甲斐駒ヶ岳(過去レコです)。
- GPS
- 32:00
- 距離
- 7.8km
- 登り
- 1,147m
- 下り
- 1,089m
天候 | 晴れ。 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2005年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
それなりに注意が必用です。 |
予約できる山小屋 |
北沢峠 こもれび山荘
|
写真
感想
Sさんと仙丈に登ったとき、北沢峠の反対側に甲斐駒ケ岳があるのを教えてもらった。その時はあいにくの天候でその勇姿を見ることは出来なかったが、Sさんが日帰りで登ったぐらいの山だからわたしもいつか登ろうと考えた。2005年9月12日に休暇をとって、日帰りはきつそうだから前日の11日の日曜日に前泊を入れる事にした。12時45分、仙流荘発北沢峠行き南アルプスアルペンルート長谷村営バスに乗ったのはわたしだけであった。「北沢峠で下りの客が乗り切れず、3台増発したがまだ乗れない人がいるので早く来てくれ」との無線が入り、バスは曲がりくねった道を勢い良く走る。前回は運転手さんが花や山の説明を面白おかしく解説してくれたのだが、今日は「お客さん車酔いは大丈夫ですか?」と尋ねただけである。バスの終点は北沢峠であるが、「今夜は仙水小屋で泊まる」と云うと、バス停を通り越して広河原よりのバス回転場まで乗せてくれた。通常はゆっくりと1時間かけてくるところを大急ぎで43分で上り、おまけにさらに奥まで乗せてくれたので30分程の時間短縮が出来たのだが、本日のわたしには早く行く理由は全く無かった。バスを降りるとちょうどそこに「仙水峠へ2.5km」の案内があり、道が分かれていた。北沢長兵衛小屋の前を通り、丸太の橋を渡り栗沢山への分岐を過ぎ、軽い登りを行く。30分程で今夜の宿泊地である仙水小屋に着くと、すぐに管理人が出てきて宿泊手続きをとる。「夕食は4時、男子トイレはあそこ、紙はダクトに入れること、水場はあそことあそこの2箇所、消灯は自然消灯、3時半に起きて4時に朝食」と説明し、飯場のような建物の2階に案内する。すで二組の夫婦が座っており、まもなくもう一組の夫婦が加わり7人となった。今晩は余裕を持って寝ることが出来そうだ。三組の夫婦はいずれも60歳は過ぎておりそうで、それぞれ焼津、明石、山口から車で来たとの事である。山口の夫婦は、明日は甲斐駒に登り、その翌日に北岳、そして間ノ岳、農鳥岳と縦走するという。みれば左程丈夫そうな人達では無さそうだが、めったに来れないからまとめて登るのだそうだ。皆さん山のヴェテランで山の話しはつきない。雨が降ったり止んだりしているが、夕食の間は丁度止み、屋外のテラス(管理人の表現による)で食べることが出来た。6時にはみんな眠ってしまった。
翌朝3時半に起床、4時に朝食、4時半に出発。真っ暗闇の林の中、只一人、ヘッドライトを照らしながら登山道を探して歩くのは心細い。30分程緩やかな道を登ると次第に空が薄明るくなり、手前上方に道標と人のシルエットが見え、仙水峠に到着。すでに数人が日の出を待ってカメラを構えている。左手を見上げれば摩利支天の大きな固まりが黒々とそそり立ち、その左にこれまた真っ黒な甲斐駒が続く。山際が明るくなるにつれ、黒い山塊は花崗岩の白い岩峰に姿を変えて行く。峠の正面、雲海の中に沈んだ甲府盆地のはるか遠く、秩父の山々にかかる雲が赤く染まり始め、太陽が昇ってくると一気に辺りは明るくなった。5時25分に峠を出発し、いよいよ本格的な登山の始まりである。ジグザグの道をゆっくりと登り、40分程経った頃、見晴らしの良い場所で小休止をとる。仙丈ガ岳が目の前にせまり、尾根上に頂上に続く登山道が続き、そして彼のカールが手に取るように見え、仙丈とはこんな山だったのかとあらためて理解する。振り返れば雲一つ無い青空の下、栗沢山の右肩に北岳が見え、左肩の向こうにオベリスクの立つ鳳凰三山が浮かんでいる。樹林帯を抜け、這い松地帯になると駒津峰が見え始め、右手に雪を冠ったような甲斐駒が摩利支天を従えて凛と佇んでいる。仙水峠から1時間少々で駒津峰に到着。南アルプスの山々は勿論、中央アルプス、その奥の御嶽山から始まる北アルプスの山々が北に向かって連なっている。鳳凰三山の向こうには富士山が浮かんでいる。しばし景色を楽しんだ後、甲斐駒に向かう急な尾根道を下る。上り返した痩せ尾根を石を伝って渡り、そこから下る道をお尻を使って降りると、巨大な四角形の石が傾いて横たわっている。これが六方石なのだろう。この先で大きな直登と巻き道の二つのルートに分かれる。石の重なる直登ルートは避け、巻き道ルートを選択。しばらくトラバース気味に下ると、摩利支天を右前上方に、甲斐駒を左前上方に見ながら砂礫の斜面を登る。這い松の緑が点在するが、ほとんどは花崗岩で白く、その上にどこまでも青い空が広がる。目的地は見えており、山の端に人の姿も見え山頂は近そうにも見えるが、一気に登るにはしんどそうでもあり、砂礫の斜面を少し登ったところで小休止をとる。摩利支天への道を分け、滑らないように小さな歩幅で目印にしたがって登り、稜線に出る。大石の間の砂礫の道を登り、8時15分、頂上に到着。石祠が鎮座し、そのまま墓石になりそうな花崗岩がゴロゴロしている。何度も書いて申し訳ないが、上空は雲一つない青空で、360度見渡せる。南から、鳳凰三山、その向こうに富士山、栗沢山の右手に北岳、間之岳、農鳥山、塩見岳、荒川岳、赤石岳と南アルプスの3000m級の山が一望できる。聖岳は赤石岳に隠れているのだろうか、判らない。仙丈の右手奥に中央アルプスがあり、その右手から北アルプスの山が連なり、御岳と乗鞍の間から加賀白山まではっきりと見える。穂高連峰から白馬、雨飾山、頚城三山も遠くに見える。八ヶ岳を下に見て記念撮影。八ヶ岳の右手向こうに五丈岩が見え、秩父の山々から丹沢の山々に連なっている。8時35分に下山開始。登りと同じ道を下り、1時間以上かかって駒津峰に到着。登りと違って仙水峠へは下りずに、北沢峠に下りることにする。目の前に双児山を見下ろし、その頂上に向けてひと筋の登山道が見える。駒津峰からどんどん降下し、もうそろそろ止めにしてくれないかと思いながらも下り、双児山との鞍部に降り立つ。双児山への登り返しのギアーチェンジもままならず、フウフウ云いながら頂上に登る。駒津峰から40分程経っていた。振り返ると緑の駒津峰の左手に甲斐駒が、右手に摩利支天が、それぞれ白い頭を覗かせている。樹林帯の中、ステッキを使って膝の負担を軽減しながらジグザグに下り、頂上から3時間ほどかかって北沢峠に降り立った。
バスの出発まで1時間半もあり、長兵衛小屋で500円也の缶ビールを買い、一本では足りずもう一本飲んで、その上持参のウイスキーも空にした。2000mの涼しい風に吹かれながら、ベンチに横になって昼寝をむさぼる。
戸台口の温泉で汗を流し帰途についたが、岐阜は猛暑で一挙に現実に戻ってしまった。
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