天城山縦走(過去レコです)。


- GPS
- 32:00
- 距離
- 23.8km
- 登り
- 1,149m
- 下り
- 1,514m
天候 | 曇り。 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2003年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス タクシー 自家用車
バスで天城駅へ。 タクシーで天城高原ホテルへ。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
危険個所はありません。 |
写真
感想
春分の日に登った時は登山道は凍っており、おまけに雪も降ってきて万二郎に登るのが精一杯だった。いつかリベンジしようと思っていたが、親友のSさんと相談のうえ天城山縦走の計画をたてた。平成15年5月24日9時前に家を出て、11時半に三ヶ日でSさんと落ち合った。東名高速を沼津インターでおり、伊豆中央道を通って修善寺まで行き、下田街道を南下した。石川さゆりの「天城越え」で知った「浄蓮の滝」は、広い滝壷を持った風格のある滝であった。天城路を上り、3時頃に「水生地下(すいしょうちした)」の駐車場に着いた。当初は車2台で行き、1台はここに留め、もう1台で今夜の宿泊先である天城高原のホテルまで行こうと計画していたが、山から出てきて再び車をとりに戻るのも大変なので、1台で来てここに車を置き、あとはバスとタクシーを乗り継いでホテルまで行く事に計画を練り直していた。駐車場にはまだ数台とめるスペースが残っており、そこに車を留めザックを背負い、登山靴に履き替え、バス停に並んでいるハイキング姿の人達の列に加わった。修善寺行きのバスはすぐにやって来た。乗客は運動靴と簡単なリュック姿の中高年の男女で占められていたが、天城路の沢山ある温泉にバスが留まるたびに下車していったので間もなく座る事が出来た。終点の天城駅前で1000円なにがしかの運賃を払って降り、タクシー乗り場で客を待つ運転手に聞くと、ホテルまで7000円程だと云う。一人で払うには高いが、連れがいると半額で済むので良い。コンビニに寄ってもらって朝食用のオムスビを買い込み、伊豆スカイラインを通ってホテルに着いた。まず温泉につかり、部屋に戻ると早速酒盛りが始まった。今日のため金沢で買い込んだ日本酒をあけ、夕食でも日本酒を飲み、部屋に帰ってからまた飲み直し、早々と酔いつぶれて寝てしまった。
翌朝は6時10分にホテルを出て、霧の中、天城カントリーの入り口にある登山口までの車道を歩き始めた。「天城カントリーまで3キロ」の表示があるが、Sさんは「ホテルから登山口までは歩いて15分と書いてあった」という。20分たっても30分たっても鋪装された車道を歩き続けており、あげくの果て、ホテルの送迎用のバスがゴルフ客を乗せてわれわれを追い越して行くではないか。心中穏やかでは無く、45分間、車道をのぼってようやく登山口に到着したが、ウオーミングアップには充分すぎる歩行であった。バス2台も含めてすでに満杯となっているハイカー用の駐車場の中にあるトイレで用を足し、予定より1時間遅れの7時5分に「天城山縦走路入り口」と書かれた柱の立つ登山口に入った。珍しくこの1週間程晴天続きであったが林の中の登山道はぬかるんでおり、じきに靴とズボンの裾は泥だらけになってしまった。スパッツを付けておくべきだったと思ったが後の祭りである。Sさんはいつものように軽快に、小わたしはいつものようにゆっくりと登るのであるが、それでもペースは速めなのか幾つかのパーティーを追い抜いた。ジグザグの登山道は丸太で土留めされた階段状になっており、新緑の木々と鮮やかに咲いているツツジが目を楽しませてくれ、長過ぎたウオーミングアップのことなど直ぐに忘れてしまった。Sさんがしきりに観察し葉っぱの数などを数えたりしているが、案内本にはアマギツツジと記されている。この辺り、ほかに花は少なくモミジイチゴが咲いているぐらいである。8時丁度に万二郎(1300m)の頂上に到着。ひと休みして水分を補給後、いよいよリベンジの始まりとなった。