記録ID: 21153
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沢登り
大台ケ原・大杉谷・高見山
大台ヶ原・日出ヶ岳→堂倉沢→シャクナゲ沢
2004年07月16日(金) ~
2004年07月17日(土)
- GPS
- 32:00
- 距離
- 12.2km
- 登り
- 1,029m
- 下り
- 1,025m
コースタイム
7月16日C0→大台ヶ原駐車場発(10:30)→日出ヶ岳(11:00-40)→堂倉滝(14:15-30)→標高900mC1(15:40)
7月17日C1(8:30)→林道の橋標高(10:00-11:00)→標高1140二股(12:40-13:30)→稜線(15:30-16:20)→駐車場(16:40) )
7月17日C1(8:30)→林道の橋標高(10:00-11:00)→標高1140二股(12:40-13:30)→稜線(15:30-16:20)→駐車場(16:40) )
天候 | 晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2004年07月の天気図 |
アクセス | |
コース状況/ 危険箇所等 |
行かずんば転勤できない。函館への引っ越しを10日後に控えて落ち着かない時期ながら、自動車道路の復旧を確認して堂倉谷を再度目指す。仕事の後、夜11時半近鉄桑名駅で松っちゃんと待ち合わせ、東名阪を西へ。奈良県山間のダムの村の脇に「蜻蛉の滝」公園というのがあり、ここの東屋がこれまでで一番デラックス、黒御影石のテーブル付きだ。しかも公園内の人造川には蛍の群れ。一ヶ月前と変わらぬパターンで晩酌して落ち着く。朝、芝刈り機の音で目を覚ますのも前と同じ。 大台ヶ原の駐車場から山頂へは遊歩道を40分で至る。尾鷲あたりの海岸線と岩礁の小島も見える山頂には遠足の人々と鹿がたくさんいた。展望台で絶景をゆっくり楽しんだあと、堂倉滝への夏道を下る。木陰の中、さわやかな気候でのんびり休み休み下る。名古屋の蒸し暑さが信じられない。何故あんなところに夏の間皆無理して住むのか。 堂倉滝は20m。以前宮川を下から遡行してきた松っちゃんはここまでで帰った。下のゴルジュを経てくればまた充実のラインだろう。滝は右岸を巻いた。妙なチムニー登りがあり、急な巻きだった。続けてナメがあり、15mほどの滝を含むいくつもの小滝が現れる。日程に余裕があるのでことあるごとに休む。沢が良く開けたところで泊まることにする。 苦もなく乾いた薪が集まり、焚き付けもなしに火がついた。河原に寝転がってささやかに腸詰めを焼いたり、コーヒーを入れたり、焼酎を嘗めたりして8時間あまりを過ごす。空が暗くなり、星で一杯になって、熱くも寒くもない。今夜はテントもタープも要らない。北大山岳部の、人生に与えた力について話していた。北大にはいるのに受験勉強はしたけれど、山岳部にはいるのに無審査だった。価値としては山岳部の方が比較にならないくらい大きかった。ありがたいことですわ、と松っちゃんが言ったそのとき、月ぐらいの明るさ、月の半分くらいの直径の白い発光体が南の空を左から右へ条線を引いてあっという間に通り過ぎた。正体は今も分からない。流星と言うにはあまりに大きすぎる。彗星というにはあまりに速すぎる。 明るくなってのろのろ起きた。二日酔いだ。夏の支度はすぐ済む。支度が済んでも二時間あまり焚き火をしてから出発した。ナメがあり滝があり、へつりにはトラ縄も下がっている。人気の沢なのだ。名所七ッ釜のナメの釜は深かった。底なしだ。だが釜の数は三つ四つだ。朱色のツツジが良い季節で、岩盤の割れ目などに根を張り小さく咲いているのが良い。お金持ちの庭園を歩いているようだ。アマゴを初め魚も多い。水上30センチほどを飛ぶ虫をジャンプして補食する。水面を風がなぜて、無数の亀甲模様で埋める。その影が浅い水底を流れ美しい。こんなところで一生を終える水生昆虫の人生を想像できる。 しばらく行くと携帯電話大の蛙を頭から飲み込みかけた蛇がいた。蛙の足が左右に開ききっている。蛇が僕らに噛みつけないのを良いことに大いに近づいて観察する。顎ががくりとはずれていた。 標高1000超えた辺りで林道の橋をくぐる。紀伊長島の往古川から伸びている林道だ。これを超えた辺りのサワグルミの木陰でまた長く休む。そよ風が吹き良い陽気だ。淵に石を投げ入れ その音の多様さを楽しむ。さっきの橋に車で親子連れが来て川遊びを始めたのを遠くで見ていた。良い夏休みだ。 ここから上は右岸頭上を林道が並行しているせいで沢の中が土砂で埋まっている。楽しい夢から覚めてしまったような気分で、水の無くなってしまったプールにいるような気分で進む。標高1140の二股では、またしても長い休み、松っちゃんは30分以上眠りこけた。その後は林道も無くなり、まともな10m滝が二本現れ、泳ぎの淵も復活し、最後まで楽しい源流を見せた。 最後の急登を上り詰めると、丈10センチほどの笹のみどりの絨毯に、杉の枯れ巨木林という大台ヶ原の特徴的な斜面になった。立ち木の合間に熊野灘の海が見えてきた。山頂までの丘陵状の風景は木道をぺたぺた歩く。標高1700から見下ろす海はどこかに似ているなと話した。台湾東海岸とか、増毛の山とか利尻とか。 急かず焦らず、二日間をたっぷり山での呼吸に当てた。松っちゃんとの山登りもこれで当分はおしまいになった。でも名古屋での山行ラインは本当に良い物ばかりを引けた。感謝だ。 |
ファイル |
(更新時刻:2018/09/21 09:15)
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写真
感想
●台高・堂倉谷(大杉谷上半部)
パーティー;米山、松原
7/16 大台ケ原駐車場(1030)日出ヶ岳(1100-40)堂倉谷出合(1415-40)h.900m泊(1540)
/17 発(820)橋(1000-40)h.1130m二俣(1240-1330)稜線(1530)大台ケ原駐車場(1640)
昨秋の大杉谷下半部溯行の記憶を繋ぐ今山行、転勤間際の米山さんとの同行だ。
溯行者を多く迎え評判高い本谷だが、滝の配置が散漫で且つ取り組ませてももらえず、林道の存在にも気を散らされて今一つの印象だった。ただ、源頭部から稜線にかけてのこの地特有の雰囲気と、そこから眺められる海の存在はいつもながらに好ましい。
米山さんとようやく踏んだ百名山と、夜中の謎の尾を引く発光物体(衛星?)とが、この山行の贈り物だ。
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