【2011年】磐梯山〜猫魔ヶ岳
- GPS
- 32:00
- 距離
- 17.8km
- 登り
- 1,473m
- 下り
- 1,284m
コースタイム
過去天気図(気象庁) | 2011年06月の天気図 |
---|---|
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス タクシー
|
写真
感想
***仕事の関係で新潟に在住していた時の山行記録です***
エンヤ〜♪
会津磐梯山は〜、宝〜のや〜ま〜ヨ〜。
なぁーんて、鼻唄が出てしまうほど良い山でした。
福島の至宝、磐梯山。
だけど、今回登ってみるまでは正直ナメてました。民謡とスキー場で虎刈りされた斜面のイメージが強すぎて、登ってもガツン!とくるものがないんじゃないのかな?なんて、大きな間違いでした。
見る方向によって全く異なって見える勇壮な山容や、麓に散らばる湖沼も含め、実に多様性に富んだ山であった、というのが正直な感想です。その変化を劇的に味わうには、じっくりと山の表から裏まで登ってしまうのが一番。バックパックに生活道具の一切合財を詰め込んで歩く、バックパッキングがこの山域に最もふさわしいスタイル。磐梯山にかかわらず、東北の山って日帰りじゃもったいないほどの懐の深さがある。山中一泊。そう、テントを背負って歩いても損はない、と思う。
そんな東北の山々をテント担いでたくさん登りたいという思いが更に強固なものとなりました。
Day1:猪苗代スキー場〜磐梯山〜八方台登山口〜猫魔ヶ岳〜雄国沼休憩舎(テント泊)
磐梯山登山口の最寄駅、JR猪苗代駅に着いたのは午前10時半。
「朝寝坊」という基本的なミスを犯してしまったため、一時間遅れの到着となってしまった。5時17分=朝イチの列車を逃した僕だが、代替策としての新潟〜会津若松のバス移動とJRの合わせ技でなんとか遅れを一時間で留めた、と前向きに考えることにする。猪苗代駅から磐梯山表登山口までは交通機関がないのでタクシーを利用する。「どのくらいかかりますか?」と乗車前に運転手さんに尋ねると「1850円!」と言い切った。降車時にメーターを見て、ぴたり「1850円」だったのには関心した。
今日は猪苗代スキー場入口から磐梯山を登りつめた後、八方台登山口に一旦降りて、それから猫魔ヶ岳へと登り返して雄国沼の畔でキャンプする計画。ざっと見積もっても7時間はかかる道のり。現在時刻は11時を少し回ったところ。到着時刻は休憩なしで頑張っても18時を過ぎてしまう計算だ。モタモタしてはいられない、と、炎天下の夏のスキー場をとぼとぼ登り始める。
一時間ほど歩くとやっと登山道らしくなる。汗をふきふき振り返ると猪苗代湖の絶景。とんがり帽子の赤埴山を巻いて沼の平へと歩を進めるとしばらく続く水平歩道。そこから見上げる磐梯山は猪苗代方面から眺める穏やかで秀麗な山容とは対照的な火山剥き出しの荒々しい岩肌。静と動、表と裏、この二面性が磐梯山の魅力をより一層印象的なものとしている。
リンリンリン・・・小気味よい鈴の音と共にトレールランナーが僕の横を駆け抜けていく。鈴の音で自分の存在を示し、歩きと走りの共存をはかるのは良い考えだ。どう考えたって一般登山者とトレイルランナーとでは流れる景色が違う。楽しみ方も異なる。しかし、お互いが相手を尊重し、良い関係で成長できればそれはそれで良い。自然を愛する心になんら相違はないのだから、気持ち良く、登山道を譲りあえる関係を今後も堅持したい。
水平歩道から櫛ヶ峰と磐梯山を結ぶ稜線へと登りつめるとにわかに広がる絶景。眼下には桧原湖をはじめとする湖沼群、前方には吾妻の峰々、西に目を転じると安達太良火山群が霞みの向こうに確認できる。山そのものは決して大きいものとはいえないが、その懐の深さや優美さは魅力十分の山域だ。
