恵那山縦走(過去レコです)。
- GPS
- --:--
- 距離
- 11.8km
- 登り
- 1,407m
- 下り
- 984m
天候 | 曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2010年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス
|
コース状況/ 危険箇所等 |
とくに危険個所はありません。 |
写真
感想
アミューズトラベルの企画で「恵那山縦走」があるのを知った。長野県側からの広河原ルートを登り、岐阜県側の御坂まで下るというものだ。車では縦走は出来無いし、一度は縦走してみたいと思っていたので申し込んだ。2010年9月5日、朝7時20分に名古屋駅に集まったのは男7名、女8名、中には大阪や広島から来た人もいる。ガイドは井上さん、添乗員は松山さん、二人ともどこかで一緒になった人であるが、それがどの山だったか思い出せない。バスの中の説明で、「今日は山頂まで時間がかかるようでしたら縦走は止め、ピストンにします」。「ちょっと待ってくれ。わたしは恵那山に登りに来たのでは無く、縦走が目的なんだぜ」と心で叫ぶ。恵那山トンネルを出てすぐ、園原ICで中央道を降り、林道大谷―霧ヶ原線のゲート前の駐車場に到着。以前この広河原ルートを登った時は、この先の本谷川の登山口まで車で乗り入れる事が出来たが、今日はゲートが閉じられ、ここから林道を歩かないといけない。9時45分、ゲートをくぐって林道を歩く。道の両側にはムラサキツリフネやキツリフネ、ツクバネソウがわんさと咲いている。30分程林道を歩いて広河原に到着。10時25分、「恵那山登山口」の標識が立つ所から本谷川へ降り、橋を渡る。7年前、ここから登った時は、一枚板の橋を三回渡って向こう岸に着いた覚えがある。川が増水するとこの橋は流れてしまい渉れなくなるので、事前に役場に問い合わせる事が必要であった。そのおよそ二ヶ月後、大雨警報と雷洪水注意報が出ている中、登山口の本谷川に架けられた一枚板は川の水に覆われていた。それを渡ろうとして、中年の夫婦が川に流され、ご主人は無事であったが奥さんが死亡するという事故が起きている。猛暑が続いていて雨が無く、今日は本谷川の水量も少ないが、橋は立派なものに変わっていて、ちょっとやそっとでは流されそうには無い。アミューズではいつも女性陣が先に、男性陣が後ろにというパターン。今日も同様で、最後尾は添乗員の松山さん、その前が汚い名古屋弁のおっちゃん、そしてわたし。一列になってジグザグの急登を汗をかきかき登る。それにしても暑い。じきにタオルはびしょ濡れとなり、絞れば水がしたたり落ちる。ザックにはペットボトルのお茶が2本とポカリスウェットが1L,そしてゼリーが2本、これだけあれば充分だろうが今日は長丁場。休むたびに少しづつ水を飲む。「広河原登山口から恵那山まで1/10」という案内が木の幹に巻かれている。「2010−7−18」と記されているまだ真新しいものである。急登を登っていると、ゼイゼイと息を荒らした男が近づいて来る。振り返ると、サングラスをかけ、菅笠(案山子のかぶっている笠)をかぶった男が一人頑張って登って来る。松山さんが、「お先に行かれますか?」と聞くと、「2合目で休みますからいいです」と云う。間もなく「2/10」の標識が現れ、男は言葉通りここで一服するがわれわれは休まず登り続ける。とは云え休憩はしっかり取るのがアミューズトラベル。その先でわれわれが休んでいると、ゼイゼイと荒い息、先程の男が追い越して行く。その男をじっと見ると、菅笠、サングラスではっきりしないが、何処かで見た人のような気がする。このぜいぜい状態ではきっとまた何処かで追い越すだろうと思っていたが、この後この男を追い越す事は無かった。