久住山(過去レコです)。


- GPS
- --:--
- 距離
- 8.8km
- 登り
- 575m
- 下り
- 574m
天候 | 晴れ。 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2003年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
危険個所はありません。 |
写真
感想
平成15年11月、福岡で開かれる学会のついでに、久住山(くじゅうさん)に登る予定をたてていたら、妻も一緒に行くと云う。早速、妻ご希望の黒川温泉に予約を入れるも、残念ながらいずれの宿も一杯で断念。幸い、登山口からほど近い筋湯温泉に宿を予約する事ができ、大分空港からレンタカーで九重に向かった。久住町と九重町は別々の町であるが、久住山は九重山群の中の一つの山と云う事でややこしい。筋湯温泉の鄙びた宿に泊まり、翌朝5時前に起床して、登山口の牧ノ戸峠に着いた時は未だ真っ暗闇で、星がキラキラと輝いていた。広い駐車場には我々以外誰もおらず、勿論、売店も閉められたままである。風は無いが寒いのでレインウェアーを着込んで登山の仕度をしたり、昨日仕入れたオムスビを食べたり、用を足したりしながら時間を潰し、ようやく白み始めた6時25分に「牧の戸登山口(標高1333m)」と記された大きな柱の立つ登山口に入った。コンクリートで固められた階段状の坂道を登ると展望台があり、西に筋湯の湯煙が、遠く北方に雲の上から湯布岳の双耳峰が突き出ているのが見える。左程の標高でもないのに高い木は無く、登山道の両側はミヤマキリシマだろうか、小さな青い葉の低木が続く。コンクリートの道は終わり霜柱が立つ道となるが、小石が霜柱に持ち上げられているため一見普通の砂利道に見える。踏む度に5儖幣緜世爐、歩くのには支障無く、サクサクと気持ちの良い音が響く。6時52分に沓掛山(1503m)に至ると、正面右手に久住山かと思われし山が見え、それに向かって尾根が続き、尾根の上には一筋の登山道が伸びている。岩を回り込んで急斜面を下り、背の低い小さな葉の笹が生い茂る緩やかな尾根を歩く。この道がぬかるんでいて、靴はおろかズボンの裾まで泥だらけとなる。尾根道が終わると道は左右に分岐しており、ずっと久住山と思っていた山の方向には「扇ケ鼻」と記され、左に向かって「久住山」とある。左には広々とした平地(北千里が浜)が広がり、その向こうの山肌に数条の登山道が見える。これが久住山なのだろうかと近付くと、その山に向かって「星生山」の標識が立ち、北千里が浜の奥に向かって「久住山」の案内が立てられている。星生山から岩だらけの鋸のような山が連なっているが、その奥にあるだろう久住山の姿は見えない。草木は無くなり茶色一色の世界が広がり、日本にもこんな所があったのかと感嘆する。北千里が浜の真ん中に幅の広い道があり、霜柱を踏みながら歩くとやがて行く手に、ゴツゴツした岩山の久住山がやっと姿を現す。北千里が浜の端は岩だらけの道で、ここを下って避難小屋の立つ広場に降り立った。まだ朝の8時10分である。「久住分かれ」とあり、左の法華院への道は通行禁止となっている。そちらを見ると、硫黄山の向こうから白い煙りが尾根を越えて吹き上がっているのが見え、通行禁止に納得する。久住山の山肌は岩が積み重なって出来ており、黄色で塗りつぶされた丸印が描かれた岩が並ぶ登山道が、久住山を回り込むようにして続いている。中岳への道を左に分け、黄色の目玉の並ぶ岩道を登り、8時50分に頂上に到着した。青空のもと朝の光を浴びて360度の大展望が開け、南には眼下に緑の牧場が広がり、同じ緑でもこれがゴルフ場でないのが快い。遠くに根子岳、祖母山が浮かび、その手前西側に阿蘇が雲の上から尖った頂きを見せている。はるか西に一つだけ頂きを現しているのは雲仙だろうか。北側の窪地の向こうには中岳が、左手向こうには三股山の3つのコブが、さらに遠く湯布岳が浮かんでいる。青空の下に広がる広陵たる茶色のうねりに圧倒されながら、しばし頂上に座り込み浮き世を離れた世界に浸った。霧島といい、阿蘇といい、この九重山も、九州の山は独特の趣き持っている。
9時15分に頂上を離れ、黄色の目玉の列に従って下山するも、妻の苦手な岩の山道が続く。登って来る人に会う事が多くなり、皆さんが一様に「早いですね」と声を掛けて呉れる。北千里が浜を快適に歩き、行きに回り込んだ沓掛山にも登り、といっても10mも無い梯子を登っただけであるが、11時30分に駐車場に帰り着いた。
標高差は僅か450m、所用時間は登り2時間25分、下り2時間15分で、汗をかく事も無く登る事の出来る山であったが、「山登り、苦しきをもって貴としとせず」。満足満足。
途中で看板を見て入った筌ノ口温泉は、茶色の露天風呂であった。汗を流して一路福岡に向い、博多で登山用具一式を宅急便で自宅に送り、レンタカーを返してからホテルに投宿。翌日、学会の3日目であるが、初日から参加しているようになにくわぬ顔をし7題の座長勤めあげた。
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