すぐに急な岩場の下りとなり、前回は雪と凍りの中、こんな所へ来なくて正解だったと思いつつ慎重に慎重に降りて行った。登山口から林の中ばかり歩き展望はきかなかったが、始めて視界の開けた岩場に出た。しかし霧がかかっていて、富士山や伊豆七島はおろか天城の山々さえ見ることは出来なかった。岩場を降りきり、万二郎と同程度の高さを登り返して快適な稜線歩きとなると、アセビが目立ちはじめてやがて両側から被いかぶさるようになる。花は終わっていたが、濃い緑の葉の先きに赤味のかかった若葉が美しい。低く地面を被うように生えているものから、幹や枝がねじ曲がった大きなものまで様々なアセビの群れである。鞍部に石楠立(はなたて)という標識があり、名前のごとくシャクナゲの群落地である。やがてブナの木が目立つようになる。少し道を逸れた所にブナのいかにも古めかしい巨木があり、周りには自らの重みに堪えかねて枝が落下している。年齢を重ねているが若葉を一杯つけた枝の広がりを支える、風格のある太いイボイボの幹に抱きついて写真を撮った。そこから再び登りとなりSさんとの距離は開くが、新緑に映えている薄紅色のぼてっとしたシャクナゲの花をめでながら登るのは悪くない。万二郎から1時間5分で万三郎岳(1406m)に到着した。頂上は広く拓かれてベンチもあり、7〜8人が休憩していた。本日はわたしの長女の出産予定日なので自宅へ電話するも、携帯電話の電池切れで通じない。食事をとるにはまだ早く、じっとしていると風も肌寒く、周囲は木に囲まれ展望もないので、水分補給と写真撮影のみで早々と頂上をあとにした。ブナ原生林の中の平坦な尾根道を、霧の中であるが気持ち良く歩き、15分程で片瀬峠に到着。小岳まで310mとある。万三郎から水生地下に至る縦走路の唯一の登りであるが、僅か10分程で小岳に到着する。戸塚峠まで1.3kmとある。要所要所にこのような案内が立てられており、道に迷う事は無い。小岳から岩の多い道を25分程下ると戸塚峠に到着。笹の生い茂る、アセビやブナの林が拓かれた広場に腰をおろして休憩をとる。ここら辺りの笹は万三郎附近のものに比べると、葉が随分と大きい。広場の周辺にはギンリョウソウがかたまって咲いているが、いつぞや見たものと違って幽霊的な感じはなく、美しくさえ見える。白田峠まで1.6kmとある。20分程休んでから起伏の少ない尾根道を歩き始めると、いつの間にか雲も消え、ブナの林に木漏れ日が差し込む中、オゾンを一杯吸って快適である。黒い幹のブナやイヌシデ、カエデの林の中に、薄茶色のすべすべしたヒメシャラの幹が彩りを添え、見上げれば新緑の若葉の世界である。40分で白田峠に到着し、八丁池まで2.5kmとあるが休まずそのまま歩き続けた。白田峠から50分程平坦な道を歩くと、スズ竹に囲まれたトンネル状の道の先が急に開け景色は一変、突然緑の水をたたえた八丁池が現れた。「天城の瞳」といわれているそうだが、その名に恥じる事は無い。ベンチに腰をおろしてコンロでラーメンを作って食べていると、軽装のハイカーが連なってやってきた。「天城の瞳」もさわがしくなり、12時半に出発。林の中の「下り御幸歩道」を下ること30分で白砂歩道に到着。これを横切って「水生地まで2.4km」と案内のある林の中の登山道に再び入る。石の転がっている道をどんどん下ると鋪装された林道に出た。道端に咲く小さな花々を眺めながら林道を下り、1時45分に「氷室園地」と記された広場に到着。ここからは、車の行き交う旧下田街道を川端康成の文学碑を見たり、「さよならも云えず泣いていた、私の踊子よ……」などと鼻唄を歌いながら歩き、2時5分、水生地下の駐車場に戻った。8時間程の山歩きは今までで一番長いものであった。
湯が島の「湯の国会館」で温泉に浸かり、汗を落として帰途についた。8時に無事帰宅し家に入ると、いきなり「何度電話しても出ないので遭難したのかと思った。1時に長女が赤ちゃんを産んだのに、電話に出ないとは何事ぞ」と叱られた。3人目の孫が生まれていた。
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