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Yamareco

記録ID: 21477
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
槍・穂高・乗鞍

燕岳、大天井岳、槍ヶ岳

1980年08月01日(金) ~ 1980年08月03日(日)
 - 拍手
GPS
56:00
距離
38.5km
登り
2,906m
下り
2,845m

コースタイム

8月1日中房温泉→燕岳→大天井岳、大天荘泊
8月2日大天荘→西岳→槍ヶ岳山荘泊
8月3日槍ヶ岳山荘→槍沢→横尾→上高地
アクセス
槍沢を下る
2008年10月05日 23:50撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
1
10/5 23:50
槍沢を下る
中房温泉。祥子姉さんはこの年大学一年で、西岳ヒュッテの泊まりこみアルバイトをしていた。
2008年10月05日 23:46撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
3
10/5 23:46
中房温泉。祥子姉さんはこの年大学一年で、西岳ヒュッテの泊まりこみアルバイトをしていた。

感想

中房温泉→燕岳→大天井岳→西岳→東釜尾根→槍→槍沢→上高地


高校一年の夏。
父と晋君との三人で小屋泊まり縦走。父とは最後の山登り。

父とは中学校の三年間を通し、年に一回ずつ北アルプス三日間縦走を続け、前年、穂高連峰への縦走も果たした。この年は中学高校と一緒だった晋君が一緒に槍ヶ岳に登りたいというので、父との定例夏山山行を二年前と同じ槍ヶ岳メインの計画ですることになった。大糸線、バスを使って松本側から入り、一番苦労なく登れるのが燕の合戦尾根だというのが父の手であり、あまりほかのバリエーションは考えなかったようだ。

槍ヶ岳の山頂で晋君が雄大な風景に感動してわなわな震え、「ああ、なんて素晴らしいんだろう」というようなことを舞台俳優のようなことばで言っていた。僕はそこまで言葉にする習慣もなかったのであっけにとられた。晋君は中学二年にして父母を亡くしていた早熟な親友で、僕は六年間、彼の大人っぽい言動などを少なからず気にし、取り入れ、恥じ入り、影響を受けていたのである。

晋君の祖父は信州ではよく知れた郷土一番の植物研究者(元高校教師)だ。当時で90歳くらいだったが達者で、植物を見て山野を歩き回る健脚老人。槍ヶ岳の肩の小屋で穂苅さんに、晋君がそのおじいさんからのお届け物を渡したら、三人は上等な個室に通されて驚いた。それまで山小屋の部屋はたくさんの人で混んだ部屋しか知らなかったので。おじいさんの作った庭の木のあんずのジャムもいただき、大変おいしかった。

槍沢からの下りはやはり長かった。中学生の僕には景色の見えない樹林帯や渓谷の風景を楽しむ目がまだ無かった。晋君と地名しりとりなどして下る。

父との山はこの年を限りに行かなくなった。父は若いときには鹿島槍などあちこちに登ったというがそのときで20年ぶりくらい。毎度、昔の古い古い運動靴をはいていた。僕にはキャラバンシューズやリュックを買ってくれたが、父はこの古いリュックと靴で登った。カメラは昔の蛇腹のブローニー。僕が撮るとフィルムを巻き忘れて二重露光をした。

この年「バックパッキング入門」というアメリカの訳本が回ってきた。リュックじゃなくてバックパック、ナップサックじゃなくてデイパック、コンロじゃなくてストーブ、登山靴じゃなくてギアなどと新しいことばが書いてあり、「アウトドア」という言葉を初めて聞いた。僕も最初はこういう言葉の書いてある本やビーパルという雑誌の創刊号などを拝見した。アメリカの便利そうな道具を持ったバックパッカーの写真を見て、小屋泊まりではない放浪のような山登りをしたいなどとも思ったりした。まずはアルバイトをしてお金を作ってテントやシュラフが欲しいと思うようになり、父との小屋泊まりの山行スタイルを卒業した。翌81年の初夏までに朝4時起きで、新聞を配ったり、ビル清掃のアルバイトをして、ひと月三万円作り、ドロミテの登山靴、シュイナードのザック、ダンロップのテントをブンリンで買い求め、一応自立した山登りを手探りで始めた。はじめは特に仲間もいなかった。世は80年代。素敵な商品が山の世界にまで入り込み、消費経済社会となっていくのでした。

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