頂上へ向かう稜線の急坂をつめると、弘法清水小屋と岡部小屋がぽこん、と姿を現す。飲み物や軽食を提供する休憩小屋だ。登頂みやげとして手拭とピンバッジを購入し名物の弘法清水を水筒に補給する。
そこで少しだけ休憩したあと、頂上への直登。フル装備のバックパックに3リットルの水を追加すると、ぐっと荷物の重さが肩に食い込む。しかし、良く考えてみたら頂上へはワンウェイのトレイル。ならば小屋に荷物をデポして登ればよかったのに!と気づいたが時既に遅し。無駄な労を消費してしまった。
時間がないので先を急ぐ。八方台へは緩やかな下りが続く。地元の小学生が年中行事として磐梯山を登る定番コースだと先のタクシー運転手が教えてくれたが、その通りの穏やかな道程。小一時間で八方台登山口に到着する。ここには50台程の駐車場とトイレ、立派な休憩小屋がある。この時点で時刻は午後4時を少し回ったところ。ここからあと2時間か・・・。ちょっと疲れてきたし、腹も減ってきたのでこの辺にテント張って宿泊しちゃおうかな、そうだ、あの休憩小屋を今夜の天幕に・・・という誘惑に駆られたが、思い直して初志貫徹。その名称が印象的な、猫魔ヶ岳へと向かった。
八方台でしばしの休憩をはさんだ後、猫魔ヶ岳へと向かう。いくらこの時期、日が長くなったとはいえ午後4時を過ぎたブナの森は少々薄暗い。そんな中、森の熊さんとバッタリ出会ってしまうのも嫌なので、バックパックにぶらさげた熊鈴のサイレンサーを外し、チリチリと自分の存在を誇示しながら歩くことにする。
ゆっくりとした斜面を登り、ふと振り返ると磐梯山がまた元の穏やかな表情を見せている。すっきりとした三角錐の山容は富士山と同じコニーデ型の火山であることを示している。
登山道をどんどん詰めていくと猫魔ヶ岳山頂。猫魔・・・なんとも不気味可愛い名前だが、登頂してみると、なんてことないところ。歴史的には磐梯山より古い火山で、これから目指す雄国沼はその噴火の際に形成されたカルデラ湖だという。山頂のわずかな岩肌が火山であったことをかすかに主張している。しかし、なんで「猫」なんだ?
山頂から雄国沼方面に尾根を少し下ったところにある「猫石」は何処から見ても猫には見えないし「石」というには大きすぎる。色々と不可解な山なのである。猫石から雄国沼を見下ろす。時刻は午後5時15分。だいぶ陽が傾いてきた。
更に歩くこと1時間。午後6時15分にようやく到着したのは雄国沼休憩舎。ログハウス風の立派な建造物で、一応休憩小屋という位置付けだが、十分宿泊も可能。実際、僕が到着した時には既に一人のおじさんが寝袋にくるまり、ぐっすりお休みになっていた。前面に張り出したウッドデッキに寝転がり星を眺めながら眠るものいいだろう。
天水を利用した簡易水洗トイレもある。(協力金100円頂戴します)
小屋の周辺はフラットな草地でテン場としては最高。早速テントを設営し、炊事用の湯をアルコールストーブで沸かす。アルミの水筒からウィスキーをカップに注ぎ、つらい思いをして運んだ弘法清水で水割りにする。サントリーレッド、というお世辞にも上等といえない酒であるが、ミネラルたっぷりの山の湧水で割ると都会のお洒落なバーカウンターで飲む高級ウィスキーより数倍うまい。(と、感じる)もっとも、お洒落なバーカウンターで酒を飲む席など、ほとんどないのだが。
Day2:雄国沼休憩舎〜雄国沼登山道入口
さて、翌日。テントで過ごした夕べ遅くに激しい雨に降られ、不安視された空模様だったが、朝には雨が上がった。しかし湖畔周辺は深い霧、そして空は曇天。雄国山への登山はあきらめ、本数の少ないバスの便に間に合うように、渓流沿いのトレイルを足早に降りた。
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