早池峰縦走 中岳にて撤退

- GPS
- --:--
- 距離
- 16.2km
- 登り
- 1,452m
- 下り
- 1,454m
コースタイム
7:30岳駐車場-8:40鶏頭山避難小屋-10:20鶏頭山-15:00縦走路 標高1600m地点(幕営)
【11月25日】
7:30幕営地-8:30中岳山頂-9:30撤退-13:00鶏頭山-14:40七折ノ滝-15:40岳駐車場
| 天候 | 24日:曇り 25日:曇りのち晴れ |
|---|---|
| 過去天気図(気象庁) | 2012年11月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関:
自家用車
岳までの車道に雪は有りませんが、朝方は凍結している箇所があったので冬タイヤが必要です。 尚、岳から小田越方面は冬季閉鎖で来年5月まで通行止めです。 |
| コース状況/ 危険箇所等 |
○岳〜鶏頭山 標高1000m辺りから雪道ですが、深くても踝程度。 今の雪量ではワカンは必要ありませんが、アイゼンはあった方が良いでしょう。 七折ノ滝分岐から先は雪の付いた岩場で、切れ落ちた箇所があるので通過は慎重に。 ○鶏頭山〜中岳(縦走路) 眺望の無い樹林の道が延々と続き、道には樹木が張り出しており通過が困難。 全体的に荒れた印象を受けました。 所々でナンバープレートがあり、目印にはなりますが数は乏しい。 夏でも道に迷う事があるらしいので、ルート選びには気を使いました。 登山道は樹林帯を抜けると岩場に出て、岩場を過ぎると再び樹林帯に入る、といった繰り返しになります。 岩場の南側は切れ落ちてますが、ロープや鎖は無し。 また、雪が堆積しているのでアイゼンが無いと危険な箇所です。 雪の量は、鶏頭山近辺で踝程度ですが、水場以降は膝下までのラッセル。 中岳以降は腿上まで(約50〜60僉砲△蠅泙靴拭 雪が深いのでワカンを付けた方が楽かと思いましたが、岩場の通過が困難になりそうなので全域アイゼンで進みました。 ○中岳 中岳頂上までのルートには大きな岩が堆積しており、その岩を登っては降りて、の繰り返し。 岩にペンキマークやロープは無く、ルートファインディングが非常に難しい道でした。 スムーズに通過するには、正確に夏道を記憶している必要がありそうです。 (夏道を知らない私は、この区間の通過に40分近くかかりました。) 岩場の通過も技術的に難しい箇所があり、雪の付いた岩を登るにはそれ相応のアイゼンワークが必要だと感じました。 今回、単独なのでロープは使用しませんでしたが、パーティでの登山の際は後続のフォロー用にロープがあると良いです。 中岳はどこが頂上なのかよく判らないピークですが、中岳の表示板の近くにある大岩の上に三角点があったので、 恐らくそこが頂上だと思います。 中岳から300mほど早池峰方面へ進んだところで撤退したので、先の状況については不明です。 |
写真
感想
東北の天気を調べてみると、週末は太平洋側が好天に恵まれそうだったので、早池峰登山を計画した。
早池峰に登山で訪れるのは今回が初めてであり、ルートに不安なところはあったが、
まだ11月だし雪はそれ程深くないだろう、と考えて、鶏頭山から続く縦走路を登頂ルートに選んでみた。
事前にネットで情報を調べてみるも、この縦走路の情報は乏しく、積雪期の記録は見つからない。
しかし、無雪期の記録によると、中岳周辺の岩場は難所になる事が予想された。
そこで、アイゼン、ピッケルに加え30mロープにハーネス等の登攀具を持参し、1泊2日の日程で登山に臨んだ。
【11月24日】
7時30分に、岳の駐車場を出発。
紅葉の終わった寂しい森の道をしばらく進むと、避難小屋の手前から雪道となった。
雪にトレースは無く、前日は祝日だったが登った者は居ないようである。
新雪に踏み痕を残しながら進んでゆき、10時過ぎには鶏頭山頂上に到着。
鶏頭山より早池峰方面はガスで視界は悪く、今日の眺望は期待出来無さそうであった。
しかし、明日は高気圧に覆われ、確実に晴天になる。
明日の眺望に期待しつつ、縦走路へと足を踏み入れた。
始めは見晴らしの良い道だったが、鶏頭山のコルを通過すると眺望の効かない樹林帯となる。
傾斜は緩く、アップダウンはあまりないが、道は優しくない。
木に雪が堆積した為か、登山道の両脇に立ち並ぶ樹木の枝が垂れ下り、道を塞いでいる。
幾度も枝を掻き分け、時には枝の下を這いながら先へと進んでゆく。
まるで藪山のような道で、次第に雪は深くなり、もっと楽そうな登山道を選べばよかったか、と少し後悔し始めた。
