丹沢 鳥屋待沢から大山三峰へ
- GPS
- --:--
- 距離
- 10.9km
- 登り
- 864m
- 下り
- 905m
コースタイム
8:40入渓 →9:38CS滝 →9:55 485m分岐 →10:06右俣二俣分岐10:30 →11:00CS8m滝11:57 →14:53ハマった後奥の二俣部分に復帰
→15:25頃登山道に出る →15:55三峰山頂16:13 →16:53トイレのある広場 →16:58不動尻 →17:40広沢寺温泉入口バス停
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
コース状況/ 危険箇所等 |
ヒル避けをスパッツに塗ったが、結局1匹も吸い付かれなかった 腰まで浸かる釜が一箇所、それ以外は少し濡れる程度 大滝は右岸を巻いたが、懸垂なく沢床に復帰でき容易だった。 二俣先ですぐに水が無くなると、岩がボロボロになる。 支沢に入ったらボロボロで危ない思いをしたので、本流を忠実に詰めた方が良い。 詰めもあまり良くないので、ルンゼ状になる前に尾根に取り付き、潅木を拾うように上がった方が良い。土中から木の根が出ているので、ホールドにできる。脆い岩より木の根の方が頼りになる。 |
写真
感想
今回の沢は、前回の勘七ノ沢に続き、新人のみでロープワークや支点工作の練習を目論んでの山行である。
勘七ノ沢は少々物足りなかったので、もう少し難しい鳥屋待沢に白羽の矢を立てた。
煤ヶ谷バス停を降り、谷太郎林道を足早に歩くと、権現橋という小さな橋を越える。
ここが鳥屋待沢の入渓点だ。あまりに平凡で見落としそうになる。
入渓後、大きな堰堤を越えて開けた河原を通った後は、沢と平行している作業道を歩く。
15分くらいして土の上に飽きてきた頃、小さい滝が現れ、水に入る。
それからいくつか小滝を越えるが、どれもスラブ系でホールドが乏しく、微妙なバランスで登るタイプの滝が続く。
やがて10m大滝に出会うが、ちょうど先行の5人パーティの3人目が登ろうとしているところだった。
先行Pの登りをしばらく見学するが、全員登り終えるには時間がかかりそうなので巻くことにする。
手ごろな難易度で、自分たちもロープを出して練習したいが、ここはぐっとこらえる。
両岸を良く観察した後、右岸を巻くことに。右岸は緩く、掴んで登るようなところはほとんどなかった。
その先に釜を持つ滝があり、少々こらえて中に入る。
腰まで浸かる水の冷たさがぐっと来る。(結局濡れたのはここだけだった)
その先、凹状に狭まった先にかかる滝があったが、これは右壁の水平クラック沿いにヘツって越えた。
他会などの記録の多くは突っ張りで越えているようだが、自分は現場でヘツリが最適と判断した。(突っ張りだと最初の部分は水に入らなければ難しいだろう)
こういう、その場その場で考えて自分に最適な答えを出すというのが、沢登りの醍醐味だ。
その滝もそれ程難しいわけではなく、こんなもんか、という感じでしばらく行くと、540mの二俣。
ここから左俣に入ってすぐのところに幕岩という見事な一枚岩があるとのことなので、荷物をデポして見学に行く。
5分程行くと、右岸にまるで護岸工事のコンクリ堤防かのような、綺麗な一枚岩があった。
二俣に戻って休憩後、右俣へ。
分岐にかかる最初の滝はホールドが乏しく立っているので無理せず巻く。
その後いくつか分岐を越すと、8mCS滝の手前で水流が消えた。
8mCS滝に到着。今日はまだロープを出していないので、練習のために迷わずロープを出す。
Nさんリードで登る。途中に残置ハーケンがあるが、練習のために2本ほど打ち足してもらう。
ここは涸滝で会話が良く通るので、手順を良く確認しつつ、荷揚げをしてみたり足りないギアを下から送ったり、二人で色々と試して1時間ほどかけて練習する。