汚い名古屋弁で、「おとといまで北アルプスに松山さんと一緒に行っていた。この山は暑い! こんな山はわたしの登っている山では無い」とブツクサ云いながら付いて来る。こんな輩に限って大した山には登っていないんだろうと思う。先頭の井上さんは時々大声で花の名前を云っているが、「チシマシオガマです」と云うので近づいて見ると、セリバシオガマであったり、花に関しては少し怪しげ。「4/10」を過ぎた頃、たわわに実を付けた見た事の無い草があり、何だろうと見ていると、松山さんが、「ヒロハノユキイザサ、白い花が咲き、秋には赤い実となります」と云う。こちらは信頼出来そう。時折木の間から見える山々は名前も知らないが、尾根を渡る風が頬を撫で、気持ちが良い。誰一人遅れることなく、3時間少々で三角点のある頂上に到着。以前には無かった木の櫓が組まれている。早速それに登った人、「なんにも見えない」。大半の人は頂上から引き返して下るのだが、予定していた時間通りで登れたのでわれわれは縦走路に入る。恵那山は元は胞山(えなさん)で、天照大神が生まれた時の胞衣(えな:胎盤)をこの山頂に納めたという由来がある。一乃宮社、二乃宮社、三乃宮社と祠が建てられ、柱に新明社とあり、天照大神、その隣に豊受姫大神とある天照大神は伊勢の内宮、豊受姫大神は外宮の神さんなので、これはお伊勢さんに通づる山であろう。恵那山最高点までの途中の、バイオトイレと避難小屋がある広場で昼食を摂る。ムシが一杯寄って来て、あちこち刺されたのか、はたまた噛まれたのか、カユ〜イ。雑木林の平坦な道を進み、前宮登山道との分岐からは急坂を下る。途中で男三人女一人の若者に出会ったのが、本日この道で会った唯一のパーティーであった。この急坂を下り終えると、赤い地肌を露出した巨大な崩壊地、足元を注意しながらゆっくりと通過する。白い花をつけたシラタモノキ、同じく白い花のセリバシオガマの葉は紅葉し、秋を感じさせる。この長い御坂峠からの道、ほんとうに長い。汚い名古屋弁のおっちゃん、またしても、「何にも面白い事は無い、暑いだけだ。こんな所には2度と来るもんか」。わたし、「この長い尾根を楽しみながら下るのが良いんですよ」。おっちゃん、「・・・・」。それにしても長い、下ったかと思えば登り、登ったかと思えば下り、それの繰り返し。そして大きく登ったところが大判山、このルートのほぼ真ん中、もうとっくに過ぎていたと思っていた大判山、う〜ん長い! 再び大きな崩壊地が現れるが、道は反対側の斜面の林の中にあり、これは恐るるに足らず。登ったり下ったり。鳥越峠に到着し大休止。ゼリーは飲んでしまったし、水も底をつき始める。松山さんが大きなプラスティックの袋に入った水を取り出し、分けて呉れる。アミューズの社員は二人とも大きなザックを背負っていて、何が入っているのかと思っていたが、自分の飲む水以外にお客さんのために3Lはありそうな水まで担いでいる、さすがプロだ。井上さんが、「ここから強清水の林道まで20分のエスケープルートがありますが、折角ここまで来たんだからあとひと息頑張って御坂峠まで行きましょう」。そろそろ5時半で、秋の日はつるべ落とし、明るいうちに辿りつけるのか? でもガイドの云う事、誰も反対はしない。急坂の尾根を登る。足がだるいとか、足がしんどいとか、ここまで来るとそういう感覚は無くなり、ただひたすらに登る。登り切ると周囲の景色は一変し、なだらかな笹原が広がっている。薄暗がりが始まった笹原を進むと、林道も見え始め、そして人が手を振っているのも見える。バスの運ちゃんだ。6時16分、全員無事御坂峠に降り立ち、8時間半振りに運ちゃんと再会した。バスに乗り込んで林道を下り始めた時はもう、外は暗闇となっていた。恵那山縦走の印象は、暑い、長い、かゆいにつきる。
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