しかし、全く眺望が無い訳ではなく、樹林が途切れて岩場の道へ出ると視界は開け、
これまで歩いてきた鶏頭山方面の道、そしてこれから進む早池峰方面の景色を堪能する事が出来た。
すぐにまた道は樹林に戻るので、束の間の眺望、ではあるが・・・
縦走路を進む事、約4時間。
ガスで覆われた進路の先に、うっすらと中岳へ続く巨石群が見えてきた。
この先の岩場が、この縦走路の核心部。
ガスの中では通過が難航する、と考えて、まだ時刻は3時前であったが早めに行動を打ち切る。
途中で見つけていたテントが張れそうな場所まで戻り、そこで幕営する事にした。
その頃には気温は-10℃まで下がっており、寒さに凍えながらのテント設営。
まだ11月下旬だというのに、ここまで気温が下がるものなのか・・・
北上山地の冬の厳しさを身を以て経験する。
しかし、気温は低いものの、風が吹き込まない樹林帯なので、ほぼ無風。
山の上では唸るような風の声が聞こえてくるがテントが揺らぐ事はなく、雪山での幕営としては快適な状況であった。
夕食、水作り、濡れた衣類の乾燥、と一連の家事(?)を終え、午後6時にはシェラフに包まり寝床に付いた。
【11月25日】
日の出時刻の6時30分にテントの外に出ると、空は厚い雲で覆われ、視界は真っ白。
予報では、今日は高気圧に覆われ晴天となるはずであったが、その気配は全く見られなかった。
しばらくテント内で待機し、天候回復を待つが、一向に好転せず。
7時30分、これ以上は待つ事が出来ず、テントを撤収し中岳へと進んだ。
中岳山頂へ続く岩場は、予想通りの難路となった。
ルート上には巨岩がゴロゴロしていて、その岩を登っては降り、そしてまた次の岩へ・・・といった繰り返しになる。
岩の周辺には樹木が密生しており、巻いて進む事は出来ず、殆どの岩は登って越える。
(一部、巻いて進める箇所もあり)
岩にはペンキマークやロープなどは無く、何処を登れば良いのか、また何処から下るのか、といった指示は一切なし。
その為、雪で登山道や岩が覆われている状況ではルートファインディングが非常に難しい。
スムーズに通過するには夏道を正確に記憶している必要があるだろう。
岩の登り降りも技術的に難しいものがあり、アイゼンとピッケルを駆使しなければ通過できない箇所も多々あった。
通過には思っていた以上に時間を要し、中岳頂上までの巨岩帯約200mの通過には40分近く費やした。
厳しい岩場を通過し、ようやく中岳山頂、と思わしき三角点に立つ。
しかし、そこから見える早池峰方面の景色は真っ白で、かろうじて見えるのは鬱蒼と茂る樹林帯。
その景色を見ると、気が重くなった。
地形図によると、中岳以降はハイマツ帯となっている。
なので、中岳以降は森林限界となり、雪深く険しい樹林帯からは解放される、と楽観視していた。
しかし、まだ樹林帯は続くらしい・・・
中岳からは更に雪は深くなり、膝上まで達する位になっていた。
この雪の量では、今日中に早池峰山頂に到達できるかも怪しいものだ。
ひとまず中岳頂上を後にし先へ進んでみるが、300m進むのに1時間かかる、という有様である。
GPSで早池峰山頂までの距離を探ると、あと1.8Km
このペースでは、山頂到達まで6時間はかかる、という計算になる。
山頂到着は午後3時過ぎか・・・
これでは、今日中の下山は無理。
標高1680m地点にて、山頂まで行くのを諦め撤退する事にした。
通過するのに苦労した岩場を再び進むが、今度はトレースが残っているのでルートは明瞭。
登りだった箇所が下りになるので、若干難しくはなったが、スムーズに通過し、昨日も進んだ縦走路を引き返す。
縦走路を進むにつれて雲が薄くなり、やがて青空が広がる。
“どうせ晴れているのは麓だけだろう。”と思って、見晴らしの良い岩場に出て中岳方面を振り返ってみれば・・・
しっかり晴れてるじゃないか。。。
やっと高気圧が本気を出してくれたようだが、今更かよ。
もっと早くに晴れ間が出ていれば、中岳頂上から早池峰の真っ白なピークが見れただろうに。
高気圧に愚痴をこぼしつつ、縦走路を下る。
午後1時には、昨日通過した鶏頭山に到着。
昨日の鶏頭山頂上からの眺めはガスが掛かって今一つであったが、今日は快晴で周囲の見晴らしは良い。
縦走路方面を見ると、中岳と、その背後に早池峰の真っ白なピークが見えた。
縦走路上からは中岳の後ろに隠れて早池峰は見えなかったが、鶏頭山からははっきり見える。
北西方向には、雪を被った岩手山と八幡平、と見所も豊富だ。
しばらくその眺めを堪能する。
鶏頭山からの下りは、昨日とは別ルートで、七折ノ滝方面へと下る。
ハシゴ場の分岐よりしばらくは雪道が続いていたが、標高1000m付近から下は雪は消えており、
