上レベルの沢が初の泊まりで、しかも藪沢の下降もあり、鶴田には大変だったと思うが、よくついてきてくれたと思う。
・クソ中のクソ沢を歩かせてごめんなさい。ここで藪耐性のついた鶴田は9/26の西ゼンの詰めを大したことないと言ってのけた。
・山本、橋本も水切れ等あってかなり堪えていたようだが、お疲れさまでした。
■反省
−詰めで丸山と山本が先行し過ぎ、鶴田が露岩帯に突っ込んで手間取った。
−水筒や地図、野帳など、紛失物が多かった。野帳は後日他の遡行者に拾って送り届けてもらうことができ、記名の大切さを実感した。e-haraさんありがとうございました。
−南トッカサ谷の下降でなかなか水が現れず、飲み水不足になった者がいる。このような事態も想定して多めに汲んでおくべき。
−缶が倒れるような薪の組み方は良くない。
−下山後に越後湯沢の駅前で夕食を食べようとしたが、お盆の大混雑で入れる気配なし。お盆の越後湯沢を舐めてはいけない。(山本)
■山本感想・コメント
・泳ぎあり、ナメあり、滝ありでスケールの大きな本谷に大満足。草原の詰めも、沢登りらしい自然の楽しみ方でよかった。
・本谷で満足していたこともあり、南トッカサ谷は自分史上最も気の進まない沢下降だった。藪下降、水不足問題の経験ができて良しとしたい。
・藪での幕営地造成にはフロンティアスピリットがかきたてられたが、寝心地はよくない。
・真夏の泊まり沢は気持ちいいですね。また来年も行きましょう。
■橋本感想・コメント
・自分にとって初めての雪国の沢だったが、開放的で綺麗で、ノゾキ沢まではすごく楽しかった。
・三ノ滝一段目の落ち口では、周りを見渡すと三ノ滝沢、本谷、三ノ滝上段が見え、さらにはお花畑もあるので、後続の登攀待ちをしている時間がすごく幸せだった。幸せ過ぎて上段を山本さんがリードしている時に昼寝をした。
・未知沢には当分行きたくない。
■鶴田感想・コメント
・雪国の沢らしく開放的な渓相の魅力を再確認した。泳げないので足のつかない瀞では涙目に。ウォータースライダーは楽しかった。詰めの草原は広々としていて爽快。私は掴むものがなくてあたふたしたが。谷川岳の稜線歩きが心地良かった。花々や折り重なる山の端を前にして幸せな気持ちに…。
・南トッカサ谷の藪下降について。急な斜面、行く手を阻む植物、暑さ…などですっかり参ってしまった。藪耐性がついたと思えば、今回の辛さが報われます。
・初の泊り沢。藪でのテント幕営や焚き火(2度目ですが)が新鮮だった。
・クライミング力が必要とされる箇所が多く、自身の力量不足を痛感した。苦心した理由としては、乾いた岩上を歩行するのに不向きなフェルトソールで臨んでしまったのもある。
・自分のスケジュールや体力に余裕がなく、食当や大半の共装の担当をお任せしてしまいました…。感謝します。
・メンバーの皆さま、在京の迫野さん、色々とありがとうございました。充実していて楽しかったです。
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