前回の勘七に比べて今回はいろいろ練習できて満足だ、さあ後は詰めるだけだし、早く下山できそうだ。
そう油断した矢先、今日の本当の試練はこの先にあった。
8mCS滝から10分程行くと、右が本流、左は尾根に突き上げた比較的大きなザレのルンゼ、という分岐に出くわす。
遡行図には本流を詰めるとあるが、我々は左のルンゼを詰めることにした。
先ほどの8mCS滝あたりから岩がもろくホールドが欠けるようになってきていたので、このルンゼを詰めて尾根に出れば比較的安定するだろうし、山頂の方向に延びていることから少しでも近道できるのではないかと考えたからだ。
これが大きな過ちだった。
30mほどザレを登るが、やがて、不安定でいつ崩れだしてもおかしくない状態になってきた。
その先ルンゼはまだまだ続いているというのに。登るか戻るか迷ったが、ロープなしでは安全に降りられる保証はない斜度であり、ザレの中で支点になるものは皆無だったので、登るしかないと判断した。
丁度良く、すぐ右から浅い溝状の小ルンゼが1本入っており、これは露岩が結構出ているので登れるだろうと判断し、ここに入ることにした。
ところが、しばらく登ると、やがて岩がボロボロになり出す。
ここまで登ったのだからもう少し登ろうと二人で頑張るが、いよいよ斜度が増してきて、岩は更にボロボロになり、これ以上進めなくなった。
ここまでボロボロになるとは予想していなかった。
降りようにも、岩がもろくて叶わない。
小ルンゼの両脇の尾根には太い潅木が生えていて安定していそうだが、もろい両壁は這い出ることさえ許してくれない。
さあどうしよう、あっちへ行こうこっちへ行こう、二人で話し合い、少しずつ登り降りを繰り返すがどうにもならない。
良く良く話し合い、どうにか立木にロープを掛けて、斜め懸垂して弱点から小ルンゼを這い出て尾根に逃げ、そのまま尾根上を何ピッチか懸垂すれば、元の二俣に戻れるとの結論に至った。
だが、小ルンゼの脇に生えている立木にロープを掛けるのは困難だ。
立木までは距離があるし、ルンゼの側壁は崩れて登れない。
散々試行錯誤した結果、Nさんが頑張って小ルンゼを少し登り、先端に重りのカラビナを付けたロープを投げて、数投目でようやく立木に掛けることができた。
これでようやく支点を作ることができた。
そこからは自分が斜め懸垂で小ルンゼを這い出て、尾根上に乗り、途中の立木で区切りを入れて2ピッチ半の懸垂でどうにか元の場所に戻り着いた。
ロスした時間は2時間半。時間を浪費はしたが、元の分岐に戻り着いたとき、二人とも心底ホッとした。
いや〜恐ろしい思いをしたけど、これはとてもいい経験になった、と意見は一致。
2時間半の緊張と疲労は無駄にはならないだろうと。
さて、気を取り直し、素直に本流を詰める。
だが、予想はしていたが、本流も徐々に悪くなっていく。
やがて、最後の詰めの部分となるルンゼが見えてきたので、同じことを繰り返さないように、手前で早めに尾根に上り、安定している木の部分を拾うようにして登る。
それでも土は崩れやすく、露岩ももろい。
だが、ここを登るしかない。
土中からところどころ出ている根を掴んで、必死に登る。
先ほどのザレたルンゼに比べればいくらかマシだが、先ほどのルンゼで恐い思いをしたおかげで、二人とも表情は必死だ。
15分程登ると登山道が現れ、いよいよ緊張から開放された。
「良かったぁ〜。抜けられた〜。」二人で安堵の声を上げ、快適な登山道を30分ほど歩いて夕暮れの山頂に到着した。
のんびり装備を解除し靴を履き替え、足早に下山した。
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