そこからはアイゼンを外す。
落ち葉で滑りやすくなっており、何度か尻もちをつきながら下山した。
雪道よりも、この落ち葉の道の方が、私にとっては苦手かもしれん・・・
七折ノ滝までは急な下りが続いたが、そこから先は道なだらか。
もう紅葉は終わり、木々は寒々としていたが、見応えのある七折ノ滝や、美しい沢の流れに、
落ち着いた雰囲気の森の景色等々、歩いていて気持ちの良い登山道であった。
午後3時過ぎには岳の駐車場に帰着。
駐車場からは、斜陽でほんのりと紅くなった早池峰の白峰が見えた。
残念ながら今回、その頂きを踏む事は出来なかったが・・・
次回は到達したいものだ。
この先、更に雪深くなったら、今回の縦走路はもう無理だろうから、少し楽そうなルートで。
今回、下山で利用する予定だった小田越からのルートでリベンジしてみようか。
早池峰山頂付近では樹氷を見れるらしいので、その時期にでも・・・来年かな。
「では、近いうちにまた。」と早池峰に挨拶し、帰路につく。
それにしても、今回の登山で「早池峰」、という山の印象はかなり変わった。
これまでは「花の山」、という優しい印象を抱いていたが、
初めて訪れたその山は、厳しい岩と雪の山だった。
Luske













雪景色を堪能させていただきました
私に雪山を登る技術も根性もありませんが、雪は大好きです
土曜日は、高速道路から早池峰の下の方が見えていましたね。
姫神からは分かりませんでした
今の時期早池峰と聞いて想像するのは、岳から河原の坊、もしくは小田越まで舗装路歩きをして周回するのが普通かと思いましたが、Luskeさんはやはり縦走路でしたか
僕も先日、鶏頭山の山頂から縦走路のことを考えましたが、周回するには3日は必要になるだろうと思っていました。
でも早池峰の岩尾根をこれでもかと言わんばかりに堪能されたようで羨ましいです。
振り返りながら青空に映える早池峰の姿もいいですね 。
次回の樹氷の早池峰、楽しみにしています。
日曜日は天気が良く、鶏頭山の頂上からは土曜にSpringさんが歩いた姫神山もはっきり見えました。
遠くから見る限りでは、姫神山にはまだ雪が無いように見えましたが、レコを拝見させて頂いたところ登山道は綺麗に雪化粧していたようですね。
こだまと一緒の雪山歩き、実に楽しそうでしたよ
これからは雪の季節ですね。
私も雪が大好きで、この時期になるとワクワクしてきます
河原の坊と小田越の周回も考えたのですが、11月上旬にtooleさんが訪れた鶏頭山も見てみたく思い、縦走路を選んでみました。
道は思っていた以上に厳しく雪が深く、1泊2日では無謀でしたね^^;
最低でも3日で計画すべきでした
御覧の通り、残念ながら今回は撤退となりましたが、良い登山だったな、と思います。
風があまり無かったので、中岳の岩はスリリングで楽しめましたし(風があったら地獄だったと思いますが・・・)、日曜日の眺望は素晴らしかった。
今回は山頂には行けませんでしたが、次回は必ず。
早池峰の樹氷の写真を撮ってきます
早池峰山、だいぶ苦戦されたようですが、
まずはお疲れ様でした。
白と青、白と灰色の色構成の風景写真からも、
本格的な冬山になったなと伝わってきました。
岩のルートはかなり神経を使ったのではない
でしょうか?
橋のような岩の横幅のなさは、尻込みしてし
まいます。
幅のない道を見るとまったく距離が違いますが
LuskeさんがGWで登った、槍・穂高の馬ノ背の
写真を思い出します
次回はどこの山になるでしょうか?
楽しみです。
あと、お地蔵さまが寒そうにしているときは
笠か手ぬぐいをかぶせてあげると良いと昔、
聞いたことがあります
中岳の岩場はなかなか手強い道でした
でも、GWに訪れた涸沢岳西尾根や穂高に比べれば難しくはなく、
岩の橋は幅は狭いものの、歩く長さは3m位と短く、雪が薄く崩れる心配も無し。
馬ノ背に比べれば、あまり怖さは感じませんでした。
でも道は岩と樹林の迷路のような感じで、ルートファインディングはかなり難しい道でした。
次に登る山は、いろいろと候補があるのですが、お天気と相談ですね。
これからの時期、天気の見極めが難しいところであります。
笠地蔵、ですねw
ニセ鶏頭のお地蔵さんを見たとき、私もその話を思い浮かべました。
傘や手拭は持ってなかったので、かぶせてはあげられませんでしたが、寒そうだったので雪だけ払ってあげました。
その御利益で、日曜日は快晴だったのかもしれませんね
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