【虎穴作戦】黒戸尾根・甲斐駒ケ岳・摩利支天・駒津峰
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- GPS
- 12:10
- 距離
- 19.5km
- 登り
- 2,790m
- 下り
- 2,789m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
道の状況:道そのものは東京近郊でも見られるような歩きやすい道。甲斐駒ケ岳〜摩利支天間はザレていて滑りやすい。甲斐駒ケ岳〜北沢峠方面はハイカーの混雑渋滞も考慮に入れるべし。 下山後の温泉:尾白の湯が混んでいるとみて、むかわの湯 飲食店:駐車場に売店あり。 |
予約できる山小屋 |
七丈小屋
|
写真
感想
Q.10月ももう半ばだし、北アでは雪も降ったそうじゃないか。君みたいのがこの時季にアルプスに行っても遭難して馬鹿にされるのがオチだぜ。
A.だからこの週末に行くのさ。虎穴に入って虎子を得られるだけの条件が揃っている。今までは暑過ぎた。これからは寒過ぎるし日は短い。じゃ、いつやるか?今でしょ!
というわけで、今年最後に南北アルプスをもう一歩きして今夏の穂高と白峰の穴を年内に埋めておくことにする。
夜9時過ぎに尾白川渓谷駐車場に到着。あれ?他に車が無いなあと思っていたが、も少し登山口に近い方に舗装された駐車場があったのだった。まあいいやと思ってそのまま寝たが、おかげで車の出入りの音に煩わされることはなかった。午前3時30分過ぎにトイレに行ったところ、売店のそばで会話している人たちがいた。大声でしゃべっているつもりは無いのだろうが、静かな山間では大声でなくとも声が駐車場に響いている。改めて舗装部に停めなくて良かったと思った。
日の出1時間半前に出発。駒ヶ岳神社に挨拶し、吊橋を渡って山道へ。奈良田から農鳥まで歩いたときのように最初からハードだったらどうしようと思ったが、幸いに比較的歩きやすい道だった。さすがかつての表参道だっただけのことはある。木の間からチラチラと甲府盆地の街の明かりが見える。森林限界を超えたところではさぞかし…。
午前5時頃から森のあちこちから音がするようになる。動物たちも目覚め始めたようだ。そのうちに東方が白み始め、稜線が朝焼けで真っ赤になっる。おー、モルゲンロート。徐々に行く手にも日が差し込み、紅葉した木の葉は朝日に照らされ、その色をさらに深くする。鳳凰三山をはじめとする周囲の山々も視界に大きく入ってくるようになる。オベリスクの何と小さいことか。また鳳凰に行ってみたくなるが、今日は甲斐駒だ。
刃渡りに至って視界はさらに開ける。八ヶ岳、富士山、鳳凰三山等々。この世の三千大千世界とはこのことを言うのだろうか。
この後は梯子や鎖場等の急な登りが増える。五合目小屋跡への下る登山道を過ぎると、さらに傾斜は急になる。とは言っても一歩一歩よじ登るわけではなく、梯子を上っていくので負担は軽い。これが梯子がなくて鎖か木の根をつかみながらよじ登れとなったら黒戸尾根の難易度は一気に跳ね上がるだろう。ほぼ垂直の梯子も昇ったが、前情報として仕入れてあったためか、あまり感動が無かったのが残念だ。
さらに大きくなった岩の間を縫って登っていくと七丈小屋に至る。
七丈小屋から先は展望がさらに良くなり、それまで延々と歩いてきた苦労が報われた心地がする。山頂と思しきピークも眼前にドドンと現れるが、「どうせ本当の山頂はさらに奥だろうさ」と思って行ったら本当にそうだった。八合目御来迎場から先にも鎖場はあるが、高度差も大してなく難なく登れる。やや薄曇りかといった感じの空も「我が歩むところ常に陽光あり(どうせ2回登頂するしね)」と信じて歩いていくうちに雲が薄くなっていく。
駒ヶ嶽神社本社を経て山頂へ行く過程で、岩は風化して砂礫の道と化していくのだが、この黒戸尾根、登るにつれて鳳凰が小さく、富士山が大きく見えてくるのが非常に面白く感じた。
そして山頂。雲は高層にあって陽光を遮ること少なく360度の大展望。嗚呼、あれは白峰三山、鳳凰にアサヨに鋸…。南アのオールスターが勢揃いだ。もちろん富士山も。
最初チラッと見た時に駒津峰かと思った山は地図と照らし合わせてみると仙丈ケ岳だった。遠近感も狂ってしまったようだ。えーと、これから行く摩利支天と駒津峰はっと…。「小っさ」という思いがついつい浮かんでしまった。摩利支天さん、駒津峰さん、ごめんなさい。実際、いざ登ろうとするとやはり大きくて笑ってしまった。しかも、摩利支天分岐までの下りはザレて滑りやすく非常に緊張させられる。摩利支天と駒津峰は薬師如来の脇侍たる日光菩薩・月光菩薩、或いは聖徳太子に近侍する二人の童子のようなもので、甲斐駒がビッグ過ぎるだけだったのだった。
駒津峰へ向かうが、甲斐駒山頂への直登との合流地点の辺りから北沢峠方面からと思われるハイカーが増え、簡単には進めなくなってきた。進捗状況次第では双児山までと考えていたが、これは無理だと駒津峰を最終到達点として一休み。昼前ということもあり、多くのハイカーが山頂でランチを広げていた。
軽食後、甲斐駒への直登ルートへ。反対側の道とはまた趣が違って楽しい。そして昼の甲斐駒再登頂。朝よりも空は青く、風も穏やか。人は増えたが混雑と言うほどではない。全く申し分ない。ワンダフル!ビューティフル!
帰りは黒戸尾根を戻る。農鳥から奈良田への下りはもの凄く長く感じたのだが、黒戸ではそれがなかった。恐らくこの今回の山行に十分満足していたということなのだろう。それでも単なるピストンは避けたいという思いから尾白川渓谷を回ってから戻るか、横手の駒ヶ嶽神社にご挨拶していくか等々考える。判断に影響を与えたのは陽光である。まだ13時なのにまるで夕方のような陽の射し込み。
笹の平に到達するまでに、日没1時間前にあくせくしても十分楽しめまいと判断し、もと来た道を戻ることとする。
結局帰着は16時30分。森の中は日没前から暗くなることから無理に足を伸ばさなくて良かった。このようなことはあったが、道中及び山頂で得たものに比べれば些細なことだ。百点満点の山行ができたと思う。
締めは途中あった尾白の湯と思ったが、駐車場が一杯だったため、むかわの湯へ。
二日目の北ア作戦へ向け英気を養ったのだった。
〜二日目燕岳山行につづく〜
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